直線の方程式

この節では、平面上の直線が、座標平面上ではどう表現されるか考えていく。

直線の方程式について

通る1点と傾きが与えられた直線の方程式

無題
無題

$A( − 3, 1)$を通り,傾き2の直線を$l$ とする.

$l$の方程式を

\[y=2x+n\] $\tag{1}\label{tooru1tentokatamukigaataeraretachokusennohouteishiki1}$

とすると,これは$A$を通るので

\[1=2\cdot(-3)+1\]$\tag{2}\label{tooru1tentokatamukigaataeraretachokusennohouteishiki2}$

$\eqref{tooru1tentokatamukigaataeraretachokusennohouteishiki1}-\eqref{tooru1tentokatamukigaataeraretachokusennohouteishiki2}$から$n$ を消去すると,$l $の方程式は

\[y-1=2(x+3)\]

である.

一般に次のようになる.

通る1点と傾きが与えられた直線の方程式

点$(x_1, y_1)$を通り,傾き$m$の直線の方程式は

\[y-y_1=m(x-x_1)\]

である.

直線の方程式-その1-

次の直線の方程式を求めよ.

  1. $(3, 1)$を通り,傾きが $− 3$

  2. $( − 3, − 1)$を通り,傾きが$-\dfrac{1}{2}$

  1. $y-1=-3(x-3)~~$
    $\Leftrightarrow~~\boldsymbol{y=-3x+10}$

  2. $y-(-1)=-\dfrac{1}{2}\{x-(-3)\}~~$
    $\Leftrightarrow~~\boldsymbol{y=-\dfrac{1}{2}x-\dfrac{5}{2}}$

通る2点が与えられた直線の方程式

無題
無題

$A( − 3, 1),B(2, − 4)$を通る直線を$l$ とする.

直線$AB$の傾きは$\dfrac{-4-1}{2-(-3)} = − 1$であり, 点$( − 3, 1)$を通るから,$l $の方程式は通る1点と傾きが与えられた直線の方程式 より

\[y − 1 = − (x − ( − 3))\]

である.

通る2点が与えられた直線の方程式

異なる2点$(x_1, y_1),(x_2,y_2)$を通る直線の方程式は

\[y-y_1=\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1)\]

である.ただし,$x_1\neq x_2$とする.

$x_1 = x_2$のとき,直線の方程式は$x = x_1$となる.

直線の方程式-その2-

次の2点を通る直線の方程式を求めよ.

  1. $(1, 2), (3, 4)$

  2. $(2, 1), ( − 1, − 3)$

  3. $(5, 3), ( − 4, 3)$

  1. $y-2=\dfrac{4-2}{3-1}(x-1)~~\Leftrightarrow~~\boldsymbol{y=x+1}$

  2. $y-1=\dfrac{-3-1}{-1-2}(x-2)~~ $
    $\Leftrightarrow~~\boldsymbol{y=\dfrac43x-\dfrac53}$

  3. $y-3=0~~\Leftrightarrow~~\boldsymbol{y=3}$

直線の方程式の標準形

座標平面上の直線について,次のことがいえる.

1)直線が$y $軸に平行でないとき 傾きを$m,y$ 切片を$n$ とすると,直線の方程式は

\[y=mx+n~~\Leftrightarrow~~mx-y+n=0\]

2)直線が$y$ 軸に平行なとき$ x$ 軸との交点の座標を$(p, 0)$とすると,直線の方程式は

\[x=p~~\Leftrightarrow~~x-p=0\]

以上1),2)のいずれの場合でも,直線の方程式は$x$と$y$の1次式となっている. つまり,座標平面上のあらゆる直線は

$ax+by+c=0$ $(a\neq 0$または$b\neq 0)$

である.

直線の集まりとして式をみる方法

無題
無題

方程式$y = kx + 1$のグラフは,実数$k$ の値によって異なるが, 図のように,必ず$y $切片が1,つまり$(0, 1)$を通る直線となる.

逆に,$(0, 1)$を通る直線は,$y$軸に平行な直線以外は,$y = kx + 1$という形の方程式で表される.

直線の方程式を見て,それがどのような直線の集まりを表すか見抜けるよう, 次の例題で練習してみよう.

直線の集まりとして式をみる-その1-

  1. 直線$y = 2x + k$($k$ はすべての実数)はどのような直線の集まりか.

  2. 直線$y = kx – 3$($k$ はすべての実数)はどのような直線の集まりか.

  3. 直線$y − 3 = k(x + 2)$($k$ はすべての実数)はどのような直線の集まりか.

