2次関数をもちいて2次不等式を解く
2次不等式 \[x^2-5x+4\lt0\] を解くためには、2次関数 \[y=x^2-5x+4\] について、$y\lt0$ となる $x$ の値の範囲を調べればよい。
\[y=x^2-5x+4=(x-1)(x-4)\] と因数分解できるので、グラフは下図のようになる。これより、$y\lt0$ となる $x$ の範囲は $1\lt{x}\lt4$ である。
$y=x^2-5x+4$のグラフ
暗記2次不等式の解法
$y=x^2-4x+2$ のグラフ
以下の空欄に適当な数字を入れよ。
2次不等式 \[x^2-4x+2\gt0\tag{1}\label{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku}\] を解くことを考えよう。
まず $x^2-4x+2\gt0$ を因数分解するため、2次方程式 $x^2-4x+2=\fbox{A}$ を解こう。
これは、解の公式より \[x=\fbox{B}\pm\sqrt{\fbox{C}}\] となる。よって \begin{align} &x^2-4x+2\gt0\\ \Leftrightarrow~&\left\{x-\left(\fbox{B}-\sqrt{\fbox{C}}\right)\right\}\\ &\qquad\left\{x-\left(\fbox{B}+\sqrt{\fbox{C}}\right)\right\}\gt0 \end{align} と因数分解できる。
${\blacktriangleleft}$ 2次方程式の解と因数分解参照この左辺を $y$ とおいて、$y\gt0$ となるときの $x$ の範囲を求めればよい。
2次関数 \begin{align} y=&\left\{x-\left(\fbox{B}-\sqrt{\fbox{C}}\right)\right\}\\ &\qquad\left\{x-\left(\fbox{B}+\sqrt{\fbox{C}}\right)\right\} \end{align} のグラフを描けば右図のようになるので、 $\eqref{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku}$ の解は \[\boldsymbol{x\lt\fbox{B}-\sqrt{\fbox{C}}~,~\fbox{B}+\sqrt{\fbox{C}}\lt{x}}\]
$\fbox{A}=\boldsymbol{0}$、$\fbox{B}=\boldsymbol{2}$、$\fbox{C}=\boldsymbol{2}$
${\blacktriangleleft}~\fbox{B}$、$\fbox{C}$の計算
$-(-2)\pm\sqrt{(-2)^2 -1\cdot2}=2\pm\sqrt{2}$
判別式 $D\gt0$ の場合の2次不等式
次の2次不等式を解け。
- $x^2-2x-3\gt0$
- $x^2-2x-3\geqq0$
- $x^2-2x-3\lt0$
- $x^2-2x-3\leqq0$
$y=x^2-2x-3$ とおくと、判別式 $D$ は \[D=(-2)^2-4\cdot1\cdot(-3)=16\gt0\] となるので、この放物線は $x$ 軸と2つの共有点をもつ。その共有点の $x$ 座標は \begin{align} &x^2-2x-3=0\\ \Leftrightarrow~&(x+1)(x-3)=0\\ \Leftrightarrow~&x=-1,~3 \end{align} より、$x$ 軸との交点の $x$ 座標は $-1$、$3$ とわかる。
これより、$y=x^2-2x-3$ のグラフは右図のようになる。
以下、このグラフをもとに2次不等式を解く。
右図より、$\overbrace{x^2-2x-3}^{y の積}\gt0$ となるのは $x\lt-1$ または $3\lt{x}$ のときであるとわかる。
よって、2次不等式 $x^2-2x-3\gt0$ の解は \[\boldsymbol{x\lt-1~,~3\lt{x}}\] となる。
右図より、$\overbrace{x^2-2x-3}^{y の積}\geqq0$ となるのは $x\leqq-1$ または $3\leqq{x}$ のときとわかる。
よって、2次不等式 $x^2-2x-3\geqq0$ の解は \[\boldsymbol{x\leqq-1~,~3\leqq{x}}\] となる。
右図より、$\overbrace{x^2-2x-3}^{y の積}\lt0$ となるのは $-1\lt{x}\lt3$ のときとわかる。
よって、2次不等式 $x^2-2x-3\lt0$ の解は \[\boldsymbol{-1\lt{x}\lt3}\] となる。
右図より、$\overbrace{x^2-2x-3}^{y の積}\leqq0$ となるのは $-1\leqq{x}\leqq3$ のときとわかる。
よって、2次不等式 $x^2-2x-3\leqq0$ の解は \[\boldsymbol{-1\leqq{x}\leqq3}\] となる。
