ベクトルの実数倍の定義
$\vec{0} $でない$\vec{a}$ と実数$m$ に対し,$\vec{a}$ の$m$ 倍$m\vec{a}$ を次のように定める.
$m\gt0$ のとき
$\vec{a}$ と同じ向きで,大きさが $\left|\vec{a}\right|$ の $\underbrace{m}_{正}$ 倍のベクトル
$m\lt0$ のとき
$\vec{a}$ と反対の向きで,大きさが $\left|\vec{a}\right|$ の $\underbrace{\left|m\right|}_{正}$ 倍のベクトル
$m=0$ のとき
$0\vec{a}=\vec{0}$ と定める.
また,$\vec{a}=\vec{0}$ のときは,任意の実数 $m$ に対して $m\vec{0}=\vec{0}$ と定める.
特に,$m=1$ のときは $1$ を省略して書く.つまり $1\vec{a}=\vec{a}$ である.$m$ が分数 $m=\dfrac{l}{k}$ のとき,$\dfrac{l}{k}\vec{a}$ を $\dfrac{l\vec{a}}{k}$ と書くこともある.