三角比の利用

三角比から辺の長さを求める

直角三角形

直角三角形

次の図の三角形において、$\tan{A}=\dfrac{a}{b}$ であるが、この式の両辺に $b$ を掛けて \[b\tan{A}=a\] という式を得る。$\sin$、$\cos$ についても同じようにして \[c\sin{A}=a,~c\cos{A}=b\] となる。これらの式は、三角比から辺の長さを求めるときに用いられる。

三角比から辺の長さを求める

直角三角形

直角三角形

次の図の直角三角形において \[a=c\sin{A}~,~b=c\cos{A}~,~a=b\tan{A}\] が成り立つ。

三角比と辺の長さ

三角比と辺の長さの図

三角比と辺の長さの図

次の図形について、次の問いに答えよ。

  1. $\text{AD}=6$ のとき、長さが $6\sin{A}$、$6\cos{A}\sin{B}$ に等しい線分を、それぞれ答えよ。
  2. $\text{AC}=5$ のとき、$\text{CD}$、$\text{AB}$、$\text{AD}$ の長さを、$A$、$B$ で表せ。

  1. $6\sin{A}=\boldsymbol{\text{CD}}$、$6\cos{A}\sin{B}=\text{AC}\sin{B}=\boldsymbol{\text{AB}}$
  2. $\boldsymbol{\text{CD}=5\tan{A}}$、$\boldsymbol{\text{AB}=5\sin{B}}$ また、$AD\cos{A}=5$ より、$\boldsymbol{\text{AD}=\dfrac{5}{\cos{A}}}$

三角比の応用

三角比の応用の図

三角比の応用の図

三角比の表を使って、以下の問に答えよ。ただし、小数第2位を四捨五入して答えなさい。

  1. 目の高さが1.5mにある人が、木から5.0m離れた地点に立って木のてっぺんを見上げた。

    すると、水平な地面と視線のなす角$\blacktriangleleft$ (この角度のことを、仰角ぎょうかくという。)が $42^\circ$ であった。この木の高さはおよそ何mか。(図参照)

  2. 凧たこ揚あげをしていたら、水平な地面に対し $50^\circ$ の角度で長さ50.0mのひもが伸びきった。この凧は地面からおよそ何mの高さにあるか。

    ただし、ひもを持つ手は1.0mの高さにあり、糸が一直線に伸びているとする。

  1. 1の図

    図のように $\text{O}$、$\text{T}$、$\text{H}$、$\text{A}$ をとると、木の高さは $\text{TA}$ の長さになる。

    $\triangle{\text{OTH}}$ に注目して

    $\blacktriangleleft$ 三角比の表より $\tan 42^\circ\fallingdotseq0.9004$
    \begin{align} \text{TH}&=\text{OH}\times\tan 42^\circ\\ &\fallingdotseq5.0~\text{m} \times 0.9004 \\ &\fallingdotseq4.5~\text{m} \end{align} よって、木の高さはおよそ $4.5+1.5= \boldsymbol{6.0\text{m}}$

  2. 2の図

    図のように $\text{O}$、$\text{T}$、$\text{H}$、$\text{A}$ をとると、たこの高さは $\text{TA}$ の長さになる。

    $\triangle{\text{OTH}}$ に注目して

    $\blacktriangleleft$ 三角比の表より $\sin 50^\circ\fallingdotseq0.7660$
    \begin{align} \text{TH}&=\text{OT}\times\sin 50^\circ\\ &\fallingdotseq50.0~\text{m}\times0.7660\\ &=38.3~\text{m} \end{align} よって、たこの高さはおよそ $38.3+1.0=\boldsymbol{39.3\text{m}}$