等差数列の和
等差数列の和の求め方
ここでは,等差数列の初項 $a$ から第 $n$ 項までの和 $S_n$ を求めてみよう.
STEP1
等差数列の一般項 $a_n=a+(n-1)d$ に, $1,2,\cdots,n-1,n$ を代入して足し合わせる式を書く.
\begin{array}{c} &&&\fbox{1}&&\fbox{2}\\ &S_n&=&a&+&(a+d)\\ &&&\fbox{3}\\ &&+&(a+2d)&+&\cdots\\ &&&\fbox{n-2}&&\fbox{n-1}\\ &&+&\{a+(n-3)d\}&+&\{a+(n-2)d\}\\ &&&\fbox{n}\\ &&+&\{a+(n-1)d\} \end{array}STEP2
この式の右辺を,逆に並べて書く.
\begin{array}{c} &&&\fbox{n}&&\fbox{n-1}\\ &S_n&=&\{a+(n-1)d\}&+&\{a+(n-2)d\}\\ &&&\fbox{n-2}\\ &&+&\{a+(n-3)d\}&+&\cdots\\ &&&\fbox{3}&&\fbox{2}\\ &&+&(a+2d)&+&(a+d)\\ &&&\fbox{1}\\ &&+&a \end{array}STEP3
上の2式を縦に足し合わせる.
右辺は全て $2a+(n-1)d$ であり,これが $n$ 個存在するので
\begin{align} 2S_n&=\{2a+(n-1)d\}\times n\\ S_n&=\frac{n}{2}\{2a+(n-1)d\} \end{align}と表すことができる.これが求めたかった等差数列の初項 $a$ から第 $n$ 項までの和 $S_n$ である.
なお, $2a+(n-1)d=a_1+a_n$ より
\[S_n=\frac{n}{2}(a_1+a_n)\]と表すこともできる.
以上,等差数列の和についてまとめておこう.
等差数列の和
初項 $a$ ,公差 $d$ の等差数列の,初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ は
\begin{align} S_n&=\frac{n}{2}\{2a+(n-1)d\}\\ &=\frac{n}{2}(a_1+a_n) \end{align}と表せる.
吹き出し無題
等差数列の和の公式は
\[(等差数列の和)=\frac{項数}{2}\times\left((初項)+(末項)\right)\]と覚えておくとよい.つまり,等差数列の和は「項数」と「初項」と「末項」という3 つの要素がわかれば求めることができる.
等差数列の和~その1~
次の等差数列 $\{a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ を求めよ.また, $S_{10}$ を求めよ.
- $2,5,8,11,14,\cdots$
- $100,98,96,94,92,\cdots$
- 初項が2,公差が3の等差数列だから,この数列の般項 $a_n$ は \[a_n=2+(n-1)3=3n-1\]
- 初項が100,公差が-2の等差数列だから,この数列の一般項 $a_n$ は \[a_n=100+(n-1)\cdot(-2)=-2n+102\]
よって,初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ は
\[S_n=\frac{n}{2}(a_1+a_n)=\boldsymbol{\frac{n(3n+1)}{2}}\]また,初項から第10項までの和 $S_{10}$ は
\[S_{10}=\frac{10\cdot(3\cdot10+1)}{2}=\boldsymbol{155}\]よって,初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ は
\[S_n=\frac{n}{2}(a_1+a_n)=\boldsymbol{n(101-n)}\]また,初項から第10項までの和 $S_{10}$ は
\[S_{10}=10\cdot(101-10)=\boldsymbol{910}\]等差数列の和~その2~
1から50までの整数のうち,次のような数の和を求めよ.
- 2の倍数
- 3の倍数
- 2または3の倍数
- $A_2=\{2,4,6,\cdots,50\}$ は,初項2,項数25,末項50の等差数列であるから,求める和 $S_2$ は \[S_2=\frac{1}{2}\cdot25(2+50)=\boldsymbol{650}\]
- $A_3=\{3,6,9,\cdots,48\}$ は,初項3,項数16,末項48の等差数列であるから,求める和 $S_3$ は \[S_3=\frac{1}{2}\cdot16(3+48)=\boldsymbol{408}\]
- 2または3の倍数の和 $S$ は, $S=S_2+S_3-S_6$ で与えられるので, $S_6$ を求めればよい. $A_6=\{6,12,18,\cdots,48\}$ は,初項6,項数8,末項48の等差数列であるから, $S_6$ は \[S_6=\frac{1}{2}\cdot8(6+48)=216\]
よって
\[S_6=650+408−216=\boldsymbol{842}\]等差数列の和の最大値
一般項 $a_n$ が $a_n=−6n+120$ である数列 $\{a_n\}$ について,以下の問に答えよ.
- 初めて負になる項は第何項目か.
- 初項からの和が最大になるのは,第何項目までの和か.また,その和の最大値を求めよ.
- $a_n=-6n+120$ が負になるのは \begin{align} &-6n+120\lt0\\ \Leftrightarrow\ &6n\gt120\\ \Leftrightarrow\ &n\gt20 \end{align}
- 1. より,初項から第20項までの項は,すべて正,あるいは0なので, $S_{20}$ が初項からの和の最大値となる.また, $a_{20}=0$ であるから, $S_{20}=S_{19}$ であり,こちらも最大値である.よって,和が最大になるのは, $\boldsymbol{第19項目または第20項目}$ である.
つまり, $n=21$ のとき $a_n$ は負となる.よって,初めて負になるのは $\boldsymbol{第21項目}$ である.
このとき,最大値は
\begin{align} S_{19}&=\frac{19}{2}\cdot(a_1+a_{19})\\ &=\frac{19}{2}\cdot(114+6)\\ &=\boldsymbol{1140}\\ \blacktriangleleft S_{20}&=\frac{20}{2}\cdot(a_1+a_{20})\\ &=\frac{20}{2}\cdot(114+0)\\ &=1140 \end{align}【別解】
一般項が $a_n=-6n+120$ である等差数列の和 $S_n$ は
\begin{align} S_n&=\frac{n}{2}\{114+(-6n+120)\}\\ &=\frac{1}{2}(-6n+234)\\ &=-3n^2+117n \end{align}となり, $S_n$ が2次関数で与えられていることがわかる.下図のグラフより, $n$ が整数であることに注意すると,この $S_n$ が最大値をとるのは $\boldsymbol{n=19,20}$ のときである.