正多角錐
空間図形において、底面が正多角形で、側面が二等辺三角形で作られ、側面の頂点が一点に集まっている多面体のことを正多角錐 (regular pyramid) という(正角錐ともいう)。底面が正 $n$ 角形の正多角錐のことを正 $n$ 角錐といい、$n$ は $3$ 以上の自然数をとりうる。
正三角錐と正四角錐
右の図は正三角錐と正四角錐である。底面の形状がわかり易いように底面を上にしてある。
正四角錐の計量
正四角錐の計量
右図のように、底面の1辺の長さが $2$、高さ $\text{OH}$ が $1$ である正四角錐 $\text{OABCD}$ について以下の問に答えよ。
- 底面と側面のなす角 $\alpha$ を求めよ。
- $\text{A}$ から辺 $\text{OB}$ に下ろした垂線 $\text{AE}$ の長さを求めよ。
- 隣り合う2つの側面のなす角 $\beta$ を求めよ。
辺 $\text{AB}$ の中点を $\text{M}$ とおくと、$\triangle\text{OAB}$、$\triangle\text{HAB}$ は共に二等辺三角形であるから、$\text{OM}\perp\text{AB}$、$\text{HM}\perp\text{AB}$ である。よって、$\angle\text{OMH}$ が底面と側面のなす角 $\alpha$ である。
いま、直角三角形 $\text{OMH}$ において、$\text{OH}=\text{HM}=1$ より、$\boldsymbol{\alpha=45^{\circ}}$ となる。これは、他の側面についても同様である。
$\angle\text{OBA}=\theta$ とおくと、三平方の定理より
\begin{align} \text{OB}=&\sqrt{\text{OH}^2+\text{BH}^2}\\ =&\sqrt{1^2+\left(\sqrt{2}\right)^2}\\ =&\sqrt{3}\\ \text{OM}=&\sqrt{2} \end{align} である。$\triangle\text{OBM}$ に着目して、$\sin\theta=\dfrac{\text{OM}}{\text{OB}}=\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=\dfrac{\sqrt{6}}{3}$ となる。ここで、$\triangle\text{ABE}$ に着目すれば、$\text{AE}=\text{AB}\sin\theta=2\cdot\dfrac{\sqrt{6}}{3}=\boldsymbol{\dfrac{2\sqrt{6}}{3}}$ である。
$\triangle\text{OAB}\equiv\triangle\text{OCB}$ であり、$\text{AE}\perp\text{OB}$ より、$\text{CE}\perp\text{OB}$。よって、$\angle\text{AEC}$ が求める角 $\beta$ である。
$\triangle\text{AEC}$ に点 $\text{E}$ からみる余弦定理を用いると \begin{align} \cos\beta=&\dfrac{\text{AE}^2+\text{CE}^2-\text{AC}^2}{2\text{AE}\cdot\text{CE}}\\ =&\dfrac{2\text{AE}^2-\text{AC}^2}{2\text{AE}^2}\\ =&1-\dfrac{\left(2\sqrt{2}\ \right)^2}{2\left(\dfrac{2\sqrt{6}}{3}\right)^2}\\ =&-\dfrac{1}{2} \end{align} よって、$\boldsymbol{\beta=120^{\circ}}$ となる。