領域

領域とは何か

無題

無題

無題

無題

次の2つの条件$A,~B$を考えよう.

条件$A$原点$O$からの距離が$1$である点$P(x,~y)$

条件$B$原点$O$からの距離が$1$以下である点$P(x,~y)$

まず,条件$A$を満たす点$P$の集合は,上図の円周となり, これは条件$A$を満たす点$P$の軌跡といっていた.

次に,条件$B$を満たす点$P$の集合は,下図のように平面的な広がりをもつ. このようなときは,もはや軌跡とはいわず, 条件$B$を満たす点$P$の領域 (domain)という. 領域とそうでない部分を決めるさかい目$(x^2 + y^2 = 1)$を境界 (boundary)という.

円周を境界とする領域

次の不等式の表す領域を図示せよ.

  1. $x^2+y^2\leqq 4$
  2. $x^2+y^2> 4$
  3. $x^2+2x+y^2-4y< 0$

無題
無題
無題
無題
無題
無題

  1. 中心が原点で半径が$4$の円の境界と内側を表す.







  2. 中心が原点で半径が$4$の円の外側を表す.







  3. 中心が$(-1,~2)$で半径が$\sqrt{5}$の円の内側を表す.

$y$と$f(x)$の大小関係がつくる領域

点$P(x,~y)$が次の不等式を満たすとき,点$P$が満たす領域を図示せよ.

  1. $y<2x+3$
  2. $y\geqq 2x+3$
  3. $y\leqq x^2$
  4. $y> x^2$

1.2.は直線$y=2x+3$が,

3.4.は放物線$y=x^2$が境界になる.

  1. y とf(x) の大小関係がつくる領域その1
  2.  y とf(x) の大小関係がつくる領域その2
  3.  y とf(x) の大小関係がつくる領域その3
  4.  y とf(x) の大小関係がつくる領域その4

$y$と$f(x)$による大小関係をまとめると,次の図のようになる.

領域とは何かの図

いろいろな領域

  1. 2つの不等式を同時に満たす領域を,それぞれ図示せよ.

    i) \begin{cases} y\lt x+2\\ y\lt 2x-1 \end{cases} ii) \begin{cases} y\lt x^2 +1\\ x+y-3\gt 0 \end{cases} iii) \begin{cases} x^2+y^2 \leqq 5\\ 0 \leqq x-y+1 \end{cases}
  2. 領域$x^2 \leqq y\leqq -3x+4$を図示せよ.

  3. 不等式$(x − y)(x + y − 2) > 0$を満たす$(x,~y)$を座標平面上に図示せよ.

  1. (i)境界は2直線$y=x+2,~y=2x-1$であり,2直線の交点は$(3,~5)$と求められる.

    ←連立方程式

    \begin{cases} y=x+2\\ y=2x-1 \end{cases}

    を解いた. $y = x + 2$を$y = 2x – 1$に代入して

    $x+2=2x_1 ~~~\therefore~~~x=3$

    となり,これを$y = x + 2$に代入すればよい.

    求める領域は

    直線$y = x + 2$より下部

    直線$y = 2x – 1$より下部

    であり境界を含まない.よって,図のようになる.

    いろいろな領域の解答の図その1

    (ii)境界は放物線$y = x^2 + 1$と直線$x + y − 3 = 0$であり, 交点は$(-2,~5),~(1,~2)$と求められる.

    ←連立方程式

    \begin{cases} y=x^2+1\\ x+y-3=0 \end{cases}

    を解いた. $x + y − 3 = 0$に$y = x^2 + 1$を代入して

    \begin{align} &x+(x^2+1) -3=0 \\ \Leftrightarrow~&x^2+x_2=0\\ \Leftrightarrow~&(x+2)(x_1)=0 \end{align}

    より$x=-2,~1$となるので, それぞれ$y = x_2 + 1$に代入すればよい.

    $x + y − 3 > 0$は$y > − x + 3$と変形できるので, 求める領域は

    放物線$y = x_2 + 1$より下部

    直線$y = − x + 3$より上部

    であり境界を含まない.よって,図のようになる.

    いろいろな領域の解答の図その2

    (iii)境界は円$x^2 + y^2 = 5$,直線$x − y + 1 = 0$であり,交点は $(1,~2),~(-2,-1)$と求められる.

