数学A 第1章 場合の数 — 組合せ
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順列では、ものを取り出したときの順番の違いを考えに入れていたが、順番は区別せず取り出したものの区別だけを考えたいことがあり、これを組合せという。順列と同じように、組合せも数が多くなると樹形図を書くのが大変になる。ここでは、組合せの数を計算で求める方法について考えよう。
ボール・箱
単射
写像全て
全射
あり・あり
順列
重複順列
部屋割り
なし・あり
組合せ
重複組合せ
資源配分
あり・なし
(右枠の和)
部屋割り(区別なし)
なし・なし
(右枠の和)
資源配分(区別なし)
組合せについて
組合せnCr の定義
4枚のカード [A] , [B] , [C] , [D] から 2枚のカードの(順序は考えずに)組をつくる場合の数は、すべて書き出すと
{[A],[B]},{[A],[C]},{[A],[D]} ,{[B],[C]},{[B],[D]},{[C],[D]}
の6通りとなる。これは、順列の考え方を利用し、次のように計算することもできる。
まず、4枚のカードから2枚引いて順列を作ると、樹形図を書くと分かるように、その総数は 4P2=4×3=12 通りである。
しかし、2枚のカードの組を作る場合には、例えば [A][B] と [B][A] は並ぶ順が異なるだけなので、これらは2つで1通りと数えなければならない。 これら以外の順列にも同様のことがいえるので、 2枚のカードの組の総数は、順列の総数 4P2 を2で割ることにより
4P22=12/2=6
∴6通り
として計算できる。
このようにいくつかの組をつくる場合の数を定義しておこう。
§
定義1組合せ nCr の定義
「区別する n 個のものから r 個取り出して作った組」のことを n-r
組合せ(combination)
といい、 その組の総数を nCr と表す。
この例では、 4C2=4×3/2=6 である。
組合せnCr の計算
区別する n 個のものから r 個取り出して作る組の総数 nCr も、先程の例と同じように考えることができる。
まず、 n 枚のカードから r 枚引いて順列を作ると、その総数は nPr 通りある。
順列ではなく、 r 枚のカードの組を作る場合には、同じ r 枚から作られる順列が、その r 枚の並べ方の数だけ、すなわち r! 通りずつある。 これらは r! 通りで1通りと数えなければならないので、 順列の総数 nPr を r! で割ることにより
個 の 積 nCr=nPrr!= n(n-1)…(n-r+1)^r個の積r(r-1)…2・1 = n!/(n-r)!r!
以上、まとめると
§
定理2組合せ nCr の計算
組合せ nCr は
nCr=nPrr!= n(n-1)…(n-r+1)/r(r-1)…2・1 = n!/(n-r)!r!
と計算できる。
よくあるまちがいとして、 nC0=0 としてしまうというのがある。 上の式によれば、 nC0=n!/(n-0)!0!=1 である。 このことは、 nC0 すなわち「区別する n 個のものから0個選ぶ場合の数」は、 「1個も選ばない」という1通りである、と
こじつけ
で覚えてしまうとよい。
問題1組合せの計算練習
次の値を求めよ。
5C2
4C4
10C3
20C2
解答を見る
5C2=(5・ 4)/(2・ 1)=10
4C4=(4・ 3・ 2・ 1)/(4・ 3・ 2・ 1)=1
10C3=(10・ 9・ 8)/(3・ 2・ 1)=120
20C2=(20・ 19)/(2・ 1)=190
問題2組合せ〜その1〜
男子が5人、女子が5人いる中で、4人を選ぶ場合の数について以下の問に答えよ。
男女関係無く選ぶときの場合の数は何通りか。
男子から2人、女子から2人選ぶときの場合の数は何通りか。
男子から3人、女子から1人選ぶときの場合の数は何通りか。
解答を見る
10C4=(10・ 9・ 8・ 7)/(4・ 3・ 2・ 1)=210 通り
男子2人の組合せそれぞれに対して、女子2人の組合せが決められるので
5C2・ 5C2=(5・ 4)/(2・ 1)・ (5・ 4)/(2・ 1)=100 通り
男子3人の組合せそれぞれに対して、女子1人の組合せが決められるので
5C3・ 5C1=(5・ 4・ 3)/(3・ 2・ 1)・ 5/1=50 通り
問題3組合せ〜その2〜
