1次不等式と1次関数
ある数とある数が等しいことは等号$=$を使った等式で表すことができる。同様に、ある数がある数より大きいことや小さいことは、不等号$\gt$や$\lt$を使った式で表すことができる。以下では、数の大小関係を不等号で表した式、不等式について見ていこう。
不等式の性質
不等式とは何か
たとえば
「ある数 $a$ を $2$ 倍してから $3$ を加えた数は、$4$ より大きい」
ということを、不等号を用いて表すと
\[2a+3\gt4\tag{1}\label{futosikitohananika}\]
となる。 この $\eqref{futosikitohananika}$ のように
不等式
2つの数の大小関係を、不等号を使って表したものを不等式 (inequality) という。
等式の場合と同じように、不等号の左側にある式を左辺 (left side)、右側にある式を右辺 (right side) という。$\eqref{futosikitohananika}$ の左辺は $2a+3$、右辺は $4$ である。やはり、等式の場合と同じように、左辺と右辺をあわせて両辺 (both sides) という。
ここで不等号の種類をまとめると以下のようになる。
読み方 | 意味 | ||
$a\lt b$ | $a$ は $b$ より小さい($a$ は $b$ 未満である) | ||
$a\leqq b$ | $a$ は $b$ 以下である | $a\lt b$ または $a=b$ | |
$a\gt b$ | $a$ は $b$ より大きい | ||
$a\geqq b$ | $a$ は $b$ 以上である($b$ は $a$ 未満である) | $a\gt b$ または $a=b$ |
不等式で表す
次の文章を、不等式を使って表せ。
- $a$ と $3$ の和は、$b$ の $2$ 倍より小さい。
- $x$ の $2$ 倍から $3$ 引いた数は、$x$ の $(-2)$ 倍以上である。
- $\underbrace{a と 3 の和}_{a+3}$ は、$\underbrace{b の 2 倍}_{2b}$ より小さい。$\rightarrow\boldsymbol{a+3\lt2b}$
$\blacktriangleleft$ 「$A$ は $B$ より小さい」は $A\lt B$ - $\underbrace{\underbrace{x の 2 倍}_{2x} から 3 引いた数}_{2x-3}$ は、$\underbrace{x の (-2) 倍}_{-2x}$ 以上である。$\rightarrow\boldsymbol{2x-3\geqq-2x}$
$\blacktriangleleft$ 「$A$ は $B$ 以上」は $A\geqq B$
不等式の性質について
ここでは $a\lt b$ として、不等式について成り立つ性質を考えていこう。
吹き出し無題
以下の説明では、不等式の性質を、数直線上の点の移動として理解できるように図が載せてある。ただ式を追うのではなく、点の移動のイメージをもつようにしよう。
- 両辺に同じ数を足す(引く)場合
左辺、右辺それぞれに $2$ を加えた $a+2$、$b+2$ は、不等式 \[a+2\lt b+2\] を満たす。
また、左辺、右辺それぞれから $3$ を引いた $a-3$、$b-3$ も、不等式 \[a-3\lt b-3\] を満たす。
つまり、「不等式の両辺に同じ数を足しても(引いても)、もとの不等式と不等号の向きが変わらない」といえる。
- 両辺に正の数を掛ける(割る)場合
左辺、右辺それぞれに $2$ を掛けた $2a$、$2b$ は、不等式 \[2a\lt2b\] を満たす。
また、左辺、右辺それぞれを $3$ で割った値 $\dfrac{a}{3}$、$\dfrac{b}{3}$ も、不等式 \[\dfrac{a}{3}\lt \dfrac{b}{3}\] を満たす。
つまり、「不等式の両辺に同じ正の数を掛けても(割っても)、もとの不等式と不等号の向きが変わらない」といえる。
- 両辺に負の数を掛ける(割る)場合
左辺、右辺それぞれに $-2$ を掛けた $-2a$、$-2b$ は、不等式 \[-2a\gt-2b\] を満たす。
また、左辺、右辺それぞれを $-3$ で割った値 $-\dfrac{a}{3}$、$-\dfrac{b}{3}$ も、不等式 \[-\dfrac{a}{3}\gt -\dfrac{b}{3}\] を満たす。
つまり、「不等式の両辺に同じ負の数を掛ける(割る)と、もとの不等式と不等号の向きが逆になる」といえる。
不等式の性質
- すべての実数 $c$ で \begin{align}&a{\lt}b\\ \Leftrightarrow&a+c{\lt}b+c、a-c{\lt}b-c\end{align}
- $0{\lt}c$ のとき\begin{align}&a{\lt}b\\ \Leftrightarrow&ac{\lt}bc、\dfrac{a}{c}{\lt}\dfrac{b}{c}\end{align}
- $c{\lt}0$ のとき \begin{align}&a{\lt}b\\ \Leftrightarrow&ac{\gt}bc、\dfrac{a}{c}{\gt}\dfrac{b}{c}←逆符号!\end{align}
