階差型漸化式:$a_n+1=a_n+f(n)$
階差型漸化式の解法
階差型漸化式
次の問題について考えてみよう.
階差型漸化式~その1~
$a_1=1,a_{n+1}=a_n+n^2\quad(n\geqq1)$ で定まる数列 $\{a_n\}$ の一般項 $a_n$ を $n$ の式で表せ.
このようなタイプの漸化式は, $a_n$ を移項して
\begin{align} &a_{n+1}=a_n+n^2\\ \Leftrightarrow\ &a_{n+1}-a_n=n^2 \end{align}と変形すると,数列 $\{a_n\}$ の階差数列 $\{b_n\}$ の一般項が $b_n=n^2$ として与えられているものだと考えられる.
よって,階差数列の公式を利用してやれば, $n\geqq2$ で
\begin{align} a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\ &=1+\sum_{k=1}^{n-1}k^2\\ &=1+\frac{1}{6}(n-1)n(2n-1) \end{align}となる.また,この式の右辺の $n$ に1を代入すると,1となり $a_1$ に一致するから,この式は $n=1$ でも成立する.
以上から, $n\geqq1$ で $a_n=1+\dfrac{1}{6}(n-1)n(2n-1)$ となる.
吹き出し無題
ポイントは「階差数列の一般項が与えられている」と気づくことである.
階差型漸化式の解法
階差型漸化式~その2~
$a_1=1,a_{n+1}=a_n+3n^2+n\quad(n\geqq1)$ で定まる数列 $\{a_n\}$ の一般項 $a_n$ を $n$ の式で表せ.
漸化式 $a_{n+1}=a_n+3n^2+n$ を変形すると
\begin{align} &a_{n+1}=a_n+3n^2+n\\ \Leftrightarrow\ &a_{n+1}-a_n=3n^2+n \end{align}$\blacktriangleleft$ 階差型漸化式の特徴は, $a_{n+1}$ と $a_n$ の係数が等しいことにある
となるので,数列 $\{a_n\}$ の階差数列 $\{b_n\}$ とすれば
\[b_n=a_{n+1}-a_n=3n^2+n\]であることがわかる.
ここで, $n\geqq2$ のとき
$\blacktriangleleft$ 階差数列の公式は, $n\geqq2$ でないと使えない
\begin{align} a_n&=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\ &=1+\sum_{k=1}^{n-1}(3k^2+k)\\ &=1+\frac{3}{6}(n-1)n(2n-1)+\frac{1}{2}(n-1)n\\ &=1+\frac{1}{2}(n-1)n\{(2n-1)+1\}\\ &=1+(n-1)n^2 \end{align}$\blacktriangleleft$ 階差数列の一般項
この式の右辺の $n$ に1を代入すると,1となり,これは $a_1$ に一致する.
$\blacktriangleleft$ $n=1$ でもあてはまるか代入してチェックする
したがって,求める一般項は
\[\boldsymbol{a_n=1+(n-1)n^2}\]階差型漸化式の解法
$\text{STEP}1$
漸化式 $a_{n+1}=a_n+f(n)$ を次のように変形する.
\[a_{n+1}-a_n=f(n)\]$\text{STEP}2$
このとき,式 $f(n)$ は数列 $\{a_n\}$ の階差数列の一般項となっているので,階差数列の公式を用いて $a_n$ を求める.
\[a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}f(k)\]$\text{STEP}3$
$n=1$ での成立を忘れずにチェックして完成.