指数関数

$y=ax$の$a$を$a\gt1$かつ$a\neq1$の条件で考えることにより、性質の整った扱いやすい関数になる。ここではこの関数(指数関数)の法則について理解していく。

$y=2^x$のグラフ

指数が自然数の場合

無題
無題

指数が自然数の場合

ここでは,$a$を定数とし,$f(x) = a^x$で表される関数について考えていく. 以下では,例として$a = 2$の場合,つまり$y = 2^x$のグラフについてみていく.

指数の拡張でみてきたように,指数$x$が自然数の場合, 整数の場合,有理数の場合と段階を追って確認していくことにする.

まず,$x$が自然数の場合には,関数$y = 2^x$の値は表のようにまとめることができる.

$ \ x \ $$ \ \boldsymbol{1} \ $$ \ \boldsymbol{2} \ $$ \ \boldsymbol{3} \ $$ \ \boldsymbol{4} \ $$ \ \cdots \ $
$y$$\boldsymbol{2}$$\boldsymbol{4}$$\boldsymbol{8}$$\boldsymbol{16}$$\cdots$

これらの値の組$(x,~y)$を座標とする点を,座標平面上にとっていくと,図のようになる. ただし,$x\geqq4$のときは$y$の値が大きいので,グラフには入りきっていない.

指数が整数の場合

無題
無題

指数が整数の場合

$x$が整数の場合には,関数$y = 2^x$の値は表のようにまとめることができる.

$x$$\cdots$$\boldsymbol{-4}$$\boldsymbol{-3}$$\boldsymbol{-2}$$\boldsymbol{-1}$$\boldsymbol{0}$$1$$2$$3$$4$$\cdots$
$y$$\cdots$$\boldsymbol{\dfrac{1}{16}}$$\boldsymbol{\dfrac{1}{8}}$$\boldsymbol{\dfrac{1}{4}}$$\boldsymbol{\dfrac{1}{2}}$$\boldsymbol{1}$$2$$4$$8$$16$$\cdots$

これらの値の組$(x,~y)$を座標とする点を,座標平面上にとっていくと,図のようになる. なお,$x$が $− 1$や $− 2$などのときには

\begin{align} 2^{-1}=\dfrac{1}{2}~,~~2^{-2}=\dfrac{1}{2^2}=\dfrac{1}{4} \end{align}

として計算している.

指数が有理数の場合

無題
無題 (注)

指数が有理数の場合

$x$が有理数の場合には,$x$が整数の場合に加えて,さらに $x$が$\dfrac{1}{2}$や$\dfrac{1}{4}$や$\dfrac{3}{2}$などの場合も含まれる.

$x$がこれらの値となるときの$y$の値は

\begin{align} &2^\frac{1}{2}=\sqrt{2}\fallingdotseq1.414\\ &2^\frac{1}{4}=(2^{\frac{1}{2}})^{\frac{1}{2}}=\sqrt{1.414}\fallingdotseq1.189\\ &2^\frac{3}{2}=2^{1+\frac{1}{2}}=2\times2^\frac{1}{2}\fallingdotseq2\times1.414=2.828 \end{align}

などと計算できるので,表のようにまとめることができる.

$ \ x \ $$ \ \cdots \ $$ \ -4 \ $$ \ -3 \ $$ \ -2 \ $$ \ -1 \ $$ \ 0 \ $
$y$$ \cdots $$\dfrac{1}{16}$$\dfrac{1}{8}$$\dfrac{1}{4}$$\dfrac{1}{2}$$ \ 1 \ $

$ \ x \ $$ \ \boldsymbol{\dfrac{1}{4}} \ $$ \ \boldsymbol{\dfrac{1}{2}} \ $$ \ 1 \ $$ \ \boldsymbol{\dfrac{3}{2}} $$ \ 2 \ $$ \ 3 \ $$ \ 4 \ $$ \ \cdots \ $
$y$$ \boldsymbol{1.189} $$\boldsymbol{1.414}$$2$$\boldsymbol{2.828}$$4$$ 8 $$ 16$$ \cdots $

これらの値の組$(x,~y)$を座標とする点を,座標平面上にとっていくと,図のようになる.

