2次方程式と2次関数
2次関数y=ax2+bx+cが与えられたとき、このグラフと2次方程式ax2+bx+c=0の間には密接な関係がある。ここではまず2次方程式の解法について復習し、その解が2次関数とどのような関係にあるか考えていく。
2次方程式とは
2次方程式とは
a≠0、b、c を定数として ax2+bx+c=0 という形で表すことのできる方程式を2次方程式 (quadratic equation) という。
与えられた2次方程式を満たす x の値を求めることを、その2次方程式を解くといい、 その x の値を、その2次方程式の解とよぶ。
2次方程式の解法
因数分解を利用した解法
2次方程式 ax2+bx+c=0 の左辺が因数分解できる場合には、実数 A、B についての積の性質 AB=0 ⟺ A=0 または B=0 をもちいて、次の例のように解くことができる。
なお、「または」はカンマ「,」で代用されることがある。
暗記2次方程式の解法(因数分解の利用)
2次方程式 3x2+2x−8=0 を、因数分解を使って解くことを考えよう。
左辺を因数分解すると、2次方程式は (x+A)(Bx−C)=0 と変形できる。
一般に、実数 P、Q について PQ=0 ⟺ P=0 または Q=0 が成り立つから、P=x+A、Q=Bx−C と考えれば x+A=0 または Bx−C=0 が成り立つ。
この2つの式は、1次方程式であり、それぞれ解くと x=−D , x=EF となり、これが2次方程式の解である。
\fbox{A}=\boldsymbol{2}、\fbox{B}=\boldsymbol{3}、\fbox{C}=\boldsymbol{4}、\fbox{D}=\boldsymbol{2}、\fbox{E}=\boldsymbol{4}、\fbox{F}=\boldsymbol{3}
2次方程式を解く(因数分解の利用)
次の2次方程式を解け。
- x^2-2x-15=0
- x^2-8x+16=0
- 12x^2-17x+6=0
- 3x^2+2x-3=-2x+1
- \dfrac{1}{9}x^2+x+2=0
- 左辺を因数分解して (x+3)(x-5)=0~\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=-3~,~5}
- 左辺を因数分解して (x-4)^2=0~\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=4}
- 左辺を因数分解して (4x-3)(3x-2)=0~\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=\dfrac{3}{4}~,~\dfrac{2}{3}}
- まず、式を整理すると 3x^2+4x-4=0 となるので、左辺を因数分解して (x+2)(3x-2)=0~\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=-2~,~\dfrac{2}{3}}
- 両辺を 9 倍すると x^2+9x+18=0 となるので、左辺を因数分解して (x+6)(x+3)=0~\Leftrightarrow~\boldsymbol{x=-6~,~-3}
吹き出し無題
2次方程式 ax^2+bx+c=0 の左辺が因数分解できる場合はこの解法で解こう。因数分解の訓練にもなるし、複雑な計算なしに解くことができる。
2次方程式の解の公式による解法
2次方程式 (x+2)^2=7 は以下のように解くことができる。 \begin{align} &(x+2)^2=7\\ \Leftrightarrow~&x+2=\pm\sqrt{7}\\ &x=-2\pm\sqrt{7} \end{align} 一般に、(x+p)^2=q の形 (q\geqq0) の2次方程式は、上のようにして解くことができる。つまり、一般の2次方程式 ax^2+bx+c=0 も、(x+p)^2=q の形に変形できれば解ける。
では、どのように変形すれば (x+p)^2=q という形になるのだろうか。それには、すでに学習した方法である『平方完成』(『y=ax^2+bx+c のグラフ』を参照)を使う。
暗記平方完成を利用した2次方程式の解法
『2次方程式の解法』の例題では、因数分解を利用して解いた2次方程式 3x^2+2x-8=0 を、今度は平方完成を使って解いてみよう。
まず、x^2 の係数 3 によって x^2 と x の項をくくると 3\left\{x^2+\dfrac{\fbox{A}}{\fbox{B}}x\right\}-8=0 \dfrac{\fbox{A}}{\fbox{B}}\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}} を利用して、中かっこ \{~~\} の中を平方完成すると \begin{align} &3\left\{\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2-\left(\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2\right\}-8=0\\ \Leftrightarrow~&3\left\{\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2-\dfrac{\fbox{E}}{\fbox{F}}\right\}-8=0\\ \Leftrightarrow~&3\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2-\dfrac{\fbox{G}}{\fbox{H}}-8=0\\ \Leftrightarrow~&\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2=\dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}} \end{align} 2乗して \dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}} になるので、x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}} は \dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}} の平方根であるから \begin{align} &x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}=\pm\sqrt{\dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}}}\\ \Leftrightarrow~&x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}=\pm\dfrac{\fbox{K}}{\fbox{L}}\\ \Leftrightarrow~&x=-\fbox{M}~,~~\dfrac{\fbox{N}}{\fbox{O}} \end{align} が解となる。
\fbox{A}=\boldsymbol{2}、\fbox{B}=\boldsymbol{3}、\fbox{C}=\boldsymbol{1}、\fbox{D}=\boldsymbol{3}、\fbox{E}=\boldsymbol{1}、\fbox{F}=\boldsymbol{9}、\fbox{G}=\boldsymbol{1}、\fbox{H}=\boldsymbol{3}、\fbox{I}=\boldsymbol{25}、\fbox{J}=\boldsymbol{9}、\fbox{K}=\boldsymbol{5}、\fbox{L}=\boldsymbol{3}、\fbox{M}=\boldsymbol{2}、\fbox{N}=\boldsymbol{4}、\fbox{O}=\boldsymbol{3}
以上のように、平方完成を利用すれば、一般の2次方程式を解くことができることがわかった。しかし、2次方程式を解くたびに平方完成を実行していたのでは大変なので、結果を公式化してみよう。
2次方程式の解の公式

\bigcirc^2=3 を満たす実数 \bigcirc は、\bigcirc=\pm\sqrt{3} であるが、\bigcirc^2=-3 を満たすような実数 \bigcirc は存在しない。同様に、上の式変形での \left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2=\dfrac{b^2-4ac}{4a^2} において、右辺にある「b^2-4ac」の値が 0 以上ならば、この2次方程式は解をもつが、「b^2-4ac」の値が負ならば、この2次方程式は解をもたない。
この b^2-4ac を2次方程式の判別式 (discriminant) といい、2次関数の場合と同じように D で表す。
2次方程式の解の公式
D=b^2-4ac\geqq0 のとき、ax^2+bx+c=0 の解は x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a} である。
2次方程式を解く(解の公式の利用)
次の2次方程式を解け。
- x^2+7x+2=0
- x^2+8x-3=0
- x^2-x-3=0
- x^2-4x+5=0
- 4x^2+6x+1=0
- \dfrac{1}{6}x^2+\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{3}=0
- 解の公式より \begin{align} &x^2+7x+2=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{-7\pm\sqrt{7^2-4\cdot1\cdot2}}{2\cdot1}\\ &~=\boldsymbol{\dfrac{-7\pm\sqrt{41}}{2}} \end{align}
- 解の公式より \begin{align} &x^2+8x-3=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{-8\pm\sqrt{8^2-4\cdot1\cdot(-3)}}{2\cdot1}\\ &~=\dfrac{-8\pm2\sqrt{19}}{2}=\boldsymbol{-4\pm\sqrt{19}} \end{align}
- 解の公式より \begin{align} &x^2+x-3=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1\pm\sqrt{(-1)^2-4\cdot1\cdot(-3)}}{2\cdot1}\\ &~=\boldsymbol{\dfrac{1\pm\sqrt{13}}{2}} \end{align}
