三角形の決定
三角形の合同
2つの図形が合同 (congruence) であるとは、2つの図形が空間的な回転・平行移動によって完全に重なることを意味する。
2つの三角形の場合は、3辺と3つの内角がすべて一致すれば合同である。2つの三角形の間に、三角形の合同条件 (conditions of congruence)
- 1辺とその両端の角が等しい(2角
夾 辺相等) - 2辺とその間の角が等しい(2辺
夾 角相等) - 3辺が等しい(3辺相等)
三角形の決定条件
三角形の3辺と3つの内角が決まった値をもつとき、この三角形は決定しているという。
たとえば、三角形の3つの内角が $40^\circ$、$60^\circ$、$80^\circ$ と与えられても、辺の長さはわからないので、この三角形は決定しない。しかし、さらにどこか1辺の長さが与えられれば、この三角形は決定する。
三角形を決定するための条件は、上の合同条件1~3に対応して、3つの場合がある。
- 1辺とその両端の角が与えられた場合
- 2辺とその間の角が与えられた場合
- 3辺が与えられた場合
- 2辺とその間でない角が与えられた場合 でも、三角形を決定する場合がある。
たとえば、aの条件で三角形を2つ描けば、その2つの三角形は合同条件1によって合同である。b、cも同様である。
また、常にではないが
a. 1辺とその両端の角が与えられた場合
- $A=60^\circ$、$B=75^\circ$、$\text{AB}=2$ である三角形において、$C$、$a$、$b$ を求めよ。
- $A=60^\circ$、$B=45^\circ$、$\text{AB}=2$ である三角形において、$C$、$a$、$b$ を求めよ。
- 三角形の内角の和は $180^\circ$ なので
\[C=180^\circ-(60^\circ+75^\circ)=\boldsymbol{45^\circ}\]
また、正弦定理 $\dfrac{a}{\sin{A}}=\dfrac{c}{\sin{C}}$ を用いて
\begin{align}
a=&\dfrac{c\sin{A}}{\sin{C}}\\
=&\dfrac{2\sin60^\circ}{\sin45^\circ}\\
=&\dfrac{2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}}{\dfrac{\sqrt{2}}{2}}\\
=&\dfrac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}=\boldsymbol{\sqrt{6}}
\end{align}
$\blacktriangleleft$ 有理数どうしの比の値また、点 $\text{B}$ からみる第1余弦定理 $b=a\cos{C}+c\cos{A}$ を用いて \[b=\sqrt{6}\cos45^\circ+2\cos60^\circ=\boldsymbol{\sqrt{3}+1}\] 【別解: $75^\circ$ の三角比($15^\circ$ とその周辺の三角比)を覚えている場合】
正弦定理 $\dfrac{b}{\sin{B}}=\dfrac{c}{\sin{C}}$ より \begin{align} b&=\dfrac{2\sin75^\circ}{\sin45^\circ}\\ &=\dfrac{2\cdot\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}}{\dfrac{\sqrt{2}}{2}}\\ &=\boldsymbol{\sqrt{3}+1} \end{align} - 三角形の内角の和は $180^\circ$ なので
\[C=180^\circ-(60^\circ+45^\circ)=\boldsymbol{75^\circ}\]
また、正弦定理 $\dfrac{a}{\sin{A}}=\dfrac{b}{\sin{B}}$ を用いて
\begin{align}
&\dfrac{a}{\sin{60^\circ}}=\dfrac{b}{\sin{45^\circ}}\\
\Leftrightarrow~&\dfrac{a}{\dfrac{\sqrt{3}}{2}}=\dfrac{b}{\dfrac{\sqrt{2}}{2}}\\
\Leftrightarrow~&a=\dfrac{\dfrac{\sqrt{3}}{2}}{\dfrac{\sqrt{2}}{2}}b=\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}b\\
&a=\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}b\tag{1}\label{sankakkeinoketteijoken1}
\end{align}
また、点 $\text{C}$ からみる第1余弦定理 $c=a\cos{B}+b\cos{A}$ を用いて
\begin{align}
&2=b\cos60^\circ+a\cos45^\circ\\
\Leftrightarrow~&2=\dfrac{b}{2}+\dfrac{\sqrt{2}a}{2}\\
\Leftrightarrow~&4=b+\sqrt{2}a\\
&4=b+\sqrt{2}a\tag{2}\label{sankakkeinoketteijoken2}
\end{align}
$\eqref{sankakkeinoketteijoken1}$ を $\eqref{sankakkeinoketteijoken2}$ に代入して
\begin{align}