不等式の性質
$a\lt b$ のとき、次のそれぞれ大小関係を、不等号を使って表せ。
- $a+2$ と $b+2$
- $a-2$ と $b-2$
- $2a$ と $2b$
- $-2a$ と $-2b$
- $\boldsymbol{a+2\lt b+2}$
- $\boldsymbol{a-2\lt b-2}$
- $\boldsymbol{2a\lt 2b}$
- $\boldsymbol{-2a\gt -2b}$
$\blacktriangleleft$ 負の数で割ると不等号の向きは逆になる
暗記不等式の移項の仕組み
- $x+y\lt z~~\Leftrightarrow~~x\lt z-y$
- $x-y\lt z~~\Leftrightarrow~~x\lt z+y$
- $y\gt 0のとき、yx\lt z~~\Leftrightarrow~~{x\lt \dfrac{z}{y}}$
- $y\lt 0のとき、yx\lt z~~\Leftrightarrow~~{x\gt \dfrac{z}{y}}$
- \begin{align}x+y\lt z\\ \Leftrightarrow~&x+y-y\lt z-y\\ \Leftrightarrow~&x\lt z-y\\ &\blacktriangleleft 不等式の性質 \end{align}
- \begin{align}x-y\lt z\\ \Leftrightarrow~&x-y+y\lt z+y\\ \Leftrightarrow~&x\lt z+y\\ &\blacktriangleleft 不等式の性質 \end{align}
- \begin{align}yx\lt z\\ \Leftrightarrow~&yx\times\frac{1}{y}\lt z\times\frac{1}{y}\\ \Leftrightarrow~&x\lt \frac{z}{y}\\ &\blacktriangleleft 不等式の性質 \end{align}
- \begin{align}yx\lt z\\ \Leftrightarrow~&yx\times\frac{1}{y}\gt z\times\frac{1}{y}\\ \Leftrightarrow~&x\gt \frac{z}{y}\\ &\blacktriangleleft 不等式の性質 \end{align}
吹き出し無題
以上のことから、不等式は等式の場合と同じように
1次不等式の解法
1次不等式の解法とは
不等式 \[2x+3\gt4\cdots\tag{1}\label{futosikinokaihotoha}\] を満たす $x$ はどのような値だろうか。
たとえば、$x=2$ や $x=5$ は $\eqref{futosikinokaihotoha}$ を満たすが、$x=0$ や $x=-2$ は $\eqref{futosikinokaihotoha}$ を満たさない。
一般に、不等式を満たす $x$ の値をその不等式の解 (solution) といい、すべての解を求めることを不等式を解く (solve) という。では、実際にこの不等式 $\eqref{futosikinokaihotoha}$ を解いてみよう。 \begin{align} &2x+3\gt4\\ \Leftrightarrow~&2x\gt4-3&\\ \Leftrightarrow~&2x\gt1\\ \Leftrightarrow~&x\gt\dfrac{1}{2} \end{align} これが、不等式 $\eqref{futosikinokaihotoha}$ の解である。つまり、$x$ は $\dfrac{1}{2}$ より大きければ、$\eqref{futosikinokaihotoha}$ を満たす。
不等式を移項して整理することにより \[(1次式)\gt0,(1次式)\leqq0\] などの形に変形できる不等式を、一般に1次不等式 (linearinequality) という。
連立不等式
$x$ が満たすべき不等式が2つ以上あるとき、それらをまとめて連立不等式 (simultaneous inequalities) という。連立不等式を解くとは、全ての不等式を同時に満たす $x$ の範囲を求めることである。
連立不等式
- \begin{cases} \dfrac{11}{4}x-\dfrac{3}{2}\gt 2x-5\\ \dfrac{2}{3}x+\dfrac{1}{6}\leqq-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{3}{2} \end{cases}
- \begin{cases} 0.25x-0.18\geqq 0.6-0.14x\\ \dfrac{2}{3}x+\dfrac{1}{6}\leqq -\dfrac{1}{2}x-\dfrac{3}{2} \end{cases}
