包含と排除の原理
2集合の包含と排除の原理
1,2,3,4,5,6の数字が書いてあるさいころを1回振り,さらに1,2,3,4の数字が書いてある4枚のカードから1枚引くとする. 2つの数字の積が偶数となるのは何通りか.『包含と排除の原理』を用いて求めよ.
『ド・モルガンの法則』の例題の場合と同じように
$C$ :「さいころの数字が偶数である」
$D$ :「カードの数字が偶数である」
とおくと,求める場合の数は $n(C\cup{D})$ である. 和集合の要素の個数に関して
\[n(C\cup{D})=n(C)+n(D)-n(C\cap{D})\]が成り立つ.また,集合 $C\cap{D}$ に対応する事柄は
$\qquad$ 「さいころ,カードの数字が共に偶数」となる.
ここで, $n(C)$ , $n(D)$ , $n(C\cap{D})$ はそれぞれ
\[n(C)=3\times4=12\] \[n(D)=6\times2=12\] \[n(C\cap{D})=3\times2=6\]となるので
\begin{align} n(C\cup{D})&=n(C)+n(D)-n(C\cap{D})\\ &=12+12-6=\boldsymbol{18} \end{align}通り
集合を利用した数え上げのまとめ
1から100までの自然数のうち,次のような数は全部でいくつあるか.
- 3で割りきれ,かつ,7で割りきれる数.
- 3で割りきれるか,または,7で割りきれる数.
- 3で割りきれなく,かつ,7で割りきれない数.
- 3で割りきれないか,または,7で割りきれない数.
事柄A,Bをそれぞれ
$\qquad A$ :「3で割りきれる」
$\qquad B$ :「7で割りきれる」
とする.まず, $n(A)$ と $n(B)$ について
$\qquad 100\div3=33$ あまり1
$\qquad 100\div7=14$ あまり2
であるから
$\qquad n(A) = 33,n(B) = 14$
である.
- 「3で割りきれ,かつ,7で割りきれる数」は集合で $A\cap{B}$ と表すことができ, これは結局「21で割りきれる数」のことである.
- 「3で割りきれるか,または,7で割りきれる数」は集合で $A\cup{B}$ と表すことができる. \begin{align} &n(A\cup{B})\\ =&n(A)+n(B)-n(A\cap{B})\\ =&33+14-4\\ =&33+14-4=\boldsymbol{43} \end{align}
- 求める場合の数は $n(\overline{A}\cap\overline{B})$ である.全体集合をUとすると \begin{align} &n(\overline{A}\cap\overline{B})\\ =&n(\overline{A\cup{B}})\\ =&n(U)-n(A\cup{B})\\ =&100-43=\boldsymbol{57} \end{align}
- 求める場合の数は $n(\overline{A}\cup\overline{B})$ である. \begin{align} &n(\overline{A}\cup\overline{B})\\ =&n(\overline{A\cap{B}})\\ =&n(U)-n(A\cap{B})\\ =&100-4=\boldsymbol{96} \end{align}
$100\div21=4$ あまり16であるから
$n(A\cap{B})=\boldsymbol{4}$