    ←連立方程式

    \begin{cases} x^2 +y^2=5\\ x-y+1=0 \end{cases}

    を解いた.$ x = y – 1$を$x^2 + y^2 = 5$に代入して

    \begin{align} &(y-1)^2 + y^2=5\\ \Leftrightarrow~&2y^2 -2y -4=0\\ \Leftrightarrow~&(y-2)(y+1)=0 \end{align}

    から$y = 2, − 1$となり,これを$y = x – 1$に代入すればよい.

    $0 \leqq x-y+1$は$y\leqq x+1$と変形できるので,求める領域は

    円$x^2 + y^2 = 5$の内側

    直線$y = x + 1$より下部

    であり境界を含む.よって,図のようになる.

    いろいろな領域の解答の図その3
  2. 求める領域は$ x^2\leqq y$かつ$y\leqq -3x+4 $を満たせばよい.つまり

    放物線$y = x^2$より下部

    直線$y = − 3x + 4$より上部

    であり境界を含む.

    境界は 放物線$y = x^2$と直線$y = − 3x + 4$であり, 交点は$(1,~1),~(-4,~16)$となる.

    連立方程式

    \begin{cases} y=x^2\\ y=-3x+4 \end{cases}

    を解けばよい.$y$を消去して$x^2 = − 3x + 4$,これを解いて$x=-4,~1$.

    よって,図のようになる.

    いろいろな領域の解答の図その4
  3. 不等式$(x − y)(x + y − 2) > 0$が成り立つには

    ←2つの式を掛けて正になるための必要十分条件は,どちらも正か,どちらも負になることである

    \begin{cases} x-y>0\\ x+y-2>0 \end{cases}

    または

    \begin{cases} x-y<0\\ x+y-2<0 \end{cases}

    が成立することである.それぞれ変形すると

    \begin{cases} y\lt x\\ y\gt -x+2 \end{cases}

    または

    \begin{cases} y>x\\ y<-x+2 \end{cases}

    が成立すればよいと分かり,

    ←それぞれ図示すれば,次の2つのどちらかを満たす領域が求めるものと分かる

    いろいろな領域の解答の図その5

    どちらの領域も $y = x$と$y = − x + 2$を境界とし, その交点は$(1,~1)$となる.

    よって求める領域は図のように図示できる.

    いろいろな領域の解答の図その6

領域を利用した証明

FTEXT 数学Aの論理と集合で学んだように,一般に2つの条件$p,q$について, 条件$p$の真理集合(条件$p$を満たすもの全体の集合)を$P$,条件$q$の真理集合を$Q$とすると

「$p~\Rightarrow~q$が真である」$\Longrightarrow~P\subseteqq Q$

であった.

条件$p,q$が$x,y$の不等式で表される場合に,このことをもちいて, $p~\Rightarrow~q$が真であることを証明してみよう.

領域を利用した証明

$(x-1)^2+y^2 \leqq 5$ならば$x^2 +(y+2)^2 \leqq 20$であることを証明せよ.

無題
無題

連立方程式

\begin{cases} (x_1)^2+y^2=5\\ x^2+(y+2)^2=20 \end{cases}

を解く. 上の式を$\tag{1}\label{ryouikiworiyoushitashoumeinokaitou1}$,下の式を$\tag{2}\label{ryouikiworiyoushitashoumeinokaitou2}$とすると$x = 6 − 2y$なので,これを$\eqref{ryouikiworiyoushitashoumeinokaitou1}$に代入すると

\begin{align} &(6-2y-1)^2+y^2=5\\ \Leftrightarrow~ &25-20y+4y^2+y^2=5\\ \Leftrightarrow~ &(y-2)^2=0\\ \Leftrightarrow~ &y=2 \end{align}

$y = 2$を$x = 6 − 2y$に代入すると$x = 2$であり,解が1つに定まるので,2円は$(2,2)$でお互いに接している. これをもとにそれぞれの領域を描くと,図のようになる.

$(x-1)^2+y^2\leqq 5$を満たす領域は全て$x^2+(y+2)^2\leqq20$を満たす領域に含まれるので, 題意は証明された.