数学II 第3章 三角関数 — 三角関数の加法定理とその応用
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ここでは、三角関数の加法定理を学ぶ。また、加法定理から導かれる重要な等式、倍角・半角の公式、三角関数の合成について学ぶ。
三角関数の加法定理
正弦と余弦の加法定理
2つの角の和や差の三角関数は,それぞれの角の三角関数で表すことができる. まずはじめに
cos(α-β)=cosβ+sinβ ①
となることを証明してみよう.
【証明】
図のように,点P(cosα, sinα)と点Q(cosβ, sinβ)をとると, 2点間の距離の公式より
PQ²=(cosβ-cosα)²+(sinβ-sinα)² =2-2(cosβ+sinβ)
である.
次に,図のように,2点P,Qを原点を中心に− βだけ回転させた図形を考える. このとき,動径OPのなす角は α − βとなり,点Qは(1, 0)に移る. 回転移動によってPQの長さは変わらないので,2点間の距離の公式より
PQ²=(1-cos(α-β))²+sin²(α-β) =2-2cos(α-β)
よって
2-2(cosβ+sinβ) =2-2cos(α-β) ⇔ cos(α-β)=cosβ+sinβ
暗記1正弦と余弦の加法定理の導出
上の①を利用して,次の等式を証明せよ.
- cos(α+β)=cosβ-sinβ
- sin(α-β)=sinβ-cosβ
- sin(α+β)=sinβ+cosβ
解答を見る
①でβを − βにおきかえると
cos{α-(-β)}=cos(-β) +sin(-β) ⇔ cos(α+β)=cosβ-sinβ
←-θの三角比
①でβを β-π/2におきかえると
cos{α-(β-π/2)} =cos(β-π/2) +sin(β-π/2) ⇔ cos{(α-β)+π/2} =cos(β-π/2) +sin(β-π/2) ⇔ -sin(α-β)=cosβ-sinβ ⇔ sin(α-β)=sinβ-cosβ
2.でβを− βにおきかえると
sin{α-(-β)}=sin(-β) -cos(-β) sin(α+β)=sinβ+cosβ
←-θの三角比
§
定理1正弦と余弦の加法定理
1)sin(α+β)=sinβ+cosβ sin(α-β)=sinβ-cosβ 2)cos(α+β)=cosβ-sinβ cos(α-β)=cosβ+sinβ
問題1正弦と余弦の加法定理
- 45°-30°=15°であることに注意して,sin15°とcos15°の値を求めよ.
- π/4+π/6=(5/12)πであることに注意してsin((5/12)π)とcos((5/12)π)の値を求めよ.
解答を見る
加法定理をもちいて
sin15°=sin(45°-30°) =sin45°cos30°-cos45°sin30° =√2/2・√3/2-√2/2・1/2 =(√6-√2)/4 cos15°=cos(45°-30°) =cos45°cos30°+sin45°sin30° =√2/2・√3/2+√2/2・1/2 =(√6+√2)/4
加法定理をもちいて
sin((5/12)π)=sin(π/4+π/6) =sin((π/4)cos)π/6+cos((π/4)sin)π/6 =√2/2・√3/2+√2/2・1/2 =(√6+√2)/4 cos((5/12)π)=cos(π/4+π/6) =cos((π/4)cos)π/6-sin((π/4)sin)π/6 =√2/2・√3/2-√2/2・1/2 =(√6-√2)/4
問題2三角関数の加法定理と平面図形
図のようにX(1, 0)とA(2, 1)があり, ∠AOX=αとする.
- cosα, sinαの値を求めよ.
- △AOXをOを中心にπ/3回転移動し,△A'OX'になったとする. このとき,X',A'の座標を求めよ.
解答を見る
OA=√5より,
cosα=2/√5, sinα=1/√5.
図のように書くことができ,
X'(cos(π/3), sin(π/3))なのでX'(12, √3/2).
A'(√5cos(α+π/3), √5sin(α+π/3))であり,
cos(α+π/3)=cos(π/3)-sin(π/3) =2/√5・12 - 1/√5・√3/2 =(2-√3)/2√5 sin(α+π/3)=sin(π/3)+cos(π/3) =1/√5・12 + 2/√5・√3/2 =(1+2√3)/2√5
←正弦と余弦の加法定理
より,A'((2-√3)/2, (1+2√3)/2).
