ドミノ倒し

数学的帰納法を理解するために,ドミノ倒しの例を考える.

ドミノ倒しという遊びがある.ドミノを床に立ち並べ,並べ終えたら最初の1枚を倒す.すると,その勢いで後に続くドミノが次々と倒れていき,最終的には全てのドミノを倒すことができる.逆に,ドミノがうまく倒れず途中で止まってしまうこともある.

ドミノ倒しを成功させる要領はなんだろうか.それは

  1. 最初の1 枚をしっかりと立てる
  2. 2枚目以降のドミノを,直前の1枚が倒れた勢いで倒れるように立てる

ことである.この2点さえ確実に守れば,ドミノ倒しの規模をどんどん大きくすることができる.1個,2個,3個, $\cdots$ とドミノの数を増やしていけば,理論的には無限個のドミノ倒し(もちろん現実には不可能だが)も成功するはずである.

これから学ぶ数学的帰納法では,このドミノ倒しと同じ要領で数学の証明をおこなう.

すなわち,数学的帰納法は

  1. まず出発点となる命題を証明する
  2. 直前の命題が正しければ次の命題も正しいことを証明する

ことで,全ての場合において正しさを証明しまおう,という手法である.

以下では,数式の例を用いて数学的帰納法を説明していく.