図のように、横に4本、縦に7本の直行する平行線が引かれている。 この中に長方形はいくつあるか求めよ。
正十角形の対角線の本数を求めよ。
解答を見る
横4本の平行線のうちから2本、縦7本の平行線のうちから2本をそれぞれ選べば、1個の長方形が定まる。
よって
4C2・ 7C2=126 個
10個の頂点のうち2個を選べば、1本の対角線または辺が定まる。辺の数は10本であるから、これを除いて
10C2-10=45-10=35 本
問題4組み分け
10人を次のように分ける方法は何通りあるか。
7人、3人に分ける。
5人、5人に分ける。
4人、3人、3人に分ける。
2人、2人、2人、2人、2人に分ける。
解答を見る
10人から3人を選びグループとし、残った7人をもうひとつのグループにすればよい。よって
10C3・ 7C7=(10・ 9・ 8)/(3・ 2・ 1)・1=120 通り
10人から5人を選びグループとし、残った5人をもうひとつのグループにすればよい。
しかし、10人を a,b,c,d,e,f,g,h,i,j とすると、例えばはじめに a,b,c,d,e の5人を 選んだ場合と、はじめに f,g,h,i,j を選んだ場合では、どちらも
(a,b,c,d,e)(f,g,h,i,j)
という2つのグループに分かれるという点では同じである。つまり、これらは2つで1通りと数えなければならない。
他の選び方でも同様のことがいえるので、2で割ることにより重複の分を修正して
通 り 10C5・ 5C52 =(10・ 9・ 8・ 7・ 6)/(5・ 4・ 3・ 2・ 1)・1・1/2 =126通り
最初に4人選びグループとし、残った6人から3,3人のグループをつくればよい。 ただし、3人のグループが2つあるので、2. と同じように重複した分は修正する必要がある。
10C4・ 6C3・ 3C32 = (10・ 9・ 8・ 7)/(4・ 3・ 2・ 1)・ (6・ 5・ 4)/(3・ 2・ 1)・ 1/2 = 2100
∴2100通り
2人ずつ選んでいって、重複を修正すると
10C2・ 8C2・ 6C2・ 4C2・ 2C25! = (10・ 9)/(2・ 1)・ (8・ 7)/(2・ 1)・ (6・ 5)/(2・ 1) ・ (4・ 3)/(2・ 1)・ 1/(5・ 4・ 3・ 2・ 1) = 945
∴945通り
ボールと箱のモデル4
5C3 の定義は
「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」
であったが、これはボールと箱のモデルを使って
「区別しない3個のボールを、区別する5個の箱に多くても1個配る場合の数」
といいかえることができる。これは、次のように説明できる。
準備として、3つのボールは区別しないでそれを ○ , ○ , ○ とし、 箱は区別するので番号をつけ、それを
としておく。
3つの区別しないボールを、5つの区別する箱に高々1個配る場合の総数は、結局5つの箱からボールを入れるための箱を3つ選ぶ 選び方と等しくなり、これは「区別する5個のものから3個とりだして作る組の総数」と考えることができるので 5C3=5・4・3/3・2・1=10 通りとなる。
一般に、次のようにまとめることができる。
§
定理3組合せ nCr のボールと箱のモデル
組合せ nCr はボールと箱のモデルを用いて
「区別しない r 個のボールを、区別する n 個の箱に高々1個配る場合の総数」
と考えることができる。
同じものを含む順列
同じものを含む順列C(n1,n2,…,nm) の定義
例えば、6枚のカード [A],[A],[A],[B],[B],[C] を1列に 並べる順列の総数は次のように求めることができる。ただし、ここでは [A] の3枚や、 [B] の2枚の並べ方の違いは区別しないものとする。
まず、カードを並べるための“部屋”を先に6つ用意しておく。
3枚の [A] の入れる部屋の選び方は 6C3 通りあり、 その選んだ部屋に [A] を入れる。
そのそれぞれに対し、残りの部屋は3部屋であるから、2枚の [B] の入れる部屋の選び方は 3C2 通りあり、その選んだ部屋に [B] を入れる。
そのそれぞれに対し、残りの部屋は1つであるから、最後に [C] を入れる。
以上から、6枚のカード [A],[A],[A],[B],[B],[C] を1列に 並べる順列の総数は積の法則より
