2次方程式と2次関数の関係

2次関数から2次方程式を考える

2次関数 $f(x)=ax^2+bx+c$ において、2次関数の判別式 $D=b^2−4ac$ が $0$ 以上であれば、放物線 $y=f(x)$ が $x$ 軸と共有点をもつ。

$\blacktriangleleft$ 判別式 $D$ と放物線の関係

このとき、「共有点の $x$ 座標」を求めることを考えてみよう。

たとえば、2次関数 $f(x)=x^2-x-2$ について、放物線 $y=f(x)$ と $x$ 軸の共有点の座標を求めてみよう。

$y=x^2-x-2$ のグラフ

$y=x^2-x-2$ のグラフ

$y=f(x)=x^2-x-2$ における判別式 $D$ の値は \begin{align} D=&1^2-4\times1\times(-2)\\ =&9>0 \end{align} と計算できるので、$y=f(x)$ のグラフは $x$ 軸と2つの共有点をもつのがわかる。

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

このグラフによる $x$ 軸との共有点の $y$ 座標は $0$ である。よって、共有点の $x$ 座標は \[x^2-x-2=0\] という2次方程式の解である。この方程式の解は、左辺を因数分解することにより \begin{align} &(x+1)(x-2)=0\\ \Leftrightarrow&x+1=0~,~x-2=0\\ \Leftrightarrow&x=-1~,~x=2 \end{align} と求めることができる。

つまり、$y=f(x)$ のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標は $-1$ と $2$ である。

暗記2次関数から2次方程式を考える

$y=x^2-3x-3$ のグラフ

$y=x^2-3x-3$ のグラフ

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

2次関数 $f(x)=x^2-3x-3$ について、放物線 $y=f(x)$ と $x$ 軸の共有点の座標を求めたい。次の空欄に適当な数字を入れよ。

$y=f(x)=x^2-3x-3$ における判別式 $D$ の値は \[D=\fbox{A}\gt0\] と計算できるので、$y=f(x)$ のグラフは $x$ 軸と2つの共有点をもつのがわかる。

このグラフによる $x$ 軸との共有点の $y$ 座標は $\fbox{B}$ である。よって、共有点の $x$ 座標は \[x^2-3x-3=\fbox{B}\] という2次方程式の解である。

この式は簡単には因数分解できないので、解の公式を用いて解を求める。

$\blacktriangleleft$2次方程式の解の公式参照

\[x=\dfrac{\fbox{C}\pm\sqrt{\fbox{A}}}{\fbox{D}}\] すなわち、$y=f(x)$ のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標は $\dfrac{\fbox{C}-\sqrt{\fbox{A}}}{\fbox{D}}$ と $\dfrac{\fbox{C}+\sqrt{\fbox{A}}}{\fbox{D}}$ である。

$\fbox{A}=\boldsymbol{21}$、$\fbox{B}=\boldsymbol{0}$、$\fbox{C}=\boldsymbol{3}$、$\fbox{D}=\boldsymbol{2}$

$\blacktriangleleft~\fbox{A}$の計算 $D=(-3)^2-4\cdot1\cdot(-3)=21$

$\blacktriangleleft~\fbox{C}$、$\fbox{A}$、$\fbox{D}$の計算 $x=\dfrac{-(-3)\pm\sqrt{21}}{2\cdot1}=\dfrac{3\pm\sqrt{21}}{2}$

放物線と $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

判別式 $D$ が $0$ 以上である2次関数 \[y=\color{red}{ax^2+bx+c}\] のグラフと $x$ 軸 $(y=0)$ との共有点の $x$ 座標は
2次方程式 \[\color{red}{ax^2+bx+c}=0\] の解である。