- 解の公式より \begin{align} &x=\dfrac{4\pm\sqrt{(-4)^2-4\cdot1\cdot5}}{2\cdot1}\\ &~=\dfrac{4\pm\sqrt{-4}}{2} \end{align} \sqrt{-4} が意味をもたないため、答えは解なし。
- 解の公式より \begin{align} &4x^2+6x+1=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{-6\pm\sqrt{6^2-4\cdot4\cdot1}}{2\cdot4}\\ &~=\dfrac{-6\pm2\sqrt{5}}{8} =\boldsymbol{\dfrac{-3\pm\sqrt{5}}{4}} \end{align}
- 方程式の両辺に 6 を掛けて整理すると x^2+3x-2=0 解の公式より \begin{align} &x=\dfrac{-3\pm\sqrt{3^2-4\cdot1\cdot(-2)}}{2\cdot1}\\ &~=\boldsymbol{\dfrac{-3\pm\sqrt{17}}{2}} \end{align}
吹き出し無題
解の公式は暗記して、正確に使いこなせるようにしよう。
xの係数が偶数の場合の解の公式
2次方程式 ax^2+bx+c=0 において b が偶数の場合を考えてみよう。b=2b' とおいて、ax^2+2b'x+c=0 に解の公式を使うと次のようになる。
- 具体的な2次方程式 \begin{align} x^2+&8x+3=0\\ x=&\dfrac{-8\pm\sqrt{8^2-4\cdot1\cdot3}}{2}\\ =&\dfrac{-8\pm\sqrt{64-12}}{2}\\ =&\dfrac{-8\pm2\sqrt{13}}{2}\\ =&-4\pm\sqrt{13}\\ &\quad\blacktriangleleft 2で約分 \end{align}
- 一般の2次方程式 \begin{align} ax^2+&2b'x+c=0\\ x=&\dfrac{-2b'\pm\sqrt{(2b')^2-4ac}}{2a}\\ =&\dfrac{-2b'\pm\sqrt{4{b'}^2-4ac}}{2a}\\ =&\dfrac{-2b'\pm2\sqrt{{b'}^2-ac}}{2a}\\ =&\dfrac{-b'\pm\sqrt{{b'}^2-ac}}{a}\\ &\quad\blacktriangleleft 2で約分 \end{align}
x の係数が偶数の場合の解の公式
D\geqq0 のとき、2次方程式 ax^2+2b'x+c=0 の解は x=\dfrac{-b'\pm\sqrt{{b'}^2-ac}}{a} である(D\lt0 のときは解は存在しない)。
吹き出し無題
2次方程式 ax^2+2b'x+c=0 の判別式 D は D=(2b')^2-4ac=4(b'^2-ac) となるので、D の符号だけ判断したいときには、D/4=b'^2-ac を考えると計算が少し楽になる。
2次方程式を解く(解の公式の利用・x の係数が偶数の場合)
次の2次方程式を解け。
- x^2-6x+4=0
- \sqrt{2}x^2-4x-\sqrt{2}=0
- 2(2-\sqrt{3})x^2+2(1-\sqrt{3})x+1=0
- x の係数が偶数の場合の解の公式より \begin{align} &x^2-6x+4=0\\ \Leftrightarrow~&x=3\pm\sqrt{(-3)^2-1\cdot4}=\boldsymbol{3\pm\sqrt{5}} \end{align} \begin{align} &\blacktriangleleft ax2+2b'x+c=0の解\\ &x=\dfrac{-{b'}\pm\sqrt{{b'}^2-ac}}{a} \end{align}
- 方程式の両辺に \sqrt{2} を掛けて整理すると
\begin{align}
&2x^2-4\sqrt{2}x-2=0\\
\Leftrightarrow&x^2-2\sqrt{2}x-1=0
\end{align}
\blacktriangleleft x^2 の係数は有理数にしておくとよい(解の分母を有理化しなくて済む)
x の係数が偶数の場合の解の公式より \begin{align} x&=\sqrt{2}\pm\sqrt{(-\sqrt{2})^2-1\cdot(-1)}\\ &=\boldsymbol{\sqrt{2}\pm\sqrt{3}} \end{align} - 方程式の両辺に 2+\sqrt{3} を掛けて整理すると \begin{align} &2(4-3)x^2\\ &\quad+2(-1-\sqrt{3})x+(2+\sqrt{3})=0\\ \Leftrightarrow~&2x^2-2(1+\sqrt{3})x+2+\sqrt{3}=0 \end{align} \blacktriangleleft まず x^2 の係数は有理数にしておくとよい(解の分母を有理化しなくて済む) x の係数が偶数の場合の解の公式より \begin{align} x=&\bigg\{\left(1+\sqrt{3}\right)\pm\\ &\sqrt{\left\{-\left(1+\sqrt{3}\right)\right\}^2-2\cdot\left(2+\sqrt{3}\right)}\bigg\}\\ &\div2\\ =&\dfrac{1+\sqrt{3}\pm\sqrt{4+2\sqrt{3}-4-2\sqrt{3}}}{2}\\ =&\boldsymbol{\dfrac{1+\sqrt{3}}{2}} \end{align}