←cos(α+π/3), sin(α+π/3)をそれぞれ√5倍した
正接の加法定理
正弦と余弦の加法定理から,次のような正接の加法定理を導くことができる.
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanβ) ②
【証明】
tan(α+β)=sin(α+β)/cos(α+β) =(sinβ+cosβ)/(cosβ-sinβ) =(sinα/cosα+sinβ/cosβ)/(1-sinα/cosα…inβ/cosβ)
←分母と分子をcosβで割った
=(tanα+tanβ)/(1-tanβ)
暗記2正接の加法定理の導出
上の②を利用して,次の等式を証明せよ.
tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanβ)
解答を見る
②のβを− βにおきかえると
tan{α+(-β)}=(tanα+tan(-β))/(1-tan(-β)) ⇔ tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanβ)
←-θ の三角比
§
定理2正接の加法定理
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanβ) tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanβ)
問題3正接の加法定理
0<α<π/2, 0<β<π/2で, tanα=5, tanβ=3/2のとき,次の問いに答えよ.
- tan(α+β), tan(α-β)の値を求めよ.
- α+βの値を求めよ.
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正接の加法定理より
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanβ) =(5+3/2)/(1-5・3/2)=-1 tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanβ) =(5-3/2)/(1+5・3/2)=7/17
0<α+β<πおよび, tan(α+β)=-1より, α+β=(3/4)πである.
2直線のなす角
正接の加法定理を利用すると,2直線のなす角の正接の値を求めることができる. そのことを次の例題で確認しよう.
問題42直線のなす角〜その1〜
直線 l:y=2x-1,m:y=(1/3)x+1/3について,以下の問いに答えよ.
- 直線l,mがx軸の正の向きとなす角をα,βとするとき,tanα,tanβの値を求めよ. ただし,角は反時計回りを正の向きとする.
- 2直線l,mのなす鋭角をθとする.正接の加法定理を利用しθの値を求めよ.
解答を見る
直線lとmの傾きはそれぞれ,2,1/3なので,
tanα=2,tanβ=1/3である.
θ = α − βなので
tanθ =tan(α-β) =(tanα-tanβ)/(1+tanβ) =(2-1/3)/(1+2・1/3) =1
0≦θ≦π/2より, θ=π/4となる.
以下では,交わる2直線 y=m1x+n1,y=m2x+n2のなす鋭角θについて,一般的に考えてみよう.
図のように,直線を平行移動しても2直線のなす角は変わらないので, y=m1x,y=m2xの場合について考えてゆけばよい.
直線 y=m1 x, y=m2 xがx軸の正の向きとなす,正の角をそれぞれ α,β (α>β)とする.
正接の値は直線の傾きを表していたので, tanα=m1, tanβ=m2である.
いま,正接の加法定理から
tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanβ)=(m1-m2)/(1+m1m2)
と計算できる.
(m1-m2)/(1+m1m2)>0,すなわち 0<α-β <π/2のとき
tanθ=tan(α-β)=(m1-m2)/(1+m1m2) (>0)
(m1-m2)/(1+m1m2)<0,すなわち π/2<α-β<πのとき
tanθ=tan{π-(α-β)} =-tan(α-β) =-(m1-m2)/(1+m1m2) (>0)
いずれにしても, tanθ > 0なので,次のようにまとめられる.
§
定理32直線のなす角
直交しない2直線
y=m1x+n1 y=m2x+n2
のなす鋭角をθとすると
tanθ=|(m1-m2)/(1+m1m2)|
と表すことができる.
問題52直線のなす鋭角〜その2〜
- 2直線 y=2x-1, y=-x+3なす角をθとするとき,tanθの値を求めよ.
- 直線 y=2x+3とのなす角がπ/4である直線の傾きmを求めよ.
解答を見る
それぞれ傾きは 2, -1なので
tanθ =|(2 -(-1))/(1+2・ (-1))| =|-3| =3
傾きは2, mである2直線のなす角がπ/4なので
tan(π/4)=|(2 -m)/(1+2・ m)| ⇔ 1=|(2-m)/(2m+1)|
よって, 2m+1=2-mまたは 2m+1=m-2であればよいので, m=1/3, -3.