- まず、$\dfrac{11}{4}x-\dfrac{3}{2}\gt2x-5$ を解く。 \begin{align} &\dfrac{11}{4}x-\dfrac{3}{2}\gt2x-5\\ \Leftrightarrow~&11x-6\gt8x-20\\ \Leftrightarrow~&3x\gt-14\\ \Leftrightarrow~&x\gt-\dfrac{14}{3}\tag{1}\label{renritufutosiki1} \end{align} 次に、$\dfrac{2}{3}x+\dfrac{1}{6}\leqq-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{3}{2}$ を解く。 \begin{align} &\dfrac{2}{3}x+\dfrac{1}{6}\leqq-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{3}{2}\\ \Leftrightarrow~&4x+1\leqq-3x-9\\ \Leftrightarrow~&7x\leqq-10\\ \Leftrightarrow~&x\leqq-\dfrac{10}{7}\tag{2}\label{renritufutosiki2} \end{align} 以上の $\eqref{renritufutosiki1}$、$\eqref{renritufutosiki2}$ を共通して満たす $x$ は $\boldsymbol{-\dfrac{14}{3}\lt{x}\leqq-\dfrac{10}{7}}$
- まず、$0.25x-0.18\geqq0.6-0.14x$ を解く。
\begin{align}
&0.25x-0.18\geqq0.6-0.14x\\
\Leftrightarrow~&25x-18\geqq60-14x\\
\Leftrightarrow~&39x\geqq78\\
\Leftrightarrow~&x\geqq2\tag{3}\label{renritufutosiki3}
\end{align}
次に、$\dfrac{2}{3}x+\dfrac{1}{6}\leqq-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{3}{2}$ を解く。
\begin{align}
&\dfrac{2}{3}x+\dfrac{1}{6}\leqq-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{3}{2}\\
\Leftrightarrow~&4x+1\leqq-3x-9\\
\Leftrightarrow~&7x\leqq-10\\
\Leftrightarrow~&x\leqq-\dfrac{10}{7}\tag{4}\label{renritufutosiki4}
\end{align}
以上の $\eqref{renritufutosiki3}$、$\eqref{renritufutosiki4}$ を共通して満たす $x$ は、存在しないので、答えは解なし
$\blacktriangleleft$ 条件を満たす $x$ の値がない場合はこのように答える
1次不等式の応用
1次不等式の応用
- $\text{A}$ 地点から $15\text{km}$ 離れた $\text{B}$ 地点まで歩いた。はじめは急ぎ足で毎時 $5\text{km}$、途中から疲れたので毎時 $3\text{km}$ の速さで歩いた。所要時間が $4$ 時間以内のとき、急ぎ足で何 $\text{km}$ 以上歩いたか求めよ。
- $5\%$ の食塩水と $8\%$ の食塩水がある。$5\%$ の食塩水 $800\text{g}$ と $8\%$ の食塩水を何 $\text{g}$ か混ぜて、$6\%$ 以上の食塩水を作りたい。$8\%$ の食塩水を何 $\text{g}$ 以上混ぜればよいか求めよ。
急ぎ足で歩いた距離を $x\text{km}$ として、$x$ について解けばよい。
疲れて歩いた距離は $(15−x)\text{km}$ となり、歩くのにかかる時間はそれぞれ、$\dfrac{x}{5}$ 時間、$\dfrac{15-x}{3}$ 時間となる。
$\blacktriangleleft$ $\dfrac{(道のり)}{(速さ)}=(時間)$全体の所要時間は $4$ 時間以内であるから \[\dfrac{x}{5}+\dfrac{15-x}{3}\leqq4\] を満たす $x$ を求めればよい。 \begin{align} &\dfrac{x}{5}+\dfrac{15-x}{3}\leqq4\\ \Leftrightarrow~&3x+5(15-x)\leqq60\\ \Leftrightarrow~&3x+75-5x\leqq60\\ \Leftrightarrow~&-2x\leqq-15\\ \Leftrightarrow~&x\geqq\dfrac{15}{2}=7.5 \end{align}
$\blacktriangleleft$ 負の数を掛ける・割るときは逆符号よって、急ぎ足では$7.5$km以上歩いた。
$8\%$ の食塩水を $x\text{g}$ 混ぜるとして、$x$ について解けばよい。