2次方程式の解の個数
解自体ではなく解の個数だけならば、判別式 D を調べればよい。
2次方程式の判別式と解の個数
2次方程式 ax^2+bx+c=0 の解について
- D=b^2−4ac\gt0 のとき、解は2つ存在する。
D=b^2−4ac=0 のとき、解は1つ存在する。
このただ1つの解は重解 (multiple solution) とよばれる。
- D=b^2−4ac\lt0 のとき、解は存在しない。
吹き出し2次方程式の解の個数
D=0 のとき、2次方程式 ax^2+bx+c=0 の解は x=\dfrac{-b+\sqrt{0}}{2a},~~\dfrac{-b-\sqrt{0}}{2a} であり、どちらも x=-\dfrac{b}{2a} に等しい。本来2つあるはずの値が等しくなり、解が重なってしまったので、その解を重解とよぶのである。
2次方程式の解の個数の判別
2次方程式 x^2-(k-1)x+\dfrac{1}{4}k^2+k+1=0 の解の個数は、定数 k の値によってどのように変わるか調べよ。
2次方程式 x^2-(k-1)x+\dfrac{1}{4}k^2+k+1=0 の判別式を D とすると \begin{align} D&=\{-(k-1)\}^2-4\cdot1\cdot\left(\dfrac{1}{4}k^2+k+1\right)\\ &=k^2-2k+1-k^2-4k-4\\ &=-6k-3 \end{align}
-6k-3\gt0、つまり k\lt-\dfrac{1}{2} のとき
D\gt0 となり、方程式の解は2つ存在する。
-6k-3=0、つまり k=-\dfrac{1}{2} のとき
D=0 となり、方程式の解は1つ存在する。
\blacktriangleleftつまり重解をもつ-6k-3\lt0、つまり k\gt-\dfrac{1}{2} のとき
D\lt0 となり、方程式の解は存在しない。
- \boldsymbol{k\lt-\dfrac{1}{2}のとき2個}
- \boldsymbol{k=-\dfrac{1}{2}のとき1個}
- \boldsymbol{k\gt-\dfrac{1}{2}のとき0個}
2次方程式の解の個数の判別(xの係数が偶数の場合)
2次方程式 3x^2-2(m+1)x+\dfrac{1}{3}m^2+m=0 の解の個数は、定数 m の値によってどのように変わるか調べよ。
2次方程式 3x^2-2(m+1)x+\dfrac{1}{3}m^2+m=0 の判別式を D とすると \begin{align} \frac{D}{4}=&\{-(m+1)\}^2-3\cdot\left(\dfrac{1}{3}m^2+m\right)\\ =&m^2+2m+1-m^2-3m\\ =&-m+1 \end{align} \blacktriangleleft x の係数が偶数の場合の解の公式参照
-m+1\gt0、つまり m\lt1 のとき
\dfrac{D}{4}\gt0 となり、方程式の解は2つ存在する。
-m+1=0、つまり m=1 のとき
\dfrac{D}{4}=0 となり、方程式の解は1つ存在する。
\blacktriangleleft 重解をもつ-m+1\lt0、つまり m\gt1 のとき
\dfrac{D}{4}\lt0 となり、方程式の解は存在しない。
- \boldsymbol{m\lt1のとき2個}
- \boldsymbol{m=1のとき1個}
- \boldsymbol{m\gt1のとき0個}
2次方程式の解と因数分解
ここまで、2次方程式の解法が2つあることをみてきたが、その2つを見比べてみよう。
- 因数分解を利用した解法 \begin{align} &x^2-3x-18=0\\ &(x-6)(x+3)=0\\ &\quad\blacktriangleleft 左辺の因数分解\\ &x=6,-3\\ &\quad\blacktriangleleft 方程式の解 \end{align}
- 解の公式を用いた解法 \begin{align} &x^2-5x-3\\ &???\\ &\quad\blacktriangleleft 左辺の因数分解\\ &x=\dfrac{5\pm\sqrt{5^2-4\cdot 1\cdot(-3)}}{2}\\ &\quad=\dfrac{5\pm\sqrt{37}}{2}\\ &\quad\blacktriangleleft 方程式の解 \end{align}
一般に、2解
=x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta が成立する。ここで
\begin{align}
x^2+ax+b=x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta
\end{align}
の係数を比較すると、次のようになる。
解と係数の関係
2次方程式 x^2+ax+b=0 に2解 \alpha、\beta が存在するとき \alpha+\beta=-a~,~\alpha\beta=b が成立する。
