組合せについて
組合せ$_{n}\text{C}_{r}$の定義
4枚のカード $\fbox{A}$ , $\fbox{B}$ , $\fbox{C}$ , $\fbox{D}$ から 2枚のカードの(順序は考えずに)組をつくる場合の数は,すべて書き出すと
\begin{align} &\left\{\fbox{A},\fbox{B}\right\},\left\{\fbox{A},\fbox{C}\right\},\left\{\fbox{A},\fbox{D}\right\}\\ &,\left\{\fbox{B},\fbox{C}\right\},\left\{\fbox{B},\fbox{D}\right\},\left\{\fbox{C},\fbox{D}\right\} \end{align}の6通りとなる.これは,順列の考え方を利用し,次のように計算することもできる.
まず,4枚のカードから2枚引いて順列を作ると,樹形図は図のようになり,その総数は $_{4}\mathrm{P}_{2}=4\times3=12$ 通りである.
しかし,2枚のカードの組を作る場合には,図の樹形図で例えば①,②は並ぶ順が異なるだけなので,これらは2つで1通りと数えなければならない. これら以外の順列にも同様のことがいえるので, 2枚のカードの組の総数は,順列の総数 $_{4}\mathrm{P}_{2}$ を2で割ることにより
\begin{align} \dfrac{_{4}\mathrm{P}_{2}}{2}=\dfrac{12}{2}=6 \end{align}∴6通り
として計算できる.
このようにいくつかの組をつくる場合の数を定義しておこう.
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の定義
「区別する $n$ 個のものから $r$ 個取り出して作った組」のことを $\boldsymbol{n-r}$ 組合せ(combination)
といい, その組の総数を $\boldsymbol{{n}\mathrm{C}{r}}$ と表す.
この例では, $_{4}\mathrm{C}_{2}=\frac{4\times3}{2}=6$ である.
組合せ$_{n}\text{C}_{r}$の計算
区別する $n$ 個のものから $r$ 個取り出して作る組の総数 $_{n}\mathrm{C}_{r}$ も,先程の例と同じように考えることができる.
まず, $n$ 枚のカードから $r$ 枚引いて順列を作ると,その総数は $_{n}\mathrm{P}_{r}$ 通りある.
順列ではなく, $r$ 枚のカードの組を作る場合には, $n-r$ 順列のうち $r!$ 通りについては同一視することになるので, 順列の総数 $_{n}\mathrm{P}_{r}$ を $r!$ で割ることにより
\begin{align} _{n}\mathrm{C}_{r}=\frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}=&\ \frac{\overbrace{n(n-1)\cdots(n-r+1)}^{r個の積}}{r(r-1)\cdot2\cdot1}\\ =&\ \frac{n!}{(n-r)!r!} \end{align}以上,まとめると
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ の計算
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ は
\begin{align} _{n}\mathrm{C}_{r}=\frac{_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!}=&\ \frac{n(n-1)\cdots(n-r+1)}{r(r-1)\cdot2\cdot1}\\ =&\ \frac{n!}{(n-r)!r!} \end{align}と計算できる.
吹き出し無題
よくあるまちがいとして, $_{n}\mathrm{C}_{0}=0$ としてしまうというのがある. 上の式によれば, $_{n}\mathrm{C}_{0}=\frac{n!}{(n-0)!0!}=1$ である. このことは, $_{n}\mathrm{C}_{0}$ すなわち「区別する $n$ 個のものから0個選ぶ場合の数」は, 「1個も選ばない」という1通りである,と
こじつけ
で覚えてしまうとよい.
組合せの計算練習
次の値を求めよ.
- $_{5}\mathrm{C}_{2}$
- $_{4}\mathrm{C}_{4}$
- $_{10}\mathrm{C}_{3}$
- $_{20}\mathrm{C}_{2}$
$_{5}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}=\boldsymbol{10}$
$_{4}\mathrm{C}_{4}=\dfrac{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{1}$
$_{10}\mathrm{C}_{3}=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8}{3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{120}$
$_{20}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{20\cdot 19}{2\cdot 1}=\boldsymbol{190}$
組合せ〜その1〜
男子が5人,女子が5人いる中で,4人を選ぶ場合の数について以下の問に答えよ.
- 男女関係無く選ぶときの場合の数は何通りか.
- 男子から2人,女子から2人選ぶときの場合の数は何通りか.
- 男子から3人,女子から1人選ぶときの場合の数は何通りか.
