組合せ
順列では、ものを取り出したときの順番の違いを考えに入れていたが、順番は区別せず取り出したものの区別だけを考えたいことがあり、これを組合せという。順列と同じように、組合せも数が多くなると樹形図を書くのが大変になる。ここでは、組合せの数を計算で求める方法について考えよう。
ボール・箱 | 単射 | 写像全て | 全射 | |
あり・あり | 順列 | 重複順列 | 部屋割り | |
なし・あり | 組合せ | 重複組合せ | 資源配分 | |
あり・なし | (右枠の和) | 部屋割り(区別なし) | ||
なし・なし | (右枠の和) | 資源配分(区別なし) |
組合せについて
組合せ$_{n}\text{C}_{r}$の定義
4枚のカード $\fbox{A}$ , $\fbox{B}$ , $\fbox{C}$ , $\fbox{D}$ から 2枚のカードの(順序は考えずに)組をつくる場合の数は,すべて書き出すと
\begin{align} &\left\{\fbox{A},\fbox{B}\right\},\left\{\fbox{A},\fbox{C}\right\},\left\{\fbox{A},\fbox{D}\right\}\\ &,\left\{\fbox{B},\fbox{C}\right\},\left\{\fbox{B},\fbox{D}\right\},\left\{\fbox{C},\fbox{D}\right\} \end{align}の6通りとなる.これは,順列の考え方を利用し,次のように計算することもできる.
まず,4枚のカードから2枚引いて順列を作ると,樹形図は図のようになり,その総数は $_{4}\mathrm{P}_{2}=4\times3=12$ 通りである.
しかし,2枚のカードの組を作る場合には,図の樹形図で例えば①,②は並ぶ順が異なるだけなので,これらは2つで1通りと数えなければならない. これら以外の順列にも同様のことがいえるので, 2枚のカードの組の総数は,順列の総数 $_{4}\mathrm{P}_{2}$ を2で割ることにより
\begin{align} \dfrac{_{4}\mathrm{P}_{2}}{2}=\dfrac{12}{2}=6 \end{align}∴6通り
として計算できる.
このようにいくつかの組をつくる場合の数を定義しておこう.
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の定義
「区別する $n$ 個のものから $r$ 個取り出して作った組」のことを $\boldsymbol{n-r}$ 組合せ(combination)
といい, その組の総数を $\boldsymbol{{n}\mathrm{C}{r}}$ と表す.
この例では, $_{4}\mathrm{C}_{2}=\frac{4\times3}{2}=6$ である.
組合せ$_{n}\text{C}_{r}$の計算
区別する $n$ 個のものから $r$ 個取り出して作る組の総数 $_{n}\mathrm{C}_{r}$ も,先程の例と同じように考えることができる.
まず, $n$ 枚のカードから $r$ 枚引いて順列を作ると,その総数は $_{n}\mathrm{P}_{r}$ 通りある.
順列ではなく, $r$ 枚のカードの組を作る場合には, $n-r$ 順列のうち $r!$ 通りについては同一視することになるので, 順列の総数 $_{n}\mathrm{P}_{r}$ を $r!$ で割ることにより
\begin{align} _{n}\mathrm{C}_{r}=\frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}=&\ \frac{\overbrace{n(n-1)\cdots(n-r+1)}^{r個の積}}{r(r-1)\cdot2\cdot1}\\ =&\ \frac{n!}{(n-r)!r!} \end{align}以上,まとめると
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の計算
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ は
\begin{align} _{n}\mathrm{C}_{r}=\frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}=&\ \frac{n(n-1)\cdots(n-r+1)}{r(r-1)\cdot2\cdot1}\\ =&\ \frac{n!}{(n-r)!r!} \end{align}と計算できる.
吹き出し無題
よくあるまちがいとして, $_{n}\mathrm{C}_{0}=0$ としてしまうというのがある. 上の式によれば, $_{n}\mathrm{C}_{0}=\frac{n!}{(n-0)!0!}=1$ である. このことは, $_{n}\mathrm{C}_{0}$ すなわち「区別する $n$ 個のものから0個選ぶ場合の数」は, 「1個も選ばない」という1通りである,と
こじつけ
で覚えてしまうとよい.
組合せの計算練習
次の値を求めよ.
- $_{5}\mathrm{C}_{2}$
- $_{4}\mathrm{C}_{4}$
- $_{10}\mathrm{C}_{3}$
- $_{20}\mathrm{C}_{2}$
$_{5}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}=\boldsymbol{10}$
$_{4}\mathrm{C}_{4}=\dfrac{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{1}$
$_{10}\mathrm{C}_{3}=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8}{3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{120}$
$_{20}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{20\cdot 19}{2\cdot 1}=\boldsymbol{190}$
組合せ〜その1〜
男子が5人,女子が5人いる中で,4人を選ぶ場合の数について以下の問に答えよ.
- 男女関係無く選ぶときの場合の数は何通りか.
- 男子から2人,女子から2人選ぶときの場合の数は何通りか.
- 男子から3人,女子から1人選ぶときの場合の数は何通りか.
