数学A 第1章 場合の数 — 順列

順列について

順列の定義

4枚のカード から2枚のカードを引いて,これらを1列に 並べる場合の数は次のように求めることができる.

まず,1枚目のカードの取り方は,4枚のカードのどれを取ってもよいから4通りある.

そして,1枚目のカードが決まれば,2枚目のカードの取り方は,残りの3枚のカードの中から1枚取るから3通りある.

つまり,1枚目のカードの取り方4通りに対して,2枚目のカードの取り方が3通りに定まるから, 2枚のカードの並べ方は『積の法則』より

通り

となる.

右の図は,2枚のカードの並べ方12通りを樹形図と平図を用いて表したものである.

ここで,n個のものからr個とって並べる順列を定義しておこう.

並べ方の樹形図
並べ方の樹形図
定義1順列 の定義 §

「区別するn個のものからr個取り出して1列に並べた列」のことを 順列(permutation)といい, その並べ方の総数を と表す

上の例では, である.

順列の計算

区別する 個のものから 個取り出して1列に並べる順列の数 は,上の例と同じように考えることができる.

1番目のものの取り方は 通りあり, 2番目のものの取り方はそのそれぞれに対して 通りあり, 3番目のものの取り方はそのそれぞれに対して 通りあり, 番目のものの取り方はそのそれぞれに対して 通りある.

したがって,『積の法則』より

と計算できることがわかる.

特に, に等しいとき,つまり のときには, となる.右辺は1から までの すべての自然数の積であり,これを 階乗(factorial)といい,記号 で表す. つまり

である.

また, のとき, の分母・分子に をかけることにより

と変形なるので,分子は で表すことができ

となる.

のとき,  は形式的に と表せるが, となって欲しいので, と定めることにする. こうすれば, のときにも成り立つ.

以上, をまとめると

定理2順列 の計算 §

順列

と計算できる.ただし,n,rは0以上の整数とし, とする.

よくあるまちがいとして, としてしまうというのがある. 上の式によれば,

である. このことは, すなわち「区別する 個のものから 個取り出して1列に並べる場合の数」は, 「1個も並べない」という1通りである,と

こじつけ

で覚えてしまうとよい.

また, は,ただ計算上で成り立つだけでなく

とりあえず, 個の区別するものをすべて並べて 通りの樹形図を作ってから,(左から 個のものにしか着目しないので)関係のない 右から 個の並べ方の違いについては無視するため, 通りで1束にして数えたもの

と考えることもできる.このことの具体例を示すため,以下には の対応を樹形図で表した. 通りは, 通りの順列において 通りで割って1束にしたものであることを確認しよう.

<mjx-container role= の樹形図">

問題1例題:順列の計算練習

次の値を求めよ.

解答を見る

具体的な数を計算したいときには, を使う.

問題2例題:順列~その1~
  1. の6個の数字を使って3桁の整数を作るとき何通りの方法があるか.ただし,同じ文字は二度使えないものとする.
  2. 30人のクラスがある.このクラスで,委員長,副委員長,書記をそれぞれ一名ずつ決めるとき,何通りの決め方があるか.
解答を見る
  1. 3桁の整数は,異なる6個の数字から3つ選んで並べることにより作ることができるから
  2. 委員長,副委員長,書記をそれぞれ一名ずつ決めるには,30人の中から3人を選んで横1列並べ, 左から順に委員長,副委員長,書記とすればよいので
問題3例題:順列~その2~

5個の整数 があり,この中から異なる数字を用いて整数を作る.

  1. 3桁の整数は何通り作れるか.
  2. 3桁の整数で,かつ百の位と十の位が奇数のものは何通り作れるか.
解答を見る
  1. 百の位にあるのは のうち0を除いた ←最高位の数字は0にならないことに注意
  2. 奇数は1と3の2種類がある. 百の位と十の位に関しての順列は 通り.このそれぞれに対して, 一の位には残りの0,2,4の3種類の数字が入るので
問題4順列~その3~

7つの整数 を1列に並べる.