食塩水の量(g) 食塩の量(g) $5\%$ $800$ $\dfrac{5}{100}\times800$ $8\%$ $x$ $\dfrac{8}{100}x$ $800+x$ $\dfrac{5}{100}\times 800+\dfrac{8}{100}x$ $5\%$ の食塩水 $800\text{g}$ の中には $\left(\dfrac{5}{100}\times800\right)\text{g}$ の食塩が溶けている。また、混ぜる $8\%$ の食塩水 $x\text{g}$ の中には、$\left(\dfrac{8}{100}\times\text{x}\right)\text{g}$ の食塩が溶けている。
これらを混ぜて、濃度が $6\%$ 以上になるから \begin{align} &\left(\dfrac{5}{100}\times800+\dfrac{8}{100}\times\text{x}\right)\\ &\qquad\div(800+x)\geqq\dfrac{6}{100} \end{align} を満たす $x$ を求めればよい。 \begin{align} &\left(\dfrac{5}{100}\times800+\dfrac{8}{100}\times\text{x}\right)\\ &\qquad\div(800+x)\geqq\dfrac{6}{100}\\ \Leftrightarrow~&\dfrac{5}{100}\times800+\dfrac{8}{100}\times\text{x}\\ &\qquad\geqq\dfrac{6}{100}\times(800+x)\\ \Leftrightarrow~&5\times800+8\times\text{x}\geqq6\times(800+x)\\ \Leftrightarrow~&4000+8x\geqq4800+6x\\ \Leftrightarrow~&2x\geqq800\\ \Leftrightarrow~&x\geqq400 \end{align} よって、$8\%$ の食塩水は $400\text{g}$ 以上混ぜればよい。
1次不等式と1次関数の関係
1次不等式と1次関数の関係について
1次方程式と1次関数でみたように1次方程式と1次関数の間に密接な関係があった。それと同じように、1次不等式と1次関数にも密接な関係がある。
1次不等式(1)の範囲
たとえば、1次不等式 \[\dfrac{1}{2}x-1\gt0\tag{1}\label{1jifutosikito1jikansunokankeinituite}\] の解について考える。この1次不等式の「左辺を $y$ とおいた1次関数」 \[y=\dfrac{1}{2}x-1\] を考える。すると、不等式 $\eqref{1jifutosikito1jikansunokankeinituite}$ を解くためには \[\left(y=\dfrac{1}{2}x-1のグラフのy座標\right)\gt0\] となる $x$ の範囲を求めればよい。よって、右のグラフから $x\gt2$ である。
実際、この1次不等式を解いてみると \begin{align} \dfrac{1}{2}x-1\gt0 \Leftrightarrow&~\dfrac{1}{2}x\gt1\\ \Leftrightarrow&~x\gt2 \end{align} となり、確かに1次関数の $y$ が $0$ より大きくなる $x$ の範囲となっている。
1次方程式をグラフを使って解く
次の1次不等式をグラフを使って解け。
- $\dfrac{x}{3}-\dfrac{13}{3}\lt0$
- $-2x-8\leqq0$
- $\dfrac{2}{3}x-\dfrac{8}{3}\gt0$
- $-7x+2\geqq0$
- 右図より、$\overbrace{\dfrac{x}{3}-\dfrac{13}{3}}^{yの値}\lt0$ となるのは $x\lt13$ のとき。よって、1次不等式 $\dfrac{x}{3}-\dfrac{13}{3}\lt0$ の解は \[\boldsymbol{x\lt13}\] となる。
- 右図より、$\overbrace{-2x-8}^{yの値}\leqq0$ となるのは $x\geqq-4$ のとき、よって1次不等式 $-2x-8\leqq0$ の解は \[\boldsymbol{x\geqq-4}\] となる。
- 右図より、$\overbrace{\dfrac{2}{3}x-\dfrac{8}{3}}^{yの値}\gt0$ となるのは $x\gt4$ のとき、よって1次不等式 $\dfrac{2}{3}x-\dfrac{8}{3}\gt0$ の解は \[\boldsymbol{x\gt4}\] となる。
- 右図より、$\overbrace{-7x+2}^{yの値}\geqq0$ となるのは $x\leqq\dfrac{2}{7}$ のとき、よって1次不等式 $-7x+2\geqq0$ の解は \[\boldsymbol{x\leqq\dfrac{2}{7}}\] となる。
1次不等式の解
$a\gt0$ の場合の、1次不等式と1次関数の解の関係はつぎのようにまとめることができる。
$y=ax+b$ のグラフ | |