- $_{10}\mathrm{C}_{4}=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8\cdot 7}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{210}$ 通り
- 男子2人の組合せそれぞれに対して,女子2人の組合せが決められるので
- 男子3人の組合せそれぞれに対して,女子1人の組合せが決められるので
$_{5}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}\cdot \dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}=\boldsymbol{100}$ 通り
$_{5}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{1}=\dfrac{5\cdot 4\cdot 3}{3\cdot 2\cdot 1}\cdot \dfrac{5}{1}=\boldsymbol{50}$ 通り
組合せ〜その2〜
説明文
- 図のように,横に4本,縦に7本の直行する平行線が引かれている. この中に長方形はいくつあるか求めよ.
- 正十角形の対角線の本数を求めよ.
- 横4本の平行線のうちから2本,縦7本の平行線のうちから2本をそれぞれ選べば,1個の長方形が定まる.
- 10個の頂点のうち2個を選べば,1本の対角線または辺が定まる.辺の数は10本であるから,これを除いて
よって
$_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{7}\mathrm{C}_{2}=\boldsymbol{126}$ 本
$_{10}\mathrm{C}_{2}-10=45-10=\boldsymbol{35}$ 本
組み分け
10人を次のように分ける方法は何通りあるか.
- 7人,3人に分ける.
- 5人,5人に分ける.
- 4人,3人,3人に分ける.
- 2人,2人,2人,2人,2人に分ける.
- 10人から3人を選びグループとし,残った7人をもうひとつのグループにすればよい.よって
- 10人から5人を選びグループとし,残った5人をもうひとつのグループにすればよい.
- 最初に4人選びグループとし,残った6人から3,3人のグループをつくればよい. ただし,3人のグループが2つあるので,2. と同じように重複した分は修正する必要がある. \begin{align} &\ \frac{_{10}\mathrm{C}_{4}\cdot\ _{6}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{3}\mathrm{C}_{3}}{2}\\ =&\ \frac{10\cdot 9\cdot 8\cdot 7}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}\cdot \frac{6\cdot 5\cdot 4}{3\cdot 2\cdot 1}\cdot \frac{1}{2}\\ =&\ \boldsymbol{2100} \end{align}
- 2人ずつ選んでいって,重複を修正すると \begin{align} &\ \frac{_{10}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{8}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{6}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{4}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{2}\mathrm{C}_{2}}{5!}\\ =&\ \frac{10\cdot 9}{2\cdot 1}\cdot \frac{8\cdot 7}{2\cdot 1}\cdot \frac{6\cdot 5}{2\cdot 1}\\ &\qquad\cdot \frac{4\cdot 3}{2\cdot 1}\cdot \frac{1}{5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}\\ =&\ \boldsymbol{945} \end{align}
$_{10}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{7}\mathrm{C}_{7}=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8}{3\cdot 2\cdot 1}\cdot1=\boldsymbol{120}$ 通り
しかし,10人を $a,b,c,d,e,f,g,h,i,j$ とすると,例えばはじめに $a,b,c,d,e$ の5人を 選んだ場合と,はじめに $f,g,h,i,j$ を選んだ場合では,どちらも
\begin{align} (a,b,c,d,e)(f,g,h,i,j) \end{align}という2つのグループに分かれるという点では同じである.つまり,これらは2つで1通りと数えなければならない.
他の選び方でも同様のことがいえるので,2で割ることにより重複の分を修正して
\begin{align} \dfrac{_{10}\mathrm{C}_{5}\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{5}}{2} &=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8\cdot 7\cdot 6}{5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}\cdot1\cdot\dfrac{1}{2}\\ &=\boldsymbol{126}通り \end{align}∴2100通り
∴945通り
ボールと箱のモデル4
説明文
$_{5}\mathrm{C}_{3}$ の定義は
「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」
であったが,これはボールと箱のモデルを使って
「区別しない3個のボールを,区別する5個の箱に多くても1個配る場合の数」
といいかえることができる.これは,次のように説明できる.
準備として,3つのボールは区別しないでそれを $\bigcirc{}$ , $\bigcirc{}$ , $\bigcirc{}$ とし, 箱は区別するので番号をつけ,それをとしておく.
3つの区別しないボールを,5つの区別する箱に高々1個配る場合の総数は,結局5つの箱からボールを入れるための箱を3つ選ぶ 選び方と等しくなり,これは「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」と考えることができるので $_{5}\mathrm{C}_{3}=\frac{5\cdot4\cdot3}{3\cdot2\cdot1}=10$ 通りとなる.
一般に,次のようにまとめることができる.
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ のボールと箱のモデル
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ はボールと箱のモデルを用いて
「区別しない $r$ 個のボールを,区別する $n$ 個の箱に高々1個配る場合の総数」
と考えることができる.
同じものを含む順列
同じものを含む順列$\text{C}(n_1,n_2,\cdots,n_m)$の定義
同じものを含む順列の定義
例えば,6枚のカード $\fbox{A},\fbox{A},\fbox{A},\fbox{B},\fbox{B},\fbox{C}$ を1列に 並べる順列の総数は次のように求めることができる.ただし,ここでは $\fbox{A}$ の3枚や, $\fbox{B}$ の2枚の並べ方の違いは区別しないものとする.
