空間ベクトルの成分表示
空間ベクトルを成分で表す
無題
「平面ベクトルを成分で表す」と同じように,今度は座標空間内にあるベクトル の成分を用いた表し方についてみていこう.
右図のように,座標空間内に2 点
\[\text{A}(a_x, a_y, a_z),\text{B}(b_x, b_y, b_z)\]があるとき,$\overrightarrow{\text{AB}}$ を
- $x$ の増分: $b_x − a_x$
- $y$ の増分: $b_y − a_y$
- $z$ の増分: $b_z – a_z$
を用いて,$\overrightarrow{\text{AB}} = \left( \begin{array}{c} b_x − a_x\\ b_y − a_y\\ b_z – a_z\\ \end{array} \right) $と表すことにする.
$b_x – a_x$ の値を$\boldsymbol{x}$ 成分(x-component) ,$b_y – a_y$ の値を$\boldsymbol{y}$ 成分(y-component) ,$b_z – a_z$ の値を$\boldsymbol{z}$ 成分(z-component) という.
成分表示された空間ベクトルの相等
「成分表示された平面ベクトルの相等」は,空間ベクトルの場合にも拡張される.
一般に,2 つの$\vec{a} = \left( \begin{array}{c} a_x\\ a_y\\ a_z\\ \end{array} \right) ,\vec{b} = \left( \begin{array}{c} b_x\\ b_y\\ b_z\\ \end{array} \right)$ の相等に関して
\[\vec{a} = \vec{b} \Longleftrightarrow \left\{ \begin{array}{l} a_x = b_x\\ a_y = b_y\\ a_z = b_z\\ \end{array} \right. \]が成り立つ.
成分表示された空間ベクトルの大きさ
無題
空間ベクトル$\overrightarrow{\text{OP}} = \left( \begin{array}{c} x\\ y\\ z\\ \end{array} \right)$ の大きさは,線分$\text{OP}$の長さである.いま,この線分の長さを求めてみよう.
点$\text{P}$ から,$xy$ 平面に下ろした垂線の足を$\text{H}$とすると,$\text{H}$の座標は$(x, y, 0)$であるから,三平方の定理より
\[\text{OH}^2 = x^2 + y^2\]である.また,$\triangle \text{POH}$ は$\text{H}$ を直角とする直角三角形であるから,再び三平方の定理より
\[\text{OP}^2 = \text{OH}^2 + \text{PH}^2 = x^2 + y^2 + z^2\]となり
\[\text{OP} =\sqrt{x^2 + y^2 + z^2}\]と計算できる.
これより,2 点,$\text{A}(a_x, a_y, a_z),\text{B}(b_x, b_y, b_z)$ 間の距離は, $\overrightarrow{\text{AB}} = \left( \begin{array}{c} b_x − a_x\\ b_y − a_y\\ b_z − a_z\\ \end{array} \right)$ を用いて
\begin{align} &\text{AB} =\left|\overrightarrow{\text{AB}}\right|\\ &=\sqrt{(b_x − a_x)^2 + (b_y − a_y)^2 + (b_z − a_z)^2} \end{align}と計算できる.