指数関数の性質

単調増加関数と単調減少関数

単調増加関数と単調減少関数

いままでみてきた結果から,$y = 2^x$のグラフは右に進むにつれ,上にあがっていく形になることが予想されるが, それを厳密に示すためにはどうすればよいだろうか.

$x$の値が増えるにつれ,$2^x$の値も増えることを示したいのだから,さまざまな(任意の)値$x_1,x_2$に対して

\begin{align} x_1\lt x_2~\Longrightarrow~2^{x_1}\lt2^{x_2} \end{align}

が証明できればよい.次の例題でそのことを確認してみよう.

指数関数の単調性

関数$y = 2^x$について,次のことを証明せよ.ただし,$x,x_1,x_2$は任意の有理数とする.

  1. $x \gt 0~\Longleftrightarrow~2^x \gt 1 $
  2. $x_1 \lt x_2~\Longrightarrow~2^{x_1} \lt 2^{x_2}$

  1. $\boldsymbol{\Rightarrow}$の証明(背理法)

    $\blacktriangleleft$結論$2^x \gt 1$の否定$2^x\leqq1$を仮定して矛盾を導く

    有理数$x~(>0)$は$x=\dfrac{m}{n}$($m,~n$は自然数) とおける.

    いま

    \begin{align} 2^x\leqq1 \end{align} $\tag{1}\label{shisuukansuunotanchouseinokaitou1}$

    と仮定すると

    \begin{align} &(2^x)^n\leqq1^n\\ \Leftrightarrow~&(2^\dfrac{m}{n})^n\leqq1\\ \Leftrightarrow~&2^m\leqq1 \end{align}

    となるが,$m$は自然数であるから

    \begin{align} & \begin{array}{c} \qquad m個の積 \\ 2^m=\overbrace{2\times 2\times 2 \times \cdots \times 2}^{} \end{array} \\ & \quad \ \ \gt 1\times 1\times 1 \times \cdots \times 1=1 \end{align}

    であることに矛盾する.よって,$x$が有理数であるとき,$x \gt 0~\Rightarrow 2^x \gt 1$がいえる.

    $\boldsymbol{\Leftarrow}$の証明(背理法)

    $\blacktriangleleft$結論$x \gt 0$の否定$x\leqq0$を仮定して矛盾を導く

    有理数$x$は$x=\dfrac{m}{n}$($m$は整数,$n$は自然数)とおける. いま,$x\leqq0$,すなわち

    \begin{align} m\leqq0 \end{align}$\tag{2}\label{shisuukansuunotanchouseinokaitou2}$

    と仮定すると

    \begin{align} &(2^x)^n>1^n\\ \Leftrightarrow~&(2^\dfrac{m}{n})^n>1\\ \Leftrightarrow~&2^m>1 \end{align}

    となるが,$2 \gt 1$であり$m$は正でない整数であるから

    \begin{align} 2^m&=\left(\dfrac{1}{2}\right)^{-m}\end{align} \begin{align} & \begin{array}{c} − m個の積\\ =\overbrace{\dfrac{1}{2}\times\dfrac{1}{2}\times\cdots\times\dfrac{1}{2}}^{} \end{array} \\ & \lt \dfrac{1}{1}\times \dfrac{1}{1}\times\cdots\times\dfrac{1}{1}=1 \end{align}

    であることに矛盾する.よって,$x$が有理数であるとき,$x \gt 0~\Leftarrow 2^x \gt 1$がいえる.

