数学A 第4章 整数の性質 — 整数の基本性質

整数の除法

整数の割り算の復習

まず,小学校以来慣れ親しんできた,整数の除法(integer division)について復習する.

たとえば,右図のような計算により,17を3で割ると,商は5で余りは2とわかる.この関係を式で表すと

となる.

このとき,17を割られる数,3を割る数と呼ぶので,一般的には次のような関係が成り立つ.

また,(割る数) (余り) の関係がある.

整数の除法とは何か,つまり整数 を整数 で割ったときの商と余りを求めるとはどういうことなのかを きちんと定義すると

を満たす整数 を求めることとなる.そして,この求まった値 をそれぞれ,商と余りと呼ぶのである.

普段割り算で行う筆算は,この を求めるための手段に過ぎない.

説明文
説明文

約数と倍数

余りが0になるような割り算を考える. 例えば,12を3で割ると,商は4余りは0となる. このとき,3は12の約数であり,12は3の倍数であるという.

一般には次のように表すことができる.

定義1約数と倍数 §

2つの整数 が,ある整数 を用いて

と表せる時, 約数であるといい, 倍数であるという。

文脈によっては約数のことを,因数と呼ぶこともある. 例えば

なので,3や4や5は,60の約数であり因数である.

問題1倍数の和と積
  1. 整数 の倍数の和は の倍数であることを示せ.
  2. 整数 の倍数の積は の倍数であることを示せ.
解答を見る

整数 の倍数は,適当な整数 を用いて, と表すことができる.

このとき,倍数の和は

であり, は整数であるから, の倍数である.

また,倍数の積は

であり, は整数であるから, の倍数である.

定理2倍数の和と積 §

ある整数の倍数の和はある数の倍数である.

また,ある整数の倍数の積はある数の倍数である.

割り算の一意性

定理3割り算の一意性 §

なし

最大公約数と最小公倍数

最大公約数と最小公倍数とは何か

定義4最大公約数と最小公倍数 §

2つ以上の整数において,それらに共通する約数を公約数といい,公約数のうち最大のものを最大公約数という.

最大公約数が1であるとき,その2つ以上の整数は互いに素であるという.

また,2つ以上の整数において,それらに共通する倍数を公倍数といい,正の公倍数のうち最小のものを最小公倍数という.

2つの整数 の最大公約数は,英語表記のgreatest common divisorの頭文字をとって などと表す. また,最小公倍数(least common multiple)も同様に, などと表す.

最大公約数や最小公倍数を求めるには,素因数分解を使う.例えば,42と60をそれぞれ素因数分解すると

となる.

これら2つの数に共通する素因数は2と3であり,1はすべての数の約数となるので,公約数はこれら自身と積で組み合わせたもの,すなわち

が公約数となる.最大公約数は6である.

また,これら2つの数を共に因数にもつ の倍数が公倍数である.最小公倍数は420である.

問題2最大公約数と最小公倍数

次の各組の多項式の最大公約数と最小公倍数を求めよ. ただし,答えの式は展開しなくてもよい.

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  1. なので,
定理5公倍数は最小公倍数の倍数 §

2つ以上の整数の公倍数は最小公倍数の倍数である.

定理6公約数は最大公約数の約数 §

2つ以上の整数の公約数は最大公約数の約数である.

定理7最大公約数と最小公倍数の積 §

整数 の最大公約数を ,最小公倍数を とすると

が成り立つ.

互いに素な数の性質

互いに素な数については,次のような性質がある.

定理8互いに素な数の性質 §

が互いに素であるとき,

で割り切れるならば, で割り切れる.

が成り立つ.ただし, は整数である.

証明

は互いに素であるから,最大公約数と最小公倍数の積より, の最小公倍数は である.

の倍数であり,仮定より の倍数でもあるから, の公倍数である.

公倍数は最小公倍数の倍数より, の公倍数である.すなわち,適当な整数 を使って

と表せる.この両辺を で割って, ,すなわち で割り切れる.

