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確率の定義について

確率の定義

ある試行の標本空間を U とし,その部分集合で事象 A で表したとする. ここで, U の根元事象が同様に確からしいならば, 事象 A の起こる確率 P(A)

P(A)=n(A)n(U)

となる.

確率を正確に求めるには以下の3点に注意するとよい.

  1. 「標本空間をしっかりと定める」
  2. 試行によって起こる事象を過不足なく表す標本空間を作る.

  3. 「根元事象が同様に確からしいことを確認する」
  4. 自分で作った標本空間の根元事象が本当に同様に確からしいといえるのか,考えてみる.

  5. 「事象が標本空間の部分集合として表されることを確認する」
  6. たとえ,i. ,ii. をしっかりと定めていても,求めたい事象が標本空間の部分集合として表現できなければ確率を求めることはできない.

吹き出し無題

同じ確率を求めるとしても,標本空間のとり方しだいで問題が難しくなったり間単になったりする. 今後,確率を求める際には,標本空間のとり方について常に気を配りながら学習するとよい.

同様に確からしい

次はA君の解答である.この解答は正しいか,間違っているかを考え,間違っていれば正しい解答を示せ.

「2枚の硬貨を同時に投げるとき,表と裏の出る枚数について, (,)=(2,0),(1,1),(0,2) の3通りの場合があるので, 表が2枚出る確率は 13 である」

この解答は

間違っている

2枚の硬貨をきちんと区別して,表と裏についてまとめると

,,,,

の4通りがあり,これらは同様に確からしい.

この表の(裏,表)と(表,裏)をまとめて (1,1) と1通りで表しているA君の解答では, 例えば (2,0)(1,1) は同様に確からしいとはいえず,間違った確率を計算している.正しい解答は 14 である.

さいころ型の確率

1から4の目が書かれた正四面体のさいころを2回振るとき, 1回目と2回目の目の積が3の倍数となる確率を求めよ.

正四面体のさいころを2回振ったときの目の出方の重複順列 42 通りは,同様に確からしい.

このうち,1回目と2回目の目の積が3の倍数となるのは

1234
11,12,13,14,1
21,22,23,24,2
31,32,33,34,3
41,42,43,44,4

表の網掛け部分の7通り.

よって,求める確率は 742=716 となる.

くじ引き型の確率

1から4の数字が書かれたカードから2枚引くとき,1枚目と2枚目の数字の積が3の倍数となる確率を求めよ.

1から4の数字が書かれたカードから2枚引くときの組合せ 4C2 通りは,同様に確からしい.

このうち,1枚目と2枚目の数字の積が3の倍数となるのは

1234
1
21,2
31,32,3
41,42,43,4

表の網掛け部分の3通り.

よって,求める確率は 3 4C2=12 となる.

吹き出し無題

さいころ型では重複順列の数を分母に,くじ引き型では(基本的には)組合せの数を分母にとればよい.

表や樹形樹の利用

次の問に答えよ.

  1. 1から4の目が書いてある正四面体のさいころを2回振る.2つの目の和が5となる確率を求めよ.
  2. 1から4までの数字が書いてある4枚のカードから,連続して2枚のカードを引く.はじめに引いたカードの数の方が,あとに引いたカードより小さくなる確率を求めよ.
  3. 1から4までの数字が書いてある4枚のカードから,連続して2枚のカードを引く.カードの数の和が5以上となる確率を求めよ.

以下の解答では,表でまとめた場合の解答である.樹形図についてまとめた場合には,それぞれの図を参照のこと.

  1. 正四面体のさいころを2回振ったときの目の出方の重複順列 42 通りは,同様に確からしい.
  2. このうち,2つの目の和が5となるのは,下の表の網掛けの部分を数えて4通り.よって,求める確率は 442=14 となる.

    1234
    11,12,13,14,1
    21,22,23,24,2
    31,32,33,34,3
    41,42,43,44,4

    【注意】

    組合せでまとめた下の表では,同様に確からしくないので,確率を求めることはできない.

    1234
    11,1
    21,22,2
    31,32,3
    41,42,43,44,4
  3. 4枚のカードの中から2枚引いたときの順列 4Ρ2 通りは,同様に確からしい.
  4. このうち,はじめに引いたカードの数の方が,あとに引いたカードより小さくなるのは,下の表の網掛けの部分を数えて6通り.よって,求める確率は 6 4P2=12 となる.

    1234
    12,13,14,1
    21,23,24,2
    31,32,34,3
    41,42,43,4

    《別解》

    4枚のカードの中から2枚引いたときの大小関係は

    (1枚目のカード) > (2枚目のカード) または

    (1枚目のカード) < (2枚目のカード)

    のどちらかであり,これら2通りは同様に確からしい.よって,求める確率は 12 となる.

  5. 4枚のカードの中から2枚引いたときの組合せ 4C2 通りは,同様に確からしい.
  6. 下の表でこのうち,カードの数の和が5以上となるのは,下の表の網掛けの部分を数えて4通り.よって,求める確率は 4 4C2=23 となる.

    1234
    1
    21,2
    31,32,3
    41,42,43,4

    《別解:順列で考える》

    4枚のカードの中から2枚引いたときの順列 4Ρ2 通りは,同様に確からしい.

    下の表でこのうち,カードの数の和が5以上となるのは,下の表の網掛けの部分を数えて8通り.よって,求める確率は 8 4P2=23 となる.

    1234
    12,13,14,1
    21,23,24,2
    31,32,34,3
    41,42,43,4