&4=b+{\sqrt{2}}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{{\sqrt{2}}}b\\
\Leftrightarrow~&4=\left(1+\sqrt{3}\right)b\\
\Leftrightarrow~&b=\dfrac{4}{1+\sqrt{3}}=\boldsymbol{2\sqrt{3}-2}
\end{align}
$\eqref{sankakkeinoketteijoken1}$ に代入して、$\boldsymbol{a=3\sqrt{2}-\sqrt{6}}$ となる。
【別解: $75^\circ$ の三角比($15^\circ$ とその周辺の三角比)を覚えている場合】
正弦定理 $\dfrac{a}{\sin{A}}=\dfrac{b}{\sin{B}}=\dfrac{c}{\sin{C}}$ より \begin{align} a=&\dfrac{c\sin{A}}{\sin{C}}=\dfrac{2\sin60^\circ}{\sin75^\circ}=\dfrac{2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}}{\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}}\\ =&\dfrac{4\sqrt{3}}{\sqrt{6}+\sqrt{2}}=\boldsymbol{3\sqrt{2}-\sqrt{6}}\\ b=&\dfrac{c\sin{B}}{\sin{C}}=\dfrac{2\sin45^\circ}{\sin75^\circ} =\dfrac{2\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}}\\ =&\dfrac{4\sqrt{2}}{\sqrt{6}+\sqrt{2}}=\boldsymbol{2\sqrt{3}-2} \end{align}
b. 2辺とその間の角が与えられた場合
- $A=45^\circ$、$b=\sqrt{6}$、$c=\sqrt{3}+1$ である三角形において、$a$、$B$、$C$ を求めよ。
- $A=75^\circ$、$b=\sqrt{6}$、$c=2$ である三角形において、$a$、$B$、$C$ を求めよ。ただし、$\cos75^\circ=\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}$ である。
点 $\text{A}$ からみる余弦定理 $a^2=b^2+c^2-2bc\cos{A}$ を用いて
\begin{align} a^2=&\sqrt{6}^2+\left(\sqrt{3}+1\right)^2\\ &\qquad-2\sqrt{6}\left(\sqrt{3}+1\right)\cos45^\circ\\ =&6+4+2\sqrt{3}-2\sqrt{6}\left(\sqrt{3}+1\right)\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}\\ =&10+2\sqrt{3}-2\sqrt{3}\left(\sqrt{3}+1\right)=4 \end{align} より、$\boldsymbol{a=2}$となる。また、点 $\text{B}$ からみる余弦定理 $b^2=c^2+a^2-2ca\cos{B}$ を用いて
$\blacktriangleleft$ 正弦定理を用いた場合は \begin{align} \sin{B}=&\dfrac{b\sin{A}}{a}=\dfrac{\sqrt{6}\sin45^\circ}{2}\\ =&\dfrac{\sqrt{6}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{2}=\dfrac{\sqrt{3}}{2} \end{align} より、$B=60^\circ$ または $120^\circ$ となり、$B$ が1つに定まらない。\begin{align} \cos{B} =&\dfrac{c^2+a^2-b^2}{2ca}\\ =&\dfrac{\left(\sqrt{3}+1\right)^2+2^2-\left(\sqrt{6}\right)^2}{2\left(\sqrt{3}+1\right)\cdot2}\\ =&\dfrac{4+2\sqrt{3}+4-6}{4\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{2\left(\sqrt{3}+1\right)}{4\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{1}{2} \end{align} より、$\boldsymbol{B=60^\circ}$ となる。三角形の内角の和は $180^\circ$ なので \[C=180^\circ-(45^\circ+60^\circ)=\boldsymbol{75^\circ}\]
点 $\text{A}$ からみる余弦定理 $a^2=b^2+c^2-2bc\cos{A}$ を用いて
\begin{align} a^2=&\sqrt{6}^2+2^2-2\sqrt{6}\cdot2\cos75^\circ\\ =&10-2\sqrt{6}\cdot2\cdot\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}\\ =&10-\sqrt{6}\left(\sqrt{6}-\sqrt{2}\ \right)\\ =&4+2\sqrt{3}\\ =&\left(\sqrt{3}+1\right)^2 \end{align}$\blacktriangleleft$ 2重根号参照より、$\boldsymbol{a=\sqrt{3}+1}$ となる。また、点 $\text{B}$ からみる余弦定理 $b^2=c^2+a^2-2ca\cos{B}$ を用いて