6C3× 3C2× 1C1 =6・5・4/3・2・1×3・2/2・1×1/1=60
∴60通り
となる。
ここで、数個の区別しないものを含む n 個の順列を定義しておこう。
注 分かりやすくするため、2枚の [B] のうち片側だけ [B'] とすると、例えば [A][B][A][C][A][B'] と [A][B'][A][C][A][B] は区別しないということである。
§
定義4同じものを含む順列 C(n1,n2,…,nm) の定義
第 i 種 (1≦i≦m) のものが ni 個ずつ全部で n1+n2+…+nm=n 個あり、同種のものは区別しないものとするとき、 これら n 個を1列に並べた順列のことを、
同じものを含む順列
または、
一般順列(generalized permutation)
といい、その総数を FTEXT では C(n1, n2, …, nm) と表す。
例えば、 a が3個、 b が2個、 c が1個の計6個の同じものを含む順列の総数は、 C(3, 2, 1) である。
この例より、 C(3, 2, 1)=60 である。
同じものを含む順列C(n1,n2,…,nm) の計算
今みた例と同じように、一般の C(n1, n2, …, nm) も、以下のように考えることができる。
まず、カードを並べるための場所を先にn個用意しておく。
n1 個の同種のものの入れる場所の選び方は nCn1 通りあり、またそのそれぞれに対して n2 個の同種のものの入れる場所の選び方は n-n1Cn2 通りあり、またそのそれぞれに対して n3 個の同種のものの入れる場所の選び方は n-n1-n2Cn3 通りあり、 … 、またそのそれぞれに対して nm 個の同種のものの入れる場所の選び方は n-n1-n2-…-nm-1Cnm 通りある。
以上から、同じものを含む n 個の順列は、積の法則から
C(n1, n2, …, nm) = nCn1× n-n1Cn2× n-n1-n2Cn3 ×…× n-n1-n2-…-nm-1Cnm
となる。
まとめると
§
定理5同じものを含む順列 C(n1,n2,…,nm) の計算
第 i 種 (1≦i≦m) のものが ni 個ずつ全部で n1+n2+…+nm=n 個あり、同種のものは区別しないときの 同じものを含む順列の総数 C(n1,n2,…,nm) は
C(n1, n2, …, nm) = nCn1× n-n1Cn2× …× n-n1-…nm-1Cnm ① = n!/(n-n1)!n1! ×(n-n1)!/(n-n1-n2)!n2!× …×(n-n1-…-nm-1)!0!nm! = n!/(n1!n2!n3!… nm!) ②
と計算できる。
例えば、 a が3個、 b が2個、 c が1個の計6個の順列の総数は ① を用いて
C(3,2,1)= 6C 3× 6-3C2× 6-3-2C1 = 6C3× 3C2× 1C1=60
または、 ② を用いて
C(3, 2, 1) =6!/3!2!1!=60
と計算できる。
上の ② 、 C(n1, n2, …, nm)=n!/(n1!n2!n3!… nm!) は、ただ計算の上でいえるだけでなく
「 n 個のものすべてを区別した n! 通りの順列のうち、同種の n1,n2,…,nm 個 の並び替えについては同一視するため、 n1!n2!… nm! 通りで一まとめにして数えたもの」
と考えることもできる。
問題5同じものを含む順列
1,1,1,2,2,3,3 の7つの数字を一列に並び替えるとき、何通りの並べ方があるか。
SUUGAKUAを並び替えるとき、何通りの並べ方があるか。
解答を見る
1を3つ、2を2つ、3を2つ含むから
C(3, 2, 2)= 7C3× 7-3C2・ 7-3-2C2 = 7C3× 4C2× 2C2=210
∴210通り
《別解》
C(3, 2, 2)=7!/(3! 2! 2!)=210 通り
Uを3つ、Aを2つ、S、G、Kをそれぞれ1つ含むから
C(3, 2, 1, 1, 1) = 8C3・ 8-3C2・ 8-3-2C1 ・ 8-3-2-1C1・ 8-3-2-1-1C1 = 8C3× 5C2× 3C1× 2C1× 1C1 = 3360
∴3360通り
《別解》
通 り C(3, 2, 1, 1, 1)= 8!/(3! 2! 1! 1! 1!) = 3360通り
nCr の性質
nCr の性質
組合せ nCr について次の式が成り立つ。
§
定理6nCr の性質