- $_{10}\mathrm{C}_{4}=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8\cdot 7}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}=\boldsymbol{210}$ 通り
- 男子2人の組合せそれぞれに対して,女子2人の組合せが決められるので
- 男子3人の組合せそれぞれに対して,女子1人の組合せが決められるので
$_{5}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{2}=\dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}\cdot \dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}=\boldsymbol{100}$ 通り
$_{5}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{1}=\dfrac{5\cdot 4\cdot 3}{3\cdot 2\cdot 1}\cdot \dfrac{5}{1}=\boldsymbol{50}$ 通り
組合せ〜その2〜
説明文
- 図のように,横に4本,縦に7本の直行する平行線が引かれている. この中に長方形はいくつあるか求めよ.
- 正十角形の対角線の本数を求めよ.
- 横4本の平行線のうちから2本,縦7本の平行線のうちから2本をそれぞれ選べば,1個の長方形が定まる.
- 10個の頂点のうち2個を選べば,1本の対角線または辺が定まる.辺の数は10本であるから,これを除いて
よって
$_{4}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{7}\mathrm{C}_{2}=\boldsymbol{126}$ 本
$_{10}\mathrm{C}_{2}-10=45-10=\boldsymbol{35}$ 本
組み分け
10人を次のように分ける方法は何通りあるか.
- 7人,3人に分ける.
- 5人,5人に分ける.
- 4人,3人,3人に分ける.
- 2人,2人,2人,2人,2人に分ける.
- 10人から3人を選びグループとし,残った7人をもうひとつのグループにすればよい.よって
- 10人から5人を選びグループとし,残った5人をもうひとつのグループにすればよい.
- 最初に4人選びグループとし,残った6人から3,3人のグループをつくればよい. ただし,3人のグループが2つあるので,2. と同じように重複した分は修正する必要がある. \begin{align} &\ \frac{_{10}\mathrm{C}_{4}\cdot\ _{6}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{3}\mathrm{C}_{3}}{2}\\ =&\ \frac{10\cdot 9\cdot 8\cdot 7}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}\cdot \frac{6\cdot 5\cdot 4}{3\cdot 2\cdot 1}\cdot \frac{1}{2}\\ =&\ \boldsymbol{2100} \end{align}
- 2人ずつ選んでいって,重複を修正すると \begin{align} &\ \frac{_{10}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{8}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{6}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{4}\mathrm{C}_{2}\cdot\ _{2}\mathrm{C}_{2}}{5!}\\ =&\ \frac{10\cdot 9}{2\cdot 1}\cdot \frac{8\cdot 7}{2\cdot 1}\cdot \frac{6\cdot 5}{2\cdot 1}\\ &\qquad\cdot \frac{4\cdot 3}{2\cdot 1}\cdot \frac{1}{5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}\\ =&\ \boldsymbol{945} \end{align}
$_{10}\mathrm{C}_{3}\cdot\ _{7}\mathrm{C}_{7}=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8}{3\cdot 2\cdot 1}\cdot1=\boldsymbol{120}$ 通り
しかし,10人を $a,b,c,d,e,f,g,h,i,j$ とすると,例えばはじめに $a,b,c,d,e$ の5人を 選んだ場合と,はじめに $f,g,h,i,j$ を選んだ場合では,どちらも
\begin{align} (a,b,c,d,e)(f,g,h,i,j) \end{align}という2つのグループに分かれるという点では同じである.つまり,これらは2つで1通りと数えなければならない.
他の選び方でも同様のことがいえるので,2で割ることにより重複の分を修正して
\begin{align} \dfrac{_{10}\mathrm{C}_{5}\cdot\ _{5}\mathrm{C}_{5}}{2} &=\dfrac{10\cdot 9\cdot 8\cdot 7\cdot 6}{5\cdot 4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}\cdot1\cdot\dfrac{1}{2}\\ &=\boldsymbol{126}通り \end{align}∴2100通り
∴945通り
ボールと箱のモデル4
説明文
$_{5}\mathrm{C}_{3}$ の定義は
「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」
であったが,これはボールと箱のモデルを使って
「区別しない3個のボールを,区別する5個の箱に多くても1個配る場合の数」
といいかえることができる.これは,次のように説明できる.
準備として,3つのボールは区別しないでそれを $\bigcirc{}$ , $\bigcirc{}$ , $\bigcirc{}$ とし, 箱は区別するので番号をつけ,それをとしておく.
3つの区別しないボールを,5つの区別する箱に高々1個配る場合の総数は,結局5つの箱からボールを入れるための箱を3つ選ぶ 選び方と等しくなり,これは「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」と考えることができるので $_{5}\mathrm{C}_{3}=\frac{5\cdot4\cdot3}{3\cdot2\cdot1}=10$ 通りとなる.
一般に,次のようにまとめることができる.
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ のボールと箱のモデル
組合せ $_{n}\mathrm{C}_{r}$ はボールと箱のモデルを用いて
「区別しない $r$ 個のボールを,区別する $n$ 個の箱に高々1個配る場合の総数」
と考えることができる.