  1. 傾きが$2$である直線の集まり

    になる. $\blacktriangleleft$切片の場所は分からないが,傾きは必ず2である.

  2. $(0, − 3)$を通り$y$軸に平行でない直線の集まり

    になる. $\blacktriangleleft y$ の係数は$0$でないため.

  3. $( − 2, 3)$通り$y $軸に平行でない直線の集まり

    になる $\blacktriangleleft$「直線$x = 3$以外の,$( − 2, 3)$を通る直線の集まり」でもよい

直線の集まりとして式をみる-その2-

$k $を実数とする.直線$l :kx + x + y + 3k = 0$について,以下の問いに答えなさい.

  1. $ k$の値に関わらず$l$が通る点$A$の座標を求めよ.

  2. $k$が任意の値を取るとき,直線$l$ はどのような直線の集まりになるか.

$k$ についての降べきの順にまとめると

$kx+x+y+3k=0 $
$\Leftrightarrow~k(x+3)+x+y=0$

$k$ の値に関わらずこの等式が成り立つには, $(x, y)$が連立方程式 \begin{cases} x+3=0\\ x+y=0 \end{cases} を満たせばよい.これを解いて,$(x, y) = ( − 3, 3)$ であるので, $A( − 3, 3)$

直線の平行と垂直

直線の平行と垂直について

無題
無題
無題
無題

中学で学んだように,2本の直線が平行であるとは傾きが一致することであった.

では,2本の直線$y = m_1x + n_1,y = m_2x + n_2$が直交するときはどうだろうか. このとき,図のように,直線を平行移動しても交点の作る角は変わらないので, 原点を通る2直線$y = m_1x,y = m_2x$が直交していることが分かる.

図のように,$x $座標が1の点を,それぞれの直線上にとる. このとき,$\angle AOH=90^\circ-\angle BOH=\angle OBH$であるので, 2つの直角三角形$\vartriangle AOH$と$\vartriangle OBH$は相似である.よって

\begin{align} &AH :HO=OH:HB \\ \Leftrightarrow&~~m_1 : 1 = 1:(-m_2) \\ \Leftrightarrow&~~m_1 m_2 =- 1 \end{align}

が成り立つ.これは,逆も成立する.

直線の平行と垂直

2直線$y = m_1x + n_1 ,y = m_2x + n_2$
$(m_1\neq0,~m_2\neq0)$について

「互いに平行」$\Leftrightarrow m_1=m_2$

「互いに直交」$\Leftrightarrow m_1m_2=-1$

である.

吹き出し直線の平行と垂直について

「傾き$m$の直線と直交するのは傾き$-\dfrac{1}{m}$の直線」または 「傾きの符号を変えて,逆数をとれば直交する」のように記憶するとよい.

与えられた点を通り与えられた直線に直交する直線の方程式

  1. $( − 1, 2)$を通り直線$y = 3$に直交する直線を図示し,方程式を求めよ.

  2. $(3, 2)$を通り直線$y = 3x – 4$に直交する直線の方程式を求めよ.

  3. $(1, − 2)$を通り直線$x − 2y + 3 = 0$に直交する直線の方程式を求めよ.

無題
無題

  1. 図のようになるので,求める方程式は

    $x=-1$

  2. 傾き$3$の直線に直交するのは傾き$-\dfrac{1}{3}$の直線なので

    $y-2=-\dfrac{1}{3}(x-3)$ $\blacktriangleleft$1点と傾きが与えられた直線の方程式

  3. 直線$x − 2y + 3 = 0$は$y=\dfrac{1}{2} x +\dfrac{3}{2}$と変形でき,傾きは$\dfrac{1}{2}$. これと直交する直線の傾きは$− 2$なので

    $y-(-2)=-2(x_1)~~\Leftrightarrow~~ \boldsymbol{y=-2x}$

直線に対して対称な点

直線に対して対称な点について

無題
無題

与えられた直線$l$ に対し,点$A$と対称な点を$P$とすると, 以下のことが成り立つ.

  1. 直線$AP$は直線$l $と垂直である.

  2. 線分$AP$の中点は直線$l$ 上にある.

暗記直線に対して対称な点

  1. 直線$l :x − 2y + 3 = 0$に対し,$A(1, − 2)$と対称な点$P$を求めなさい.

  2. 直線$m :x = − 2$に対し,$A(1, − 2)$と対称な点$Q$を求めなさい.