nCr= nCn-r
(選ばれるもの・選ばれないもの)
nCr= n-1Cr+ n-1Cr-1
(特定のものについての場合分け)
r nCr=n n-1Cr-1
(リーダーの公式)
ただし、1. は 0≦r≦n 、2. は 1≦r≦n-1 、3. は 1≦r≦n とする。
暗記1nCr の性質の証明
上の nCr の性質 の 1. ~ 3. が成り立つことを、
計算式を用いた方法
組合せの意味を考えた説明
でそれぞれ証明せよ。
解答を見る
nCr= nCn−r
~計算式を用いた方法~
nCr = nPrr! = n!/(n-r)!r! = 1/(n-r)!・n!/r! = 1/(n-r)!・n!/({n-(n-r)}!) = 1/(n-r)!・ nPn-r = nPn-r(n-r)! = nCn-r
~組合せの意味を考えた説明~
異なる n 個の中から r 個選ぶ nCr 通りそれぞれは、 n 個のものから選ばずに残す (n−r) 個のものを選ぶ nCn−r 通りと 一対一に対応する。つまり、 r 個選ぶとは、選ばない n−r を「選ぶ」ことと等しい。 よって
nCr= nCn-r
が成り立つ。
nCr= n−1Cr+ n−1Cr−1
~計算式を用いた方法~
n-1Cr+ n-1Cr-1 =n-1Prr!+n-1Pr-1(r-1)! =(n-1)!/({(n-1)-r}!r!) + (n-1)!/({(n-1)-(r-1)}!(r-1)!) =(n-1)!/(n-r-1)!r!+(n-1)!/(n-r)!(r-1)! =(n-1)!/(n-r-1)!(r-1)!{1/r+1/(n-r)} =(n-1)!/(n-r-1)!(r-1)!・n/r(n-r) =n!/(n-r)!r! =nPrr! =nCr
~組合せの意味を考えた説明~
異なるn個のものの中からr個選ぶ方法は、次の2つの場合に分けることができる。
ある特定の1個を含まないで r 個選ぶ
ある特定の1個を含んで r 個選ぶ
この2つは同時に起こることはないので
nCr= n-1Cr+ n-1Cr-1
が成り立つ。
r nCr=n n-1Cr-1
~計算式を用いた方法~
r nCr = r×nPrr! = r×n!/(n-r)!r! = n!/(n-r)!(r-1)! = n×(n-1)!/({n-1-(r-1)}!(r-1)!) = n×n-1Pr-1(r-1)! = n n-1Cr-1
~組合せの意味を考えた説明~
n 人の中から r 人の班をつくり班長を決める場合の数について考える。 n 人の中から班員 r 人選び、その r 人の中からリーダーを1人決める方法には nCr×r 通りある。 また別の方法として、 n 人の中から先にリーダーを決めておき、残りの班員 r−1 人を選ぶ方法には n n−1Cr−1 通りある。 よって
r nCr=n n-1Cr-1
が成り立つ。
問題6最短経路
図のように、東西に走る道路と南北に走る道路があるとする。南西の角にあるA地点から、北東の角にあるB地点に至る
最短経路について以下の問に答えよ。
最短経路は全部で何通りあるか求めよ。
C地点を通る最短経路は何通りあるか。また、D地点を通る最短経路は何通りあるか、それぞれ求めよ。
C地点またはD地点を通る最短経路は何通りあるか求めよ。
解答を見る
北に1区画進むことを↑、東に1区画進むことを→で表すと、例えば図のように進む場合には
↑→→→↑↑→↑↑→→
と表すことができる。
北に1区画進むことを ↑ 、東に1区画進むことを → で表すと、A地点からB地点への最短経路は、5個の ↑ と6個の → (↑↑↑↑↑→→→→→→ ) を一列に並べる順列の総数に等しい。
よって、求める最短経路の数は
11!/5!6!=462 通り
同じものを含む順列 C(n1,n2,…,nm) の計算 参照
となる。
(C地点を通る最短経路)
まず、A地点からC地点までの最短経路の数は
4!/2!2!=6 通り
であり、この6通りそれぞれに対し、C地点からB地点までの最短経路
7!/3!4!=35 通り
が決まるから、積の法則より
6×35=210 通り
(D地点を通る最短経路)
同様にして
7!/4!3!×4!/1!3!=35×4=140 通り
集合C,Dをそれぞれ
C :C地点を通る最短経路
D :D地点を通る最短経路
とおくと、 n(C∩D) 、つまりC、D両地点を通る最短経路の数は