放物線と $x$ 軸との共有点を調べる

次の放物線の、$x$ 軸との共有点の数を調べよ。また、$x$ 軸との共有点があれば、その共有点の座標を求めよ。

  1. $y=x^2-x-1$
  2. $y=-4x^2+4x-1$
  3. $y=x^2-x+1$

  1. $y=x^2-x-1$ のグラフと $x$ 軸との共有点

    判別式を $D$ とすると \[D=(-1)^2-4\cdot(-1)=5\gt0\] なので、$\boldsymbol{x}$軸と2つの共有点をもつ。

    また \begin{align} &x^2-x-1=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1\pm\sqrt{5}}{2} \end{align} $\blacktriangleleft$ 2次方程式の解の公式
    だから、このグラフと $x$ 軸の共有点の座標は$\boldsymbol{\left(\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}~,~0\right)}、\boldsymbol{\left(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}~,~0\right)}$となる。

  2. $y=-4x^2+4x-1$ のグラフと $x$ 軸との共有点

    判別式を $D$ とすると \[\dfrac{D}{4}=2^2-(-4)\cdot(-1)=0\] $\blacktriangleleft$ または$D=4^2-4\cdot(-4)\cdot(-1)=0$
    なので、$\boldsymbol{x}$軸と1つの共有点をもつ(接する)。

    また \begin{align} &-4x^2+4x-1=0\\ \Leftrightarrow~&4x^2-4x+1=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-1)^2=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1}{2} \end{align} だから、このグラフと $x$ 軸の共有点の座標は$\boldsymbol{\left(\dfrac{1}{2}~,~0\right)}$となる。

  3. $y=x^2-x+1$ のグラフと $x$ 軸との共有点

    判別式を $D$ とすると \[D=(-1)^2-4=-3\lt0\] なので、$\boldsymbol{x}$軸と共有点をもたない。

$x$ 軸と接するための条件

2次関数 $y=4x^2+2(k-1)x-k+4$ のグラフが $x$ 軸と接するように、定数 $k$ の値を定めよ。

2次関数 $y=4x^2+2(k-1)x-k+4$ の判別式を $D$ とすると \begin{align} \dfrac{D}{4}=&(k-1)^2-4(-k+4)\\ =&k^2-2k+1+4k-16\\ =&k^2+2k-15 \end{align} $\blacktriangleleft$ または $D=4k^2+8k-60$
放物線が $x$ 軸と接するのは $D=0$ のときであるから
$\blacktriangleleft$ 判別式 $D$ と放物線の関係参照 \begin{align} &k^2+2k-15=0\\ \Leftrightarrow~&(k+5)(k-3)=0\\ \therefore~&\boldsymbol{k=-5~,~3} \end{align} \begin{align} {\blacktriangleleft}&k=-5\rightarrow~y=2\left(x-\frac{3}{2}\right)^2\\ &k=3~\rightarrow~y=2\left(x+\frac12\right)^2 \end{align} になる

2次関数の決定において、$x$ 軸との共有点がわかっている場合を考えてみよう。

放物線 $y=ax^2+bx+c$ と $x$ 軸との交点の $x$ 座標が $-3$、$1$ であったとする。このとき、放物線と $x$ 軸との共有点で学んだように、$ax^2+bx+c=0$ の解も $-3$、$1$ である。

さらに、解と係数の関係で学んだことを用いると「方程式 $ax^2+bx+c=0$」と「方程式 $(x+3)(x-1)=0$」は一致している。$x^2$ の係数をあわせて、$ax^2+bx+c=a(x+3)(x-1)$ とわかる。

2次関数の決定($x$ 軸との交点の座標が与えられた場合)

グラフと $x$ 軸との交点の座標が $(-1,~0)$、$(2,~0)$ であり、点 $(1,~-2)$ を通る2次関数の式を求めよ。

$x$ 軸との交点の $x$ 座標が $-1$、$2$ なので、求める2次関数は \[y=a(x+1)(x-2)\tag{1}\label{2jikansukara2jihotesikiwokangaeru}\] とおける。