  1. 直線に対して対称な点の解答の図その1

    右欄外のような図を描き,$P(s, t)$とおく.線分$AP$の中点$\left(\dfrac{s+1}{2},\dfrac{t-2}{2}\right)$は $\blacktriangleleft$座標平面上の内分点

    直線$l $上にあるので

    \begin{align} &\dfrac{s+1}{2} - 2\cdot\dfrac{t-2}{2} +3=0\\ &\Leftrightarrow~(s+1)-2(t-2)+6=0\\ &\Leftrightarrow~s=2t-11 \end{align} $\tag{1}\label{chokusennitaishitetaishounaten1}$

    $l $の方程式は$y=\dfrac{1}{2} x +\dfrac{3}{2}$と変形できるので, $l$ の傾きは$\dfrac{1}{2}$である. 直線$AP$の傾きは$\dfrac{t-(-2)}{s-1}$であり,$ l$ と$AP$は直交するので $\blacktriangleleft$直線の平行と垂直

    \begin{align} &\dfrac12 \cdot \dfrac{t-(-2)}{s-1}=-1 \\ \Leftrightarrow&~t+2=-2(s-1)\\ \Leftrightarrow&~t=-2s \end{align} $\tag{2}\label{chokusennitaishitetaishounaten2}$

    $\eqref{chokusennitaishitetaishounaten1}$に$\eqref{chokusennitaishitetaishounaten2}$を代入して$s=2(-2s)-11~\Leftrightarrow~s=-\dfrac{11}{5}$ これを$\eqref{chokusennitaishitetaishounaten2}$に代入して$t=\dfrac{22}{5}$,よって $P\,\left(-\dfrac{11}{5},~\dfrac{22}{5}\right)$

  2. 直線に対して対称な点の解答の図その2

    図を描いて,$A$と$Q$は$y$ 座標が等しいと分かる.$A$と直線$m $の距離は$3$であるから,線分$AQ$の長さは$6$であるので,

    \[Q( − 5, − 2)\]

    である.

    $\blacktriangle Q(s, − 2)$とおき,$AQ$の $x$座標$\dfrac{s+1}{2}$は$ − 2$なので

    \[\dfrac{s+1}{2}=-2~\Leftrightarrow~s=-5\]

    と求めてもよい.

点と直線の距離

点と直線の距離について

(注)

直線$l $の方程式を$ax + by + c = 0$,その直線上にない1点$A$を$(x_1, y_1)$とする.

$b\neq 0$のとき,直線$l$ の傾きは-$\dfrac{a}{b}$であるので, $A$を通り$l$ に垂直な直線の方程式は

\begin{align} y-y_1=&\dfrac{b}{a} (x-x_1)\\ ~~\Leftrightarrow~~ &-bx +ay+(bx_1-ay_1)=0 \end{align} $\tag{1}\label{tentochokusennokyorinituite}$

と書ける.$l$ の方程式と$\eqref{tentochokusennokyorinituite}$の交点$H$の座標は,連立方程式 \begin{cases} ax+by+c=0\\ -bx +ay+(bx_1-ay_1)=0 \end{cases} を解けばよい.これを解いて

\[H\left(\dfrac{-ac+b^2x_1-aby_1}{a^2+b^2},~\dfrac{-bc-abx_1+a^2y_1}{a^2+b^2}\right).\]

よって$A, H$の距離$h$について

\begin{align} &h^2~\\ =&\left(x_1-\dfrac{-ac+b^2x_1-aby_1}{a^2+b^2}\right)^2 \\ &+ \left(y_1-\dfrac{-bc-abx_1+a^2y_1}{a^2+b^2}\right)^2\\ =&\dfrac{1}{(a^2 +b^2)^2} \left\{(a^2 x_1 +{ b^2 x_1} \right.\\ &\qquad\qquad+ac -{ b^2x_1} +aby_1)^2 \\ &\left.+({a^2 y_1} +b^2 y_1 +bc +abx_1 -{a^2y_1})^2\right\}\\ =&\dfrac{1}{(a^2 +b^2)^2}\left\{a^2(ax_1 +c +by_1)^2 \right. \\ & \left. + b^2(by_1 +c +ax_1)^2\right\}\\ =&\dfrac{1}{(a^2 +b^2)^2}(a^2 + b^2)(ax_1 +c +by_1)^2\\ =&\dfrac{(ax_1 +by_1+c)^2}{a^2 +b^2} \end{align}

よって$h=\dfrac{\begin{vmatrix}ax_1 +by_1 +c\end{vmatrix}}{\sqrt{a^2 +b^2}}$を得る. これは,$b = 0$のときも成立する.

点と直線の距離

無題
無題

直線$ax + by + c = 0$と点$(x_1, y_1)$の距離$h$ は

$h=\dfrac{\begin{vmatrix}ax_1 +by_1 +c\end{vmatrix}}{\sqrt{a^2 +b^2}}$

で求められる.

