1次関数の決定

変化の割合と傾き$a$

関数 $f(x)$ において、ある $x$ の範囲における「$x$ の増加量に対する $f(x)$ の増加量の比」を,その $x$ の範囲における変化の割合 (rateofchange) という。

$x$ 座標が,$x_0$ から $x_1$ に増加するときの $f(x)$ の変化の割合は \begin{align} (変化の割合)&=\dfrac{(f(x)の増加量)}{(xの増加量)}\\ &=\dfrac{f(x_1)-f(x_0)}{x_1-x_0} \end{align}

変化の割合と傾きの関係の図

変化の割合と傾きの関係の図

右図のように、直線 $y=ax+b$ が異なる2点 $(x_0,~ax_0+b)$、$(x_1,~ax_1+b)$ を通るとき

\begin{align} &(変化の割合)\\ =&\frac{(ax_1+b)-(ax_0+b)}{x_1-x_0}\\ =&\frac{ax_1-ax_0}{x_1-x_0}\\ =&\frac{a(x_1-x_0)}{x_1-x_0}\\ =&a\end{align} となり、1次関数の変化の割合は傾きと等しいことがわかる。

直線の傾き $a$

直線の傾きの図

直線の傾きの図

  • 1次関数の変化の割合は、常にそのグラフの傾きに等しい。
  • 異なる2点 $(x_0,~y_0)$、$(x_1,~y_1)$ を通る直線の傾き $a$ は次の式で求められる。 \[a=\dfrac{y_1-y_0}{x_1-x_0}\left(=\dfrac{\text{(yの増加量)}}{\text{(xの増加量)}}\right)\]

傾き $a$ を求める

次の条件にあった1次関数の傾きを求めよ。

  1. $x$ が $3$ 増えれば $y$ は $6$ 増える1次関数
  2. $x$ が $3$ 増えれば $y$ は $6$ 減る1次関数
  3. グラフが2点 $(0,~0)$、$(3,~6)$ を通る1次関数
  4. グラフが2点 $(-3,~5)$、$(2,~-5)$ を通る1次関数

  1. $(傾き)=\dfrac{\text{(yの増加量)}}{\text{(xの増加量)}}=\dfrac{6}{3}=\boldsymbol{2}$
  2. $(傾き)=\dfrac{\text{(yの増加量)}}{\text{(xの増加量)}}=\dfrac{-6}{3}=\boldsymbol{-2}$
    $\blacktriangleleft$ 「$6$ 減る」ことと「$-6$ 増える」ことは同じ
  3. 傾きは $\dfrac{6-0}{3-0}=\boldsymbol{2}$
    $\blacktriangleleft$ 直線の傾き $a$ 参照
  4. 傾きは$\dfrac{-5-5}{2-(-3)}=\dfrac{-10}{5}=\boldsymbol{-2}$
    $\blacktriangleleft$ 直線の傾き $a$ 参照

1次関数を決定する

$y=a(x-p)+q$ のグラフで学んだことを用い、条件に合った1次関数の式を求めてみよう。

直線の傾きと通る1点が与えられた場合

グラフが次の条件を満たす1次関数を求めよ。

  1. 傾きが $3$ で、点 $(2,~1)$ を通る。
  2. 傾きが $2$ で、$y$ 切片が $1$ である。
  3. 傾きが $2$ で、$x$ 切片が $3$ である。

  1. 傾きが $3$ で、点 $(2,~1)$ を通る直線の方程式は \begin{align} &y=3(x-2)+1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=3x-5}\\ &\blacktriangleleft y=a(x-p)+qのグラフ \end{align}
  2. $y$ 切片が $1$ であるということは、点 $(0,~1)$ を通るということであるから \begin{align} &y=2(x-0)+1\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=2x+1}\\ &\blacktriangleleft y=a(x-p)+qのグラフ \end{align}
  3. $x$ 切片が $3$ であるということは、点 $(3,~0)$ を通るということであるから \begin{align} &y=2(x-3)+0\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=2x-6}\\ &\blacktriangleleft y=a(x-p)+qのグラフ \end{align}

直線の通る2点が与えられた場合

グラフが次の条件を満たす1次関数を求めよ。

  1. 2点 $(-2,~-7)$、$(1,~-1)$ を通る。
  2. 2点 $(-5,~-9)$、$(5,~7)$ を通る。
  3. $x$ 切片が $3$、$y$ 切片が $5$ である。

  1. 傾きは \[\dfrac{-1-(-7)}{1-(-2)}=2\] $\blacktriangleleft$ 直線の傾き $a$
    である。

    通る点を $(-2,~-7)$ として
    $\blacktriangleleft$ 通る点を $(1,~-1)$ としてもよい \begin{align} &y=2{x-(-2)}-7\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=2x-3}\\ &\blacktriangleleft y=a(x-p)+qのグラフ \end{align}

  2. 傾きは \[\dfrac{7-(-9)}{5-(-5)}=\dfrac{8}{5}\] \blacktriangleleft 直線の傾き $a$
    である。

    通る点を $(-5,~-9)$ として
    $\blacktriangleleft$ 通る点を $(5,~7)$ としてもよい \begin{align} &y=\dfrac{8}{5}{x-(-5)}-9\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{y=\dfrac{8}{5}x-1}\\ &\blacktriangleleft y=a(x-p)+qのグラフ \end{align}

  3. 求めたい関数のグラフは、$x$ 切片が $3$ なので $(3,~0)$ を通り、$y$ 切片が $5$ なので $(0,~5)$ を通る。

    つまり、傾きは \[\dfrac{5-0}{0-3}=-\dfrac{5}{3}\] $\blacktriangleleft$ 直線の傾き $a$
    であるから、通る点を $(3,~0)$ として
    $\blacktriangleleft$ 通る点を $(0,~5)$ としてもよい \begin{align} &y=-\dfrac{5}{3}(x-3)+0\\ \Leftrightarrow&~\boldsymbol{y=-\dfrac{5}{3}x+5}\\ &\blacktriangleleft y=a(x-p)+qのグラフ \end{align}

切片が与えられたときの直線の方程式

右の図のように原点を通らない直線で、$x$ 切片が $x_0$、$y$ 切片が $y_0$ である直線は、傾きが $-\dfrac{y_0}{x_0}$ であり $(0,~y_0)$ を通るので、$y=-\dfrac{y_0}{x_0}x+y_0$ となる。

原点を通らない直線

原点を通らない直線

この式全体を $y_0$ で割ると \begin{align} &\dfrac{y}{y_0}=-\dfrac{x}{x_0}+1\\ \Leftrightarrow~&\dfrac{x}{x_0}+\dfrac{y}{y_0}=1 \end{align} となる。

切片が与えられたときの直線の方程式

$x$ 切片が $x_0$、$y$ 切片が $y_0$ の直線の方程式は $\dfrac{x}{x_0}+\dfrac{y}{y_0}=1$ で表される。

上の例題の3は、$x$ 切片が $3$、$y$ 切片が $5$ であるから \begin{align} &\dfrac{x}{3}+\dfrac{y}{5}=1\\ \Leftrightarrow~&5x+3y-15=0\\ \Leftrightarrow~&y=-\dfrac{5}{3}x+5 \end{align} となりさきほどの解答と確かに一致する。