逆ベクトルとゼロベクトル
逆ベクトル
(注)ある$\vec{a}$に対し,大きさが等しく向きが反対であるベクトルを,$\vec{a}$ の 逆ベクトル(inverse vector) といい,$−\vec{a}$で表す.
いま,右図のように$\vec{a} =\overrightarrow{\text{AB}}$ とすると,$−\vec{a} =\overrightarrow{\text{BA}}$ であるから
\[\overrightarrow{\text{BA}} = −\overrightarrow{\text{AB}}\]である.
$\vec{a} =\overrightarrow{\text{AB}}$ と,その逆ベクトル$−\vec{a} =\overrightarrow{\text{BA}}$ の和は
\[\vec{a} + (−\vec{a}) =\overrightarrow{\text{AB}} +\overrightarrow{\text{BA}} =\overrightarrow{\text{AA}}\]となる.このとき,$\overrightarrow{\text{AA}}$ を,始点と終点が一致した特別な有向線分の表すベクトルと考えて,これを ゼロベクトル(zero vector) といい,記号$\vec{0}$ で表す.つまり
\[\vec{a} + (−\vec{a}) = \vec{0}\]である.
ゼロベクトルの大きさは$0$ とし,その向きは考えないものとする.ゼロベクトルには,数の$0$ と同じように次のような性質がある.
\[\vec{a} + \vec{0} = \vec{0} + \vec{a} = \vec{a}\]