有名角以外の三角比
30∘、45∘、60∘といった有名角を含む三角形を利用することで、有名角以外の角の三角比を求められる場合がある。ここでは、15∘、75∘、105∘、165∘の三角比を考えてみよう。
15∘、75∘、105∘、165∘の三角比
15∘、75∘、90∘の三角形を考える
15∘ に関する三角比を考えるため、まず図のような直角三角形 ABC の AC、AB の長さを求めよう。
15∘、75∘、90∘ の三角形

ここで、辺 AB 上に点 D を ∠CDB=30∘ となるようにとると、∠DCB=60∘ であるから、∠DCA=75∘−60∘=15∘ である。このとき、∠DCA=∠DAC=15∘ となるから、△DCA は二等辺三角形とわかる。
△BCD において、BC=1 から DB=√3, DC=2 となり、また △DCA は二等辺三角形だったから AD=DC=2 となる。以上より、AB=2+√3 とわかった。
さらに、直角三角形 ABC に三平方の定理を用いて AC=√AB2+BC2=√(2+√3)2+12=√7+4√3+1=√8+4√3 ここで、√8+4√3 の2重根号をはずすと(2重根号参照) √8+4√3=√8+2√12=√(√6+√2)2=√6+√2 より、AC=√6+√2 となる。
15∘の三角比とその周辺
以上から直角三角形 ABC の3辺の長さは、図のようになる。
15∘、75∘、90∘ の三角形

これより、15∘ の三角比は以下のように求められる。 sin15∘=CBAC=1√6+√2=√6−√2(√6+√2)(√6−√2)=√6−√24cos15∘=ABCA=2+√3√6+√2=(2+√3)(√6−√2)(√6+√2)(√6−√2)=2√6−2√2+3√2−√66−2=√6+√24tan15∘=BCAB=12+√3=2−√3(2+√3)(2−√3)=2−√3
15∘ とその周辺の三角比
sin15∘=√6−√24、cos15∘=√6+√24、tan15∘=2−√3 を利用して、次の三角比を求めよ。
- sin75∘、cos75∘、tan75∘
- sin105∘、cos105∘、tan105∘
- sin165∘、cos165∘、tan165∘
- 75∘=90∘−15∘ であるから、90∘−A の三角比より次のように求めることができる。
sin75∘=sin(90∘−15∘)=cos15∘=√6+√24cos75∘=cos(90∘−15∘)=sin15∘=√6−√24tan75∘=tan(90∘−15∘)=1tan15∘=2+√3
- 105∘=90∘+15∘ であるから、90∘+θ の三角比より次のように求めることができる。
sin105∘=sin(90∘+15∘)=cos15∘=√6+√24cos105∘=cos(90∘+15∘)=−sin15∘=−√6−√24tan105∘=tan(90∘+15∘)=−1tan15∘=−2−√3
- 165∘=180∘−15∘ であるから、180∘−θ の三角比より次のように求めることができる。
sin165∘=sin(180∘−15∘)=sin15∘=√6−√24cos165∘=cos(180∘−15∘)=−cos15∘=−√6+√24tan165∘=tan(180∘−15∘)=−tan15∘=−2+√3
15∘ とその周辺の三角比
次の図のような A=15∘ の直角三角形 ABC において、∠DCB=60∘ となるように点 D をとることにより、各辺の比がわかるので、以下のような三角比の値が求められる。

吹き出し15∘ の三角比とその周辺
例題でみたように、これらはすべて 15∘ を基準とした 15∘, 90∘±15∘, 180∘−15∘ の三角比なので、15∘ の三角比から他の角度の三角比は簡単に導ける。15∘ の三角比の値は覚えなくてもよいが、15∘ を含む直角三角形から導けるようにしておこう。
これらの角以外にも、18∘、36∘、72∘、144∘ などの角も、特殊な三角形を考えることによって三角比を 求めることができる。これらについては 36∘、72∘ などの三角比を参照のこと。