数学A 第1章 場合の数 — 組合せ

組合せについて

組合せの定義

4枚のカード , , , から 2枚のカードの(順序は考えずに)組をつくる場合の数は,すべて書き出すと

の6通りとなる.これは,順列の考え方を利用し,次のように計算することもできる.

まず,4枚のカードから2枚引いて順列を作ると,樹形図は図のようになり,その総数は 通りである.

しかし,2枚のカードの組を作る場合には,図の樹形図で例えば①,②は並ぶ順が異なるだけなので,これらは2つで1通りと数えなければならない. これら以外の順列にも同様のことがいえるので, 2枚のカードの組の総数は,順列の総数 を2で割ることにより

∴6通り

として計算できる.

このようにいくつかの組をつくる場合の数を定義しておこう.

定義1組合せ の定義 §

「区別する 個のものから 個取り出して作った組」のことを 組合せ(combination)

といい, その組の総数を と表す.

この例では, である.

組合せの計算

区別する 個のものから 個取り出して作る組の総数 も,先程の例と同じように考えることができる.

まず, 枚のカードから 枚引いて順列を作ると,その総数は 通りある.

順列ではなく, 枚のカードの組を作る場合には, 順列のうち 通りについては同一視することになるので, 順列の総数 で割ることにより

順列 の計算参照

以上,まとめると

定理2組合せ の計算 §

組合せ

と計算できる.

よくあるまちがいとして, としてしまうというのがある. 上の式によれば, である. このことは, すなわち「区別する 個のものから0個選ぶ場合の数」は, 「1個も選ばない」という1通りである,と

こじつけ

で覚えてしまうとよい.

問題1組合せの計算練習

次の値を求めよ.

解答を見る
問題2組合せ〜その1〜

男子が5人,女子が5人いる中で,4人を選ぶ場合の数について以下の問に答えよ.

  1. 男女関係無く選ぶときの場合の数は何通りか.
  2. 男子から2人,女子から2人選ぶときの場合の数は何通りか.
  3. 男子から3人,女子から1人選ぶときの場合の数は何通りか.
解答を見る
  1. 通り
  2. 男子2人の組合せそれぞれに対して,女子2人の組合せが決められるので
  3. 男子3人の組合せそれぞれに対して,女子1人の組合せが決められるので
問題3組合せ〜その2〜
  1. 図のように,横に4本,縦に7本の直行する平行線が引かれている. この中に長方形はいくつあるか求めよ.
  2. 正十角形の対角線の本数を求めよ.
説明文
説明文
解答を見る
  1. 横4本の平行線のうちから2本,縦7本の平行線のうちから2本をそれぞれ選べば,1個の長方形が定まる.
  2. 10個の頂点のうち2個を選べば,1本の対角線または辺が定まる.辺の数は10本であるから,これを除いて
問題4組み分け

10人を次のように分ける方法は何通りあるか.

  1. 7人,3人に分ける.
  2. 5人,5人に分ける.
  3. 4人,3人,3人に分ける.
  4. 2人,2人,2人,2人,2人に分ける.
解答を見る
  1. 10人から3人を選びグループとし,残った7人をもうひとつのグループにすればよい.よって
  2. 10人から5人を選びグループとし,残った5人をもうひとつのグループにすればよい.
  3. 最初に4人選びグループとし,残った6人から3,3人のグループをつくればよい. ただし,3人のグループが2つあるので,2. と同じように重複した分は修正する必要がある.
  4. 2人ずつ選んでいって,重複を修正すると

ボールと箱のモデル4

の定義は

「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」

であったが,これはボールと箱のモデルを使って

「区別しない3個のボールを,区別する5個の箱に多くても1個配る場合の数」

といいかえることができる.これは,次のように説明できる.

準備として,3つのボールは区別しないでそれを , , とし, 箱は区別するので番号をつけ,それを

図

としておく.

