放物線と$x$軸の位置関係-判別式D
放物線と $x$ 軸との位置関係については、次の3つのパターンに分けられる。ただし、グラフは下に凸な場合のものである。
- $x$ 軸と2つの共有点をもつ
- $x$ 軸と1つの共有点をもつ
- $x$ 軸と共有点をもたない
$y=2(x+2)^2-7$
たとえば、放物線 $y=2x^2+8x+1$ は平方完成によって \begin{align} y=&2x^2+8x+1\\ =&2\{x^2+4x\}+1\\ =&2\left\{\left(x+2\right)^2-4\right\}+1\\ =&2(x+2)^2-7 \end{align} となり、頂点の座標は $(-2,~-7)$ とわかる。特に、頂点の $y$ 座標は負であるから、グラフは右上図のようになり、上のパターンiであることがわかる。
このように、2次関数が与えられたとき、頂点の $y$ 座標の符号を調べれば、グラフがこの3つのパターンのうちどれに属するかを知ることができる。
では、一般の放物線 $y=ax^2+bx+c~(a\neq0)$ について考えてみよう。『$y=ax^2+bx+c$ のグラフ』で学んだように、平方完成は \[y=ax^2+bx+c=a\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2-4ac}{4a}\] となる。そして $a\gt0$ の場合は、この頂点の $y$ 座標の値 $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}$ の負・$0$・正が上のパターンi・ii・iiiと対応している。
$-\dfrac{b^2-4ac}{4a}$ の符号は、分子の $b^2-4ac$ と分母にある $a$ の符号がわかれば確定する。($a$ の正負は、グラフが下に凸か上に凸かを決めているだけなので、$b^2-4ac$ の符号を調べれば2次関数と $x$ 軸との位置関係を判別できる。)そこで、分子に表れる $b^2-4ac$ という式を判別式 (discriminant) とよび、$D$ であらわす。
判別式 $D$ の定義
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ において、$b^2-4ac$ を判別式 $D$ とよぶ。つまり \[D=b^2-4ac\] とする。
いま、この判別式 $D$ の符号に着目して放物線と $x$ 軸との位置関係を調べると、次のようにまとめることができる。
$a\gt0$ の図
$a\lt0$ の図
以上の結果について、$x$ 軸との共有点の数だけに着目すれば、$a$ の正負によらず次のようにまとめられる。
判別式 $D$ と放物線の関係
- $\boldsymbol{D\gt0}$ のとき
放物線 $y=f(x)$ は $x$ 軸と「2つの共有点をもつ」 - $\boldsymbol{D=0}$ のとき
放物線 $y=f(x)$ は $x$ 軸と「1つの共有点をもつ」
このとき、この放物線 $y=f(x)$ は $x$ と接する (contact) といい、この共有点のことを、特に、接点 (point of contact) という。
この接点の座標は、放物線の頂点に等しく、$\left(-\dfrac{b}{2a},~0\right)$ である。 - $\boldsymbol{D\lt0}$ のとき
放物線 $y=f(x)$ は $x$ 軸と「共有点をもたない」
$x$ 軸との共有点の個数の判別
2次関数 $y=x^2-(k-1)x+\dfrac{1}{4}k^2+k+1$ のグラフと $x$ 軸との共有点の個数は、定数 $k$ の値によってどのように変わるか調べよ。
$k$ の値によるグラフの変化
2次関数 $y=x^2-(k-1)x+\dfrac{1}{4}k^2+k+1$ の判別式を $D$ とすると \begin{align} D=&(k-1)^2-4\left(\dfrac{1}{4}k^2+k+1\right)\\ =&k^2-2k+1-k^2-4k-4=-6k-3 \end{align}
- $-6k-3\gt0$、つまり $k\lt-\dfrac{1}{2}$ のとき
$D\gt0$ となり、グラフは $x$ 軸と異なる2点で交わる。 - $-6k-3=0$、つまり $k=-\dfrac{1}{2}$ のとき
$D=0$ となり、グラフは $x$ 軸と接する。 - $-6k-3\lt0$、つまり $k\gt-\dfrac{1}{2}$ のとき
$D\lt0$ となり、グラフは $x$ 軸と共有点をもたない。
- $\boldsymbol{k\lt\dfrac{1}{2}}$ のとき $\boldsymbol{2}$ 個
- $\boldsymbol{k=\dfrac{1}{2}}$ のとき $\boldsymbol{1}$ 個
- $\boldsymbol{k\gt\dfrac{1}{2}}$ のとき $\boldsymbol{0}$ 個