資源配分(配分先に区別が無い場合)の数$p(n,r)$の計算
区別しない $n$ 個のボールを,区別しない $r$ 個の箱に最低1個は配る場合の数 $p(n,r)$ の一般的な議論は難しいので,簡単な例題についてだけ以下に触れる.
資源配分(配分先に区別が無い場合)の計算練習
次の値を求めよ.
- $p(5,1)$
- $p(5,2)$
- $p(5,3)$
- $p(5,4)$
- $p(5,5)$
- 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない1個の箱に最低1個は配る場合の数」であり,これは次の図のような $\boldsymbol{1}$ 通りである.
- 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない2個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような $\boldsymbol{2}$ 通りである.
- 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない3個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような $\boldsymbol{2}$ 通りである.
- 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない4個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような $\boldsymbol{1}$ 通りである.
- 求めるのは「区別しない5個のボールを,区別しない5個の箱に最低1個は配る場合の数」 であり,これは次の図のような $\boldsymbol{1}$ 通りである.
資源配分 (配分先に区別が無い場合)
区別しない9個のボールを,区別しない3つの箱に配る場合について,どの箱にも最低1個はボールを配るとして,その配り方には何通りの方法があるか求めよ.
まず,ボールを区別せず,箱を区別する(a箱,b箱,c箱と名付ける) 場合について考える.
このとき,9個のボールを3つの箱に分ける方法は,並べた9個のボールの“すきま”8ヶ所に“しきり”を2ヶ所いれ,左から順にa箱,b箱,c箱に入れるボールの数と対応させればよい. つまり, $_{8}\mathrm{C}_{2}=28$ 通りある.
a箱,b箱,c箱にはいるボールの数がそれぞれ $l,m,n$ のとき, $(l,m,n)$ と表す.
- 28通りのうち3つの箱とも入るボールの数が等しくなるのは \begin{align} (3,3,3) \end{align}
- a箱,b箱に入るボールの数が等しいのは,3箱とも入るボールの数が同じ場合を除くと
- 3つの箱に入るボールの数がばらばらであるのは, $28−(1+9)=18$ 通り.
の1通り.
$(1,1,7),(2,2,5),\overbrace{(3,3,3)}^\text{これは除く},(4,4,1)$
の3通りある.3つの箱のうち,どの2つの箱に入る球の数が等しくなるかは $_{3}\mathrm{C}_{2}$ 通りあるので, 2つの箱に入るボールの数が等しいのは $_{3}\mathrm{C}_{2}\times3=9$ 通り.
よって,箱の区別をなくすと
$1+\dfrac{9}{3}+\dfrac{18}{3!}=\boldsymbol{7}$ 通り
$\uparrow\ p(9,3)$
7通りの内訳は次のようになる.
★資源配分 (配分先に区別が無い場合)
$n$ を正の整数とし, $n$ 個のボールを3つの箱に分けて入れる問題を考える.ただし,1個のボールも入らない箱があってもよいものとする.
- 互いに区別のつかないボールを,A,B,Cと区別された3つの箱に入れる場合,その入れ方は全部で何通りあるか.
- $n$ が6の倍数 $6m$ ( $m$ は自然数)であるとき, $n$ 個の互いに区別のつかないボールを,区別のつかない3つの箱に入れる場合,その入れ方は全部で何通りあるか. $m$ を用いて表せ.
- Aに $a$ 個,Bに $b$ 個,Cに $c$ 個入れるとして
- 1. の $\dfrac{(n+2)(n+1)}{2}$ 通りのうち
- 3箱に入るボールの数がすべて違うものが $p$ 通り
- 3箱に入るボールの数が2箱については同じものが $q$ 通り
- 3箱に入るボールの数がすべて同じものが $r$ 通り
$a+b+c=n$ を満たす0以上の整数の組 $(a,b,c)$ が何組あるかと対応する.
$\uparrow$ 資料配分〜その2〜の例題を参照のこと
よって
\begin{align} _{3}\mathrm{C}_{n}=&\ _{n+2}\mathrm{C}_{n}=\ _{n+2}\mathrm{C}_{2}\\ =&\boldsymbol{\dfrac{(n+2)(n+1)}{2}}通り \end{align}
あるとすれば,求める値は,箱の区別を無くすため,それぞれ6,3,1で割って $\dfrac{p}{3!}+\dfrac{q}{3}+r$ 通りとなる.
まず, $r$ は明らかに1である.
次に, $q$ を求める.どの2つの箱に入るボールの数が等しくなるかで $_{3}\mathrm{C}_{2}$ 通りある. 例えば $a$ と $b$ が等しい場合
\begin{align} (a,b,c)=&(k,k,6m-2k)\\ &\qquad(k=0,1,\cdots,3m) \end{align}なので, $3m+1$ 通りあるが,3箱に入るボールの数がすべて同じになる場合である $(a,b,c)=(2m.2m,2m)$ の1通りを引いて,
$3m$ 通りある.よって
\begin{align} q=\ _{3}\mathrm{C}_{2}\cdot3m=9m \end{align}最後に, $p$ は全体から $q,r$ を引くことにより求まり
\begin{align} p=&\ \frac{(n+2)(n+1)}{2}-9m-1\\ =&\ \frac{(6m+2)(6m+1)}{2}-9m-1\\ =&\ 18m^2 \end{align}以上より
$\dfrac{18m^2}{3!}+\dfrac{9m}{3}+1=\boldsymbol{3m^2+3m+1}$
通り