吹き出し2次方程式の解と因数分解
解を足したら x 係数にマイナスをつけたもの、解を掛けたら定数項になると覚えよう。
なお、2次方程式 ax^2+bx+c=0 の2解が \alpha、\beta の場合には、この方程式全体を a で割ることによって、x^2+\dfrac{b}{a}x+\dfrac{c}{a}=0 としてから考えればよい。つまり、\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a}、\alpha\beta=\dfrac{c}{a} となる。
解と係数の関係
2次方程式 2x^2+ax+b=0 の2解が x=\dfrac{1}{2}、-1 であったとき、a、b を求めよ。
2x^2+ax+b=0 の両辺を 2 で割って、
x^2+\dfrac{a}{2}x+\dfrac{b}{2}=0
となる。この2次方程式の2解が x=\dfrac{1}{2}、-1 になるので
\dfrac{1}{2}+(-1)=-\dfrac{a}{2}~,~\dfrac{1}{2}\times(-1)=\dfrac{b}{2}
\blacktriangleleft~-\dfrac{a}{2}の符号に注意
これより、\boldsymbol{a=1,~b=-1} である。
\blacktriangleleft実際に 2x^2+x-1=0 を解いて確認しよう
2次方程式と2次関数の関係
2次関数から2次方程式を考える
2次関数 f(x)=ax^2+bx+c において、2次関数の判別式 D=b^2−4ac が 0 以上であれば、放物線 y=f(x) が x 軸と共有点をもつ。
\blacktriangleleft 判別式 D と放物線の関係このとき、「共有点の x 座標」を求めることを考えてみよう。
たとえば、2次関数 f(x)=x^2-x-2 について、放物線 y=f(x) と x 軸の共有点の座標を求めてみよう。
y=x^2-x-2 のグラフ

y=f(x)=x^2-x-2 における判別式 D の値は \begin{align} D=&1^2-4\times1\times(-2)\\ =&9>0 \end{align} と計算できるので、y=f(x) のグラフは x 軸と2つの共有点をもつのがわかる。
グラフと x 軸との共有点

このグラフによる x 軸との共有点の y 座標は 0 である。よって、共有点の x 座標は x^2-x-2=0 という2次方程式の解である。この方程式の解は、左辺を因数分解することにより \begin{align} &(x+1)(x-2)=0\\ \Leftrightarrow&x+1=0~,~x-2=0\\ \Leftrightarrow&x=-1~,~x=2 \end{align} と求めることができる。
つまり、y=f(x) のグラフと x 軸との共有点の x 座標は -1 と 2 である。
暗記2次関数から2次方程式を考える
y=x^2-3x-3 のグラフ

グラフと x 軸との共有点

2次関数 f(x)=x^2-3x-3 について、放物線 y=f(x) と x 軸の共有点の座標を求めたい。次の空欄に適当な数字を入れよ。
y=f(x)=x^2-3x-3 における判別式 D の値は D=\fbox{A}\gt0 と計算できるので、y=f(x) のグラフは x 軸と2つの共有点をもつのがわかる。
このグラフによる x 軸との共有点の y 座標は \fbox{B} である。よって、共有点の x 座標は x^2-3x-3=\fbox{B} という2次方程式の解である。
この式は簡単には因数分解できないので、解の公式を用いて解を求める。
\blacktriangleleft2次方程式の解の公式参照x=\dfrac{\fbox{C}\pm\sqrt{\fbox{A}}}{\fbox{D}} すなわち、y=f(x) のグラフと x 軸との共有点の x 座標は \dfrac{\fbox{C}-\sqrt{\fbox{A}}}{\fbox{D}} と \dfrac{\fbox{C}+\sqrt{\fbox{A}}}{\fbox{D}} である。
\fbox{A}=\boldsymbol{21}、\fbox{B}=\boldsymbol{0}、\fbox{C}=\boldsymbol{3}、\fbox{D}=\boldsymbol{2}
\blacktriangleleft~\fbox{A}の計算 D=(-3)^2-4\cdot1\cdot(-3)=21
\blacktriangleleft~\fbox{C}、\fbox{A}、\fbox{D}の計算 x=\dfrac{-(-3)\pm\sqrt{21}}{2\cdot1}=\dfrac{3\pm\sqrt{21}}{2}
放物線と x 軸との共有点
グラフと x 軸との共有点

判別式 D が 0 以上である2次関数
y=\color{red}{ax^2+bx+c}
のグラフと x 軸 (y=0) との共有点の x 座標は
2次方程式
\color{red}{ax^2+bx+c}=0
の解である。
放物線と x 軸との共有点を調べる
次の放物線の、x 軸との共有点の数を調べよ。また、x 軸との共有点があれば、その共有点の座標を求めよ。
- y=x^2-x-1
- y=-4x^2+4x-1
- y=x^2-x+1