$\blacktriangleleft$ 正弦定理を用いた場合は \begin{align} \sin{B}=&\dfrac{b\sin{A}}{a}=\dfrac{\sqrt{6}\sin75^\circ}{\sqrt{3}+1}\\ =&\dfrac{\sqrt{6}\cdot\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}}{\sqrt{3}+1}=\dfrac{\sqrt{3}}{2} \end{align} より、$B=60^\circ$ または $120^\circ$ となるが、$B=120^\circ$とすると、三角形の内角の和が $180^\circ$ であることに矛盾するので、$B=60^\circ$ とわかる。\begin{align} \cos{B}=&\dfrac{2^2+\left(\sqrt{3}+1\right)^2-\left(\sqrt{6}\right)^2}{2\cdot2\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{2\left(\sqrt{3}+1\right)}{4\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{1}{2} \end{align} より、$\boldsymbol{B=60^\circ}$ となる。三角形の内角の和は $180^\circ$ なので \[C=180^\circ-(75^\circ+60^\circ)=\boldsymbol{45^\circ}\]
c. 3辺が与えられた場合
- $a=2$、$b=\sqrt{6}$、$c=\sqrt{3}+1$ である三角形において、$A$、$B$、$C$ を求めよ。
- $a=2$、$b=\sqrt{6}+\sqrt{2}$、$c=\sqrt{6}+\sqrt{2}$ である三角形において、$A$、$B$、$C$ を求めよ。
点 $\text{A}$ からみる余弦定理 $a^2=b^2+c^2-2bc\cos{A}$ を用いて
\begin{align} \cos{A}=&\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\\ =&\dfrac{\left(\sqrt{6}\ \right)^2+\left(\sqrt{3}+1\right)^2-2^2}{2\cdot\sqrt{6}\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{6+4+2\sqrt{3}-4}{2\left(3\sqrt{2}+\sqrt{6}\right)}\\ =&\dfrac{6+2\sqrt{3}}{2\left(3\sqrt{2}+\sqrt{6}\right)}\\ =&\dfrac{3+\sqrt{3}}{3\sqrt{2}+\sqrt{6}}\\ =&\dfrac{\left(3+\sqrt{3}\right)\left(3\sqrt{2}-\sqrt{6}\right)}{18-6}\\ =&\dfrac{9\sqrt{2}-3\sqrt{6}+3\sqrt{6}-3\sqrt{2}}{12}\\ =&\dfrac{6\sqrt{2}}{12}\\ =&\dfrac{\sqrt{2}}{2} \end{align}$\blacktriangleleft$ もし $\dfrac{3+\sqrt{3}}{3\sqrt{2}+\sqrt{6}}=\dfrac{3+\sqrt{3}}{\sqrt{2}\left(3+\sqrt{3}\right)}$ に気がつけば計算は易しくなるよって、$\boldsymbol{A=45^\circ}$ となる。また、点 $\text{B}$ からみる余弦定理 $b^2=c^2+a^2-2ca\cos{B}$ を用いて \begin{align} \cos{B}=&\dfrac{c^2+a^2-b^2}{2ca}\\ =&\dfrac{\left(\sqrt{3}+1\right)^2+2^2-\left(\sqrt{6}\ \right)^2}{2\left(\sqrt{3}+1\right)\cdot2}\\ =&\dfrac{4+2\sqrt{3}+4-6}{4\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{2\left(\sqrt{3}+1\right)}{4\left(\sqrt{3}+1\right)}\\ =&\dfrac{1}{2} \end{align} より、$\boldsymbol{B=60^\circ}$ となる。
三角形の内角の和は $180^\circ$ なので \[C=180^\circ-(45^\circ+60^\circ)=\boldsymbol{75^\circ}\]
点 $\text{A}$ からみる余弦定理 $a^2=b^2+c^2-2bc\cos{A}$ を用いて