3つの区別しないボールを,5つの区別する箱に高々1個配る場合の総数は,結局5つの箱からボールを入れるための箱を3つ選ぶ 選び方と等しくなり,これは「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」と考えることができるので 通りとなる.

一般に,次のようにまとめることができる.

説明文
説明文
定理3組合せ のボールと箱のモデル §

組合せ はボールと箱のモデルを用いて

「区別しない 個のボールを,区別する 個の箱に高々1個配る場合の総数」

と考えることができる.

同じものを含む順列

同じものを含む順列の定義

例えば,6枚のカード を1列に 並べる順列の総数は次のように求めることができる.ただし,ここでは の3枚や, の2枚の並べ方の違いは区別しないものとする.

まず,カードを並べるための“部屋”を先に6つ用意しておく.

3枚の の入れる部屋の選び方は 通りあり, その選んだ部屋に を入れる.

そのそれぞれに対し,残りの部屋は3部屋であるから,2枚の の入れる部屋の選び方は 通りあり,その選んだ部屋に を入れる.

そのそれぞれに対し,残りの部屋は1つであるから,最後に を入れる.

以上から,6枚のカード を1列に 並べる順列の総数は積の法則より

∴60通り

となる.

ここで,数個の区別しないものを含む 個の順列を定義しておこう.

分かりやすくするため,2枚の のうち片側だけ とすると,例えば は区別しないということである.

同じものを含む順列の定義
同じものを含む順列の定義
定義4同じものを含む順列 の定義 §

のものが 個ずつ全部で 個あり,同種のものは区別しないものとするとき, これら 個を1列に並べた順列のことを,

同じものを含む順列

または,

一般順列(generalized permutation)

といい,その総数を では と表す.

例えば, が3個, が2個, が1個の計6個の同じものを含む順列の総数は, である.

この例より, である.

同じものを含む順列の計算

今みた例と同じように,一般の も,以下のように考えることができる.

まず,カードを並べるための場所を先にn個用意しておく.

個の同種のものの入れる場所の選び方は 通りあり,またそのそれぞれに対して 個の同種のものの入れる場所の選び方は 通りあり,またそのそれぞれに対して 個の同種のものの入れる場所の選び方は 通りあり, ,またそのそれぞれに対して 個の同種のものの入れる場所の選び方は 通りある.

以上から,同じものを含む 個の順列は,積の法則から

となる.

まとめると

定理5同じものを含む順列 の計算 §

のものが 個ずつ全部で 個あり,同種のものは区別しないときの 同じものを含む順列の総数

と計算できる.

例えば, が3個, が2個, が1個の計6個の順列の総数は を用いて

または, を用いて

と計算できる.

上の は,ただ計算の上でいえるだけでなく

個のものすべてを区別した 通りの順列のうち,同種の 個 の並び替えについては同一視するため, 通りで一まとめにして数えたもの」

と考えることもできる.

問題5同じものを含む順列
  1. の7つの数字を一列に並び替えるとき,何通りの並べ方があるか.
  2. SUUGAKUAを並び替えるとき,何通りの並べ方があるか.
解答を見る
  1. 1を3つ,2を2つ,3を2つ含むから
  2. Uを3つ,Aを2つ,S,G,Kをそれぞれ1つ含むから

の性質

の性質

組合せ について次の式が成り立つ.

定理6 の性質 §
暗記1 の性質の証明

上の i. ~ iii. が成り立つことを,

  1. 計算式を用いた方法
  2. 組合せの意味を考えた説明

でそれぞれ証明せよ.

解答を見る
問題6最短経路

図のように,東西に走る道路と南北に走る道路があるとする.南西の角にあるA地点から,北東の角にあるB地点に至る

最短経路について以下の問に答えよ.

