「$p{\Rightarrow}q$」の形をした背理法
「ならば」のいいかえでもみたように、「$p{\Rightarrow}q$」は、「$\overline{p}$ または $q$」と同値なので、この否定は
$\blacktriangleleft$ ド・モルガンの法則(命題版)参照
\[(\overline{\overline{p}\vee{q}})\Leftrightarrow(p\wedge\overline{q})\]
である。したがって、$p{\Rightarrow}q$ が真であることを背理法で証明したいときには「$p$ かつ $\overline{q}$」を仮定して矛盾を導くことになる。
$p{\Rightarrow}q$の背理法~その1~
- $x$ が無理数ならば $x+3$ も無理数であることを証明せよ。
- $x$ が無理数ならば $3x$ も無理数であることを証明せよ。
$x+3$ が $a$ という有理数であると仮定すると \[x=a-3\]
$\blacktriangleleft$ 有理数どうしの差は有理数であるより、$x$ は有理数となる。これは、$x$ が無理数であることに矛盾する。よって、$x+3$ は無理数である。
$3x$ が $b$ という有理数であると仮定すると \[x=\dfrac{b}{3}\]
$\blacktriangleleft$ 有理数どうしの比(分数)は有理数であるより、$x$ は有理数となる。これは、$x$ が無理数であることに矛盾する。よって、$3x$ は無理数である。
実数のうち、有理数でないものを無理数という。実数、無理数について詳しくはいろいろな数を参照のこと。
暗記$p{\Rightarrow}q$の背理法~その2~
$a,b,x,y$ が有理数のとき \[a+b\sqrt{2}=x+y\sqrt{2}ならば,a=x\wedge{b}=y\] であることを証明せよ。
$a+b\sqrt{2}=x+y\sqrt{2}$ より \[(b-y)\sqrt{2}=x-a\tag{1}\label{pkaraqnokatatiwositahairiho}\]
$\blacktriangleleft$ 有理数どうしの比(分数)は有理数である
いま、$b\neq{y}$ と過程すると、$\sqrt{2}=\dfrac{x-a}{b-y}$ となるが、$x-a,y-b$ は有理数であるから $\sqrt{2}$ は有理数となる。これは、$\sqrt{2}$ が無理数であることに矛盾する。よって、$b=y$ である。また、このとき $\eqref{pkaraqnokatatiwositahairiho}$ から $a=x$ となる。
この例題から推測できるように、一般に次のことがいえる。
有理数と無理数は独立している
$a,b,x,y$ が有理数、$\sqrt{z}$が無理数のとき \[a+b\sqrt{z}=x+y\sqrt{z}ならば,a=x\wedge{b}=y\] が成り立つ。