角度の拡張
角度の拡張
固定された図形にあらわれる角度の大きさは,$0^\circ$から$360^\circ$である. この視点で見れば,時計の1時の長針と2時30分の長針のなす角度は$180^\circ $であり,1時の長針と3時30分の長針のなす角度も$180^\circ$である. しかし,時刻の変化に伴う長針の回転量は,前者と後者では明らかに異なる. また,長針を1時から10分進めても,10分戻してもどちらも$60^\circ$回転するが,向きは逆である.
これらの点を考慮できるように$360^\circ$以上の角や,回転の向きを考えた角を導入することにしよう.
1) $360^\circ$以上の角度
動点$\text{P}$は(反時計回りに)1周より多く動いてもよいとする. たとえば,図では,$\text{P}$が反時計回りに1周と$60^\circ$回転しているので, $\angle{\text{POX}}=360^\circ+60^\circ=420^\circ$と考える.
2) 負の角度
動点$\text{P}$は,$\text{X}$から時計回りに動いてもよいとし,この場合は$\angle{\text{POX}}$を負の値で定める. たとえば,図では,$\text{P}$が時計回りに$120^\circ$回転しているので, $\angle{\text{POX}}=-120^\circ$と考える.
これらのように,$360^\circ$以上回転する場合や,回転の向きも考えた角を 一般角(general angle) という.
また,一般角$\theta$に対して,始線$\text{OX}$から角$\theta$だけ回転した位置にある動径$\text{OP}$を, $\theta$の動径という.
一般角の練習〜その1〜
次の図の$\theta$を一般角で表せ.
動径$\text{OP}$は,反時計回りに1周と$120^\circ$進んだので
\begin{align} \theta=360^\circ+120^\circ=\boldsymbol{480^\circ} \end{align}動径$\text{OP}$は,反時計回りに2周と$210^\circ$進んだので
←$360^\circ-150^\circ=210^\circ$
\begin{align} \theta=360^\circ\times2+210^\circ=\boldsymbol{930^\circ} \end{align}動径$\text{OP}$は,時計回りに$300^\circ$進んだので
←$360^\circ-60^\circ=300^\circ$
\begin{align} \theta=\boldsymbol{-300^\circ} \end{align}
一般角の練習〜その2〜
次の角の動径を図示せよ.
- $150^\circ$
- $390^\circ$
- $-90^\circ$
- $-690^\circ$