必要条件と十分条件
一般に
A:「全体集合内のすべての $x$ において、$p(x){\Rightarrow}q(x)$ は真となる」
という主張は命題となる。
条件の「ならば」の図のような場合では、白抜きの部分の要素 $a$ では、$p(a)$ は真、$q(a)$ は偽だから命題「$p(a){\Rightarrow}q(a)$」は偽つまり、命題Aは偽となる。
この要素 $a$ のことを、この命題の反例 (counterexample) という。
必要条件と十分条件の図
しかし、右図のように、条件 $p(x),q(x)$ の真理集合 $P,Q$ が $P\subseteqq{Q}$ となる場合には、全体集合内のいかなる要素をとろうとも、$p(x){\Rightarrow}q(x)$ は真となるので、この命題Aは真となる。
全体集合内のすべての $x$ に対して、$p(x){\Rightarrow}q(x)$ が真であるとき
- $q(x)$ は $p(x)$ であるための必要条件 (neccessary condition) である
- $p(x)$ は $q(x)$ であるための十分条件 (sufficient condition) である
必要十分条件の図
また、$p(x){\Rightarrow}q(x)$ と $q(x){\Rightarrow}p(x)$ がともに真であるとき
- $q(x)$ は $p(x)$ であるための必要十分条件 (neccessary and sufficient condition) である
吹き出し必要条件と十分条件
“必要”や“十分”という言葉の意味についてはこだわらず、真理集合 $P,Q$ において「小さい方が十分条件」、「大きい方が必要条件」と単純に覚えてしまおう。
必要条件と十分条件
次の四角の中に
- (ア) 必要条件であるが十分条件ではない
- (イ) 十分条件であるが必要条件ではない
- (ウ) 必要十分条件である
- (エ) 必要条件でも十分条件でもない
- $p(x)$ は $q(x)$ であるための、$\fbox{A}$ \[p(x):\lceil\,x^2=2x\rfloor~~q(x):\lceil\,x=2\rfloor\]
- $p(x,~y)$ は $q(x,~y)$ であるための、$\fbox{B}$ \begin{align} &p(x,~y):\lceil{x}\geqq0かつy\leqq0\rfloor\\&q(x,~y):\lceil{xy}\leqq0\rfloor \end{align}
- $p(x,~y)$ は $q(x,~y)$ であるための、$\fbox{C}$ \begin{align} &p(x,~y):\lceil{xy}=0かつx+y=0\rfloor\\ &q(x,~y):\lceil{x}=0かつy=0\rfloor\ \end{align}
- $p(x)$ は $q(x)$ であるための、$\fbox{D}$ \[p(x):\lceil{x}\gt0\rfloor~~q(x):\lceil{x}\neq1\rfloor\]
\begin{align} &p(x)\\ \Leftrightarrow~&x(x-2)=0\\ \Leftrightarrow~&x=0\vee2 \end{align} これより
$\blacktriangleleft$ $p(x),q(x)$ の真理集合をそれぞれ $P,Q$ とすると図のような関係になっている- $p(x){\Rightarrow}q(x)$ は偽 (反例 $x=0$)
- $p(x){\Leftarrow}q(x)$ は真
\begin{align} &q(x,~y)\\ \Leftrightarrow~&(x\geqq0\wedge{y}\leqq0)\vee(x\leqq0\wedge{y}\geqq0) \end{align} これより
$\blacktriangleleft$ $p(x),q(x)$ の真理集合をそれぞれ $P,Q$ とすると図のような関係になっている- $p(x,~y){\Rightarrow}q(x,~y)$ は真
- $p(x,~y){\Leftarrow}q(x,~y)$ は偽 (反例 $x=-1$ かつ $y=1$ など)
- $p(x,~y)$ に関して、まず
\begin{align}
&xy=0\\
\Leftrightarrow~&x=0\vee{y}=0
\end{align}
このうち、さらに $x+y=0$ を満たす $x,y$ は $x=0$ かつ $y=0$ である。これより
$\blacktriangleleft$ $p(x),q(x)$ の真理集合をそれぞれ $P,Q$ とすると図のような関係になっている- $p(x,~y){\Rightarrow}q(x,~y)$ は真
- $p(x,~y){\Leftarrow}q(x,~y)$ は真
$\blacktriangleleft$ $p(x),q(x)$ の真理集合をそれぞれ $P,Q$ とすると図のような関係になっている- $p(x,~y){\Rightarrow}q(x,~y)$ は偽 (反例 $x=1$)
- $p(x,~y){\Leftarrow}q(x,~y)$ は偽 (反例 $x=-1$ など)