まず,カードを並べるための“部屋”を先に6つ用意しておく.
3枚の $\fbox{A}$ の入れる部屋の選び方は $_{6}\mathrm{C}_{3}$ 通りあり, その選んだ部屋に $\fbox{A}$ を入れる.
そのそれぞれに対し,残りの部屋は3部屋であるから,2枚の $\fbox{B}$ の入れる部屋の選び方は $_{3}\mathrm{C}_{2}$ 通りあり,その選んだ部屋に $\fbox{B}$ を入れる.
そのそれぞれに対し,残りの部屋は1つであるから,最後に $\fbox{C}$ を入れる.
以上から,6枚のカード $\fbox{A},\fbox{A},\fbox{A},\fbox{B},\fbox{B},\fbox{C}$ を1列に 並べる順列の総数は積の法則より
\begin{align} &_{6}\mathrm{C}_{3}\times\ _{3}\mathrm{C}_{2}\times\ _{1}\mathrm{C}_{1}\\ =&\frac{6\cdot5\cdot4}{3\cdot2\cdot1}\times\frac{3\cdot2}{2\cdot1}\times\frac{1}{1}=60 \end{align}∴60通り
となる.
ここで,数個の区別しないものを含む $n$ 個の順列を定義しておこう.
同じものを含む順列 $\text{C}(n_1,n_2,\cdots,n_m)$ の定義
第 $i$ 種 $(1\leqq{i}\leqq{m})$ のものが $n_i$ 個ずつ全部で $n_1+n_2+\cdots+n_m=n$ 個あり,同種のものは区別しないものとするとき, これら $n$ 個を1列に並べた順列のことを,
同じものを含む順列
または,
一般順列(generalized permutation)
といい,その総数を $FTEXT$ では $\text{C}(n_1,~n_2,~\cdots,~n_m)$ と表す.
例えば, $a$ が3個, $b$ が2個, $c$ が1個の計6個の同じものを含む順列の総数は, $\text{C}(3,~2,~1)$ である.
この例より, $\text{C}(3,~2,~1)=60$ である.
同じものを含む順列$\text{C}(n_1,n_2,\cdots,n_m)$の計算
今みた例と同じように,一般の $\text{C}(n_1,~n_2,~\cdots,~n_m)$ も,以下のように考えることができる.
まず,カードを並べるための場所を先にn個用意しておく.
$n_1$ 個の同種のものの入れる場所の選び方は $_{n}\mathrm{C}_{n_1}$ 通りあり,またそのそれぞれに対して $n_2$ 個の同種のものの入れる場所の選び方は $_{n-n_1}\mathrm{C}_{n_2}$ 通りあり,またそのそれぞれに対して $n_3$ 個の同種のものの入れる場所の選び方は $_{n-n_1-n_2}\mathrm{C}_{n_3}$ 通りあり, $\cdots$ ,またそのそれぞれに対して $n_m$ 個の同種のものの入れる場所の選び方は $_{n-n_1-n_2-…-n_{m-1}}\mathrm{C}_{n_m}$ 通りある.
以上から,同じものを含む $n$ 個の順列は,積の法則から
\begin{align} &\ \text{C}(n_1,~n_2,~\cdots,~n_m)\\ =&\ _{n}\mathrm{C}_{n_1}\times\ _{n-n_1}\mathrm{C}_{n_2}\times\ _{n-n_1-n_2}\mathrm{C}_{n_3}\\ &\qquad\qquad\times\cdots\times\ _{n-n_1-n_2-\cdots-n_{m-1}}\mathrm{C}_{n_m} \end{align}となる.
まとめると
同じものを含む順列 $\text{C}(n_1,n_2,…,n_m)$ の計算
第 $i$ 種 $(1\leqq{i}\leqq{m})$ のものが $n_i$ 個ずつ全部で $n_1+n_2+\cdots+n_m=n$ 個あり,同種のものは区別しないときの 同じものを含む順列の総数 $\text{C}(n_1,n_2,\cdots,n_m)$ は
\begin{align} &\ \text{C}(n_1,~n_2,~\cdots,~n_m)\\ =&\ _{n}\mathrm{C}_{n_1}\times\ _{n-n_1}\mathrm{C}_{n_2}\times\\ &\qquad\cdots\times\ _{n-n_1-\cdots{n}_{m-1}}\mathrm{C}_{n_m}\tag{1}\label{Cnokeisan1}\\ =&\ \frac{n!}{(n-n_1)!n_1!}\\ &\times\frac{(n-n_1)!}{(n-n_1-n_2)!n_2!}\times\\ &\cdots\times\frac{(n-n_1-\cdots-n_{m-1})!}{0!n_m!}\\ =&\ \frac{n!}{n_1!n_2!n_3!\cdots n_m!}\tag{2}\label{Cnokeisan2} \end{align}と計算できる.