2倍角・半角の公式
2倍角の公式
三角関数の加法定理において, β = αとすると, 次の2倍角の公式(formula of double angle)が得られる.
§
定理42倍角の公式
sin2α=2sinα
cos2α=cos²α-sin²α
=1-2sin²α
=2cos²α-1
tan2α=2tanα/(1-tan²α)
証明
正弦の加法定理 sin(α+β)=sinβ+cosβにおいて, β = αとすると
sin2α=sinα+cosα=2sinα
また,正接の加法定理 tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanβ)において, β = αとすると
tan2α=(tanα+tanα)/(1-tanα)=2tanα/(1-tan²α)
∎
暗記32倍角の公式の導出
余弦の2倍角の公式
cos2α=cos²α-sin²α =1-2sin²α=2cos²α-1
を証明せよ.
解答を見る
余弦の加法定理 cos(α+β)=cosβ-sinβにおいて, β = αとすると
cos2α=cosα-sinα =cos²α-sin²α
sin²α+cos²α=1より, cos²α=1-sin²αだから
cos2α=(1-sin²α)-sin²α =1-2sin²α
sin²α+cos²α=1より, sin²α=1-cos²αだから
cos2α=cos²α-(1-cos²α) =2cos²α-1
半角の公式
2倍角の公式から,次の半角の公式(formula of half angle)を得る.
§
定理5半角の公式
- sin²α/2=(1-cosα)/2
- cos²α/2=(1+cosα)/2
- tan²α/2=(1-cosα)/(1+cosα)
暗記4半角の公式の導出
次の『半角の公式』を証明せよ.
- sin²α/2=(1-cosα)/2
- cos²α/2=(1+cosα)/2
- tan²α/2=(1-cosα)/(1+cosα)
解答を見る
余弦の倍角の公式 cos2α = 1 – 2sin²αより
sin²α=(1-cos2α)/2 ①
ここで,αをα/2とおきかえて
sin²α/2=(1-cosα)/2
余弦の倍角の公式 cos2α = 2cos²α – 1より
cos²α=(1+cos2α)/2 ②
ここで,αをα/2とおきかえて
cos²α/2=(1+cosα)/2
tanα=sinα/cosαより
tan²α=sin²α/cos²α =(1-cos2α)/2・2/(1+cos2α) =(1-cos2α)/(1+cos2α)
←①,②を使った
ここで,αをα/2とおきかえて
tan²α/2=(1-cosα)/(1+cosα)
問題6半角の公式の利用
t=tan(x/2)とするとき,cosx, sinx, tanxをtの式で表せ.
解答を見る
t²=tan²x/2 =(1-cosx)/(1+cosx)より
(1+cosx) t² =1-cosx ⇔ (t² +1)cosx =1-t² ⇔ cosx=(1-t²)/(1+t²)
また,倍角の公式より
tanx=2tan(x/2)/(1-tan²x/2)=2t/(1-t²)
なので
sinx=cosx tanx =(1-t²)/(1+t²)・ 2t/(1-t²)=2t/(1+t²)
三角関数の合成
三角関数の合成について
asinθ + bcosθの形をしている式は,加法定理をもちいてより簡単な形に直すことができる.
図のように,sinθの係数をx座標とし,cosθの係数をy座標とする点P(a, b)をとり, 線分OPがx軸の正の向きとなす,正の向きの角をαとすると
cosα=a/√(a²+b²) , sinα=b/√(a²+b²) ①
だから
asinθ + bcosθ
=√(a²+b²)((a/√(a²+b²))sinθ.
.+(b/√(a²+b²))cosθ)
←√(a²+b²)で式全体をくくった
=√(a²+b²)(cosθ+sinθ)
←①を使った
=√(a²+b²)sin(θ+α)
←加法定理を使った
この変形のことを,三角関数の合成(combination of trigonometric function)という.
§
定理6三角関数の合成
asinθ + bcosθは
cosα=a/√(a²+b²) , sinα=b/√(a²+b²)
を満たすαをもちいて
asinθ+bcosθ=√(a²+b²)sin(θ+α)
と変形できる.
