球の表面積

まず、中心 $\text{O}$、半径 $r$ の球の体積と表面積の関係について考えてみよう。

球の表面に小さい三角形を描き、その $3$ 頂点と球の中心 $\text{O}$ を結ぶと三角錐ができあがる。今度は、その三角形の一辺を使ってまた別の三角形を描き、頂点と中心 $\text{O}$ を結ぶと別の三角錐ができあがる。このような操作を繰り返していけば、球全体を三角錐の集まりとして分割することができる。

球の表面積

球の表面積

球体である地球の地面を、通常私たちは平らであると感じている。つまり、球の表面に描く三角形も十分に小さければ、平らであると扱ってもよいだろう。すると、球体は三角錐の集まりとして扱ってもよいだろう。また、このときひとつひとつの三角錐は大変細長いものとなるので、その高さはすべて $r$ と考えてもよいだろう。

すべての三角錐の体積が $\dfrac{1}{3}\times(底面積)\times(高さ)$ であるから、三角錐の体積の和は、$\dfrac{1}{3}\times(底面積の和)\times(高さ)$ となる。三角錐の底面積の和は球の表面積と考えてよいので、半径 $r$ の球の体積を $V$、表面積を $S$ とすると、$V=\dfrac{1}{3}Sr$ である。『球の体積』より $V=\dfrac{4}{3}{\pi}r^3$ なので \[\dfrac{4}{3}{\pi}r^3=\dfrac{1}{3}Sr~~\therefore~S=4{\pi}r^2\] である。

球の表面積

半径 $r$ の球の表面積 $S$ は、$S=4{\pi}r^2$ である。

球の表面積、体積

  1. 半径 $4\text{cm}$ の球の、表面積と体積をそれぞれ求めよ。
  2. 1辺 $8\text{cm}$ の立方体の表面積と直径 $10\text{cm}$ の球の表面積では、どちらが大きいか。
  3. 1辺 $10\text{cm}$ の立方体に高さ $9\text{cm}$ まで水を入れてある。この水の中に半径 $3\text{cm}$ の球を静かに入れると、何 $\text{cm}^3$ の水があふれるか。ただし、表面張力は考えない。

    • 表面積は $4\pi\cdot4^2=\boldsymbol{64\pi\text{cm}^2}$
    • 体積は $\dfrac{4}{3}\pi\cdot4^3=\boldsymbol{\dfrac{256}{3}\pi\text{cm}^3}$
  1. 1辺 $8\text{cm}$ の立方体の表面積は、$6\times8^2=384\text{cm}^2$

    直径 $10\text{cm}$ の球の半径は $5\text{cm}$ なので、表面積は \begin{align} 4\pi\cdot5^2=&100\pi\\ \fallingdotseq&100\times3.14\\ =&314\text{cm}^2 \end{align} よって、1辺 $8\text{cm}$ の立方体の表面積の方が大きい。

  2. 水中に入れた球の体積は \[\dfrac{4}{3}\pi\cdot3^3=36\pi\text{cm}^3\] なので、水の体積と球の体積の和は \[10\cdot10\cdot9+36\pi=900+36\pi\text{cm}^3\] である。実際には $10^3=1000\text{cm}^3$ しか入らないので、あふれる水の体積は \[(900+36\pi)-1000=\boldsymbol{36\pi-100\text{cm}^3}\]

円錐と内接球

円錐と内接球

円錐と内接球

底面の半径が $4$、母線の長さが $10$ の円錐がある。

  1. この円錐に内接する球 $O_1$ の半径を求めよ。
  2. 球 $O_1$ の上に外接し、さらに円錐に内接する球 $O_2$ の半径を求めよ。
ただし、球 $O_1$、$O_2$ とも、半径はできるだけ大きくなるようにする。

円錐の頂点を $\text{A}$、球 $O_1$、$O_2$ の中心をそれぞれ $\text{P}$、$\text{Q}$ とし、$\text{A}$ から底面に下ろした垂線の足を $\text{H}$ とする。このとき、線分 $\text{AH}$ は $\text{P}$、$\text{Q}$ を通る。

  1. 1の図

    直線 $\text{AH}$ を含むように、この立体図形を縦に垂直に切る。すると、断面図は右図のようになり、 球 $O_1$ の断面は、$\triangle\text{ABC}$ の内接円になる。

    $\triangle\text{ABC}$ の面積を $S$、球 $O_1$ の半径 $r_1$ とすると \[S=\dfrac{1}{2}(10+10+8)r_1\tag{3}\label{kyunohyomenseki}\] が成り立つ。

    面積 $S$ は、$\text{AH}=\sqrt{10^2-4^2}=2\sqrt{21}$ より \[S=\dfrac{1}{2}\cdot8\cdot2\sqrt{21}=8\sqrt{21}\] であるので、これを $\eqref{kyunohyomenseki}$ に代入して \begin{align} 8\sqrt{21}&=\dfrac{1}{2} (10+10+8)r_1\\ \therefore~~ r_1&=\dfrac{8}{14}\sqrt{21}=\boldsymbol{\dfrac{4}{7}\sqrt{21}} \end{align}

  2. 2の図

    1と同じ断面を考え、右図のように $\text{E}$ をとると $\triangle\text{AQE}\sim\triangle\text{ACH}$ である。

    よって、球 $O_2$ の半径を $r_2$ とすれば \begin{align} &\text{AQ}:\text{QE}=\text{AC}:\text{CH}\\ &\left(\text{AH}-2r_1-r_2\right):r_2=10:4=5:2\\ &2\left(2\sqrt{21}-\dfrac{8}{7}\sqrt{21}-r_2\right)=5r_2\\ &\dfrac{12}{7}\sqrt{21}=7r_2\\ &\therefore~r_2=\boldsymbol{\dfrac{12}{49}\sqrt{21}} \end{align}