例えば, $a$ が3個, $b$ が2個, $c$ が1個の計6個の順列の総数は $\eqref{Cnokeisan1}$ を用いて
\begin{align} \text{C}(3,2,1)=&\ _{6}\mathrm{C}\ _{3}\times\ _{6-3}\mathrm{C}_{2}\times\ _{6-3-2}\mathrm{C}_{1}\\ =&\ _{6}\mathrm{C}_{3}\times\ _{3}\mathrm{C}_{2}\times\ _{1}\mathrm{C}_{1}=60 \end{align}または, $\eqref{Cnokeisan2}$ を用いて
\begin{align} \text{C}(3,~2,~1) =&\frac{6!}{3!2!1!}=60 \end{align}と計算できる.
上の $\eqref{Cnokeisan2}$ , $\text{C}(n_1,~n_2,~\cdots,~n_m)=\dfrac{n!}{n_1!n_2!n_3!\cdots n_m!}$ は,ただ計算の上でいえるだけでなく
「 $n$ 個のものすべてを区別した $n!$ 通りの順列のうち,同種の $n_1,n_2,\cdots,n_m$ 個 の並び替えについては同一視するため, $n_1!n_2!\cdots n_m!$ 通りで一まとめにして数えたもの」
と考えることもできる.
同じものを含む順列
- $1,1,1,2,2,3,3$ の7つの数字を一列に並び替えるとき,何通りの並べ方があるか.
- SUUGAKUAを並び替えるとき,何通りの並べ方があるか.
- 1を3つ,2を2つ,3を2つ含むから \begin{align} \text{C}(3,~2,~2)=&\ _{7}\mathrm{C}_{3}\times\ _{7-3}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{7-3-2}\mathrm{C}_{2}\\ =&\ _{7}\mathrm{C}_{3}\times\ _{4}\mathrm{C}_{2}\times\ _{2}\mathrm{C}_{2}=\boldsymbol{210} \end{align}
- Uを3つ,Aを2つ,S,G,Kをそれぞれ1つ含むから \begin{align} &\ \text{C}(3,~2,~1,~1,~1)\\ =&\ _{8}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{8-3}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{8-3-2}\mathrm{C}_{1}\\ &\qquad\cdot\ _{8-3-2-1}\mathrm{C}_{1}\cdot\ _{8-3-2-1-1}\mathrm{C}_{1}\\ =&\ _{8}\mathrm{C}_{3}\times\ _{5}\mathrm{C}_{2}\times\ _{3}\mathrm{C}_{1}\times\ _{2}\mathrm{C}_{1}\times\ _{1}\mathrm{C}_{1}\\ =&\ \boldsymbol{3360} \end{align}
∴210通り
《別解》
$\text{C}(3,~2,~2)=\dfrac{7!}{3! 2! 2!}=\boldsymbol{210}$ 通り
∴3360通り
《別解》
\begin{align} \text{C}(3,~2,~1,~1,~1)=&\ \frac{8!}{3! 2! 1! 1! 1!}\\ =&\ \boldsymbol{3360}通り \end{align}$_{n}\text{C}_{r}$の性質
$_{n}\text{C}_{r}$の性質
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ について次の式が成り立つ.
$_{n}\mathrm{C}_{r}$ の性質
- $_{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n}\mathrm{C}_{n-r}$
- $_{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n-1}\mathrm{C}_{r}+\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1}$
- $r_{n}\mathrm{C}_{r}=n\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1}$
(選ばれるもの・選ばれないもの)
(特定のものについての場合分け)
(リーダーの公式)
暗記$_{n}\mathrm{C}_{r}$ の性質の証明
上の i. ~ iii. が成り立つことを,
- 計算式を用いた方法
- 組合せの意味を考えた説明
でそれぞれ証明せよ.