判別式 $D=0$ の場合の2次不等式
次の2次不等式を解け。
- $4x^2-4x+1\gt0$
- $4x^2-4x+1\geqq0$
- $4x^2-4x+1\lt0$
- $4x^2-4x+1\leqq0$
$y=4x^2-4x+1$ とおくと、判別式 $D$ は \[D=(-4)^2-4\cdot4\cdot1=0\] となるので、この放物線は $x$ 軸と接する。
さらに、2次方程式 $4x^2-4x+1=0$ を解くと \begin{align} &4x^2-4x+1=0\\ \Leftrightarrow~&(2x-1)^2=0\\ \therefore~~&x=\dfrac{1}{2} \end{align} となるので、$x$ 軸との共有点(接点)の $x$ 座標は $\dfrac{1}{2}$ とわかる。
これより、$y=4x^2-4x+1$ のグラフは右図のようになる。
以下、このグラフをもとに2次不等式を解く。
右図より、$4x^2-4x+1\gt0$ となるのは $x\lt\dfrac{1}{2}$ または $\dfrac{1}{2}\lt{x}$ のときとわかる。
よって、2次不等式 $4x^2-4x+1\gt0$ の解は \[\boldsymbol{x\lt\dfrac{1}{2}~,~\dfrac{1}{2}\lt{x}}\] となる。
${\blacktriangleleft}$ 「$x$ は $\dfrac{1}{2}$ 以外のすべての実数」という答え方でもよい右図より、すべての実数 $x$ で $4x^2-4x+1\geqq0$ となるのがわかる。
よって、2次不等式 $4x^2-4x+1\geqq0$ の解はすべての実数となる。
右図より、$4x^2-4x+1\lt0$ となる $x$ は存在しないのがわかる。
よって、2次不等式 $4x^2-4x+1\lt0$ の解は存在しない。
右図より、$4x^2-4x+1\leqq0$ となるのは $\boldsymbol{x=\dfrac{1}{2}}$ のときのみとわかる。
よって、2次不等式 $4x^2-4x+1\leqq0$ の解は \[\boldsymbol{x=\dfrac{1}{2}}\] となる。
判別式 $D\lt0$ の場合の2次不等式
次の2次不等式を解け。
- $x^2-4x+5\gt0$
- $x^2-4x+5\geqq0$
- $x^2-4x+5\lt0$
- $x^2-4x+5\leqq0$
$y=x^2-4x+5$ とおくと、判別式 $D$ は \[D=(-4)^2-4\cdot1\cdot5=-4\lt0\] となり、この放物線は $x$ 軸と交点をもたないので、$y=x^2-4x+5$ のグラフは右図のようになる。
以下、このグラフをもとに2次不等式を解く。
右図より、すべての実数 $x$ で $x^2-4x+5\gt0$ となるのがわかる。
よって、2次不等式 $x^2-4x+5\gt0$ の解はすべての実数となる。
右図より、すべての実数 $x$ で $x^2-4x+5\geqq0$ となるのがわかる。
よって、2次不等式 $x^2-4x+5\geqq0$ の解はすべての実数となる。
右図より、$x^2-4x+5\lt0$ となる $x$ は存在しないのがわかる
よって、2次不等式 $x^2-4x+5\lt0$ の解は存在しない。
右図より、$x^2-4x+5\leqq0$ となる $x$ は存在しないのがわかる。
よって、2次不等式 $x^2-4x+5\leqq0$ の解は存在しない。
2次不等式の解
$a\gt0$ の場合の、2次不等式の解はつぎのようにまとめることができる。
2次不等式の解の表
吹き出し2次不等式の解
この結果は暗記するようなものではない。簡単なグラフを必ず描き、結果を導き出せるようにしよう。
2次不等式の練習
次の2次不等式を解け。
- $(x-3)(x+2)\leqq0$
- $x^2-6x+8\lt0$
- $-2x^2-x-6\geqq0$
- $x^2-x-6\geqq2x-4$
- $-x^2-x-9\lt{x}-3$
- $\dfrac{1}{2}x^2-x-\dfrac{5}{3}\geqq\dfrac{2}{3}x^2+\dfrac{1}{3}x+1$
- $y=(x-3)(x+2)$ のグラフを描けば右図のようになるので、$\boldsymbol{-2\leqq{x}\leqq3}$ が解となる。
-
$x^2-6x+8$ は整数の範囲で因数分解でき
${\blacktriangleleft}~y=x^2-6x+8$ の判別式を $D$ とすると $\dfrac{D}{4}=(-3)^2-1\cdot8\gt0$ \begin{align} &x^2-6x+8\lt0\\ \Leftrightarrow~&(x-2)(x-4)\lt0 \end{align} $y=(x-2)(x-4)$ のグラフを描けば右図のようになるので、$\boldsymbol{2\lt{x}\lt4}$ が解となる。 -