  1. 6と7が隣り合うものは何通りあるか.
  2. 5と6と7が隣り合うものは何通りあるか.
  3. 両端が1と2になるものは何通りあるか.
解答を見る
  1. 隣り合う6と7の2つを合わせて1つのものとして考え,全体で6つのものの順列を考え
  2. 隣り合う5と6と7の3つを合わせて1つのものとして考え,全体で5つのものの順列を考え
  3. 両端には1と2の順列を考え2通り.

ものを並べる問題で,“隣り合う”ものを考える場合には,その隣り合うものをひとまとめにして考えるとよい.

ボールと箱のモデル1

の定義は

「区別する5個のものから3個とりだして1列に並べるときの並べ方の総数」

であったが,これは以下に示すボールと箱のモデルを使って

「区別する3個のボールを,区別する5個の箱に多くても1個配る場合の総数」

といいかえることができる.

準備として,ボールは区別するので番号をつけ,それを①,②,③とし, 箱も区別するので番号をつけ,それを

図 としておく.

まず,ボール①を箱に配ることを考えると,箱は5つあるので5通りの場合がある.

次に,ボール②を箱に配ることを考えると,すでにボール①は箱に配られていて 残りの箱は4つあるので,4通りの場合がある.

さらに,ボール③を箱に配ることを考えると,すでにボール①と②は 箱に配られていて残りの箱は3つあるので,3通りの場合がある.

以上から,ボールの箱への配り方は 通りあり,これは と一致する.

一般に,次のようにまとめることができる.

図
定理3順列 のボールと箱のモデル §

順列 はボールと箱のモデルを用いて

「区別する 個のボールを,区別する 個の箱に高々1個配る場合の総数」

と考えることができる.

円順列

円順列の定義

先程の『順列』では,区別するものを1列に並べる場合を考えたが,ここでは円形に並べる場合について考えてみる.

例えば, の4人が手をつないで1つの輪をつくるとき,輪のでき方には何通りあるか考えてみよう.

まず,この4人を1列に並べると右図のようになり,その並べ方は 通りである.

ここで,例えば右図の①,②,③,④は,輪になった場合に下の図のようになると考えることができる.

図

これら4つの並び方は,回転させることによって重なるので,どれも同じ1つの並び方だと考えられる.

つまり,右図の①,②,③,④のように,“順送り”に並ぶ4つの順列は,円形に並べた場合には同一視するのである.

よって,この4人の作る輪は 通りある.

ここで,円順列を定義しておこう.

図
定義4円順列 の定義 §

「区別するn個のものを,円形に並べた列」のことをn個の円順列(circular permutation)という. では,その並べ方の総数を と表すことにする.

この例では, である.

円順列の計算

一般に,区別する 個のものを円形に並べた場合の総数も,先程の例と同じように考えることができ, 次のようにまとめられる.

定理5円順列 の計算 §

個の円順列の総数

と計算できる.

また,円順列が と計算される理由は,次のように説明することもできる.

簡単のため,先程の で計算できることについて考えてみよう.

右図のように,まず を固定して,そこから円をつくるように残りの を並べると考えて, 通りとなり,これは と一致する.

一般の の場合も,1つを固定して,その周りに残りの 個のものを並べると考えて

と考えることができる.

図

ネックレス順列の定義・計算

右図のように,円順列としては区別される2つの順列も,表裏をひっくり返すことができる場合には同一視して1通りと数える.

このように表裏をひっくり返すことができる場合の円順列を, ネックレス順列(nacklace permutation) または 数珠じゅず順列(beads permutation) といい, その総数を では と表す. である.

図
問題5円順列とネックレス順列
  1. 7個の異なる玉を円形に並べるとき,その並べ方は何通りあるか.
  2. 7個の異なる玉を円形に並べてネックレスを作るとき,その作り方は何通りあるか.
解答を見る
  1. 通り
  2. 通り

元記事: http://www.ftext.org/text/section/88(取得日 2026-08-07)

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