判別式を D とすると D=(-1)^2-4\cdot(-1)=5\gt0 なので、\boldsymbol{x}軸と2つの共有点をもつ。
また \begin{align} &x^2-x-1=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1\pm\sqrt{5}}{2} \end{align} \blacktriangleleft 2次方程式の解の公式
だから、このグラフと x 軸の共有点の座標は\boldsymbol{\left(\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}~,~0\right)}、\boldsymbol{\left(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}~,~0\right)}となる。判別式を D とすると \dfrac{D}{4}=2^2-(-4)\cdot(-1)=0 \blacktriangleleft またはD=4^2-4\cdot(-4)\cdot(-1)=0
なので、\boldsymbol{x}軸と1つの共有点をもつ(接する)。また \begin{align} &-4x^2+4x-1=0\\ \Leftrightarrow~&4x^2-4x+1=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-1)^2=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1}{2} \end{align} だから、このグラフと x 軸の共有点の座標は\boldsymbol{\left(\dfrac{1}{2}~,~0\right)}となる。
判別式を D とすると D=(-1)^2-4=-3\lt0 なので、\boldsymbol{x}軸と共有点をもたない。
x 軸と接するための条件
2次関数 y=4x^2+2(k-1)x-k+4 のグラフが x 軸と接するように、定数 k の値を定めよ。
2次関数 y=4x^2+2(k-1)x-k+4 の判別式を D とすると
\begin{align}
\dfrac{D}{4}=&(k-1)^2-4(-k+4)\\
=&k^2-2k+1+4k-16\\
=&k^2+2k-15
\end{align}
\blacktriangleleft または D=4k^2+8k-60
放物線が x 軸と接するのは D=0 のときであるから
\blacktriangleleft 判別式 D と放物線の関係参照
\begin{align}
&k^2+2k-15=0\\
\Leftrightarrow~&(k+5)(k-3)=0\\
\therefore~&\boldsymbol{k=-5~,~3}
\end{align}
\begin{align}
{\blacktriangleleft}&k=-5\rightarrow~y=2\left(x-\frac{3}{2}\right)^2\\
&k=3~\rightarrow~y=2\left(x+\frac12\right)^2
\end{align}
になる
2次関数の決定において、x 軸との共有点がわかっている場合を考えてみよう。
放物線 y=ax^2+bx+c と x 軸との交点の x 座標が -3、1 であったとする。このとき、放物線と x 軸との共有点で学んだように、ax^2+bx+c=0 の解も -3、1 である。
さらに、解と係数の関係で学んだことを用いると「方程式 ax^2+bx+c=0」と「方程式 (x+3)(x-1)=0」は一致している。x^2 の係数をあわせて、ax^2+bx+c=a(x+3)(x-1) とわかる。
2次関数の決定(x 軸との交点の座標が与えられた場合)
グラフと x 軸との交点の座標が (-1,~0)、(2,~0) であり、点 (1,~-2) を通る2次関数の式を求めよ。
x 軸との交点の x 座標が -1、2 なので、求める2次関数は y=a(x+1)(x-2)\tag{1}\label{2jikansukara2jihotesikiwokangaeru} とおける。
また、この2次関数は (1,~-2) を通るので,\eqref{2jikansukara2jihotesikiwokangaeru}より -2=a(1+1)(1-2) を得る。これより、a=1 となるので、求める2次関数は y=(x+1)(x-2)、つまり \boldsymbol{y=x^2-x-2} となる。
2次方程式から2次関数を考える
次は、2次関数から2次方程式を考えてみよう。「放物線と x 軸との共有点」を逆に考えれば、次のことがわかる。
2次方程式の解をグラフに表す
グラフと x 軸との共有点

判別式 D が 0 以上である2次方程式 \color{red}{ax^2+bx+c}=0 の解は、2次関数 y=\color{red}{ax^2+bx+c} のグラフと x 軸との「共有点の x 座標」に表れる。
この事実について、もう少し深く考察してみよう。
たとえば、2次方程式 4x^2-12x+9=0\tag{1}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru1} の解について考える。 ここで、上の2次方程式の左辺を y とおいた2次関数 y=4x^2-12x+9\tag{2}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2} のグラフと、x 軸との交点の x 座標は、方程式 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru1} の解と一致する。