吹き出し点と直線の距離について

この公式を簡単に導くには計算に工夫を要するので, よく練習して覚えてしまうのがよい. 分子が覚えにくいが,直線$ax + by + c = 0$の左辺にあたかも点$(x_1, y_1)$を代入したような 形になっているので,そう覚えてしまおう.

点と直線の距離-その1-

それぞれ与えられた直線$l$ と一点$A$について,直線$l$ と点$A$の距離を求めなさい.

  1. $ l :2x − y + 4 = 0,A(2, − 1) $
  2. $ l :3x − 4y − 2 = 0,A(0, 0)$
  3. $ l :3x − 4y − 2 = 0,A( − 4, − 4) $
  4. $ l : − 3x + 2y + 1 = 0,A(2, 2)$

  1. $ \dfrac{\begin{vmatrix}2\cdot 2 - (-1) +4\end{vmatrix}}{\sqrt{2^2 + (-1)^2}}=\dfrac{\begin{vmatrix}9\end{vmatrix}}{\sqrt{5}} =\boldsymbol{\dfrac{9\sqrt{5}}{5}}$
  2. $ \dfrac{\begin{vmatrix}3\cdot 0 - 4 \cdot 0 -2\end{vmatrix}}{\sqrt{3^2 + (-4)^2}}=\dfrac{\begin{vmatrix}-2\end{vmatrix}}{\sqrt{25}} =\boldsymbol{\dfrac25}$
  3. $ \dfrac{\begin{vmatrix}3\cdot (-4) - 4 \cdot (-4) -2\end{vmatrix}}{\sqrt{3^2 + (-4)^2}}=\dfrac{\begin{vmatrix}2\end{vmatrix}}{\sqrt{25}} =\boldsymbol{\dfrac25}$
  4. $ \dfrac{\begin{vmatrix}-3\cdot 2 + 2 \cdot 2 +1\end{vmatrix}}{\sqrt{(-3)^2 + 2^2}}=\dfrac{\begin{vmatrix}-1\end{vmatrix}}{\sqrt{13}} =\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{13}}{13}}$

点と直線の距離-その2-

  1. 直線$l :3x − 4y − k = 0$と$A(2, 1)$の距離が$3$であるとき,$k$の値を求めよ.
  2. 直線$l :2kx + y − 2 = 0$と$A(2, 1)$の距離が$1$であるとき,$k$の値を求めよ.

  1. 直線$l$ と$A$の距離は$\dfrac{\begin{vmatrix}3\cdot 2 -4 \cdot 1 -k\end{vmatrix}}{\sqrt{3^2+4^2}}$であるので $\blacktriangleleft$点と直線の距離

    \begin{align} \dfrac{\begin{vmatrix}3\cdot 2 -4 \cdot 1 -k\end{vmatrix}}{\sqrt{3^2+4^2}}=3 &\Leftrightarrow~ \dfrac{\begin{vmatrix}2-k\end{vmatrix}}{5}=3\\ &\Leftrightarrow~\begin{vmatrix}2-k\end{vmatrix}=15 \end{align}

    $2-k=\pm 15$を解いて,$\boldsymbol{k=17,-13}$を得る. $\blacktriangleleft 2 − k = 15$のときは$k = − 13,2 − k = − 15$のときは$k = 17$

  2. 直線$l$ と$A$の距離は$\dfrac{\begin{vmatrix}(2k)\cdot 2 + 1 -2\end{vmatrix}}{\sqrt{(2k)^2+1^2}}$であるので

    \begin{align} &\dfrac{\begin{vmatrix}(2k)\cdot 2 + 1 -2\end{vmatrix}}{\sqrt{(2k)^2+1^2}}=1\\ &\Leftrightarrow~\dfrac{\begin{vmatrix}4k-1\end{vmatrix}}{\sqrt{4k^2 +1}}=1\\ &\Leftrightarrow~\begin{vmatrix}4k-1\end{vmatrix}=\sqrt{4k^2+1} \end{align}

    両辺とも正なので,両辺2乗して$\blacktriangleleft$ $\begin{vmatrix}4k-1\end{vmatrix}^2 =(4k-1)^2, $
    $ \begin{vmatrix}4k-1\end{vmatrix}=4k-1$のときも, $\begin{vmatrix}4k-1\end{vmatrix}=-(4k-1)$のときも, 2乗すれば$(4k-1)^2$になる.

    \begin{align} &\Leftrightarrow~(4k-1)^2=4k^2 +1\\ &\Leftrightarrow~12k^2 -8k=0 \qquad\therefore~~~~\boldsymbol{k=0,~\dfrac23} \end{align}

三角形の面積-その1-

原点を$O$とし,$A(a_1, a_2)$,$B(b_1, b_2)$とする.ただし,$a_1\neq b_1$とする.

