余事象とその確率
余事象
事象 $A$ に対して,“ $A$ が起こらない”という事象を $A$ の余事象(complementary event)といい, $\overline{A}$ で表す.余事象 $\overline{A}$ は,事象 $A$ を表す集合 $A$ の補集合 $\overline{A}$ で表される.
余事象 $\overline{A}$ のさらに余事象は,“ $A$ が起こる”という事象 $A$ にもどる.
事象 $A$ と $\overline{A}$ は互いに排反で,それらの和事象 $\mathit{A}\cup\overline{A}$ は標本空間 $U$ である.
余事象の確率
説明文
補集合の要素の個数より
\[n(\overline{A})=n(U)-n(A)\]が成り立つ.この両辺を, $n(U)$ で割ると
\[\frac{n(\overline{A})}{n(U)}=1-\frac{n(A)}{n(U)}\] \[\therefore P(\overline{A})=1-P(A)\]が成り立つ.
余事象の確率
事象 $A$ と,その余事象 $\overline{A}$ において
\[P(\overline{A})=1-P(A)\]が成り立つ.
吹き出し無題
このことは,ある事象 $A$ の確率を求めるのが大変な場合, むしろ $A$ の余事象 $\overline{A}$ の要素の個数に着目すべきである, ということを教えてくれる.
余事象
3つのさいころを同時に振るとき,少なくとも1つのさいころで3の倍数の目が出る確率を求めよ.
事象 $A$ を
$A$ :「3つのさいころで3の倍数の目が出ない」
とおくと,求める確率は $P(\overline{A})$ である.
3つのさいころの目の重複順列 $_{6}\Pi_{3}=6^3=216$ 通りは,どれも同様に確からしい.
このうち,3の倍数の目がまったく出ないのは(3の倍数でない目が1,2,4,5と4つあるので)
$_{4}\Pi_{3}=4^3=64$ 通り
よって,3の倍数の目が出ない確率 $P(A)$ は
\[P(A)=\frac{64}{216}=\frac{8}{27}\]求める確率は $P(\overline{A})$ なので
\[P(\overline{A})=1-P(A)=1-\frac{8}{27}=\boldsymbol{\frac{19}{27}}\]となる.