問題7三角関数の合成
次の三角関数を合成して, Asin(θ+α)の形に変形せよ.αの値が求められるときには求めよ(ただし, 0≦α<2πとする).
- sinθ +cosθ
- -sinθ +√3cosθ
- 3sinθ -4cosθ
解答を見る
sinθ+cosθ =√(1²+1²)((1/√2)sinθ+(1/√2)cosθ) =√2(cos((π/4)sin)θ+sin((π/4)cos)θ) =√2sin(θ+π/4)
-sinθ+√3cosθ =√((-1)²+√3²)(((-1)/2)sinθ+(√3/2)cosθ) =2(cos((2π/3)sin)θ+sin((2π/3)cos)θ) =2sin(θ+2π/3)
3sinθ-4cosθ =√(3²+(-4)²)((3/5)sinθ-(4/5)cosθ) =5(cosθ+sinθ) =5sin(θ +α )
ただし,αは図のような角度である.
三角関数を含む関数・方程式・不等式
三角関数を含む関数・方程式・不等式について
問題8三角関数を含む関数・方程式・不等式〜その1〜
- 関数 y=cos² θ -2sinθ +1 (0≦ θ <2π)の最大値・最小値を求めよ.
- 0≦ θ <2πのとき,方程式 sin² θ =cos θ+1を解きなさい.
- 0≦ θ <2πのとき,不等式 2cos² θ +sin θ >2を解きなさい.
解答を見る
y=cos²θ-2sinθ+1 =(1-sin²θ)-2sinθ+1
←拡張された三角関数の相互関係を用いてsinθにそろえた
sinθ = tとおく. 0≦θ<2πより -1≦t≦1なので
y=-t²-2t+2 =-(t+1)²+3 (-1≦ t ≦ 1)
←tについての2次関数の最大・最小の問題になった
図より,yは
t = − 1のとき最大値3, t = 1のとき最小値 − 1
をとる. t =sinθなので
θ=(3/2)πのとき最大値3
θ=π/2のとき最小値-1
sin²θ=cosθ+1 ⇔ 1-cos²θ=cosθ+1 ⇔ cos²θ+cosθ=0 ⇔ cosθ(cosθ+1)=0 ⇔ cosθ=0, -1
0≦θ<2πの範囲で cosθ=0, -1を満たすθは,図より θ=π/2, π, (3/2)π.
2cos²θ+sinθ>2
⇔ 2(1-sin²θ)+sinθ>2
←拡張された三角関数の相互関係を用いてcosθにそろえた.
⇔ -2sin²θ+sinθ>0
⇔ sinθ(2sinθ-1)<0
←sin²θの係数を正にするため,両辺を− 1で割ってから因数分解した
⇔ 0<sinθ<1/2
0≦θ<2πの範囲で上の不等式を満たすθの範囲は,図の太線部分である.すなわち
0<θ<π/6, (5/6)π<θ<π
問題9三角関数を含む関数・方程式・不等式〜その2〜
- 関数 y=-cos 2θ -2sinθ (0≦ θ <2π)の最大値・最小値を求めよ.
- 0≦ θ <2πのとき,方程式 sin 2θ =cos θを解きなさい.
- 0≦ θ <2πのとき,方程式 tan² θ/2 =1-cos θを解きなさい.
- 0≦ θ <2πのとき,不等式 cos 2θ -cos θ ≧ 0を解きなさい.
- 0≦ θ <2πのとき,不等式 cos² θ/2 θ+1を解きなさい.
解答を見る
y==-cos2θ-2sinθ =-(1-2sin²θ)-2sinθ
←2倍角の公式を用いてsinθにそろえた.
sinθ=tとおく. 0≦θ<2πより -1≦t≦1なので
y=2t²-2t-1 =2(t-1/2)²-3/2
図より,yは
t = − 1のとき最大値3, t=1/2のとき最小値-3/2
をとる. t = sinθなので
θ=(3/2)πのとき最大値3
θ=π/6, (5/6)πのとき最小値-3/2
sin2θ=cosθ ⇔ 2sinθ=cosθ ⇔ cosθ(2sinθ-1)=0 ⇔ cosθ=0, sinθ=1/2
←2倍角の公式を用いて共通因数を作った.