式全体に $-1$ を掛けて
${\blacktriangleleft}~x^2$ の係数は正にした方がよい \begin{align} &-2x^2-x-6\geqq0\\ \Leftrightarrow~&2x^2+x+6\leqq0 \end{align} $y=2x^2+x+6$ は判別式 $D=1^2-4\cdot2\cdot6\lt0$ であるので、グラフは右図のようになる。つまり、この不等式を満たす実数は存在しないので、解はない。 -
移項して整理すると
\begin{align}
&x^2-x-6\geqq2x-4\\
\Leftrightarrow~&x^2-3x-2\geqq0
\end{align}
$x^2-3x-2$ は簡単には因数分解できないので、
${\blacktriangleleft}~y=x^2-3x-2$ の判別式を $D$ とすると $D=(-3)^2-4\cdot1\cdot(-2)\gt0$
2次方程式 $x^2-3x-2=0$ の解 \begin{align} x=&\dfrac{3\pm\sqrt{(-3)^2-4\cdot1\cdot(-2)}}{2}\\ =&\dfrac{3\pm\sqrt{17}}{2} \end{align} ${\blacktriangleleft}$ 2次方程式の解の公式参照
を利用して \begin{align} &x^2-3x-2\geqq0\\ \Leftrightarrow~&\left(x-\frac{3-\sqrt{17}}{2}\right)\\ &\qquad\left(x-\frac{3+\sqrt{17}}{2}\right)\geqq0\\ \Leftrightarrow~&\boldsymbol{x\leqq\frac{3-\sqrt{17}}{2},~~\frac{3+\sqrt{17}}{2}\leqq{x}} \end{align} が解となる。 -
移項して整理すると
\begin{align}
&-x^2-x-9\lt{x}-3\\
\Leftrightarrow~&-x^2-2x-6\lt0\\
\Leftrightarrow~&x^2+2x+6\gt0
\end{align}
${\blacktriangleleft}~x^2$ の係数は正にした方がよい
$y=x^2+2x+6$ の判別式 $D$ について $\dfrac{D}{4}=1^2-1\cdot6\lt0$ であるので、グラフは右図のようになる。つまり、この不等式は常に正しいので、解はすべての実数。 - 両辺を6倍して整理すると \begin{align} &\dfrac{1}{2}x^2-x-\dfrac{5}{3}\geqq\dfrac{2}{3}x^2+\dfrac{1}{3}x+1\\ \Leftrightarrow~&3x^2-6x-10\geqq4x^2+2x+6\\ \Leftrightarrow~&x^2+8x+16\leqq0\\ \Leftrightarrow~&(x+4)^2\leqq0 \end{align} $y=(x+4)^2$ のグラフを描くと右図のようになる。よって、この不等式の解は $\boldsymbol{x=-4}$。
連立2次不等式
次の不等式を解け。
- \begin{cases} x^2-5x-14\geqq0\\ 2x^2-11x-40\lt0 \end{cases} 上の式を $(1)$、下の式を $(2)$ とする。
- \begin{cases} 25-9x^2\gt0\\ 3x^2+4x-6\lt0 \end{cases} 上の式を $(3)$、下の式を $(4)$ とする。
まず、$(1)$ を解くと \begin{align} &x^2-5x-14\geqq0\\ \Leftrightarrow~&(x+2)(x-7)\geqq0\\ \Leftrightarrow~&x\leqq-2~,~7\leqq{x} \end{align} 最後の式を $(1)'$ とする。
次に、$(2)$ を解くと \begin{align} &2x^2-11x-40\lt0\\ \Leftrightarrow~&(2x+5)(x-8)\lt0\\ \Leftrightarrow~&-\dfrac{5}{2}\lt{x}\lt8 \end{align} 最後の式を $(2)'$ とする。
以上 $(1)'$、$(2)'$ を共通して満たす $x$ は \[\boldsymbol{-\dfrac{5}{2}\lt{x}\leqq-2~,~7\leqq{x}\lt8}\]
まず、$(3)$ を解くと \begin{align} &25-9x^2\gt0\\ \Leftrightarrow~&9x^2-25\lt0\\ \Leftrightarrow~&(3x+5)(3x-5)\lt0\\ \Leftrightarrow~&-\dfrac{5}{3}\lt{x}\lt\dfrac{5}{3} \end{align} ${\blacktriangleleft}~x^2$ の係数が正になるように両辺に $-1$ を掛けた
