正多面体
正多面体
正多面体
空間図形において、全ての面が合同な正多角形からなり、各頂点に集まる辺の数が全て等しい多面体のことを正多面体 (regular polyhedron) という。
正四面体の計量
正四面体の計量
図のように、1辺の長さが $1$ である正四面体 $\text{ABCD}$ について以下の問に答えよ。
- $\triangle\text{BCD}$ の面積 $S$ を求めよ。
- 頂点 $\text{A}$ から $\triangle\text{BCD}$ に下ろした垂線の足を $\text{H}$ をするとき、$\text{AH}$ の長さを求めよ。
- 正四面体 $\text{ABCD}$ に内接する球の半径を求めよ。
- 正四面体 $\text{ABCD}$ に外接する球の半径を求めよ。
- $\angle\text{CBD}=60^\circ$ であるから
$\blacktriangleleft$ 三角形の面積参照\begin{align} S&=\dfrac{1}{2}\text{BD}\cdot\text{BC}\sin60^\circ\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot1\cdot1\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{3}}{4}} \end{align}
まず、辺 $\text{BC}$ の中点を $\text{M}$ とおくと、$\text{AM}\perp\text{BC}$、$\text{DM}\perp\text{BC}$ となり、$\text{H}$ は、$\text{A}$ から $\text{MD}$ におろした垂線の足であるとわかる。
まず、$\triangle\text{ABM}$ に三平方の定理を用いて \begin{align} \text{AM}^2=&\text{AB}^2-\text{BM}^2\\ =&1^2-\left(\dfrac{1}{2}\right)^2\\ =&\dfrac{3}{4} \end{align} よって、$\text{AM}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$。同様に、$\text{DM}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ である。
次に、$\angle\text{AMD}=\theta$ とおくと、$\triangle\text{AMD}$ に点 $\text{M}$ からみる余弦定理 $\text{AD}^2=\text{MA}^2+\text{MD}^2-2\text{MA}\cdot\text{MD}\cos\theta$ を用いて \begin{align} \cos\theta&=\dfrac{\text{MA}^2+\text{MD}^2-\text{AD}^2}{2\text{MA}\cdot\text{MD}}\\ &=\dfrac{\dfrac{3}{4}+\dfrac{3}{4}-1^2}{2\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)^2}=\dfrac{1}{3} \end{align}
$\blacktriangleleft$ 拡張された三角比の相互関係参照であり、$\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ より \begin{align} \sin\theta=&\sqrt{1-\cos^2\theta}\\ =&\sqrt{1-\left(\dfrac{1}{3}\right)^2}\\ =&\dfrac{2\sqrt{2}}{3} \end{align} よって、$\text{AH}$ の長さは \[\text{AH}=\text{AM}\sin\theta=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\cdot\dfrac{2\sqrt{2}}{3}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{6}}{3}}\] 【別解:$\text{H}$ が $\triangle\text{BCD}$ の重心であることを使う】まず、辺 $\text{BC}$ の中点を $\text{M}$ とおくと、$\text{AM}\perp\text{BC}$ となるので、$\triangle\text{ABM}$ に三平方の定理を用いて \begin{align} \text{AM}^2=&\text{AB}^2-\text{BM}^2\\ =&1^2-\left(\dfrac{1}{2}\right)^2\\ =&\dfrac{3}{4} \end{align} よって、$\text{AM}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$。同様に、$\text{DM}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ である。
$\blacktriangleleft$ ここまでは上の解答と共通次に、正四面体の対称性から、点$\text{H}$ は $\triangle\text{BCD}$ の重心となるので $\text{MH}:\text{HD}=1:2$、つまり \[\text{MH}=\dfrac{1}{3}\text{DM}=\dfrac{\sqrt{3}}{6}\]
最後に、$\triangle\text{AMH}$ に三平方の定理を用いて \begin{align} \text{AH}^2 &=\text{AM}^2-\text{MH}^2=\dfrac{3}{4}-\dfrac{3}{36}\\ &=\dfrac{27-3}{36}=\dfrac{2}{3} \end{align} よって、$\text{AH}=\sqrt{\dfrac{2}{3}}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{6}}{3}}$ となる。内接球の中心の点を $\text{O}$ とし、その半径を $r$ とおく。このとき、正四面体は4つの正三角錐 $\text{OABC}$、$\text{OACD}$、$\text{OADB}$、$\text{OBCD}$ に分けることができる。
これらの正三角錐の体積は、どれも $\dfrac{1}{3}\times{S}\times{r}$ であるから、正四面体 $\text{ABCD}$ の体積 $V$ は \begin{align} V=&4\times\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{4}r\\ =&\dfrac{\sqrt{3}r}{3}\tag{1}\label{seitamentai1} \end{align} また、1、2より正四面体 $\text{ABCD}$ の体積 $V$ は \begin{align} V=&\dfrac{1}{3}\times{S}\times\text{AH}\\ =&\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{4}\cdot\dfrac{\sqrt{6}}{3}\\ =&\dfrac{\sqrt{2}}{12}\tag{2}\label{seitamentai2} \end{align} よって、$\eqref{seitamentai1}$、$\eqref{seitamentai2}$ より \begin{align} &\dfrac{\sqrt{3}r}{3}=\dfrac{\sqrt{2}}{12}~~\Leftrightarrow~~r=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{6}}{12}} \end{align}
$\text{M}$ を辺 $\text{BC}$ の中点にとり、$\text{H}$、$\text{H'}$ を右図のようにとる。
図形の対称性から、外接球の中心 $\text{O}$ は $\text{AH}$ 上および $\text{DH'}$ 上にあるのがわかる。
$\text{H}$ は $\triangle\text{BCD}$ の重心だから \[\text{DH}=\text{DM}{\times}\dfrac{2}{3}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}{\times}\dfrac{2}{3}=\dfrac{\sqrt{3}}{3}\] となる。同様に、$\text{AH'}=\dfrac{\sqrt{3}}{3}$ である。
ここで、$\text{AO}=r$ とおくと、$\triangle\text{AH'O}\sim\triangle\text{AHM}$ より \begin{align} &\text{AH'}:\text{AO}=\text{AH}:\text{AM}\\ \therefore~&\dfrac{\sqrt{3}}{3}:r=\dfrac{\sqrt{6}}{3}:\dfrac{\sqrt{3}}{2}\\ \Leftrightarrow~&\dfrac{\sqrt{6}}{3}r=\dfrac{1}{2}\\ \Leftrightarrow~&r=\dfrac{3}{2\sqrt{6}}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{6}}{4}} \end{align}