  1. 原点から直線$AB$へ引いた垂線の長さ$h$を求めよ.
  2. 線分$AB$の長さを求め,$\vartriangle OAB$の面積を求めよ.

  1. 原点$O$と直線$AB$の間の距離が$h$と一致する.

    直線$AB$は,$A$を通り傾き$\dfrac{b_2-a_2}{b_1-a_1}$の直線であるので,その方程式は

    \begin{align} &y-a_2 =\dfrac{b_2-a_2}{b_1-a_1}(x-a_1)\\ \Leftrightarrow&~ (b_1-a_1)y - (b_1 -a_1)a_2\\ &=(b_2-a_2)x - (b_2 -a_2)a_1\\ \Leftrightarrow&~-(b_2 -a_2)x +(b_1-a_1)y \\ &-a_2b_1 + a_1b_2=0 \end{align}

    と表される.よって,求める垂線の長さ$h$は次のようになる.

    \begin{align} h=&\dfrac{1}{\sqrt{\{-(b_2 -a_2)\}^2+(b_1-a_1)^2}}\\ &\times \Bigl|-(b_2 -a_2) \times 0 +(b_1-a_1)\times 0 \Bigr. \\ &\qquad\Bigl. -a_2b_1 + a_1b_2\Bigr| \end{align} $\blacktriangleleft$点と直線の距離 \begin{align} =&\boldsymbol{\dfrac{\begin{vmatrix}a_1b_2 -a_2b_1\end{vmatrix}}{\sqrt{(b_1-a_1)^2+ (b_2 -a_2)^2}}} \end{align}
  2. $AB=\sqrt{(b_1-a_1)^2+ (b_2 -a_2)^2}$

    , $\vartriangle OAB=\dfrac12 \cdot AB \cdot h$より               $\blacktriangleleft$2点間の距離

    \begin{align} &\vartriangle OAB\\ =&\dfrac{1}{2}\sqrt{(b_1-a_1)^2+ (b_2 -a_2)^2}\\ &\cdot\dfrac{\begin{vmatrix}a_1b_2 -a_2b_1\end{vmatrix}}{\sqrt{(b_1-a_1)^2+ (b_2 -a_2)^2}}\\ =&\boldsymbol{\dfrac12\begin{vmatrix}a_1b_2 -a_2b_1\end{vmatrix}} \end{align}

(注)

上の結果は,$a_1 = b_1$のときにも成り立ち,次のようにまとめられる.

三角形の面積-点と直線の距離-

無題
無題

3点$O(0, 0),A(a_1, a_2),B(b_1, b_2)$を頂点とする$\vartriangle OAB$の面積$S$ は

\[S=\dfrac12\begin{vmatrix}a_1b_2 -a_2b_1\end{vmatrix}\]

である.

三角形の面積-その2-

  1. $O(0, 0),A(2, 1),B( − 3, 2)$のとき,$\vartriangle OAB$の面積を求めよ.
  2. $ M(1, 2),A(3, 4),B(4, − 3)$とする. $M$が原点$O$と一致するよう$\vartriangle MAB$を平行移動したとき, $A,B$の座標は$A',B'$に移動したとする. $A',B'$の座標を求め,$\vartriangle OA'B'$の面積を求めよ. また,$\vartriangle MAB$の面積はいくらか.

  1. $\vartriangle OAB=\dfrac{1}{2}\begin{vmatrix}2 \cdot 2 -1\cdot (-3)\end{vmatrix}$
    $=\dfrac{1}{2}\begin{vmatrix}7\end{vmatrix}=\boldsymbol{\dfrac{7}{2}} $

    $\blacktriangleleft$ 三角形の面積
  2. $ x$ 軸方向に$ − 1,y$ 軸方向に $− 2$平行移動するので

    $A(3,~4) \to A'(2,~2)$
    $ B(4,-3) \to B'(3,-5)$

    よって,

    $\vartriangle OA'B'=\dfrac{1}{2}\begin{vmatrix}2\cdot(-5) - 2\cdot 3\end{vmatrix}$
    $=\dfrac{1}{2} \begin{vmatrix}-16\end{vmatrix}=\boldsymbol{8}$

    また, $\vartriangle MAB$を平行移動して$\vartriangle OA'B'$になったので, $\vartriangle MAB=\vartriangle OA'B'=\boldsymbol{8}$.$\blacktriangleleft$ 三角形の面積