0≦θ<2πの範囲で cosθ=0, sinθ=1/2を満たすθは,図より
θ=π/6, π/2, (5/6)π, (3/2)π.
tan²θ/2=1-cosθ ⇔ (1-cosθ)/(1+cosθ)=1-cosθ ⇔ 1-cosθ=(1-cosθ)(1+cosθ) ⇔ cos²θ-cosθ=0 ⇔ cosθ(cosθ-1)=0 ⇔ cosθ=0, cosθ=1
←半角の公式を用いてcosθにそろえた.
0≦θ<2πの範囲で cosθ=0, cosθ=1を満たすθは,図より
θ=0, π/2, (3/2)π.
cos2θ-cosθ≧0 ⇔ (2cos²θ-1)-cosθ≧0 ⇔ (2cosθ+1)(cosθ-1)≧0 ⇔ cosθ≦-1/2, 1≦cosθ
←2倍角の公式を用いてcosθでそろえた
0≦θ<2πの範囲で上の不等式を満たすθの範囲は,図の網掛け部分である.すなわち
θ=0, (2/3)π≦θ≦(4/3)π
cos²θ/2θ+1 ⇔ (1+cosθ)/2θ+1 ⇔ 1+cosθ≧2cosθ+2 ⇔ cosθ≦-1
←半角の公式を用いてcosθでそろえた
0≦θ<2πの範囲で上の不等式を満たすθの範囲は,図の太線部分である.すなわち
θ=π.
問題10三角関数を含む関数・方程式・不等式〜その3〜
- 0≦ θ <2πのとき,方程式 sin θ -√3cos θ =1を解きなさい.
- 0≦ θ <2πのとき,不等式 sinθ +cosθ <0を解きなさい.
- 関数 y=sinθ +√3cos θ (0≦ θ <2π)の最大値・最小値を求めよ.
解答を見る
三角関数の合成より
sinθ-√3cosθ=1 ⇔ 2{(1/2)sinθ +(-√3/2)cosθ}=1 ⇔ 2sin(θ-π/3)=1
θ-π/3=θ'とおくと
sinθ'=1/2.
0≦θ<2πより, -π/3≦θ'<(5/3)πである. この範囲で sinθ'=1/2を満たすθ'は,図より
θ'=(1/6)π, (5/6)π.
θ=θ'+π/3なので
θ=(1/2)π, (7/6)π.
三角関数の合成より
sinθ+cosθ<0 ⇔ √2((√2/2)sinθ+(√2/2)cosθ)<0 ⇔ √2sin(θ+(1/4)π)<0
θ+(1/4)π=θ'とおくと
sinθ'<0.
0≦θ<2πより, (1/4)π≦θ'<(9/4)πなので,この範囲で上の不等式を満たすθ'は, 図の網掛け部分である.すなわち
π<θ'<2π.
θ=θ'-(1/4)πなので
(3/4)π<θ<(7/4)π.
三角関数の合成より
y=sinθ+√3cos θ =2(12sinθ + (√3/2)cosθ) =2sin(θ+π/3)
θ'=θ+π/3とおくと,
この三角関数は y = 2sinθ'.
0≦θ<2θより, π/3≦ θ' <(7/3)πなので,
θ'=π/2のとき最大値2, θ'=(3/2)πのとき最小値 − 2.
θ=θ'-π/3なので
θ=π/6のとき,最大値2
θ=(7/6)πのとき,最小値-2
問題11 t=sin x+cos xとおく
関数 f(x)=sinx cosx -sinx -cosx (0≦ x ≦π)について以下の問いに答えよ.
- t=sinx+cosxとする.f(x)をtの式で表せ.
- tのとりうる値を求めよ.
- f(x)の最大値・最小値と,それぞれを与えるxの値を求めよ.
解答を見る
t²=(sinx+cosx)²=1 +2sinxcosxなので
sinxcosx=(t² -1)/2
これを代入すれば
f(x)=(t² -1)/2 -(sinx +cosx) =1/2 t² -t - 1/2
三角関数の合成より
t=sinx +cosx =√2 ((√2/2)sinx + (√2/2)cosx ) =√2sin(x + π/4)
0≦ x ≦ πより, π/4 ≦ x+π/4 ≦ (5/4)πなので 図より -√2/2(x + π/4)≦ 1である.