$ax+b=0$ の解 | $x=-\dfrac{b}{a}$ |
$ax+b\gt0$ の解 | $x\gt-\dfrac{b}{a}$ |
$ax+b\geqq0$ の解 | $x\geqq-\dfrac{b}{a}$ |
$ax+b\lt0$ の解 | $x\lt-\dfrac{b}{a}$ |
$ax+b\leqq0$ の解 | $x\leqq-\dfrac{b}{a}$ |
絶対値を含む1次関数・方程式・不等式
絶対値と方程式・不等式
絶対値でも学んだように、実数 $x$ の絶対値 $|x|$ は、数直線上での原点と実数 $x$ に対応する点との距離を表すので、次のことがいえる。
絶対値と方程式・不等式の関係
絶対値と方程式・不等式の関係の図
絶対値を含む $x$ の方程式、不等式に関して \begin{align} |x|=a\Leftrightarrow&~x=\pm\text{a}\\ |x|\lt a\Leftrightarrow&-a\lt{x}\lt{a}\\ |x|\gt a\Leftrightarrow&x\lt-a,a\lt{x} \end{align} ただし、$a\gt0$ とする。
絶対値を含む1次方程式・1次不等式
- $|x−1|=3$
- $|3x−2|=6$
- $|x+1|\gt4$
- $|5x-2|\leqq4$
- $(右辺)=3$ なので、$x-1=\pm3$ より、$\boldsymbol{x=-2,~4}$ である。
$\blacktriangleleft$ $x-1=-3$ のときは $x=-2$、$x-1=3$ のときは $x=4$ - $(右辺)=6$ なので、$3x-2=\pm6$ より \begin{align} &3x-2=\pm6\\ \Leftrightarrow~&3x=-4,8\\ \therefore~&\boldsymbol{x=-\dfrac{4}{3}~,~~\dfrac{8}{3}} \end{align}
- $(右辺)=4$ なので \begin{align} &x+1\lt-4または4{\lt}x+1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x\lt-5または3\lt{x}} \end{align}
- $(右辺)=4$ なので、$-4\leqq{5x-2}\leqq4$ より \begin{align} &-4\leqq5x-2\leqq4\\ \Leftrightarrow~&-2\leqq5x\leqq6\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{-\dfrac{2}{5}\leqq{x}\leqq\dfrac{6}{5}} \end{align}
場合に分けて絶対値を外す
以下のような問題では、場合に分けて絶対値を外す必要がある。(絶対値参照)
- 絶対値を含む1次関数の式のグラフを書く
- $(xの式)=a$ の形でない方程式・不等式を解く
絶対値を含む1次関数
次の式で与えられた関数のグラフを描け。
- $y=2x+|x−1|$
- $y=|x−4|$
- $x-1\geqq0$、つまり $1\leqq{x}$ のとき \begin{align} y=2x+(x-1)\\ =3x-1 \end{align}
- $x−1\lt0$、つまり $x\lt1$ のとき \begin{align} y=2x-(x-1)\\ =x+1 \end{align}
- $x-4\geqq0$、つまり $4\leqq{x}$ のとき \[y=x-4\]
- $x−4\lt0$、つまり $x\lt4$ のとき \begin{align} y=-(x-4)\\ =-x+4 \end{align}
絶対値を含む1次方程式
次の方程式を解け。
- $|x+1|=2x$
- $|3x−4|=x+8$
- $|2x−2|=x−4$
- $x+1\geqq0$、つまり \[-1\leqq{x}\tag{1}\label{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito1}\] のとき \begin{align} &x+1=2x\\ \Leftrightarrow~&x=1 \end{align} これは、$\eqref{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito1}$ に適している。
- $x+1\lt0$、つまり \[x\lt-1\tag{2}\label{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito2}\] のとき \begin{align} &-x-1=2x\\ \Leftrightarrow~&3x=-1\\ \therefore~&x=-\dfrac{1}{3} \end{align} これは、$\eqref{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito2}$ に適さない。