\begin{align} \cos{A}&=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\\ &=\big\{\left(\sqrt{6}+\sqrt{2}\right)^2\\ &\qquad\quad+\left(\sqrt{6}+\sqrt{2}\right)^2-2^2\big\}\\ &\qquad\div\left\{2\left(\sqrt{6}+\sqrt{2}\right)\left(\sqrt{6}+\sqrt{2}\right)\right\}\\ &=\dfrac{2\left(\sqrt{6}+\sqrt{2}\right)^2-4}{2\left(\sqrt{6}+\sqrt{2}\right)^2}\\ &=\dfrac{2\left(8+4\sqrt{3}\right)-4}{2\left(8+4\sqrt{3}\right)}=\dfrac{3+2\sqrt{3}}{4+2\sqrt{3}}\\ &=\dfrac{\left(3+2\sqrt{3}\right)\left(4-2\sqrt{3}\right)}{16-12}\\ &=\dfrac{12-6\sqrt{3}+8\sqrt{3}-12}{4}=\dfrac{\sqrt{3}}{2} \end{align} より、$\boldsymbol{A=30^\circ}$ となる。ここで、$b=c=\sqrt{6}+\sqrt{2}$ より $\triangle\text{ABC}$ は二等辺三角形であるから、$B=C$ なので \[B=C=\dfrac{180^\circ-A}{2}=\boldsymbol{75^\circ}\]
2辺とその間でない角が与えられた場合
2辺とその間でない角が与えられた場合は、三角形がただ1つ決定するとは限らない。
たとえば、$b$、$c$ と $B$ が与えられている場合を考えてみよう。
$B$ を鋭角としたとき、$b$ の値によって次の4つの場合があるとわかる。このとき、点 $\text{A}$ を中心とする半径 $b$ の円を考えるとわかりやすい。
- $\boldsymbol{c\leqq{b}}$ の場合
$\triangle\text{ABC}$ は1つだけ存在する。 - $\boldsymbol{c\sin{B}{\lt}b{\lt}c}$ の場合
2つの $\triangle\text{ABC}$ が存在する。 - $\boldsymbol{c\sin{B}=b}$ の場合
$\triangle\text{ABC}$ は1つだけ存在する。
このとき、$\triangle\text{ABC}$ は $C=90^\circ$ の直角三角形となる。 - $\boldsymbol{b{\lt}c\sin{B}}$ の場合
このような三角形は存在しない。
d. 2辺とその間でない角が与えられた場合
- $A=30^\circ$、$a=\sqrt{2}$、$b=2$ である三角形において、$B$、$C$、$c$ を求めよ。
- $A=45^\circ$、$a=2$、$b=\sqrt{2}$ である三角形において、$B$、$C$、$c$ を求めよ。
- 正弦定理 $\dfrac{a}{\sin{A}}=\dfrac{b}{\sin{B}}$ を用いて
\[\sin{B}=\dfrac{2\sin30^\circ}{\sqrt{2}}=\dfrac{2\cdot\dfrac{1}{2}}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\]
より、$\boldsymbol{B=45^\circ}$ または $\boldsymbol{135^\circ}$ となる。
- $B=45^\circ$ のとき
$\blacktriangleleft$ このときは、次の図のようになっている。三角形の内角の和は $180^\circ$ なので \[C=180^\circ-(30^\circ+45^\circ)=\boldsymbol{105^\circ}\] また、点 $\text{C}$ からみる第1余弦定理 $c=b\cos{A}+a\cos{B}$ より \begin{align} c=&2\cos30^\circ+\sqrt{2}\cos45^\circ\\ =&2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\sqrt{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2} =\boldsymbol{\sqrt{3}+1} \end{align}
- $B=135^\circ$ のとき
$\blacktriangleleft$ このときは、次の図のようになっている。三角形の内角の和は $180^\circ$ なので \[C=180^\circ-(30^\circ+135^\circ)=\boldsymbol{15^\circ}\] また、点 $\text{C}$ からみた第1余弦定理 $c=b\cos{A}+a\cos{B}$ より \begin{align} c=&2\cos30^\circ+\sqrt{2}\cos135^\circ\\ =&2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\sqrt{2}\cdot\left(-\dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)\\ =&\boldsymbol{\sqrt{3}-1} \end{align}
- $B=45^\circ$ のとき
正弦定理 $\dfrac{a}{\sin{A}}=\dfrac{b}{\sin{B}}$を用いて