つまり, t=√2sin(x + π/4)のとりうる範囲は -1 ≦ t ≦ √2.
1.,2.より, f(x)=1/2 t² -t - 1/2 (-1 ≦ t ≦ √2) である.これをtについて平方完成すると
f(x)=1/2(t-1)²-1
となる.図より,f(x)は
t = − 1のとき1で最大, t = 1のとき − 1で最小
となる.それぞれのときのxの値を求めると
t=-1 ⇔ √2sin(x + π/4)=-1 ⇔ sin(x + π/4)=-√2/2 ⇔ x + π/4=(5/4)π ⇔ x=π t=1 ⇔ √2sin(x + π/4)=1 ⇔ sin(x + π/4)=√2/2 ⇔ x + π/4=π/4, (3/4)π ⇔ x=0, π/2
以上をまとめて,f(x)は
x = πのとき1で最大
x=0, π/2のとき − 1で最小
3倍角の公式
暗記53倍角の公式の導出
sin3αをsinαだけの式で表せ.また,cos3αをcosαだけの式で表せ.
解答を見る
sin3α=sin(2α +α)
=sin2α cosα +cos2α sinα
←正弦と余弦の加法定理
=(2sinα cosα)cosα +(1-2sin²α)sinα
←2倍角の公式
=2sinα cos²α +sinα -2sin³α
=2sinα(1-sin²α) +sinα -2sin³α
←拡張された三角関数の相互関係
=3sinα -4sin³α
cos3α=cos(2α +α)
=cos2α cosα -sin2α sinα
←正弦と余弦の加法定理
=(2cos²α -1)cosα -(2sinα)sinα
←2倍角の公式
=2cos³α -cosα -2sin²α
=2cos³α -cosα -2(1-cos²α)cosα
←拡張された三角関数の相互関係
=4cos³α -3cosα
§
定理73倍角の公式
- sin3α=3sinα -4sin³α
- cos3α=4cos³α -3cosα
問題123倍角の公式の利用
0≦ x ≦πのとき,不等式 cos3x +2cosx=0を満たすxを求めよ.
解答を見る
cos3x =4cos³x -3cosxなので
cos3x +2cosx =0 ⇔ 4cos³x -3cosx +2cosx=0 ⇔ (4cos²x -1)cosx =0 ⇔ cosx =-1/2, 1/2, 0
0≦ x ≦ πの範囲でこれを解いて,
x =π/3, π/2, (2/3)π
三角関数の和と積の公式
積和の公式
加法定理を組み合わせることにより,次のような公式が得られる.
§
定理8三角関数の積を和に変換する公式
- sinα cosβ=12{sin(α +β) +sin(α -β)}
- cosα sinβ=12{sin(α +β) -sin(α -β)}
- cosα cosβ=12{cos(α +β) +cos(α -β)}
- sinα sinβ
=-12{cos(α +β) -cos(α -β)}
証明
正弦についての加法定理
sin(α +β)=sinα cosβ + cosα sinβ ①
sin(α -β)=sinα cosβ - cosα sinβ ②
において, ①+②より
sin(α +β) +sin(α -β) = 2sinα cosβ ⇔ sinα cosβ =12{sin(α +β) +sin(α -β)}
同じく ①-②より
sin(α+β)-sin(α-β) =2cosβ ⇔ cosβ =12{sin(α+β)-sin(α-β)}
∎
暗記6積和の公式の導出
次の等式を証明せよ.
- cosβ=12{cos(α+β)+cos(α-β)}
- sinβ
=-12{cos(α+β)-cos(α-β)}
解答を見る
余弦についての加法定理
cos(α +β)=cosβ-sinβ ③
cos(α -β)=cosβ+sinβ ④
において, ③+④より
cos(α+β)+cos(α-β) =2cosβ ⇔ cosβ =12{cos(α+β)+cos(α -β)}
同じく ③-④より
cos(α+β)-cos(α-β) =-2sinβ ⇔ sinβ =-12{cos(α+β)-cos(α-β)}
和積の公式
三角関数の積を和に変換する公式について
α+β=A ①
α-β=B ②
とおくと, (①+②)÷ 2より α=(A+B)/2, (①-②)÷ 2より β=(A-B)/2であるから, 次の公式を得る.
