数学A 第1章 場合の数 — 順列

この節の前提数え上げの基本

この『順列』から『資源配分(配分先に区分がない)』までの8つのセクションでは、数え上げに関する応用的な手法をみていく。各セクションは、「ボールと箱のモデル」で体系的にまとめることができる。縦の欄にはボールと箱の区別の有無を、横の欄にはボールを箱にしまう際に、それが『写像』でいうところの何と対応するのかを示している。

ボール・箱 単射 写像全て 全射
あり・あり 順列 重複順列 部屋割り
なし・あり 組合せ 重複組合せ 資源配分
あり・なし (右枠の和) 部屋割り(区別なし)
なし・なし (右枠の和) 資源配分(区別なし)

順列について

順列の定義

4枚のカード 、 、 、 から2枚のカードを引いて、これらを1列に 並べる場合の数は次のように求めることができる。

まず、1枚目のカードの取り方は、4枚のカードのどれを取ってもよいから4通りある。

そして、1枚目のカードが決まれば、2枚目のカードの取り方は、残りの3枚のカードの中から1枚取るから3通りある。

つまり、1枚目のカードの取り方4通りに対して、2枚目のカードの取り方が3通りに定まるから、 2枚のカードの並べ方は『積の法則』より

通り

となる。

次の図は、2枚のカードの並べ方12通りを、樹形図と、並びをすべて書き出したもので表している。

ここで、n個のものからr個とって並べる順列を定義しておこう。

A, B, C, Dの4枚のカードから2枚を並べる樹形図。1枚目に選んだカードそれぞれから残りの3枚へ枝が分かれ、対応する2枚の並び12通りが右側に示されている。
§

定義1順列 の定義

「区別するn個のものからr個取り出して1列に並べた列」のことを 順列(permutation)といい、 その並べ方の総数を と表す

上の例では、 である。

順列の計算

区別する 個のものから 個取り出して1列に並べる順列の数 は、上の例と同じように考えることができる。

1番目のものの取り方は 通りあり、 2番目のものの取り方はそのそれぞれに対して 通りあり、 3番目のものの取り方はそのそれぞれに対して 通りあり、 番目のものの取り方はそのそれぞれに対して 通りある。

したがって、『積の法則』より

と計算できることがわかる。

特に、 が に等しいとき、つまり のときには、 となる。右辺は1から までの すべての自然数の積であり、これを の階乗(factorial)といい、記号 で表す。 つまり

である。

また、 のとき、 の分母・分子に をかけることにより

と変形できるので、分子は で表すことができ

となる。

のとき、  は形式的に と表せるが、 となって欲しいので、 と定めることにする。 こうすれば、 は のときにも成り立つ。

以上、 、 をまとめると

§

定理2順列 の計算

順列 は

と計算できる。ただし、n、rは0以上の整数とし、 とする。

また、 の は、ただ計算上で成り立つだけでなく

とりあえず、 個の区別するものをすべて並べて 通りの樹形図を作ってから、(左から 個のものにしか着目しないので)関係のない 右から 個の並べ方の違いについては無視するため、 通りで1束にして数えたもの

と考えることもできる。このことの具体例を示すため、以下には と の対応を樹形図で表した。 通りは、 通りの順列において 通りで割って1束にしたものであることを確認しよう。

4つの文字A, B, C, Dから作られる24通りの樹形図と4P4の順列が左にあり、その右端2通りずつを束ねて先頭2文字を取り出した4P2の12通りの順列が右に対応して並んでいる。

問題1例題:順列の計算練習

次の値を求めよ。

解答を見る

具体的な数を計算したいときには、 を使う。

問題2例題:順列~その1~

  1. の6個の数字を使って3桁の整数を作るとき何通りの方法があるか。ただし、同じ文字は二度使えないものとする。
  2. 30人のクラスがある。このクラスで、委員長、副委員長、書記をそれぞれ一名ずつ決めるとき、何通りの決め方があるか。
解答を見る
  1. 3桁の整数は、異なる6個の数字から3つ選んで並べることにより作ることができるから

    通り

  2. 委員長、副委員長、書記をそれぞれ一名ずつ決めるには、30人の中から3人を選んで横1列並べ、 左から順に委員長、副委員長、書記とすればよいので

    通り

問題3例題:順列~その2~

5個の整数 があり、この中から異なる数字を用いて整数を作る。

  1. 3桁の整数は何通り作れるか。
  2. 3桁の整数で、かつ百の位と十の位が奇数のものは何通り作れるか。
解答を見る
  1. 百の位にあるのは のうち0を除いた4種類、このそれぞれに対して 十の位にあるのは百の位で選んだ以外の数字で4種類、さらにこのそれぞれに対して 一の位にあるのは百の位と十の位にない3種類がある。よって

    通り

    《別解:補集合を考える》

    5種類の文字から3つ選んで並べたときの順列 通りから、 百の位の数が0であるときの順列 通りを引くことによって

    通り

  2. 奇数は1と3の2種類がある。 百の位と十の位に関しての順列は 通り。このそれぞれに対して、 一の位には残りの0、2、4の3種類の数字が入るので

    通り

問題4順列~その3~

7つの整数 を1列に並べる。

  1. 6と7が隣り合うものは何通りあるか。
  2. 5と6と7が隣り合うものは何通りあるか。
  3. 両端が1と2になるものは何通りあるか。
解答を見る
  1. 隣り合う6と7の2つを合わせて1つのものとして考え、全体で6つのものの順列を考え