なぜなら、この x座標は、2次関数の式 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2} に y=0 を代入した 4x^2-12x+9=0 を解くことによって求められるからである。
グラフと x 軸との共有点

いま、この2次関数 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2} の判別式 D は \begin{align} D=&(-12)^2-4\times4\times9\\ =&144-144=0 \end{align} となるので、この放物線は x 軸と1つの共有点をもつ。
実際、この2次方程式を因数分解してみると \begin{align} &4x^2-12x+9=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-3)^2=0\\ \Leftrightarrow~&2x-3=0 \end{align} より、x=\dfrac{3}{2} となり、これが x 軸との交点の x 座標となっている。
暗記2次方程式から2次関数を考える
2次方程式から2次関数を考える

次の空欄に適当な数字または文字を入れよ。
2次方程式 x^2-4x+5=0\tag{3}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3} の解について考える。
ここで、上の2次方程式の「左辺を y とおいた2次関数」 \fbox{A}=x^2-4x+5\tag{4}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4} のグラフと、x 軸との交点の x 座標は、方程式 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3} の解と一致する。
なぜなら、この x 座標は、2次関数の式 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4} に \fbox{A}=\fbox{B} を代入した x^2-4x+5=\fbox{B} を解くことによって求めるからである。
いま、この2次関数 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4} の判別式 D は D=\fbox{C}\lt0 となるので、この放物線は x 軸と共有点をもたない。
実際、2次方程式 \eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3} の判別式も D=\fbox{C}\lt0 となり、\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}を満たす実数 x は存在しないことがわかる。
\fbox{A}=\boldsymbol{y}、\fbox{B}=\boldsymbol{0}、\fbox{C}=\boldsymbol{-4}
{\blacktriangleleft}~\fbox{C} の計算
D=(-4)^2-4\cdot1\cdot5=16-20=-4
以上のことから、次のことがまとめられる。
「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと x 軸との共有点の x 座標」の対応
グラフと x 軸との共有点

2次方程式 \color{red}{ax^2+bx+c}=0 の解は、この式の左辺を y とおいた2次関数 y=\color{red}{ax^2+bx+c} のグラフと x 軸との交点の x 座標と一致する。
判別式 D=b^2-4ac の符号と、2次関数 y=ax^2+bx+c のグラフと x 軸との位置関係、および2次方程式 ax^2+bx+c=0 の解の個数について、次のようにまとめられる。
「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと x 軸との共有点の x 座標」の対応の表

連立方程式と関数
曲線の交点
放物線 y=x^2-4x+5 と直線 y=2x-3 の交点の座標 (x,~y) は \begin{align} &y=x^2-4x+5\tag{1}\label{kyokusennokouten1}\\ &y=2x-3\tag{2}\label{kyokusennokouten2} \end{align} を同時に満たす (x,~y) であり、連立方程式 \eqref{kyokusennokouten1}、\eqref{kyokusennokouten2} を解けば求められる。
y=x^2-4x+5 と y=2x-3 のグラフ

\eqref{kyokusennokouten1} を \eqref{kyokusennokouten2} の左辺に代入してこれを解くと \begin{align} &x^2-4x+5=2x-3\\ \Leftrightarrow~&x^2-6x+8=0\\ \therefore~~&x=2,~4 \end{align} となる。そこで y を求めれば
