数学II 第6章 微分法 — 微分係数と導関数

平均変化率

平均変化率について

平均の速度で見たように、 グラフ上の2点を通る直線の傾きは平均速度を意味していた。ここでは グラフに限ることなく、一般の関数 について、この平均速度にあたるものを考えてみよう。

関数 において、 の値が から まで変化するとき の増分 (increment of x) といい と表し の増分 (increment of y) といい と表す。

はアルファベットのDに相当するギリシア文字であり、差 (difference) の頭文字をとったものである。

また、 の増分に対する の増分の割合 のことを、 の値が から まで変化するときの 平均変化率 (average rate of change) という。

これは中学校やFTEXT 数学Iで学んだ変化の割合と同じものである

平均変化率 これは図の直線 の傾きを表す。

平均の速度 とは、 グラフにおける平均変化率のことであるといいかえられる。

微分係数と接線

微分係数の定義

瞬間の速度 で見たように、瞬間速度は平均速度 を限りなく に近づけるときの極限値、つまり として与えられた。ここでも グラフに限ることなく、一般の関数 について、この瞬間速度にあたるものを考えてみよう。

関数 において、 とすると、 からある まで変化するときの平均変化率は である。

微分係数の定義 ここで、 を限りなく に近づけることにより は限りなく に近づき、このときこの平均変化率 の値が、ある決まった値に近づくならば、その極限値を関数 における微分係数 (differential coefficient) といい、 と表す。つまり と定義する。

微分係数の定義の別法

また、 、つまり とおくと、 であるから であり、 に近づけることは に近づけることに等しいから、微分係数 と表すこともできる。

微分係数の定義 まとめると次のようになる。

定義1微分係数 §

関数 における微分係数 と定義する。 とおけば とも書ける。

微分係数の定義の別法

この2つの式は、どちらも同じことを表しているが、片方だけに固執せず、問題に応じて臨機応変に使い分けられるようになるのがよい。

問題1定義域から微分係数を求める~その1~

とするとき、次の値を求めよ。

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  1. 微分係数 の定義より よって、

    【別解】

    よって、

  2. 微分係数 の定義より よって、

    【別解】

    より 定義より なので、 で約分した

    よって、

問題2定義域から微分係数を求める~その2~

とするとき、次の値を求めよ。

解答を見る
  1. 微分係数 の定義より よって、

    【別解】

    よって、

  2. 微分係数 の定義より よって、

    【別解】

    より 定義より なので、 で約分した

    よって、

導関数

導関数とは何か

問題3 での微分係数を求める

とし、次の問いに答えよ。

  1. を求めよ。
  2. 1の結果に を代入することにより、 を求めよ。
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  1. 微分係数 の定義より よって、
  2. 1の を代入することにより また、 を代入することにより となる。

上の例題2の結果は、定義式から微分係数を求める~その1~ の1と2の答えと確かに一致する。

このように、同じ関数の微分係数は、いちいち定義式に戻り計算しなくても

における微分係数 を求めておいて、 に必要な値を代入する」

ことによって求められる。いいかたを変えれば、 を変数とみれば の関数になっているということである。変数であることをわかりやすくするため、 におきかえた を以下では使うことにする。

定理2導関数 §

関数 において、極限 が存在するとき、これを 導関数 (derived function) といい、 で表す。すなわち である。

導関数の表し方

関数 の導関数の表し方にはいくつかあり、 の他にも で表すこともある。

は、 の増分 の増分 としたとき と書けることに由来する。 は「ディーエックスぶんのディー・ワイ」ではなく「ディーワイ、ディーエックス」と読む。

たとえば、 の導関数は などと表す。

また、 の関数 から導関数 を求めることを、 について微分 (differential) するという。関数を微分した結果を示すのに と書くこともある。

問題4導関数を求める

次の関数の導関数 を求めよ。

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  1. 導関数 の定義より よって、 となる。
  2. 導関数 の定義より よって、 となる。
  3. 導関数 の定義より よって、 となる。
  4. 導関数 の定義より よって、 となる。

の導関数

『導関数を求める』の例題から、 がわかった。このことより、 が自然数のとき が推測できる。

問題5 の導関数

のとき、 であることを証明せよ。ただし、 は自然数とする。

※FTEXT 数学Aで学んだ『2項定理』を使う。

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2項定理より であるから つまり、 である。

また、 の導関数は となり、 であるから次のようにまとめることができる。

定理3 の導関数 §

以上の整数とする。関数 の導関数 となる。

の導関数

の肩の指数 が降りてきて、その値が一つ減る」などと覚えるとよい。

微分の計算法則

微分の計算法則について

微分の計算に関して、次のような法則が成り立つ。これらを使うと、複雑な関数の微分がより簡単にできる。

定理4微分の計算法則 §

関数 の導関数 が存在するとき

(関数の積の微分法) 4.