  2. \begin{align} &x_2-x_1>0\\ \Rightarrow~&2^{x_2-x_1}>1\\ \Leftrightarrow~&\dfrac{2^{x_2}}{2^{x_1}}>1\\ \Leftrightarrow~&2^{x_2}>2^{x_1} \end{align}$\blacktriangleleft$ $\eqref{shisuukansuunotanchouseinokaitou1}$より

無題
無題

以上を参考に,$y = 2^x$のグラフを描くと,右図のような曲線を描くことがわかる. この$y = 2^x$のように,$x$の値が増加すると常に$y$の値も増加するような関数を単調増加関数という. このことを次にまとめておこう.

単調増加関数と単調減少関数の定義

(注)

関数$f(x)$の定義域内の任意の実数$x_1,x_2$について

  1. $x_1 \lt x_2~\Longrightarrow~f(x_1) \lt f(x_2)$

    が成り立つとき,関数$f(x)$は単調増加関数(monotone increasing function) という.

  2. $x_1 \lt x_2~\Longrightarrow~f(x_1) \gt f(x_2)$

    が成り立つとき,関数$f(x)$は単調減少関数(monotone decreasing function)という.

    ある関数が単調増加関数であるか単調減少関数である場合に,その関数を単に単調(monotone)な関数という.

無題
無題

次に,関数$y=\left(\dfrac{1}{2}\right)^x$のグラフを考えてみよう.

関数$y=\left(\dfrac{1}{2}\right)^x$の$x$に $− x_1$を代入すると

\begin{align} \left(\dfrac{1}{2}\right)^{-x_1}=(2^{-1})^{-x_1}=2^{x_1} \end{align}

と計算できるが,これは関数$y = 2^x$の$x$に$x_1$を代入したときの値と等しい. これより,$y=\left(\dfrac{1}{2}\right)^x$のグラフは,図のように$y = 2^x$のグラフと$y$軸に関して対称となるのがわかる. 関数$y=\left(\dfrac{1}{2}\right)^x$は単調減少関数になっている.

関数$y = a^x$ は$a$の値に応じて,次のように変化する.

単調増加関数と単調減少関数の図

指数関数の定義

指数関数の定義

$a$の$n$乗根の表し方でもみたように, 負の数$a$の$n$乗根は存在する場合と存在しない場合があり,それは$n$が実数のときでも同様である. 簡単のため,以下では$a \gt 0$の場合についてだけ考えるものとする.

また,$a = 1$のときは$a^x $は常に$1$となり,それ以外の場合と大きく挙動が異なるので, $a = 1$のときは(関数としては考えることができるが)指数関数というくくりには入れないことにする.

指数関数の定義

$a \gt 0,~a\neq1$とするとき,実数$x$に対して

\begin{align} f(x)=a^x \end{align}

で表される関数を,$a$を底てい(base)とする$x$の指数関数(exponential function)という.

指数関数の性質について

指数関数の性質について

$y = 2^x$のグラフから学んできたことは,次のようにまとめることができる. 指数関数$y = a^x$のグラフを見ながら1つ1つ確認しよう.

指数関数の性質

指数関数$y=a^x$について,次のようにまとめることができる.

指数関数の性質の図

  1. 定義域は実数全体,値域は正の実数全体である.
  2. グラフは定点$(0,~1)$を通り,$x$軸が漸近線となる.
  3. 単調な関数であるから,$x$の値と$y$の値は1対1に定まる,すなわち

    \begin{align} a^{x_1}=a^{x_2}\Longleftrightarrow{}x_1=x_2 \end{align}

    が成り立つ.

  4. 関数の増加と減少について

    1. $a \gt 1$のとき

      \[x_1 \lt x_2\Longleftrightarrow{}a^{x_1} \lt a^{x_2}\]
    2. $0 \lt a \lt 1$のとき

      \[x_1 \lt x_2\Longleftrightarrow{}a^{x_1} \gt a^{x_2}\]

吹き出し指数関数の性質について

$0 \lt a \lt 1$のときは,$x_1$と$x_2$の大小関係と,$a^{x_1}$と$a^{x_2}$の大小関係は逆になることに注意しよう. たとえば,$4^2 \lt 4^3$だが$(0.9)^2 \gt (0.9)^3$である.

