線形2項間漸化式の解法

線形2項間漸化式

次の問題について考えてみよう.

線形2項間漸化式~その1~

$a_1=1,a_{n+1}=3a_n+2\quad(n\geqq1)$ で定まる数列 $\{a_n\}$ の一般項 $a_n$ を $n$ の式で表せ.

まず,上の式の $n$ に $n=1,2,3,4,5,6,\cdots,n$ を代入し,具体的に数列を書き並べてみると

\begin{array}{rc} n:&1&2&3&4&5&6&\cdots&n\\ \{a_n\}:&1&5&17&53&161&485&\cdots&\boxed{?} \end{array}

となるが,数列 $\{a_n\}$ は等差数列でも等比数列でもないので, $\boxed{?}$ の部分はすぐにはわからない.

等比数列の漸化式に帰着させる(3項間)

(無題) (無題)

漸化式

\[a_{n+1}=3a_n+2\tag{1}\label{touhisuretunikityaku1}\]

において注目すべきは $a_n$ の係数(=3)である.具体的に数列を書き並べていくと,数列 $\{a_n\}$ は約3倍ずつ増えていっていることがわかるだろう.

しかしさきほど述べたように,純粋に3倍されているわけではないので等比数列ではない.原因は漸化式 $\eqref{touhisuretunikityaku1}$ で定数(=2)が加えられているためである.そこで,この定数をうまく消去して,最終的に等比数列の性質から一般項を求める方針で考えてみよう.

定数(=2)を消去するために, $a_{n+1}$ と $a_n$ を $x$ に置きなおした等式を考える.

\[x=3x+2\tag{2}\label{touhisuretunikityaku2}\]

$\eqref{touhisuretunikityaku1}$ と $\eqref{touhisuretunikityaku2}$ の式を並べて引き算する.

\begin{array}{c} &a_{n+1}&=&3a_n&+&2\\ -)&x&=&3x&+&2\\\hline &a_{n+1}-x&=&3(a_n-x) \end{array}

これで定数部分を消去することができた.

また, $a_n-x=b_n$ と置きなおすと, $b_{n+1}=3b_n$ となることからもわかるように,等比数列の漸化式に帰着することができた.

線形2項間漸化式の解法

線形2項間漸化式~その2~

$a_1=1,a_{n+1}=4a_n+6\quad(n\geqq1)$ で定まる数列 $\{a_n\}$ の一般項 $a_n$ を $n$ の式で表せ.

漸化式

\[a_{n+1}=4a_n+6\]

から,式

\[x=4x+6\tag{1}\label{senkei2koukanzenkasikinokaihou1}\]

を辺々ひくと

\[a_{n+1}-x=4(a_n-x)\tag{2}\label{senkei2koukanzenkasikinokaihou2}\]

ここで, $\eqref{senkei2koukanzenkasikinokaihou1}$ を解くと

\begin{align} &x=4x+6\\ \Leftrightarrow\ &-3x=6\\ \therefore\ &x=-2 \end{align}

となるから, $\eqref{senkei2koukanzenkasikinokaihou2}$ の $x$ にこの値を代入し

\begin{align} &a_{n+1}-(-2)=3\{a_n-(-2)\}\\ &\uparrow a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)\\ \therefore\ &a_{n+1}+2=3(a_n+2)\\ \end{align}

$\blacktriangleleft$ $b_n=a_n+2$ とおくと $b_{n+1}=3b_n$ と表せ,等比数列であることがわかる

を得る.

これは,数列 $\{a_n+2\}$ が,初項 $(a_1+2)=3$ ,公比4の等比数列であることを表している.

$\blacktriangleleft$ 数列 $\{a_n+2\}$ の初項は $a_1$ ではなく, $a_1+2$ である

よって

\begin{align} &a_n+2=(a_1+2)\cdot4^{n-1}\\ \therefore\ &\boldsymbol{a_n=3\cdot4^{n-1}-2} \end{align}

$\blacktriangleleft$ 等比数列の一般項

線形2項間漸化式の解法

$\text{STEP}1$

漸化式 $a_{n+1}=pa_n+q$ から方程式 $x=px+q$ をつくる.

$\text{STEP}2$

漸化式 $a_{n+1}=pa_n+q$ から方程式 $x=px+q$ を引き

\[a_{n+1}-x=p(a_n-x)\]

を得る.

$\text{STEP}3$

方程式の解 $\alpha$ を求め, $\text{STEP}2$ で得られた漸化式に代入する.

\[a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)\]

$\text{STEP}4$

等比数列の公式を用いて,漸化式を解き, $a_n$ を求めれば完成.

\begin{align} &a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)\\ \therefore\ &a_n-\alpha=(a_1-\alpha)p^{n-1}\\ &\uparrow等比数列の一般項の公式を用いた \end{align}

よって, $a_n=(a_1-\alpha)p^{n-1}+\alpha$ となる.