  1. 最短経路は全部で何通りあるか求めよ.
  2. C地点を通る最短経路は何通りあるか.また,D地点を通る最短経路は何通りあるか,それぞれ求めよ.
  3. C地点またはD地点を通る最短経路は何通りあるか求めよ.
説明文
説明文
解答を見る

北に1区画進むことを↑,東に1区画進むことを→で表すと,例えば図のように進む場合には

図

と表すことができる.

  1. 北に1区画進むことを ,東に1区画進むことを で表すと,A地点からB地点への最短経路は,5個の と6個の ( ) を一列に並べる順列の総数に等しい.
  2. 集合C,Dをそれぞれ

2項定理

を展開するということ

を展開すると

また, を展開すると

である.

ここでは,自然数 について, を展開した式を組合せを使って求める方法について考えてみよう. 以下では例として, の展開についてみていこう.

とは,5つの の積

図

のことである.この展開式は,5つの のそれぞれから, のどちらかをとって,掛け合わせたものの和になる.

の係数はいくつになるのか

5つの のうち,1つから を選び,残りの4つから をとって掛け合わせると, が作られる.

図は,①から をとった場合のイメージである.

図

ここで, が作られる場合の数は,上の①から⑤の1ヶ所から を選べばよいので,組合せの考えを使って と数えることができる.

つまり, の展開式における の係数は である.

の係数はいくつになるのか

5つの のうち,2つから を選び,残りの3つから をとって掛け合わせると, が作られる.

図は,②と⑤から をとった場合のイメージである.

図

ここで, が作られる場合の数は,上の①から⑤の2ヶ所から を選べばよいので,組合せの考えを使って と数えることができる.

つまり, の展開式における の係数は である.

の展開式

以上の例から, の展開式における各項の係数は,それぞれ次のようになるのがわかる.

の係数は5つの のうち0ヶ所から を選ぶと考えて

の係数は5つの のうち1ヶ所から を選ぶと考えて

の係数は5つの のうち2ヶ所から を選ぶと考えて

の係数は5つの のうち3ヶ所から を選ぶと考えて

の係数は5つの のうち4ヶ所から を選ぶと考えて

の係数は5つの のうち5ヶ所から を選ぶと考えて

つまり

となる.

の展開式(2項定理)

一般に, の展開式における の係数は, 個の のうち, 個から を,残りの 個から を取り出す方法の総数 となる.このことから,次の式(2項定理(binomial theorem))が成り立つことがわかる.

定理72項定理 §

を自然数とするとき,

と展開できる.

2項定理の係数になるという意味で,組合せの総数 のことを2項係数(binomial coefficient)ともいう.

例えば, は2項定理を用いて

と展開できる.

問題7展開された式の係数

次の展開式において, 内で指定された項の係数を求めよ.

解答を見る
  1. を展開したとき, を含む項は
  2. を展開したとき, を含む項は
問題82項定理の応用

次の展開式において, 内で指定された項の係数を求めよ.

解答を見る
  1. として考える.
  2. として考える. これを展開したとき, の項は
問題92項係数の和

2項定理を用いて次の等式を証明せよ.

解答を見る

2項定理

において

  1. とおくと
  2. とおくと
  3. とおくと

パスカルの三角形

図のように,2項係数 の値を,上から順に の場合について三角形の形に並べたものを,パスカルの三角形(Pascal's triangle)という.

図

パスカルの三角形には,次のような特徴がある.

  1. であるから,各行の左右両端の数字は1である.
  2. であるから,各行は左右対称である.
  3. であるから の性質,左右両端以外の数字は,その左上の数と右上の数を足したものとなる.
問題10パスカルの三角形

パスカルの三角形を利用して,次の展開式を求めよ.

解答を見る
  1. パスカルの三角形を の場合まで書くと,図のようになるので
  2. パスカルの三角形を の場合まで書くと,図のようになるので

元記事: http://www.ftext.org/text/section/91(取得日 2026-08-07)

最終更新: 2026-08-08

この節についてAIに質問する

この節に書かれている内容だけを根拠に答えます。個人情報は書かないでください。