問題6関数を微分する

次の関数を微分せよ。

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  1. 微分すると
  2. 微分すると
  3. 微分すると
  4. 微分すると

接線・法線の方程式

微分係数 の意味は、右図の直線 の傾きである。

接線の方程式 一般に、曲線 上の2点 をとり、点 をこの曲線上で点 に近づけていくとき、直線 が点 を通るある直線 に限りなく近づくならば、この直線 を曲線 接線 (tangent) といい、この点 をこの接線の接点 (point of tangency) という。

つまり

関数 における微分係数 は、この関数のグラフ上の点 における接線の傾き

である。

FTEXT 数学Iでも学んだように、傾きが で点 を通る直線の方程式は と表せたので、次のようにまとめることができる。

定理5接線の方程式 §

関数 上の点 における接線の方程式は となる。

接線の方程式 曲線 上の点 を通り、この点における接線に直交する直線のことを法線 (normal) という。接線の傾き に垂直な傾きは、 のとき であるから、法線に関して次のようにまとめることができる。

定理6法線の方程式 §

関数 上の点 における法線の方程式は、 のとき となる。

のとき、法線の方程式は となる。

法線の方程式
法線の方程式
問題7曲線上の点が与えられた場合の接線の求め方

次の曲線において、与えられた 座標での曲線上の点における接線の方程式を求めよ。また、その点での法線の方程式も求めよ。

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  1. まず、 とおくと であるから曲線上の点の座標は とわかる。また、 より 以上より、求める接線の方程式は 法線の方程式は
  2. まず、 とおくと であるから曲線上の点の座標は とわかる。また、 より 以上より、求める接線の方程式は 法線の方程式は
  3. まず、 とおくと であるから曲線上の点の座標は とわかる。また、 より 以上より、求める接線の方程式は 法線の方程式は
  4. まず、 とおくと であるから曲線上の点の座標は とわかる。また、 より 以上より、求める接線の方程式は 法線の方程式は
問題8接線の傾きが与えられた場合の接線の求め方

次の曲線の接線のうち、与えられた傾きとなる接線の方程式を求めよ。

  1. 、傾き
  2. 、傾き
  3. 、傾き
  4. 、傾き
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  1. まず、 とおくと、 。傾きが より また、 より、接点の座標は

    よって、求める接線の方程式は

  2. まず、 とおくと、 。傾きが より また、 より、接点の座標は

    よって、求める接線の方程式は

  3. まず、 とおくと、 。傾きが より また、 より、接点の座標は または

    よって、求める接線の方程式は まとめると、

  4. まず、 とおくと、 。傾きが より また、 より、接点の座標は または

    よって、求める接線の方程式は まとめると、

問題9曲線上の点以外の点が与えられた場合の接線の求め方

次の曲線の接線のうち、与えられた点を通る接線の方程式を求めよ。

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  1. とおくと、 における の接線の方程式は となる。これが を通るとき よって、求める接線の方程式は
  2. とおくと、 における の接線の方程式は となる。これが を通るとき よって、求める接線の方程式は まとめると、
  3. とおくと、 における の接線の方程式は となる。これが を通るとき よって、求める接線の方程式は
  4. とおくと、 における の接線の方程式は となる。これが を通るとき よって、求める接線の方程式は まとめると、
問題102次関数と接線の交点~その1~

2次関数 について以下の問いに答えよ。

  1. 放物線 上の点 における接線 の方程式を求めよ。
  2. 放物線 上の点 における接線 の方程式を求めよ。
  3. 放物線 を同一平面上に描き、 の交点の 座標を求めよ。
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  1. であるから、点 における接線 の傾きは となるので、 の方程式は
  2. であるから、点 における接線 の傾きは となるので、 の方程式は
  3. を連立して を解くと、 。よって、 の交点の 座標は 。グラフは右のようになる。
問題112次関数と接線の交点

放物線 上の2点 における接線をそれぞれ とするとき、 の交点の 座標が、点 の中点の 座標となることを示せ。ただし、 とする。

解答を見る

まず、接線 の方程式を求める。

とおくと、 であるから、点 における の傾きは となるので、 の方程式は 接線 も同様にして を連立して 上式から下式をひいて を消去すると よって、 の交点の 座標は、点 と点 の中点の 座標 とつねに等しくなる。

定理7放物線の接線の交点 §

放物線上の異なる2点 における接線をそれぞれ とするとき、 の交点の 座標は点 の中点の 座標と等しい。

接線・法線の方程式

『2次関数と接線の交点~その1~』の例題の3でも、接線 の交点の座標が、それら接線の接点の 座標の中間である になっていることを確認しよう。

元記事: http://www.ftext.org/text/section/127(取得日 2026-08-07)

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