ユークリッドの互除法

最大公約数を求めるには素因数分解を行えばよいが, のように大きな数を素因数分解するのは難しい( ).

素因数分解しにくい大きな数の最大公約数を求めるには,次の定理を使うと良い.

定理9ユークリッドの互除法 §

2つの自然数 において, で割った余りを とすると,

の最大公約数は, の最大公約数と等しい

すなわち

が成り立つ.

暗記1ユークリッドの互除法

ユークリッドの互除法を証明せよ.

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なし

例として1071と1029の最大公約数を求めてみよう.

1071を1029で割ると,商は1余りは42,すなわち

となるので,1071と1029の最大公約数は,1029と42の最大公約数と等しい. ここで得られた,1029と42に関して,再び割り算を行うと

となるので,1029と42の最大公約数は,42と21の最大公約数と等しい.同様にして

となるので,42と21の最大公約数は21であることがわかる.すなわち,1071と1029の最大公約数は21である.

問題3ユークリッドの互除法の利用

なし

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なし

素数

素数とは何か

定義10素数 §

2以上の自然数で,正の約数が1とその数自体のみである数を,素数という.

例えば,次のような数はみな素数である.

1は素数に含まれないので注意しよう.

定義11合成数 §

2以上の自然数で素数でないものを,合成数という.

例えば,14や60は

なので,合成数である.

素数の性質

定理12素数の性質 §

を整数, を素数とする時

で割り切れるならば, または で割り切れる

暗記2素数の性質

素数の性質を証明せよ.

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の最大公約数は の約数であるから, または である.

もし,最大公約数が ならば, で割り切れる.

もし,最大公約数が ならば,互いに素な数の性質より, で割り切れる.

よって, のうち、少なくとも1つは で割り切れる.

素因数分解

素数である因数素因数といい,自然数を素数だけの積の形で表すことを素因数分解するという.

例えば,60は

と因数分解できる.

問題4素因数分解

次の数を素因数分解せよ.

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なし

上の例題から経験的に次のことがわかる.

定理13素因数分解の一意性 §

合成数の素因数分解は,積の順序を考えなければ1通りに定まる.

ある数の約数の個数については次のことが成り立つ.

定理14約数の個数 §

自然数 の素因数分解が, であるとき, の正の約数の個数は

となる.

素数の個数

素数は無数にあることを示すことができる.

暗記3素数が無数にあることの証明

素数を小さい方から並べると

である.

  1. が素数であることを確認せよ.
  2. 素数が無数にあることを示せ.
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なし

不定方程式の整数解

の整数解

の整数解を求めてみよう.

を整数解とすると

が成り立つ. は3の倍数であるから, も3の倍数である.

2と3は互いに素であるから,互いに素な数の性質より, は3の倍数であり,適当な整数 を用いて, と表される.これを, に代入すると

となるから,方程式の解は と表される.

逆に,この形で表される整数 の組みは,方程式の解となる.

以上より,方程式の整数解は となる.

一般に次のことが成立する.

定理15 の整数解 §

を互いに素な整数とするとき, を満たす整数解は

である.

の整数解

ax+by=1の整数解

次に,方程式 を満たす整数解を求めてみよう.

この場合,方程式 を満たす整数解のうち1つが発見すれば, の整数解の問題に帰着できる.

暗記4 の整数解

方程式 を満たす整数解を求めよ.

解答を見る

を満たす整数解として, がある.つまり

より

2と3は互いに素であるから, の整数解より のすべての整数解は

と表せる.

よって, のすべての整数解は

となる.

解答を見る

なし

問題5 の整数解

次の方程式の整数解をすべて求めよ.

解答を見る

を満たす整数解として, がある.つまり

より

2と3は互いに素であるから, の整数解より のすべての整数解は

と表せる.

よって, のすべての整数解は

となる.

解答を見る

なし

積の形の不定方程式

元記事: http://www.ftext.org/text/section/103(取得日 2026-08-07)

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