- x=2 のとき \eqref{kyokusennokouten2} より y=1
- x=4 のとき \eqref{kyokusennokouten2} より y=5
放物線と直線・放物線の交点
放物線 C:y=x^2-2x+3 について
- 直線 L_1:y=-x+5 との交点を求め、C と L_1 のグラフを描け。
- 放物線 C_1:y=-x^2-x+6 との交点を求め、C と C_1 のグラフを描け。
- 直線 L_2:y=-2x-k との共有点が1つであるように、k の値を定めよ。また、そのときの C と L_2 のグラフを描け。
- 放物線 C_2:y=3x^2+2ax+a+4 との共有点が1つであるように、a の値を定めよ。また、そのときの C と C_2 のグラフを描け。
C と L_1 の交点の座標は、連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=-x+5 \end{cases} の解に一致する。
y=-x+5 の左辺に y=x^2-2x+3 を代入してこれを解くと \begin{align} &x^2-2x+3=-x+5\\ \Leftrightarrow~&x^2-x-2=0\\ \therefore~~&x=2,~-1 \end{align}
となる。y=-x+5 に代入して y を求めれば- x=-1 のとき y=6
- x=2 のとき y=3
グラフは。右図のようになる。
C と C_1 の交点の座標は、連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=-x^2-x+6 \end{cases} の解に一致する。
y=-x^2-x+6 の左辺に y=x^2-2x+3 を代入してこれを解くと \begin{align} &x^2-2x+3=-x^2-x+6\\ \Leftrightarrow~&2x^2-x-3=0\\ \therefore~~&x=\dfrac{3}{2},~-1 \end{align}
となる。y=-x^2-x+6 によって y を求めれば- x=\dfrac{3}{2} のとき y=\dfrac{9}{4}
- x=-1 のとき y=6
グラフは、右図のようになる。
2つのグラフの共有点が1つであるには、連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=-2x-k \end{cases} の解が重解であればよい。
y=-2x-k の左辺に y=x^2-2x+3 を代入して \begin{align} &x^2 -2x+3 =-2x-k\\ \Leftrightarrow~&x^2+3+k=0 \end{align} となる。x^2+3+k=0 の判別式を D が 0 となればよいので、
{\blacktriangleleft}~x の係数は 0 である。 \begin{align} &\dfrac{D}{4}=0^2-1\cdot(3+k)=0\\ \therefore~~&\boldsymbol{k=-3} \end{align} このとき、直線 L_2 を表す式は y=-2x+3 となる。また、C と L_2 の共有点は、再び連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=-2x+3 \end{cases} を解いて (x,~y)=(0,~3)。
つまり、グラフは右図のようになる。
2つのグラフの共有点が1つであるには、連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=3x^2+2ax+a+4 \end{cases} の解が重解であればよい。
y=3x^2+2ax+a+4 の左辺へ y=x^2-2x+3 を代入して \begin{align} &x^2-2x+3=3x^2+2ax+a+4\\ \Leftrightarrow~&2x^2+(2a+2)x+a+1=0 \end{align} となる。2x^2+(2a+2)x+a+1=0 の判別式を D が 0 となればよいので、 \begin{align} &\dfrac{D}{4}=(a+1)^2-2\cdot(a+1)=0\\ &a^2-1=0\\ \therefore~~&\boldsymbol{a=1,~-1} \end{align}
a=1 のとき
放物線 C_2 を表す式は y=3x^2+2x+5 となる。C と C_2 の共有点は、再び連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=3x^2+2x+5 \end{cases} を解いて (x,~y)=(-1,~6)。グラフは、右図のようになる。
a=-1 のとき
放物線 C_2 を表す式は y=3x^2-2x+3 となる。C と C_2 の共有点は、再び連立方程式 \begin{cases} y=x^2-2x+3\\ y=3x^2-2x+3 \end{cases} を解いて (x,~y)=(0,~3)。グラフは、右図のようになる。
放物線と直線、放物線と放物線の共有点が1点のとき、その2つのグラフはその点で接するといい、その共有点を接点という。
たとえば上の例題の3では、直線 L_2 と放物線 C は接していて、その接点は (0,~3) である。