多項式

単項式とは何か

$3abx^2$ のように、いくつかの文字や数を掛け合わせてできる式を単項式 (monomial) という。

係数の図

係数の図

単項式において、数の部分を係数 (coefficien) といい、掛け合わせる文字の個数を次数 (degree) という。たとえば、$3abx^2$ の係数は $3$ で、次数は $4$ である(右図参照)。

特に、$1$ や $-3$ などの数は、文字を含まない単項式とみなし、次数は $0$ とする。ただし、単項式 $0$ については次数を考えないものとする。

また、$0$ でない2つの単項式について、次数が $m$ の式と次数が $n$ の式の積は、次数 $m+n$ の式になる。

単項式において、特定の文字に着目することがある。このとき、その他の文字を数と同様に扱う。たとえば、単項式 $3abx^2$ では以下のようになる。

文字 $x$ の単項式と考えた場合$3abx^2=(3ab)x^2$、次数は $2$、係数は $3ab$
文字 $a$ の単項式と考えた場合$3abx^2=(3bx^2)a$、次数は $1$、係数は $3bx^2$

単項式の次数

次の多項式について、[ ]内の文字に着目したときの次数と係数を答えよ。

  1. $3x^4y^5$ [$x$], [$y$], [$x$と$y$]
  2. $2abxy^2$ [$x$], [$y$], [$x$と$y$]

    1. $x$ に着目すると、次数は $\boldsymbol{4}$、係数は $\boldsymbol{3y^5}$ である。
    2. $y$ に着目すると、次数は $\boldsymbol{5}$、係数は $\boldsymbol{3x^4}$ である。
    3. $x$ と $y$ に着目すると、次数は $\boldsymbol{9}$、係数は $\boldsymbol{3}$ である。
    1. $x$ に着目すると、次数は $\boldsymbol{1}$、係数は $\boldsymbol{2aby^2}$ である。
    2. $y$ に着目すると、次数は $\boldsymbol{2}$、係数は $\boldsymbol{2abx}$ である。
    3. $x$ と $y$ に着目すると、次数は $\boldsymbol{3}$、係数は $\boldsymbol{2ab}$ である。

多項式とは何か

$2a-3b2+ab$ のように、いくつかの単項式の和や差として表される式を多項式 (polynomial) という(整式 (integralexpression) ともいう)。

多項式の項のうち、文字の部分が同じであるものを同類項 (similarterm) という。多項式は、同類項を1つにまとめて簡単にすることができる。

たとえば、多項式 $5a^2b+3ab−a^2b+2ab$ は、次のようにまとめることができる。 \begin{align} &5a^2+3ab-ab^2+2ab\\ &=(5-1)a^2b+(3+2)ab\\ &\blacktriangleleft 同類項どうしは係数を合わせて1つにまとめる\\ &=4a^2b+5ab \end{align}

多項式においても、特定の文字以外を、数とみなすことがある。

$0$ 次の項のことを、定数項 (constant term) という。

多項式の次数

次の多項式を同類項でまとめよ。また、[]内の文字に着目したとき何次式か。

  1. $x^3+xy^2-3xy^2[x]、[y]$
  2. $\begin{align}x^4&+(a^2-a)x^3y+2bxy^2\\&+ax^3y-4bxy^2[x]、[y]\end{align}$

  1. 同類項でまとめると \[x^3+xy^2-3xy^2=x^3-2xy^2\]
    1. $x$ に着目すると、項 $x^3$ の次数は $3$、項 $2xy^2$ の次数は $1$ であるから、
      3次式
      である。
    2. $y$ に着目すると項 $x^3$ の次数は $0$ (定数項)、項 $-2xy^2$ の次数は $2$ であるから、
      2次式
      である。
  2. 同類項でまとめると \begin{align} &x^4+(a^2-a)x^3y\\ &+2bxy^2+ax^3y-4bxy^2\\ =&x^4+(a^2-a+a)x^3y+(2-4)bxy^2\\ =&\boldsymbol{x^4+a^2x^3y-2bxy^2} \end{align}
    1. $x$ に着目すると項 $x^4$ の次数は $4$、項 $a^2x^3y$ の次数は $3$、項 $-2bxy^2$ の次数は $1$ であるから、
      4次式 である。
    2. $y$ に着目すると項 $x^4$ の次数は $0$、項 $a^2x^3y$ の次数は $1$、項 $-2bxy^2$ の次数は $2$ であるから、
      2次式 である。

降べき・昇べきの順

多項式は、ある文字に着目した次数についてまとめると、式が扱いやすい。

たとえば、多項式 $-3x^2-7+4x^3+x$ を

  • ($x$ について)次数が低くなる順に整理すると $4x^3-3x^2+x-7$
  • ($x$ について)次数が高くなる順に整理すると $-7+x-3x^2+4x^3$
となる。 一般には、次のようにいわれる。
  • 次数が低くなる順に多項式を整理することを降べきの順 (descending order of power) に整理するといい
  • 次数が高くなる順に多項式を整理することを昇べきの順 (ascending order of power) に整理するという。

吹き出し降べきの順

今後は基本的に、降べきの順に整理する習慣をつけよう。
いくつかの例外を除き(その場合は降べきの順でなくてよい)ほとんどの場合、それによって式の見通しがよくなる。

降べきの順

次の多項式を $x$ について降べきの順に整理し、各項の係数をいえ。

  1. $3x^2-12xy+4+3x^2-2x+5$
  2. $2x^2+2y^2-3xy+4y^2+2xy-x^2$

  1. まず同類項でまとめてから、降べきの順に整理する。 \begin{align} &3x^2-12xy+4+3x^2-2x+5\\ =&(3+3)x^2+(-12y-2)x+(4+5)\\ =&\boldsymbol{6x^2+(-12y-2)x+9} \end{align} これより、$x^2$ の係数は $6$、$x$ の係数は $-12y-2$、定数項は $9$ である。
  2. まず同類項でまとめてから、降べきの順に整理する。 \begin{align} &2x^2+2y^2-3xy+4y^2+2xy-x^2\\ =&(2-1)x^2+(2-3)xy+(2+4)y^2\\ =&\boldsymbol{x^2-xy+6y^2} \end{align} これより、$x^2$ の係数は $1$、$x$ の係数は $-y$、定数項は $6y^2$ である。