- $3x-4\geqq0$、つまり \[\dfrac{4}{3}\leqq{x}\tag{3}\label{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito3}\] のとき \begin{align} &3x-4=x+8\\ \Leftrightarrow~&2x=12\\ \therefore~&x=6 \end{align} これは、$\eqref{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito3}$ に適している。
- $3x−4\lt0$、つまり \[x\lt\dfrac{4}{3}\tag{4}\label{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito4}\] のとき \begin{align} &-3x+4=x+8\\ \Leftrightarrow~&4x=-4\\ \therefore~&x=-1 \end{align} これは、$\eqref{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito4}$ に適している。
- $2x-2\geqq0$、つまり \[1\leqq{x}\tag{5}\label{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito5}\] のとき \begin{align} &2x-2=x-4\\ \Leftrightarrow~&x=-2 \end{align} これは、$\eqref{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito5}$ に適さない。
- $2x−2\lt0$、つまり \[x\lt1\tag{6}\label{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito6}\] のとき \begin{align} &-2x+2=x-4\\ \Leftrightarrow~&-3x=-6\\ \therefore~&x=2 \end{align} これは、$\eqref{zettaitiwohukumu1jihotesikinokaito6}$ に適さない。
$\blacktriangleleft$ 実際、$y=|2x-2|$、$y=x-4$ のグラフを両方書いてみると、交点をもたない。
絶対値を含む1次不等式
-
次の不等式を解け。
- $|x+6|\gt 3x$
- $|2x-1|\leqq{x+2}$
- $x+6\geqq0$、つまり \[-6\leqq{x}\tag{1}\label{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito1}\] のとき \begin{align} &x+6\gt3x\\ \Leftrightarrow~&2x\lt6\\ \therefore~&x\lt3 \end{align} これと、$\eqref{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito1}$ を合わせて、$-6\leqq{x}\lt3$
- $x+6\lt0$、つまり \[x\lt-6\tag{2}\label{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito2}\] のとき \begin{align} &-x-6\gt3x\\ \Leftrightarrow~&4x\lt-6\\ \therefore~&x\lt-\dfrac{3}{2} \end{align} これと、$\eqref{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito2}$ を合わせて、$x\lt-6$
- $2x-1\geqq0$、つまり \[\dfrac{1}{2}\leqq{x}\tag{3}\label{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito3}\] のとき \begin{align} &2x-1\leqq{x+2}\\ \Leftrightarrow~&x\leqq3 \end{align} これと、$\eqref{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito3}$ を合わせて、$\dfrac{1}{2}\leqq{x}\leqq3$
- $2x−1\lt0$、つまり \[x\lt\dfrac{1}{2}\tag{4}\label{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito4}\] のとき \begin{align} &-2x+1\leqq{x+2}\\ \Leftrightarrow~&-\dfrac{1}{3}\leqq{x} \end{align} これと、$\eqref{zettaitiwohukumu1jifutosikinokaito4}$ を合わせて、$-\dfrac{1}{3}\leqq{x}\lt\dfrac{1}{2}$