- $_{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n}\mathrm{C}_{n−r}$
- ~計算式を用いた方法~ \begin{align} &\ _{n}\mathrm{C}_{r}\\ =&\ \frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}\\ =&\ \frac{n!}{(n-r)!r!}\\ =&\ \frac{1}{(n-r)!}\cdot\frac{n!}{r!}\\ =&\ \frac{1}{(n-r)!}\cdot\frac{n!}{\left\{n-(n-r)\right\}!}\\ =&\ \frac{1}{(n-r)!}\cdot\ _{n}\mathrm{P}_{n-r}\\ =&\ \frac{_{n}\mathrm{P}_{n-r}}{(n-r)!}\\ =&\ _{n}\mathrm{C}_{n-r} \end{align}
- ~組合せの意味を考えた説明~
- $_{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n−1}\mathrm{C}_{r}+\ _{n−1}\mathrm{C}_{r−1}$
- ~計算式を用いた方法~ \begin{align} &\ _{n-1}\mathrm{C}_{r}+\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\\ =&\frac{_{n-1}\mathrm{P}_{r}}{r!}+\frac{_{n-1}\mathrm{P}_{r-1}}{(r-1)!}\\ =&\frac{(n-1)!}{\left\{(n-1)-r\right\}!r!}\!\\ &\qquad+\!\frac{(n-1)!}{\left\{(n-1)-(r-1)\right\}!(r-1)!}\\ =&\frac{(n-1)!}{(n-r-1)!r!}+\frac{(n-1)!}{(n-r)!(r-1)!}\\ =&\frac{(n-1)!}{(n-r-1)!(r-1)!}\left\{\frac{1}{r}+\frac{1}{n-r}\right\}\\ =&\frac{(n-1)!}{(n-r-1)!(r-1)!}\cdot\frac{n}{r(n-r)}\\ =&\frac{n!}{(n-r)!r!}\\ =&\frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}\\ =&_{n}\mathrm{C}_{r} \end{align}
- ~組合せの意味を考えた説明~
- ある特定の1個を含まないで $r$ 個選ぶ
- ある特定の1個を含んで $r$ 個選ぶ
- $r\ _{n}\mathrm{C}_{r}=n\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1}$
- ~計算式を用いた方法~ \begin{align} &\ r\ _{n}\mathrm{C}_{r}\\ =&\ r\times\frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}\\ =&\ r\times\frac{n!}{(n-r)!r!}\\ =&\ \frac{n!}{(n-r)!(r-1)!}\\ =&\ n\times\frac{(n-1)!}{\left\{n-1-(r-1)\right\}!(r-1)!}\\ =&\ n\times\frac{_{n-1}\mathrm{P}_{r-1}}{(r-1)!}\\ =&\ n\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1} \end{align}
- ~組合せの意味を考えた説明~
$\uparrow$ 組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の計算,順列 $_{n}\mathrm{P}_{r}$ の計算参照
異なる $n$ 個の中から $r$ 個選ぶ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ 通りそれぞれは, $n$ 個のものから選ばずに残す $(n−r)$ 個のものを選ぶ $_{n}\mathrm{C}_{n−r}$ 通りと 一対一に対応する.つまり, $r$ 個選ぶとは,選ばない $n−r$ を「選ぶ」ことと等しい. よって
\begin{align} _{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n}\mathrm{C}_{n-r} \end{align}が成り立つ.
$\uparrow$ 組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の計算,順列 $_{n}\mathrm{P}_{r}$ の計算参照
異なるn個のものの中からr個選ぶ方法は,次の2つの場合に分けることができる.
$\uparrow\ _{n−1}\mathrm{C}_{r}$ 通り
$\uparrow\ _{n−1}\mathrm{C}_{r−1}$ 通り
この2つは同時に起こることはないので
\begin{align} _{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n-1}\mathrm{C}_{r}+\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1} \end{align}$\uparrow$ 和の法則
が成り立つ.
$\uparrow$ 組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の計算,順列 $_{n}\mathrm{P}_{r}$ の計算参照
$n$ 人の中から $r$ 人の班をつくり班長を決める場合の数について考える. $n$ 人の中から班員 $r$ 人選び,その $r$ 人の中からリーダーを1人決める方法には $_{n}\mathrm{C}_{r}\times{r}$ 通りある. また別の方法として, $n$ 人の中から先にリーダーを決めておき,残りの班員 $r−1$ 人を選ぶ方法には $n\ _{n−1}\mathrm{C}_{r−1}$ 通りある. よって
\begin{align} r_{n}\mathrm{C}_{r}=n\ _{n-1}\mathrm{C}_{r-1} \end{align}が成り立つ.
最短経路
説明文
図のように,東西に走る道路と南北に走る道路があるとする.南西の角にあるA地点から,北東の角にあるB地点に至る
最短経路について以下の問に答えよ.
- 最短経路は全部で何通りあるか求めよ.
- C地点を通る最短経路は何通りあるか.また,D地点を通る最短経路は何通りあるか,それぞれ求めよ.
- C地点またはD地点を通る最短経路は何通りあるか求めよ.
北に1区画進むことを↑,東に1区画進むことを→で表すと,例えば図のように進む場合には
$\uparrow\rightarrow\rightarrow\rightarrow\uparrow\uparrow\rightarrow\uparrow\uparrow\rightarrow\rightarrow$
と表すことができる.
- 北に1区画進むことを $\uparrow$ ,東に1区画進むことを $\rightarrow$ で表すと,A地点からB地点への最短経路は,5個の $\uparrow$ と6個の $\rightarrow$ ($\uparrow\uparrow\uparrow\uparrow\uparrow\rightarrow\rightarrow\rightarrow\rightarrow\rightarrow\rightarrow$ ) を一列に並べる順列の総数に等しい.
- (C地点を通る最短経路)
- (D地点を通る最短経路)
- 集合C,Dをそれぞれ
よって,求める最短経路の数は
$\dfrac{11!}{5!6!}=\boldsymbol{462}$ 通り
$\uparrow$ 同じ物を含む順列 $\text{C}(n_1,n_2,\cdots,n_m)$ の計算
となる.