指数の大小関係(底が等しい場合)

次の値を小さいものから順に並べよ.

  1. $\sqrt[3]{4},\left(\sqrt{2}\right)^3,(0.5)^\frac{1}{3}$
  2. $2^{0.3}\,,4^{-\frac{3}{2}},8^{-\frac{1}{6}},\left(\sqrt{2}\right)^3$

  1. それぞれの値は

    指数関数の性質4. より

    指数の大小関係(底が等しい場合)の図その1
    \begin{align} &\sqrt[3]{4}=\sqrt[3]{2^2}=2^\frac{2}{3}\\ &\left(\sqrt{2}~\right)^3=2^\frac{3}{2}\\ &\left(0.5\right)^\frac{1}{3}=\left(2^{-1}\right)^{\frac{1}{3}}=2^{-\frac{1}{3}} \end{align}

    $\blacktriangle$底を$2$でそろえてそれぞれの値を比較できるようにした

    $y = 2^x$は増加関数で,$-\dfrac{1}{3}<\dfrac{2}{3}<\dfrac{3}{2}$だから

    \begin{align} &2^{-\frac{1}{3}}<2^\frac{2}{3}<2^{\frac{3}{2}} \\ \therefore~ &\boldsymbol{4^{-\frac{3}{2}}<8^{-\frac{1}{6}}<2^{0.3}<(\sqrt{2})^3} \end{align}



  2. それぞれの値は

    指数関数の性質4. より

    指数の大小関係(底が等しい場合)の図その2
    \begin{align} &2^{0.3}=2^\frac{3}{10}\\ &4^{-\frac{3}{2}}=\left(2^2\right)^{-\frac{3}{2}}=2^{-3}\\ &8^{-\frac{1}{6}}=\left(2^3\right)^{-\frac{1}{6}}=2^{-\frac{1}{2}}\\ &\left(\sqrt{2}\right)^3=\left(2^\frac{1}{2}\right)^3=2^{\frac{3}{2}} \end{align}

    $\blacktriangle$底を$2$でそろえてそれぞれの値を比較できるようにした

    と計算でき,$y = 2^x$は増加関数で,$-3<-\dfrac{1}{2}<\dfrac{3}{10}<\dfrac{3}{2}$だから

    \begin{align} &2^{-3}<2^{-\frac{1}{2}}<2^\frac{3}{10}<2^\frac{3}{2}\\ \therefore~&\boldsymbol{4^{-\frac{3}{2}}<8^{-\frac{1}{6}}<2^{0.3}<\left(\sqrt{2}~\right)^3} \end{align}

指数を含む1次方程式・1次不等式

次の方程式,または不等式を解け.

  1. $4^x=2^{x+1}$
  2. $4^x>2^{x+3} $
  3. $ \left(\dfrac{1}{3}\right)^{x-2}=27^x$
  4. $9^x\geqq\left(\dfrac{1}{3}\right)^{1-x}$

  1. $4^x=2^{x+1}$

    $\Leftrightarrow~2^{2x}=2^{x+1}$ $\blacktriangleleft$底を$2$でそろえた

    $\Leftrightarrow~2x=x+1$ $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質3.

    $\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=1}$

  2. $ 4^x>2^{x+3}$

    $\Leftrightarrow~2^{2x}>2^{x+3}$ $\blacktriangleleft$底を$2$でそろえた

    $\Leftrightarrow~2x>x+3$ $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質4 .

    $\Leftrightarrow~\boldsymbol{x>3}$

  3. $\left(\dfrac{1}{3}\right)^{x-2}=27^x$

    $\Leftrightarrow~3^{-x+2}=3^{3x}$ $\blacktriangleleft$底を$3$でそろえた

    $\Leftrightarrow~-x+2=3x$ $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質3.