\begin{align} \sin{B}=\dfrac{\sqrt{2}\sin45^\circ}{2} =\dfrac{\sqrt{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{2}=\dfrac{1}{2} \end{align} より、$B=30^\circ$ または $150^\circ$ となるが、$B=150^\circ$ のときは、$A+B=45^\circ+150^\circ\gt180^\circ$ となって不適。よって、$\boldsymbol{B=30^\circ}$ となる。
三角形の内角の和は $180^\circ$ なので \[C=180^\circ-(45^\circ+30^\circ)=\boldsymbol{105^\circ}\] また、点 $\text{C}$ からみる第1余弦定理 $c=b\cos{A}+a\cos{B}$ より \begin{align} c=&\sqrt{2}\cos45^\circ+2\cos30^\circ\\ =&\sqrt{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}+2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\ =&\boldsymbol{1+\sqrt{3}} \end{align}
四角形の計量
四角形の計量
四角形 $\text{ABCD}$ において、$\text{AB}=5$、$\text{BC}=8$、$\text{CD}=5$、$\angle\text{ABC}=60^\circ$、$\angle\text{CAD}=45^\circ$ のとき、次の問に答えよ。
- $\text{AC}$ の長さを求めよ。
- $\text{AD}$ の長さを求めよ。
- 四角形 $\text{ABCD}$ の面積を求めよ。
- $\triangle\text{ABC}$ に点 $\text{B}$ からみる余弦定理
\begin{align}
\text{AC}^2=&\text{AB}^2+\text{BC}^2\\
&\qquad-2\cdot\text{AB}\cdot\text{BC}\cos{\angle\text{ABC}}
\end{align}
を用いて
$\blacktriangleleft$ 2辺とその間の角が与えられている\begin{align} \text{AC}^2=&5^2+8^2-2\cdot5\cdot8\cos60^\circ\\ =&25+64-80\cdot\frac{1}{2}=49 \end{align} よって、$\boldsymbol{\text{AC}=7}$ である。
- $\triangle\text{CAD}$ に点 $\text{A}$ からみる余弦定理
\begin{align}
\text{DC}^2=&\text{AD}^2+\text{AC}^2\\
&\qquad-2\cdot\text{AD}\cdot\text{AC}\cos{\angle\text{CAD}}
\end{align}
を用いて
$\blacktriangleleft$ 2辺とその間でない角が与えられている\begin{align} &5^2=\text{AD}^2+7^2-2\cdot\text{AD}\cdot7\cos45^\circ\\ \Leftrightarrow~&25=\text{AD}^2+49-2\cdot7\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2}\text{AD}\\ \Leftrightarrow~&\text{AD}^2-7\sqrt{2}\text{AD}+24=0 \end{align} 2次方程式の解の公式より \begin{align} \text{AD}=&\dfrac{7\sqrt{2}\pm\sqrt{\left(7\sqrt{2}\ \right)^2-4\cdot24}}{2}\\ =&\dfrac{7\sqrt{2}\pm\sqrt{98-96}}{2}=\dfrac{7\sqrt{2}\pm\sqrt{2}}{2}\\ =&\boldsymbol{3\sqrt{2}}または\boldsymbol{4\sqrt{2}} \end{align}
$\triangle\text{ABC}$ の面積を $S_1$、$\triangle\text{CAD}$ の面積を $S_2$ とすると \begin{align} S_1=&\dfrac{1}{2}\cdot\text{AB}\cdot\text{BC}\sin\angle\text{ABC}\\ =&\dfrac{1}{2}\cdot5\cdot8\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=10\sqrt{3}\\ S_2=&\dfrac{1}{2}\text{AC}\cdot\text{AD}\sin\angle\text{CAD}\\ =&\dfrac{1}{2}\cdot7\cdot\text{AD}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{2} \end{align} つまり、$\text{AD}=3\sqrt{2}$ のときは $S_2=\dfrac{21}{2}$、$\text{AD}=4\sqrt{2}$ のときは $S_2 = 14$。
四角形 $\text{ABCD}$ の面積は $S_1+S_2$ に等しいので、 \[\text{AD}=3\sqrt{2}のときは\boldsymbol{10\sqrt{3}+\dfrac{21}{2}}\] \[\text{AD}=4\sqrt{2}のときは\boldsymbol{10\sqrt{3}+14}\] が求める答えになる。
この問では図のように2つの場合がある。