n(C∩D)= 4!/2!2!×3!/2!1!×4!/1!3! = 6×3×4=72
であるから、 n(C∪D) 、つまり求める最短経路の数は
n(C∪D)=n(C)+n(D)-n(C∩D) =210+140-72=278
∴278通り
2項定理
(a+b)^n を展開するということ
(a+b)² を展開すると
(a+b)²=a²+2ab+b²
また、 (a+b)³ を展開すると
(a+b)³=a³+3a²b+3ab²+b³
である。
ここでは、自然数 n について、 (a+b)^n を展開した式を組合せを使って求める方法について考えてみよう。 以下では例として、 (a+b)⁵ の展開についてみていこう。
(a+b)⁵ とは、5つの (a+b) の積
のことである。この展開式は、5つの (a+b) のそれぞれから、 a か b のどちらかをとって、掛け合わせたものの和になる。
a⁴b の係数はいくつになるのか
5つの (a+b) のうち、1つから b を選び、残りの4つから a をとって掛け合わせると、 a⁴b が作られる。
図は、①から b をとった場合のイメージである。
ここで、 a⁴b が作られる場合の数は、上の①から⑤の1ヶ所から b を選べばよいので、組合せの考えを使って 5C1 と数えることができる。
つまり、 (a+b)⁵ の展開式における a⁴b の係数は 5C1=5 である。
a³b² の係数はいくつになるのか
5つの (a+b) のうち、2つから b を選び、残りの3つから a をとって掛け合わせると、 a³b² が作られる。
図は、②と⑤から b をとった場合のイメージである。
ここで、 a³b² が作られる場合の数は、上の①から⑤の2ヶ所から b を選べばよいので、組合せの考えを使って 5C2 と数えることができる。
つまり、 (a+b)⁵ の展開式における a³b² の係数は 5C2=5・4/2・1=10 である。
(a+b)⁵ の展開式
以上の例から、 (a+b)⁵ の展開式における各項の係数は、それぞれ次のようになるのがわかる。
a⁵ の係数は5つの (a+b) のうち0ヶ所から b を選ぶと考えて 5C0
a⁴b の係数は5つの (a+b) のうち1ヶ所から b を選ぶと考えて 5C1
a³b² の係数は5つの (a+b) のうち2ヶ所から b を選ぶと考えて 5C2
a²b³ の係数は5つの (a+b) のうち3ヶ所から b を選ぶと考えて 5C3
ab⁴ の係数は5つの (a+b) のうち4ヶ所から b を選ぶと考えて 5C4
b⁵ の係数は5つの (a+b) のうち5ヶ所から b を選ぶと考えて 5C5
つまり
(a+b)⁵= 5C0a⁵+ 5C1a⁴b+ 5C2a³b² + 5C3a²b³+ 5C4ab⁴+ 5C5b⁵
となる。
(a+b)^n の展開式(2項定理)
一般に、 (a+b)^n の展開式における a^n−rb^r の係数は、 n 個の (a+b) のうち、 r 個から b を、残りの n−r 個から a を取り出す方法の総数 nCr となる。このことから、次の式(2項定理(binomial theorem) )が成り立つことがわかる。
§
定理72項定理
n を自然数とするとき、 (a+b)^n は
(a+b)^n= nC0a^n+ nC1a^n-1b+… + nCn-1ab^n-1+ nCnb^n
と展開できる。
2項定理の係数になるという意味で、組合せの総数 nCr のことを2項係数(binomial coefficient) ともいう。
例えば、 (a+2b)⁴ は2項定理を用いて
(a+2b)⁴ = 4C0a⁴+ 4C1a³(2b)+ 4C2a²(2b)² + 4C3a(2b)³+ 4C4(2b)⁴ = a⁴+4a³(2b)+6a²(2b)²+4a(2b)³+(2b)⁴ = a⁴+8a³b+24a²b²+32ab³+16b⁴
と展開できる。
問題7展開された式の係数
次の展開式において、 [ ] 内で指定された項の係数を求めよ。
(2x+1)⁶ [x²]
(2x-3y)⁵ [x³y²]
(x²-1/2x)⁷ [1/x]
定 数 項 (x-1/2x²)¹² [定数項]
解答を見る
(2x+1)⁶ を展開したとき、 x² を含む項は
6C4(2x)²1⁴
となる。よって、 x² の係数は
6C4・2²=60
(2x−3y)⁵ を展開したとき、 x³y² を含む項は
5C2(2x)³(-3y)²
