領域を利用した証明

FTEXT 数学Aの論理と集合で学んだように,一般に2つの条件$p,q$について, 条件$p$の真理集合(条件$p$を満たすもの全体の集合)を$P$,条件$q$の真理集合を$Q$とすると

「$p~\Rightarrow~q$が真である」$\Longrightarrow~P\subseteqq Q$

であった.

条件$p,q$が$x,y$の不等式で表される場合に,このことをもちいて, $p~\Rightarrow~q$が真であることを証明してみよう.

領域を利用した証明

$(x-1)^2+y^2 \leqq 5$ならば$x^2 +(y+2)^2 \leqq 20$であることを証明せよ.

無題

無題

連立方程式

\begin{cases} (x_1)^2+y^2=5\\ x^2+(y+2)^2=20 \end{cases}

を解く. 上の式を$\tag{1}\label{ryouikiworiyoushitashoumeinokaitou1}$,下の式を$\tag{2}\label{ryouikiworiyoushitashoumeinokaitou2}$とすると$x = 6 − 2y$なので,これを$\eqref{ryouikiworiyoushitashoumeinokaitou1}$に代入すると

\begin{align} &(6-2y-1)^2+y^2=5\\ \Leftrightarrow~ &25-20y+4y^2+y^2=5\\ \Leftrightarrow~ &(y-2)^2=0\\ \Leftrightarrow~ &y=2 \end{align}

$y = 2$を$x = 6 − 2y$に代入すると$x = 2$であり,解が1つに定まるので,2円は$(2,2)$でお互いに接している. これをもとにそれぞれの領域を描くと,図のようになる.

$(x-1)^2+y^2\leqq 5$を満たす領域は全て$x^2+(y+2)^2\leqq20$を満たす領域に含まれるので, 題意は証明された.