最後の式を $(3)'$ とする。次に、$(4)$ を解くのだが、これは簡単には因数分解できないので、2次方程式 $3x^2+4x-6=0$ の解 \begin{align} x=&\dfrac{-2\pm\sqrt{2^2-3\cdot(-6)}}{3}\\ =&\dfrac{-2\pm\sqrt{22}}{3} \end{align} ${\blacktriangleleft}~x$ の係数が偶数の場合の解の公式参照
を利用して \begin{align} &3x^2+4x-6\lt0\\ \Leftrightarrow~&\left\{x-\left(\dfrac{-2-\sqrt{22}}{3}\right)\right\}\\ &\qquad\left\{x-\left(\dfrac{-2+\sqrt{22}}{3}\right)\right\}\lt0\\ \Leftrightarrow~&\dfrac{-2-\sqrt{22}}{3}\lt{x}\lt\dfrac{-2+\sqrt{22}}{3} \end{align} 最後の式を $(4)'$ とする。
以上 $(3)'$、$(4)'$ を共通して満たす $x$ は \[\boldsymbol{-\dfrac{5}{3}\lt{x}\lt\dfrac{-2+\sqrt{22}}{3}}\]
${\blacktriangleleft}~4\lt\sqrt{22}\lt5$ より
$-2+\sqrt{22}=2.\cdots$ なので
$\dfrac{-2+\sqrt{22}}{3}=0.\cdots$
$-2-\sqrt{22}=-6.\cdots$ なので
$\dfrac{-2-\sqrt{22}}{3}=-2.\cdots$
範囲に注意すべき2次関数の最大・最小
$x^2+y^2=1$ のとき、$L=x+y^2-1$ の最大値・最小値、そのときの $x$、$y$ を求めよ。
まず、$x^2+y^2=1$ を変形して
${\blacktriangleleft}~L=x+y^2-1$ から $y$ を消去することが目的
\[y^2=1-x^2\tag{1}\label{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku1}\]
$\eqref{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku1}$ を $L=x+y^2-1$ に代入し、平方完成すると
${\blacktriangleleft}$ 最大・最小を求めたいので平方完成する
\begin{align}
L&=x+(1-x^2)-1\\
&=-x^2+x\\
&=-\left(x-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{1}{4}
\end{align}
一方、$\eqref{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku1}$ において、$y^2\geqq0$ なので
${\blacktriangleleft}$ 条件に2乗などがあるときは範囲に注意する
\begin{align}
&1-x^2\geqq0\\
\Leftrightarrow~&(x-1)(x+1)\leqq0\\
\therefore~&-1\leqq{x}\leqq1
\end{align}
である。つまり
\begin{align}
L=f(x)&=-\left(x-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{1}{4}\\
&(-1\leqq{x}\leqq1)\tag{2}\label{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku2}
\end{align}
図から、最大値は \[f\left(\dfrac{1}{2}\right)=\dfrac{1}{4}\] であり、$x=\dfrac{1}{2}$ を $\eqref{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku1}$ に代入して $y=\pm\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ となる。
また、最小値は \[f(-1)=-2\] であり、$x=-1$ を $\eqref{2jikansuwomotiite2jifutosikiwotoku1}$ に代入して $y=0$ となる。まとめると
- $\boldsymbol{(x,~y)=\left(\dfrac{1}{2},~\pm\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)}$ のとき最大値$\boldsymbol{\dfrac{1}{4}}$
- $\boldsymbol{(x,~y)=(-1,~0)}$ のとき最小値 $\boldsymbol{-2}$