    $\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=\dfrac{1}{2}}$

    【別解:底を$\dfrac{1}{3}$でそろえる場合】

    $\left(\dfrac{1}{3}\right)^{x-2}=\left(\dfrac{1}{3^3}\right)^{-x}$

    $\Leftrightarrow~\left(\dfrac{1}{3}\right)^{x-2}=\left(\dfrac{1}{3}\right)^{-3x}$ $\blacktriangleleft$底を$\dfrac{1}{3}$でそろえた

    $\Leftrightarrow~x-2=-3x$ $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質3.

    $\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=\dfrac{1}{2}}$

  4. $ 9^x\geqq\left(\dfrac{1}{3}\right)^{1-x}$

    $\Leftrightarrow~3^{2x}\geqq3^{-1+x}$ $\blacktriangleleft$底を$3$でそろえた

    $\Leftrightarrow~2x\geqq-1+x$ $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質3., 4.

    $\Leftrightarrow~\boldsymbol{x\geqq-1}$

    【別解:底を$\dfrac{1}{3}$でそろえる場合】

    $\left(\dfrac{1}{3^2}\right)^{-x}\geqq\left(\dfrac{1}{3}\right)^{1-x}$

    $\Leftrightarrow~\left(\dfrac{1}{3}\right)^{-2x}\geqq\left(\dfrac{1}{3}\right)^{1-x}$ $\blacktriangleleft$底を$\dfrac{1}{3}$でそろえた

    $\Leftrightarrow~-2x\leqq 1-x$ $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質3. ,4.

    $\Leftrightarrow~\boldsymbol{x\geqq-1}$

指数を含む2次方程式・2次不等式

次の方程式,または不等式を解け.

  1. $4^x-2^{x+2}-32=0$
  2. $9^x-24\cdot3^{x-1}-9=0 $
  3. $4^x-2^x<2$
  4. $9^x-25\cdot3^x-54>0$

  1. 式を変形すると

    \begin{align} &4^x-2^{x+2}-32=0\\ \Leftrightarrow~&2^{2x}-2^2\cdot2^x-32=0\\ \Leftrightarrow~&(2^x)^2-4\cdot2^x-32=0 \end{align}

    ここで,$2^x = t$とおくと

    \begin{align} &t^2-4t-32=0\\ \Leftrightarrow~&(t+4)(t-8)=0 \end{align}

    $\Leftrightarrow~t=-4~,~~8$ $\tag{1}\label{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki1}$

    いま,$t$ のとり得る値の範囲は$t = 2^x > 0$なので, $t = − 4$は不適であり,$\eqref{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki1}$を満たす$t $は,$t = 8$のみ.$\blacktriangleleft$ 指数関数の性質1.

    よって

    \begin{align} &2^x=8\\ \Leftrightarrow~&2^x=2^3\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x=3} \end{align} $\blacktriangleleft$ 指数関数の性質3.
  2. 式を変形すると

    \begin{align} &9^x-24\cdot3^{x-1}-9=0\\ \Leftrightarrow~&3^{2x}-24\cdot3^{-1}\cdot3^x-9=0\\ \Leftrightarrow~&(3^x)^2-8\cdot3^x-9=0 \end{align}

    ここで,$3^x = t$とおくと

    \begin{align} &t^2-8t-9=0\\ \Leftrightarrow~&(t+1)(t-9)=0 \end{align}

    $\Leftrightarrow~t=-1~,~~9$ $\tag{2}\label{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki2}$

    いま,$t$ のとり得る値の範囲は$t = 3^x > 0$なので,$ t = − 1$は不適であり,$\eqref{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki2}$を満たす$t$ は,$t = 9$のみ.$\blacktriangleleft$指数関数の性質1.

