ド・モルガンの法則

ド・モルガンの法則

1,2,3,4,5,6の数字が書いてあるさいころを1回振り,さらに1,2,3,4の数字が書いてある4枚のカードから1枚引くとする. 2つの数字の積が偶数となるのは何通りか.

2つの数字の偶奇とその積の偶奇の関係は下の表のようになる.

\begin{array}{|c|c|c|c|c|}\hline さいころ&&カード&&積\\\hline 奇数&×&奇数&=&奇数\\\hline 奇数&×&偶数&=&偶数\\\hline 偶数&×&奇数&=&偶数\\\hline 偶数&×&偶数&=&偶数\\\hline \end{array}

これより,積が偶数になる場合より,奇数になる場合の方が数えやすそうだとわかるので,補集合を考えてみることにする.

$C$ :「さいころの数字が偶数である」

D:「カードの数字が偶数である」

とおくと,求める場合の数は $n(C\cup{D})$ であり,その補集合の要素の個数は $n(\overline{C\cup{D}})$ であるから, 全体集合を $U$ とすると

\[n(C\cup{D})=n(U)-n(\overline{C\cup{D}})\]

ここで,『ド・モルガンの法則』より

\[n(\overline{C\cup{D}})=n(\overline{C}\cap\overline{D})\]

であり,集合 $\overline{C}\cap\overline{D}$ に対応する事柄は,「さいころの数字が偶数でなく,かつ,カードの数字が偶数でない」つまり

\[「さいころ,カードの数字がともに奇数である」\]

となるので,積の法則から

\[n(\overline{C}\cap\overline{D})=3\times2=6\]

よって

\begin{align} n(C\cup{D})&=n(U)-n(\overline{C\cup{D}})\\ &=n(U)-n(\overline{C}\cap\overline{D})\\ &=24-6=\boldsymbol{18} \end{align}

通り

吹き出しド・モルガンの法則を使うときには

  1. 形式的な面
  2. 意味的な面

の両方から,考える癖をつけるのがよい.

つまり,上の問題の例でいうならば,i)では

$\qquad$ 集合 $\overline{C\cup{D}}$ は,補集合のバー $(\overline{\bigcirc})$ が“切れて” $\cup$ が“ひっくりかえった”集合 $\overline{C}\cap\overline{D}$
$\qquad$ と常に等しかったな.そして,この $\overline{C}\cap\overline{D}$ は,「数字がともに奇数である」という事柄と対応するな.

と考えることであり,ii)では

$\qquad$ 「(さいころの数字が偶数であるか,または,カードの数字が偶数である)ということはない」,とはつまり,「さいころ,カードの数字がともに奇数であること」と同じだな.
$\qquad$ だから,それぞれに対応する集合 $\overline{C\cup{D}}$ と $\overline{C}\cap\overline{D}$ は等しくなるな.

と考えることである.

上の解答では,i)を強調した書き方になっている.