となる。よって、 x³y² の係数は
5C2・2³・(-3)²=720
(a+b)⁷ の展開において、 a=x²,b=-1/2x としたものが (x²-1/2x)⁷ である。 a²b⁵ を計算すると 1/x の項ができるので、このときの係数を求める。
7C5a²b⁵ = 7C5(x²)²(-1/2x)⁵ = 7C5(-1/2)⁵1/x = -21/32・1/x
よって、求める係数は -21/32 である。
(a+b)¹² の展開において、 a=x,b=-1/2x² としたものが (x-1/2x²)¹² である。 a⁸b⁴ を計算すると定数項ができるので、このときの係数を求める。
12C4a⁸b⁴ = 12C4x⁸(-1/2x²)⁴ = 12C4(-1/2)⁴ = 495/16
よって、求める係数は 495/16 である。
問題82項定理の応用
次の展開式において、 [ ] 内で指定された項の係数を求めよ。
(2x+y-z)⁸ [x²y³z³]
(x-2y-z)⁵ [x²yz²]
解答を見る
(2x+y-z)⁸={2x+(y-z)}⁸ として考える。
これを展開したとき、 x² の項は
8C6(2x)²(y-z)⁶
として計算される。
さらに (y−z)⁶ を展開したとき、 y³ の項は
6C3y³(-z)³
として計算される。
よって、 (2x+y-z)⁸ を展開したときの x²y³z³ の係数は
8C6・ 2²・ 6C3・(-1)³ = -4・ 8C2・ 6C3=-2240
(x-2y-z)⁵={x+(-2y-z)}⁵ として考える。 これを展開したとき、 x² の項は
5C3x²(-2y-z)³
として計算される。
さらに (−2y−z)³ を展開したとき、 y の項は
3C2(-2y)(-z)²
として計算される。
よって、 (x−2y−z)⁵ を展開したときの x²yz² の係数は
5C3・ 3C2・(-2)・(-1)² = -2・ 5C2・ 3C1=-60
問題92項係数の和
2項定理を用いて次の等式を証明せよ。
2^n= nC0+ nC1+ nC2+… + nCn-1+ nCn
0= nC0- nC1+ nC2-… +(-1)^n-1 nCn-1+(-1)^n nCn
(-1)^n= nC0-2 nC1+2² nC2-… +(-2)^n-1 nCn-1+(-2)^n nCn
解答を見る
2項定理
(a+b)^n = nC0a^n+ nC1a^n-1b+ nC2a^n-2b²+… + nCn-1ab^n-1+ nCnb^n
において
a=b=1 とおくと
2^n= nC0+ nC1+ nC2+… + nCn-1+ nCn
となり、確かに成立する。
a=1,b=−1 とおくと
0= nC0- nC1+ nC2-… +(-1)^n-1 nCn-1+(-1)^n nCn
となり、確かに成立する。
a=1,b=−2 とおくと
(-1)^n = nC0-2 nC1+2² nC2-… +(-2)^n-1 nCn-1+(-2)^n nCn
となり、確かに成立する。
パスカルの三角形
図のように、2項係数 nC0, nC1, nC2,…, nCn の値を、上から順に n=1,2,3,… の場合について三角形の形に並べたものを、パスカルの三角形(Pascal's triangle) という。
パスカルの三角形には、次のような特徴がある。
nC0= nCn=1 であるから、各行の左右両端の数字は1である。
nCr= nCn−r であるから、各行は左右対称である。
nCr= n−1Cr-1+ n−1Cr であるからnCr の性質 、左右両端以外の数字は、その左上の数と右上の数を足したものとなる。
問題10パスカルの三角形
パスカルの三角形を利用して、次の展開式を求めよ。
(x+y)⁶
(x−2y)⁵
解答を見る
パスカルの三角形を n=6 の場合まで書くと、図のようになるので
(x+y)⁶ = x⁶+6x⁵y+15x⁴y²+20x³y³ +15x²y⁴+6xy⁵+y⁶
パスカルの三角形を n=5 の場合まで書くと、図のようになるので
(x-2y)⁵ = x⁵+5x⁴(-2y)+10x³(-2y)² +10x²(-2y)³+5x(-2y)⁴+(-2y)⁵ = x⁵-10x⁴y+40x³y² -80x²y³+80xy⁴-32y⁵
最終更新: 2026-08-20
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