    よって

    \begin{align} &3^x=9\\ \Leftrightarrow~&3^x=3^2\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x=2} \end{align} $\blacktriangleleft$指数関数の性質3.
  3. 式を変形すると

    \begin{align} &4^x-2^x<2\\ \Leftrightarrow~&2^{2x}-2^x-2<0\\ \Leftrightarrow~&(2^x)^2-2^x-2<0 \end{align}

    ここで,$2^x = t$とおくと

    \begin{align} &t^2-t-2<0\\ \Leftrightarrow~&(t-2)(t+1)<0\end{align}

    $\Leftrightarrow~-1 \lt t \lt 2$ $\tag{3}\label{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki3}$

    いま,$t$ のとり得る値の範囲は$t = 2^x > 0$なので, これと$\eqref{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki3}$をあわせて,$0 < t < 2$.$\blacktriangleleft$指数関数の性質1.

    よって

    \begin{align} &0<2^x<2\\ \Leftrightarrow~&0<2^x<2^1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x<1} \end{align}$\blacktriangleleft$指数関数の性質4.
  4. 式を変形すると

    \begin{align} &9^x-25\cdot3^x-54>0\\ \Leftrightarrow~&3^{2x}-25\cdot3^x-54>0\\ \Leftrightarrow~&(3^x)^2-25\cdot3^x-54>0 \end{align}

    ここで,$3^x = t$とおくと

    \begin{align} &t^2-25t-54>0\\ \Leftrightarrow~&(t+2)(t-27)\end{align}

    $\Leftrightarrow~-2 \lt t \lt 27$ $\tag{4}\label{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki4}$

    いま,$t$ のとり得る値の範囲は$t = 3^x > 0$なので, これと$\eqref{shisuuwohukumu2zihouteishiki2zihutoushiki4}$をあわせて,$0 < t < 27$.$\blacktriangleleft$指数関数の性質1.

    よって

    \begin{align} &0<3^x<27\\ \Leftrightarrow~&0<3^x<3^3\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x<3}\end{align}

    $\blacktriangle$指数関数の性質4.なお,すべての実数$x$ で$3x > 0$なので,$x$ に下限はない

指数を含む2次関数

次の関数の最大値を求めよ.

  1. $y=4^{x+1}-2^{x+2}+2~~(-2\leqq{x}\leqq2)$
  2. $y=-4^x+2^{x+1}+1~~(x\leqq{2})$

  1. $2^x = t$とおくと,$-2\leqq{x}\leqq2$より

    \[2^{-2}\leqq{t}\leqq2^2\] \[\Leftrightarrow~\dfrac{1}{4}\leqq{t}\leqq4\] $\tag{1}\label{shisuuwohukumu2zikansuu1}$
    指数を含む2次関数の解答の図その1

    また

    \begin{align} y&=4^{x+1}-2^{x+2}+2\\ &=4\cdot4^x+2^2\cdot2^x+2\\ &=4\cdot(2^x)^2-4\cdot2^x+2 \end{align}

    より

    \begin{align} y&=4t^2-4t+2\\ &=4\left(t-\dfrac{1}{2}\right)^2+1 \end{align}

    $\eqref{shisuuwohukumu2zikansuu1}$の範囲では,このグラフは図のようになるので

    $(t=4)~x=2$のとき,最大値$\boldsymbol{50}$

    $\left(t=\dfrac{1}{2}\right)~x=-1$のとき,最小値$\boldsymbol{1}$

  2. $2^x = t$とおくと,$x\leqq 2$より

    \[0< t\leqq2^2\] \[\Leftrightarrow~0 \lt t\leqq 4\] $\tag{2}\label{shisuuwohukumu2zikansuu2}$
    指数を含む2次関数の解答の図その2

    また

    \begin{align} y&=-4^x+2^{x+1}+1\\ &=-(2^x)^2+2\cdot2^x+1 \end{align}

    より

    \begin{align} y&=-t^2+2t+1\\ &=-(t-1)^2+2 \end{align}

    $\eqref{shisuuwohukumu2zikansuu2}$の範囲では,このグラフは図のようになるので

    $(t=1)~x=0$のとき,最大値$\boldsymbol{2}$

    $(t=4)~x=2$のとき,最小値$\boldsymbol{-7}$