また、この2次関数は $(1,~-2)$ を通るので,$\eqref{2jikansukara2jihotesikiwokangaeru}$より \[-2=a(1+1)(1-2)\] を得る。これより、$a=1$ となるので、求める2次関数は $y=(x+1)(x-2)$、つまり \[\boldsymbol{y=x^2-x-2}\] となる。

2次方程式から2次関数を考える

次は、2次関数から2次方程式を考えてみよう。「放物線と $x$ 軸との共有点」を逆に考えれば、次のことがわかる。

2次方程式の解をグラフに表す

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

判別式 $D$ が $0$ 以上である2次方程式 \[\color{red}{ax^2+bx+c}=0\] の解は、2次関数 \[y=\color{red}{ax^2+bx+c}\] のグラフと $x$ 軸との「共有点の $x$ 座標」に表れる。

この事実について、もう少し深く考察してみよう。

たとえば、2次方程式 \[4x^2-12x+9=0\tag{1}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru1}\] の解について考える。 ここで、上の2次方程式の左辺を $y$ とおいた2次関数 \[y=4x^2-12x+9\tag{2}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2}\] のグラフと、$x$ 軸との交点の $x$ 座標は、方程式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru1}$ の解と一致する。

なぜなら、この $x$座標は、2次関数の式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2}$ に $y=0$ を代入した \[4x^2-12x+9=0\] を解くことによって求められるからである。

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

いま、この2次関数 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru2}$ の判別式 $D$ は \begin{align} D=&(-12)^2-4\times4\times9\\ =&144-144=0 \end{align} となるので、この放物線は $x$ 軸と1つの共有点をもつ。

実際、この2次方程式を因数分解してみると \begin{align} &4x^2-12x+9=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-3)^2=0\\ \Leftrightarrow~&2x-3=0 \end{align} より、$x=\dfrac{3}{2}$ となり、これが $x$ 軸との交点の $x$ 座標となっている。

暗記2次方程式から2次関数を考える

2次方程式から2次関数を考える

2次方程式から2次関数を考える

次の空欄に適当な数字または文字を入れよ。

2次方程式 \[x^2-4x+5=0\tag{3}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}\] の解について考える。

ここで、上の2次方程式の「左辺を $y$ とおいた2次関数」 \[\fbox{A}=x^2-4x+5\tag{4}\label{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4}\] のグラフと、$x$ 軸との交点の $x$ 座標は、方程式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}$ の解と一致する。

なぜなら、この $x$ 座標は、2次関数の式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4}$ に $\fbox{A}=\fbox{B}$ を代入した \[x^2-4x+5=\fbox{B}\] を解くことによって求めるからである。

いま、この2次関数 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru4}$ の判別式 $D$ は \[D=\fbox{C}\lt0\] となるので、この放物線は $x$ 軸と共有点をもたない。

実際、2次方程式 $\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}$ の判別式も \[D=\fbox{C}\lt0\] となり、$\eqref{2jihotesikikara2jikansuwokangaeru3}$を満たす実数 $x$ は存在しないことがわかる。

$\fbox{A}=\boldsymbol{y}$、$\fbox{B}=\boldsymbol{0}$、$\fbox{C}=\boldsymbol{-4}$
${\blacktriangleleft}~\fbox{C}$ の計算 \[D=(-4)^2-4\cdot1\cdot5=16-20=-4\]

以上のことから、次のことがまとめられる。

「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標」の対応

グラフと $x$ 軸との共有点

グラフと $x$ 軸との共有点

2次方程式 \[\color{red}{ax^2+bx+c}=0\] の解は、この式の左辺を $y$ とおいた2次関数 \[y=\color{red}{ax^2+bx+c}\] のグラフと $x$ 軸との交点の $x$ 座標と一致する。

判別式 $D=b^2-4ac$ の符号と、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸との位置関係、および2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解の個数について、次のようにまとめられる。

「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標」の対応の表

「2次方程式の解」と「2次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の $x$ 座標」の対応の表