§
定理9三角関数の和を積に変換する公式
- sinA +sinB=2sin((A+B)/2) cos((A-B)/2)
- sinA -sinB=2cos((A+B)/2) sin((A-B)/2)
- cosA +cosB=2cos((A+B)/2) cos((A-B)/2)
- cosA -cosB=-2sin((A+B)/2) sin((A-B)/2)
問題13三角関数を含む方程式・不等式〜その4〜
- 0≦ x < 2πのとき,方程式 sin 4x +sin 3x +sin 2x +sin x=0を解け.
- 0≦ x < 2πのとき,不等式 cos x -cos 2x +cos 3x <cos 4xを解け.
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sin 4x +sin 3x +sin 2x +sin x=0
← 4x-2x=3x-xに着目.
4x+x =3x+2xや 4x-3x=2x-xに着目しても共通因数を作れるが,分数が出てきて煩雑である.
⇔ (sin 4x +sin 2x) +(sin 3x +sin x)=0
⇔ 2sin((4x+2x)/2) cos((4x-2x)/2)
+2sin((3x+x)/2) cos((3x-x)/2)=0
←三角関数の和を積に変換する公式
⇔ 2(sin3x cosx + sin2x cosx)=0
←共通因数cos xができた
⇔ (sin3x +sin2x)cosx=0
⇔ (2sin((3x +2x)/2) cos((3x -2x)/2))cosx=0
←三角関数の和を積に変換する公式
⇔ sin((5/2)x)cos(x/2) cosx=0
⇔ sin((5/2)x)=0, cos(x/2)=0, cosx=0
それぞれの方程式を解くと
0≦ (5/2)x<5πより
sin((5/2)x)=0 ⇔ (5/2)x=0, π, 2π, 3π,4π ⇔ x=0, (2/5)π, (4/5)π, (6/5)π, (8/5)π
0≦ x/2<πより
cos(x/2)=0 ⇔ x/2=π/2 ⇔ x=π
0≦ x<2πより
cosx=0 ⇔ x=π/2, (3/2)π
よって, x=0, 25π, 12π, 45π, π,
65π, 32π, 85π.
cos x -cos 2x +cos 3x<cos 4x
← 3x-x=4x-2xに着目.
4x+x =3x+2xや 4x-3x=2x-xに着目しても共通因数を作れるが,分数が出てきて煩雑である.
⇔ cos 3x +cos x <cos 4x+cos 2x
⇔ 2cos((3x+x)/2) cos((3x-x)/2)
<2cos((4x+2x)/2) cos((4x-2x)/2)
←三角関数の和を積に変換する公式
⇔ cos2x cosx <cos3x cosx
←共通因数cos xができた
⇔ (cos3x -cos2x)cosx>0
⇔ (-2sin((3x +2x)/2) sin((3x -2x)/2)) cosx
>0
←三角関数の和を積に変換する公式
⇔ sin((5/2)x) sin(x/2) cosx<0 ①
ここで, 0≦ x/2<πより sin(x/2)≧ 0である.
- sin(x/2)=0,つまり, x=0のとき①は不適.
- sin(x/2)>0より,①は sin((5/2)x) cosx<0となる.
sin52 x>0, cos x<0のとき
← sin52 x>0を解くと 0<52 x<π, 2π<52 x<3π,
4π<52 x<5π
0<x<25π, 45π<x<65π, 85π<x<2π 12π<x<32π
上の式を②,下の式を③とする.
なので, 45π < x<65π.
sin52 x<0, cos x>0のとき
← sin52 x<0を解くと π<52 x<2π, 3π<52 x<4π
25π<x<45π, 65π<x<85π 0<x<12π, 32π<x<2π
上の式を④,下の式を⑤とする.
なので, 25π< x< 12π, 32π< x< 85 π.
以上をまとめて
25π< x< 12π, 45π < x< 65π,
32π< x< 85 π.
最終更新: 2026-08-13
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