$y={\cos}x$、$y={\tan}x$のグラフとその周辺のグラフ

$y={\cos}x$ のグラフ

$y=\cos x$のグラフ

$\cos x=\sin\left(x+ \dfrac{\pi}{2}\right)$,つまり $y=\sin{x}$のグラフを$x$軸方向に$-\dfrac{\pi}{2}$平行移動させたものが,$y=\cos{x}$のグラフである. それゆえ,$y=\cos x$のグラフも正弦曲線になる.

グラフ$y=\cos{x}$の$1$周期分を次の図の太線で示した.

$y=\cos{x}$ のグラフの図その1

$y=\cos{x}$ のグラフの図その1

$y=\cos x$のグラフの特徴

周期が$2\pi,$振幅が$1$の正弦曲線であり,$y$切片が$1$である.

$y={\tan}x$ のグラフ

$y=\tan x$のグラフ

関数$y = \tan x$について,$-\dfrac{\pi}{2} \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{2}$の範囲で $x$と$y$の関係を表にすると,以下のようになる.$ x$の値は$\dfrac{1}{6}\pi$刻みでとってある.

$x$$\cdots$$-\dfrac{1}{2}\pi$$-\dfrac{1}{3}\pi$$-\dfrac{1}{6}\pi$$ \ 0 \ $$\dfrac{1}{6}\pi$$\dfrac{1}{3}\pi$$\dfrac{1}{2}\pi$$\cdots$
$\tan{x}$$\cdots$$-\sqrt{3}$$-\dfrac{\sqrt{3}}{3}$$0$$\dfrac{\sqrt{3}}{3}$$\sqrt{3}$$\cdots$

$y=\tan{x}$ のグラフの図その1

$y=\tan{x}$ のグラフの図その1

$y=\tan{x}$ のグラフの図その2

$y=\tan{x}$ のグラフの図その2

これをグラフで表し,曲線でつなぐと前の図のようになる。

たとえば,単位円の半径は$1$なので,$\text{A}'$の$y$座標は$\tan \dfrac{1}{3} \pi$となり, これは,$\text{A}$の$y$座標と一致する.

さらに,$x$の値が$\pi$増えるごとに,$\tan$の値は同じ値を取ったので,$ x$を任意の実数を定義域としてグラフを書くと,上の図のようになる.

$y=\tan{x}$ のグラフの図その3

$y=\tan{x}$ のグラフの図その3

ここで,$x=\dfrac{\pi}{2}$の近くでは$y = \tan x$のグラフがどうなっているか考えてみよう. 次の図は,$x=\dfrac{\pi}{2}$の付近のグラフを拡大したものである.

  • $x$が$0$から$\dfrac{\pi}{2}$に向かって大きくなるにつれ,$y$座標は無限大へ近づき,グラフは直線$x=\dfrac{\pi}{2}$に限りなく近づく.
  • $x$が$\pi$から$\dfrac{\pi}{2}$に向かって小さくなるにつれ,$y$座標は負の無限大へ近づき,グラフは直線$x=\dfrac{\pi}{2}$に限りなく近づく.
このように,曲線$C$がある直線$l$に限りなく近づくとき, 直線$l$を曲線$C$の漸近線(asymptotic line) という.

$y=\tan x$のグラフの特徴

周期が$\pi$の曲線である.

$x=\dfrac{\pi}{2} +n\pi$($n$は整数)が漸近線になる.

$y=A\cos(bx+a)$、$y=A\tan(bx+a)$ のグラフ

基本的には,$y = A\sin(bx + \alpha)$の時と同じように考えればよい.

たとえば,関数 $y=4\cos\left(2x-\dfrac{\pi}{3}\right)$ の場合は,$y=4\cos2\left(x-\dfrac{\pi}{6}\right)$ とも表せるので,次のことが分かる.

  • $y$ 座標が $\cos0$ になるのは $x=\dfrac{1}{6}\pi$ のとき.
  • 周期は $\dfrac{2\pi}{2}=\pi$,$y$ 座標が $\cos2\pi$ になるのは $x=\dfrac{1}{6}\pi+\pi=\dfrac{7}{6}\pi$ のとき.
  • 振幅は $4$,$y$ 切片は $4\cos\left(-\dfrac{1}{3}\pi\right)=2$ である.

$y=A\cos(bx+a)$、$y=A\tan(bx+a)$ のグラフの図その1

$y=A\cos(bx+a)$、$y=A\tan(bx+a)$ のグラフの図その1

三角関数のグラフ〜その3〜

以下の関数のグラフを書きなさい.漸近線があればその式を求めなさい.

  1. $y=\cos\left(2x-\dfrac{\pi}{3}\right)$
  2. $y=\cos\left(\dfrac{x}{3}+\dfrac{\pi}{3}\right) $
  3. $y=\tan\left(x-\dfrac{\pi}{2}\right) $
  4. $y=\tan\left(2x+\dfrac{\pi}{3}\right) $

  1. $y=\cos2\left(x- \dfrac{1}{6}\pi\right)$なので

    三角関数のグラフ〜その3〜の解答の図その1
  2. $y=\cos\dfrac{1}{3}\left\{x-(-\pi)\right\}$なので

    三角関数のグラフ〜その3〜の解答の図その2
  3. $y = \tan x$を$x$軸方向に$\dfrac{\pi}{2}$平行移動すればよいので

    三角関数のグラフ〜その3〜の解答の図その3

    漸近線は直線$x = n\pi$($n$は整数)になる.

  4. $y=\tan2\left(x+\dfrac{\pi}{6}\right)$なので

    三角関数のグラフ〜その3〜の解答の図その4

    漸近線は直線$x=\dfrac{\pi}{12} +\dfrac{n}{2} \pi$($n$は整数)になる.