2次方程式から2次関数を考える

次は、2次関数から2次方程式を考えてみよう。「放物線と $x$ 軸との共有点」を逆に考えれば、次のことがわかる。

2次方程式の解をグラフに表す

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

判別式 $D$ が $0$ 以上である2次方程式 \[\color{red}{ax^2+bx+c}=0\] の解は、2次関数 \[y=\color{red}{ax^2+bx+c}\] のグラフと $x$ 軸との「共有点の $x$ 座標」に表れる。

この事実について、もう少し深く考察してみよう。

たとえば、2次方程式 \[4x^2-12x+9=0\tag{1}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru1}\] の解について考える。 ここで、上の2次方程式の左辺を $y$ とおいた2次関数 \[y=4x^2-12x+9\tag{2}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2}\] のグラフと、$x$ 軸との交点の $x$ 座標は、方程式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru1}$ の解と一致する。

なぜなら、この $x$座標は、2次関数の式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2}$ に $y=0$ を代入した \[4x^2-12x+9=0\] を解くことによって求められるからである。

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

いま、この2次関数 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2}$ の判別式 $D$ は \begin{align} D=&(-12)^2-4\times4\times9\\ =&144-144=0 \end{align} となるので、この放物線は $x$ 軸と1つの共有点をもつ。

実際、この2次方程式を因数分解してみると \begin{align} &4x^2-12x+9=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-3)^2=0\\ \Leftrightarrow~&2x-3=0 \end{align} より、$x=\dfrac{3}{2}$ となり、これが $x$ 軸との交点の $x$ 座標となっている。

暗記2次方程式から2次関数を考える

2次方程式から2次関数を考える

2次方程式から2次関数を考える

次の空欄に適当な数字または文字を入れよ。

2次方程式 \[x^2-4x+5=0\tag{3}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}\] の解について考える。

ここで、上の2次方程式の「左辺を $y$ とおいた2次関数」 \[\fbox{A}=x^2-4x+5\tag{4}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4}\] のグラフと、$x$ 軸との交点の $x$ 座標は、方程式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}$ の解と一致する。

なぜなら、この $x$ 座標は、2次関数の式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4}$ に $\fbox{A}=\fbox{B}$ を代入した \[x^2-4x+5=\fbox{B}\] を解くことによって求めるからである。

いま、この2次関数 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4}$ の判別式 $D$ は \[D=\fbox{C}\lt0\] となるので、この放物線は $x$ 軸と共有点をもたない。

実際、2次方程式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}$ の判別式も \[D=\fbox{C}\lt0\] となり、$\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}$を満たす実数 $x$ は存在しないことがわかる。

$\fbox{A}=\boldsymbol{y}$、$\fbox{B}=\boldsymbol{0}$、$\fbox{C}=\boldsymbol{-4}$
${\blacktriangleleft}~\fbox{C}$ の計算 \[D=(-4)^2-4\cdot1\cdot5=16-20=-4\]

以上のことから、次のことがまとめられる。

「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標」の対応

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

2次方程式 \[\color{red}{ax^2+bx+c}=0\] の解は、この式の左辺を $y$ とおいた2次関数 \[y=\color{red}{ax^2+bx+c}\] のグラフと $x$ 軸との交点の $x$ 座標と一致する。

判別式 $D=b^2-4ac$ の符号と、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸との位置関係、および2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解の個数について、次のようにまとめられる。

「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標」の対応の表

「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標」の対応の表