    1、2、3、4、5と、枠で囲んだ67の6つが横一列に並び、それぞれの上に①から⑥の丸数字がふられている。隣り合う6と7をひとまとめにして6個のものとみなすことを表している。

    通り

    このそれぞれに対して、6と7の並び方は、67と76の2通りあるので

    通り

  2. 隣り合う5と6と7の3つを合わせて1つのものとして考え、全体で5つのものの順列を考え

    1、2、3、4と、枠で囲んだ567の5つが横一列に並び、それぞれの上に①から⑤の丸数字がふられている。隣り合う5と6と7をひとまとめにして5個のものとみなすことを表している。

    通り

    このそれぞれに対して、5と6と7の並び方は、 通りあるので

    通り

  3. 両端には1と2の順列を考え2通り。

    両端が1と2になる並びが2つ書かれている。左は1のうしろに空の丸が5つ続いて最後が2、右は2のうしろに空の丸が5つ続いて最後が1で、両端の決め方が2通りあることを表している。

    このそれぞれに対して、両端でない文字は 通りの並び方があるので

    通り

ボールと箱のモデル1

の定義は

「区別する5個のものから3個とりだして1列に並べるときの並べ方の総数」

であったが、これは以下に示すボールと箱のモデルを使って

「区別する3個のボールを、区別する5個の箱に多くても1個配る場合の総数」

といいかえることができる。

準備として、ボールは区別するので番号をつけ、それを①、②、③とし、 箱も区別するので番号をつけ、それを

横一列に並んだ5つの空の四角い枠があり、それぞれの枠の下に1、2、3、4、5の数字がつけられている。枠と枠の間にはカンマが置かれている。 としておく。

まず、ボール①を箱に配ることを考えると、箱は5つあるので5通りの場合がある。

次に、ボール②を箱に配ることを考えると、すでにボール①は箱に配られていて 残りの箱は4つあるので、4通りの場合がある。

さらに、ボール③を箱に配ることを考えると、すでにボール①と②は 箱に配られていて残りの箱は3つあるので、3通りの場合がある。

以上から、ボールの箱への配り方は 通りあり、これは と一致する。

一般に、次のようにまとめることができる。

①、②、③の3つのボールが、1から5の番号がついた5つの箱へ矢印で配られ、箱2に①、箱3に③、箱5に②が入る結果が示されている。
§

定理3順列 のボールと箱のモデル

順列 はボールと箱のモデルを用いて

「区別する 個のボールを、区別する 個の箱に高々1個配る場合の総数」

と考えることができる。

円順列

円順列の定義

先程の『順列』では、区別するものを1列に並べる場合を考えたが、ここでは円形に並べる場合について考えてみる。

例えば、 、 、 、 の4人が手をつないで1つの輪をつくるとき、輪のでき方には何通りあるか考えてみよう。

まず、この4人を1列に並べると下の樹形図のようになり、その並べ方は 通りである。

4文字A、B、C、Dの順列全24通りを表す樹形図と文字の並びがあり、順送りのA B C D、B C D A、C D A B、D A B Cの横にそれぞれ①、②、③、④が付されている。

ここで、例えば樹形図の①、②、③、④は、輪になった場合に下の図のようになると考えることができる。

4つの文字A、B、C、Dを円形に時計回りで配置した①から④が並んでいる。一番上の文字が①はA、②はB、③はC、④はDとなっており、回転させると全て重なる。

これら4つの並び方は、回転させることによって重なるので、どれも同じ1つの並び方だと考えられる。

つまり、樹形図の①、②、③、④のように、“順送り”に並ぶ4つの順列は、円形に並べた場合には同一視するのである。

よって、この4人の作る輪は 通りある。

ここで、円順列を定義しておこう。

§

定義4円順列 の定義

「区別するn個のものを、円形に並べた列」のことをn個の円順列(circular permutation)という。 では、その並べ方の総数を と表すことにする。

この例では、 である。

円順列の計算

一般に、区別する 個のものを円形に並べた場合の総数も、先程の例と同じように考えることができ、 次のようにまとめられる。

§

定理5円順列 の計算

個の円順列の総数 は

と計算できる。

また、円順列が と計算される理由は、次のように説明することもできる。

簡単のため、先程の が で計算できることについて考えてみよう。

次の図のように、まず を固定して、そこから円をつくるように残りの 、 、 を並べると考えて、 通りとなり、これは と一致する。

一般の の場合も、1つを固定して、その周りに残りの 個のものを並べると考えて

と考えることができる。

円状に配置された4つの枠のうち、一番上にAが入っており、残りの3つの空枠の周りに反時計回りの矢印がある。右側には枠囲みのB、C、Dと「を並べる」という文言が添えられている。

ネックレス順列の定義・計算

次の図のように、円順列としては区別される2つの順列も、表裏をひっくり返すことができる場合には同一視して1通りと数える。

このように表裏をひっくり返すことができる場合の円順列を、 ネックレス順列(necklace permutation) または 数珠順列(beads permutation) といい、 その総数を では と表す。 のとき、 である。

4つの文字A、B、C、Dを円形に並べた2つの配置が並んでいる。左は上から時計回りにA、B、C、D、右は上から反時計回りにA、B、C、Dと並んでいる。

問題5円順列とネックレス順列

  1. 7個の異なる玉を円形に並べるとき、その並べ方は何通りあるか。
  2. 7個の異なる玉を円形に並べてネックレスを作るとき、その作り方は何通りあるか。
解答を見る
  1. 通り
  2. 通り

最終更新: 2026-09-03

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