多変数関数と図形の方程式
多変数関数とは何か
変数を2つ以上持つような関数のことを 多変数関数 (multivariable function)という. もし,ある関数が$x,~y$を変数にもつならば,その関数は$f(x,~y)$のように表される.
たとえば,勝ちに3点,引き分けに1点,負けに0点を与えるゲームを考える.
勝った回数を$x$回,引き分けた回数を$y$回とすれば,合計点は$x,~y$の値によって決まるので$x,~y$の関数である. これを$f(x,~y)$とおけば
勝った回数($x$)と引き分けの回数($y$)から合計点を決める規則
と求められる.$x,~y$はどちらも変数である.
変数への値の代入は,変数が1つのときと同じように以下のように書く.
\begin{align} f(6,~4)=18+4=22 \end{align}この式は,6勝4引き分けならば合計点は22点であることを表している.
多変数関数の表し方
$g(x,~y)=x^2 +y^2 -10$のとき,$g(1,~1),~g(3,-1),~g(-4,~t)$の値を求めよ.
1個200円のりんごを$x$個,1個100円のみかんを$y$個買うときの合計金額を$s(x,~y)$円とするとき,$s(x,~y)$を$x$と$y$の式で表せ.
- \begin{align} &g(1,~1)=1^2+1^2-10=\boldsymbol{-8}\\ &g(3,-1)=3^2+(-1)^2-10=\boldsymbol{0}\\ &g(-4,~t)=(-4)^2+t^2-10=\boldsymbol{t^2+6} \end{align}
$\boldsymbol{s(x,~y)=200x+100y}$
2変数関数と図形の方程式
FTEXT 数学Iで学んだ放物線や,直線の方程式で学んだ直線,円の方程式で学んだ円 のなどの図形の方程式は,適当な多変数関数$f(x,~y)$をもちいて,方程式
\begin{align} f(x,~y)=0 \end{align}で表すことができる.
たとえば,2変数関数を$f(x,~y)=y-2x_1$とおけば,方程式$f(x,~y)=0$は
\begin{align} &y-2x_1=0\\ \Leftrightarrow~&y=2x+1 \end{align}つまり,傾きが$2$で切片が$1$の直線を表す.
もう1例考えてみよう.2変数関数を$g(x,~y)=x^2+y^2-1$とおけば,方程式$g(x,~y)=0$は
\begin{align} &x^2+y^2-1=0\\ \Leftrightarrow~&x^2+y^2=1 \end{align}つまり,原点$(0,~0)$が中心で半径が$1$の円を表す.
2変数関数と図形の方程式の関係
図形の方程式は,適当な多変数関数$f(x,~y)$をもちいて,方程式
\begin{align} f(x,~y)=0 \end{align}で表せる.
2変数関数と図形の方程式
2変数関数$f(x,~y)$がつぎの1.~3.で定義されるとき,方程式$f(x,~y)=0$の表す図形を$xy$平面上に図示せよ.
- $f(x,~y)=3x+y-2$
- $f(x,~y)=-x^2 +2x +y$
- $f(x,~y)=x^2 +2x+y^2 -4y$
無題
無題
無題
$f(x,~y)=0$より,$y = − 3x + 2$となるので,
グラフは図のようになる.
$f(x,~y)=0$より,$y = x^2 − 2x$となるので, グラフは図のようになる.
$f(x,~y)=0$より
\begin{align} &x^2 +2x+y^2 -4y=0\\ ~~\Leftrightarrow&~~ (x+1)^2 + (y-2)^2=5 \end{align}となるので,グラフは図のようになる.