まず,A地点からC地点までの最短経路の数は
$\dfrac{4!}{2!2!}=6$ 通り
であり,この6通りそれぞれに対し,C地点からB地点までの最短経路
$\dfrac{7!}{3!4!}=35$ 通り
が決まるから,積の法則より
$6\times35=\boldsymbol{210}$ 通り
同様にして
$\dfrac{7!}{4!3!}\times\dfrac{4!}{1!3!}=35\times4=\boldsymbol{140}$ 通り
$C$ :C地点を通る最短経路
$D$ :D地点を通る最短経路
とおくと, $n(C\cap D)$ ,つまりC,D両地点を通る最短経路の数は
\begin{align} n(C\cap D)=&\ \frac{4!}{2!2!}\times\frac{3!}{2!1!}\times\frac{4!}{1!3!}\\ =&\ 6\times3\times4=72 \end{align}であるから, $n(C\cup D)$ ,つまり求める最短経路の数は
\begin{align} n(C\cup D)&=n(C)+n(D)-n(C\cap D)\\ &=210+140-72=\boldsymbol{278} \end{align}∴278通り
$\uparrow$ 包含と排除の原理 (2集合版)
2項定理
$(a+b)^n$を展開するということ
$(a+b)^2$ を展開すると
\begin{align} (a+b)^2=a^2+2ab+b^2 \end{align}また, $(a+b)^3$ を展開すると
\begin{align} (a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3 \end{align}である.
ここでは,自然数 $n$ について, $(a+b)^n$ を展開した式を組合せを使って求める方法について考えてみよう. 以下では例として, $(a+b)^5$ の展開についてみていこう.
$(a+b)^5$ とは,5つの $(a+b)$ の積
のことである.この展開式は,5つの $(a+b)$ のそれぞれから, $a$ か $b$ のどちらかをとって,掛け合わせたものの和になる.
$a^4b$の係数はいくつになるのか
5つの $(a+b)$ のうち,1つから $b$ を選び,残りの4つから $a$ をとって掛け合わせると, $a^4b$ が作られる.
図は,①から $b$ をとった場合のイメージである.
ここで, $a^4b$ が作られる場合の数は,上の①から⑤の1ヶ所から $b$ を選べばよいので,組合せの考えを使って $_{5}\mathrm{C}_{1}$ と数えることができる.
つまり, $(a+b)^5$ の展開式における $a^4b$ の係数は $_{5}\mathrm{C}_{1}=5$ である.
$a^3b^2$の係数はいくつになるのか
5つの $(a+b)$ のうち,2つから $b$ を選び,残りの3つから $a$ をとって掛け合わせると, $a^3b^2$ が作られる.
図は,②と⑤から $b$ をとった場合のイメージである.
ここで, $a^3b^2$ が作られる場合の数は,上の①から⑤の2ヶ所から $b$ を選べばよいので,組合せの考えを使って $_{5}\mathrm{C}_{2}$ と数えることができる.
つまり, $(a+b)^5$ の展開式における $a^3b^2$ の係数は $_{5}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{5\cdot4}{2\cdot1}=10$ である.
$(a+b)^5$の展開式
以上の例から, $(a+b)^5$ の展開式における各項の係数は,それぞれ次のようになるのがわかる.
$a^5$ の係数は5つの $(a+b)$ のうち0ヶ所から $b$ を選ぶと考えて $_{5}\mathrm{C}_{0}$
$a^4b$ の係数は5つの $(a+b)$ のうち1ヶ所から $b$ を選ぶと考えて $_{5}\mathrm{C}_{1}$
$a^3b^2$ の係数は5つの $(a+b)$ のうち2ヶ所から $b$ を選ぶと考えて $_{5}\mathrm{C}_{2}$
$a^2b^3$ の係数は5つの $(a+b)$ のうち3ヶ所から $b$ を選ぶと考えて $_{5}\mathrm{C}_{3}$
$ab^4$ の係数は5つの $(a+b)$ のうち4ヶ所から $b$ を選ぶと考えて $_{5}\mathrm{C}_{4}$
$b^5$ の係数は5つの $(a+b)$ のうち5ヶ所から $b$ を選ぶと考えて $_{5}\mathrm{C}_{5}$
つまり
\begin{align} (a+b)^5&=\ _{5}\mathrm{C}_{0}a^5+\ _{5}\mathrm{C}_{1}a^4b+\ _{5}\mathrm{C}_{2}a^3b^2\\ &\qquad+\ _{5}\mathrm{C}_{3}a^2b^3+\ _{5}\mathrm{C}_{4}ab^4+\ _{5}\mathrm{C}_{5}b^5 \end{align}となる.
$(a+b)^n$の展開式(2項定理)
一般に, $(a+b)^n$ の展開式における $a^{n−r}b^r$ の係数は, $n$ 個の $(a+b)$ のうち, $r$ 個から $b$ を,残りの $n−r$ 個から $a$ を取り出す方法の総数 $_{n}\mathrm{C}_{r}$ となる.このことから,次の式(2項定理(binomial theorem))が成り立つことがわかる.
2項定理
$n$ を自然数とするとき, $(a+b)^n$ は
\begin{align} (a+b)^n&=\ _{n}\mathrm{C}_{0}a^n+\ _{n}\mathrm{C}_{1}a^{n-1}b+\cdots\\ &\qquad+\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+\ _{n}\mathrm{C}_{n}b^n \end{align}と展開できる.
2項定理の係数になるという意味で,組合せの総数 $_{n}\mathrm{C}_{r}$ のことを2項係数(binomial coefficient)ともいう.
例えば, $(a+2b)^4$ は2項定理を用いて
\begin{align} &(a+2b)^4\\ =&\ _{4}\mathrm{C}_{0}a^4+\ _{4}\mathrm{C}_{1}a^3(2b)+\ _{4}\mathrm{C}_{2}a^2(2b)^2\\ &\qquad+\ _{4}\mathrm{C}_{3}a(2b)^3+\ _{4}\mathrm{C}_{4}(2b)^4\\ =&\ a^4+4a^3(2b)+6a^2(2b)^2+4a(2b)^3+(2b)^4\\ =&\ a^4+8a^3b+24a^2b^2+32ab^3+16b^4 \end{align}と展開できる.
展開された式の係数
次の展開式において, $\left[\quad\right]$ 内で指定された項の係数を求めよ.
- $(2x+1)^6\qquad[x^2]$
- $(2x-3y)^5\qquad[x^3y^2]$
- $\left(x^2-\dfrac{1}{2x}\right)^7\qquad\left[\frac{1}{x}\right]$
- $\left(x-\dfrac{1}{2x^2}\right)^{12}\qquad[定数項]$
- $(2x+1)^6$ を展開したとき, $x^2$ を含む項は \begin{align} _{6}\mathrm{C}_{4}(2x)^21^4 \end{align}
- $(2x−3y)^5$ を展開したとき, $x^3y^2$ を含む項は \begin{align} _{5}\mathrm{C}_{2}(2x)^3(-3y)^2 \end{align}
- $(a+b)^7$ の展開において, $a=x^2,b=-\dfrac{1}{2x}$ としたものが $\left(x^2-\dfrac{1}{2x}\right)^7$ である. $a^2b^5$ を計算すると $\dfrac{1}{x}$ の項ができるので,このときの係数を求める. \begin{align} &_{7}\mathrm{C}_{5}a^2b^5\\ =\ &_{7}\mathrm{C}_{5}(x^2)^2\left(-\frac{1}{2x}\right)^5\\ =\ &_{7}\mathrm{C}_{5}\left(-\frac{1}{2}\right)^5\frac{1}{x}\\ =\ &-\frac{21}{32}\cdot\frac{1}{x} \end{align}
- $(a+b)^{12}$ の展開において, $a=x,b=-\dfrac{1}{2x^2}$ としたものが $\left(x-\dfrac{1}{2x^2}\right)^{12}$ である. $a^8b^4$ を計算すると定数項ができるので,このときの係数を求める.
\begin{align}
&_{12}\mathrm{C}_{4}a^8b^4\\
=\ &_{12}\mathrm{C}_{4}x^8\left(-\frac{1}{2x^2}\right)^4\\
=\ &_{12}\mathrm{C}_{4}\left(-\frac{1}{2}\right)^4\\
=\ &\frac{495}{16}
\end{align}
$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
よって,求める係数は $\boldsymbol{\dfrac{495}{16}}$ である.
$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
となる.よって, $x^2$ の係数は
\begin{align} _{6}\mathrm{C}_{4}\cdot2^2=\boldsymbol{60} \end{align}$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
となる.よって, $x^3y^2$ の係数は \begin{align} _{5}\mathrm{C}_{2}\cdot2^3\cdot(-3)^2=\boldsymbol{720} \end{align}
$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
よって,求める係数は $\boldsymbol{-\dfrac{21}{32}}$である.
2項定理の応用
次の展開式において, $[\quad]$ 内で指定された項の係数を求めよ.
- $(2x+y-z)^8\qquad[x^2y^3z^3]$
- $(x-2y-z)^5\qquad[x^2yz^2]$
- $(2x+y-z)^8=\left\{2x+(y-z)\right\}^8$ として考える.
- $(x-2y-z)^5=\left\{x+(-2y-z)\right\}^5$ として考える. これを展開したとき, $x^2$ の項は \begin{align} _{5}\mathrm{C}_{3}x^2(-2y-z)^3 \end{align}
これを展開したとき, $x^2$ の項は
\begin{align} _{8}\mathrm{C}_{6}(2x)^2(y-z)^6 \end{align}$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
として計算される.
さらに $(y−z)^6$ を展開したとき, $y^3$ の項は
\begin{align} _{6}\mathrm{C}_{3}y^3(-x)^3 \end{align}$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
として計算される.
よって, $(2x+y-z)^8$ を展開したときの $x^2y^3z^3$ の係数は
\begin{align} &_{8}\mathrm{C}_{6}\cdot\ 2^2\cdot\ _{6}\mathrm{C}_{3}\cdot(-1)^3\\ =\ &-4\cdot\ _{8}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{6}\mathrm{C}_{3}=\boldsymbol{-2240} \end{align}$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
として計算される.
さらに $(−2y−z)^3$ を展開したとき, $y$ の項は
\begin{align} _{3}\mathrm{C}_{2}(-2y)(-z)^2 \end{align}$\uparrow$ 2項定理を部分的に使った
として計算される.
よって, $(x−2y−z)^8$ を展開したときの $x^2yz^2$ の係数は
\begin{align} \ &_{5}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{3}\mathrm{C}_{2}\cdot(-2)\cdot(-1)^2\\ =\ &-2\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{3}\mathrm{C}_{1}=\boldsymbol{-60} \end{align}2項係数の和
2項定理を用いて次の等式を証明せよ.
- \begin{align} 2^n=&\ _{n}\mathrm{C}_{0}+\ _{n}\mathrm{C}_{1}+\ _{n}\mathrm{C}_{2}+\cdots\\ &\qquad+\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}+\ _{n}\mathrm{C}_{n} \end{align}
- \begin{align} 0=&\ _{n}\mathrm{C}_{0}-\ _{n}\mathrm{C}_{1}+\ _{n}\mathrm{C}_{2}-\cdots\\ &\qquad+(-1)^{n-1}\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}+(-1)^n\ _{n}\mathrm{C}_{n} \end{align}
- \begin{align} (-1)^n=&\ _{n}\mathrm{C}_{0}-2\ _{n}\mathrm{C}_{1}+2^2\ _{n}\mathrm{C}_{2}-\cdots\\ &+(-2)^{n-1}\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}+(-2)^n\ _{n}\mathrm{C}_{n} \end{align}
2項定理
\begin{align} &\ (a+b)^n\\ =&\ _{n}\mathrm{C}_{0}a^n+\ _{n}\mathrm{C}_{1}a^{n-1}b+\ _{n}\mathrm{C}_{2}a^{n-2}b^2+\cdots\\ &\qquad+\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+\ _{n}\mathrm{C}_{n}b^n \end{align}において
- $a=b=1$ とおくと \begin{align} 2^n=&\ _{n}\mathrm{C}_{0}+\ _{n}\mathrm{C}_{1}+\ _{n}\mathrm{C}_{2}+\cdots\\ &\qquad+\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}+\ _{n}\mathrm{C}_{n} \end{align}
- $a=1,b=−1$ とおくと \begin{align} 0=&\ _{n}\mathrm{C}_{0}-\ _{n}\mathrm{C}_{1}+\ _{n}\mathrm{C}_{2}-\cdots\\ &+(-1)^{n-1}\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}+(-1)^n\ _{n}\mathrm{C}_{n} \end{align}
- $a=1,b=−2$ とおくと \begin{align} &\ (-1)^n\\ =&\ _{n}\mathrm{C}_{0}-2\ _{n}\mathrm{C}_{1}+2^2\ _{n}\mathrm{C}_{2}-\cdots\\ &\qquad+(-2)^{n-1}\ _{n}\mathrm{C}_{n-1}+(-2)^n\ _{n}\mathrm{C}_{n} \end{align}
となり,確かに成立する.
となり,確かに成立する.
となり,確かに成立する.
パスカルの三角形
図のように,2項係数 $_{n}\mathrm{C}_{0},\ _{n}\mathrm{C}_{1},\ _{n}\mathrm{C}_{2},\cdots,\ _{n}\mathrm{C}_{n}$ の値を,上から順に $n=1,2,3,\cdots$ の場合について三角形の形に並べたものを,パスカルの三角形(Pascal's triangle)という.
パスカルの三角形には,次のような特徴がある.
- $_{n}\mathrm{C}_{0}=\ _{n}\mathrm{C}_{n}=1$ であるから,各行の左右両端の数字は1である.
- $_{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n}\mathrm{C}_{n−r}$ であるから,各行は左右対称である.
- $_{n}\mathrm{C}_{r}=\ _{n−1}\mathrm{C}_{r-1}+\ _{n−1}\mathrm{C}_{r}$ であるから $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の性質,左右両端以外の数字は,その左上の数と右上の数を足したものとなる.
パスカルの三角形
パスカルの三角形を利用して,次の展開式を求めよ.
- $(x+y)^6$
- $(x−2y)^5$
- パスカルの三角形を $n=6$ の場合まで書くと,図のようになるので \begin{align} &\ (x+y)^6\\ =&\ \boldsymbol{x^6+6x^5y+15x^4y^2+20x^3y^3}\\ &\ \qquad\qquad\boldsymbol{+15x^2y^4+6xy^5+y^6} \end{align}
- パスカルの三角形を $n=5$ の場合まで書くと,図のようになるので \begin{align} &\ (x-2y)^5\\ =&\ x^5+5x^4(-2y)+10x^3(-2y)^2\\ &\ +10x^2(-2y)^3+5x(-2y)^4+(-2y)^5\\ =&\ \boldsymbol{x^5-10x^4y+40x^3y^2}\\ &\ \boldsymbol{-80x^2y^3+80xy^4-32y^5} \end{align}