数学B 第7章 空間ベクトルと空間図形 — 空間ベクトルの内積

この節の前提ベクトルの内積/空間ベクトルの演算

空間ベクトルの正射影

ベクトルのなす角の定義(空間)

まず平面ベクトルの場合と同じように、空間ベクトルでもベクトルのなす角を定義する。

離れた位置にある2つのベクトルaとベクトルbがある。右下にあるベクトルaは緩やかに右斜め上を向き、左上にあるベクトルbは急な角度で右上を向いている。 でない2つの空間ベクトル、、 に対して、点 を始点として となるように点 、 をとる。このとき、 の大きさ は、、 によって決まる。この を、 と のなす角とする。

点Oを始点として、点Aに向かうベクトルaと、点Bに向かうベクトルbが描かれている。2つのベクトルの間の角に弧が付けられ、記号θが添えられている。 始点を共有する2つのベクトルのなす角θについて、同じ向きでθ=0°、鋭角、鈍角、反対向きでθ=180°となる4つの状態が横に並べて示されている。

なす角の取り得る範囲は、平面ベクトルの場合と同様に となる。

ベクトルの正射影と有向距離(空間)

点Oを始点とするベクトルaとベクトルbのなす角がθで表されている。点Bからベクトルaへ下ろした垂線の足がHとされ、点Oから点Hへの矢印と垂線BHの位置に直角記号が描かれている。

平面ベクトルの場合と同じように、空間ベクトルでもベクトルの正射影と有向距離を定義する。

でない2 つの空間ベクトル、 に対して、点 を始点として

となるように点 をとる。

いま、上の図の点 からから直線 に下ろした垂線の足を とする。このとき、を の への正射影ベクトルといい と表す。正射影ベクトル は、 とそのなす角 を用いて次のように表すことができる。

  1. のとき

    点Oを始点とするベクトルaとベクトルbがあり、そのなす角はθである。点Bから直線OAに下ろした垂線の足をHとし、ベクトルOHが太い矢印で表されている。

  2. のとき

    点Oを始点とするベクトルaとベクトルbのなす角θが鈍角のとき、点Bから直線OAに下ろした垂線の足をHとすると、ベクトルOHはベクトルaと反対向きになっている。

つまり、 で と表せる。この の値のことを、の有向距離または符号付長さという。

なお、 の大きさは

で表される。

ベクトルの内積(空間)

ベクトルの内積の定義(空間)

平面ベクトルの場合と同じように、空間ベクトルでもベクトルの内積を定義 する。

任意の2 つの空間ベクトル、 に対して内積という演算 を次のように定義する。

  1. かつ のとき

    「 の大きさに、 の有向距離をかけたもの」、すなわち

    とする。ここで、 は と のなす角である。

    始点を共有するベクトルaとベクトルbのなす角がθで示されている。ベクトルbの終点からベクトルaへ破線の垂線が下ろされ直角の印があり、始点から垂線の足までの長さ|ベクトルb|cosθと、ベクトルaの長さ|ベクトルa|が書き込まれている。
  2. または のとき

    とする。

空間の正射影ベクトルの内積での表し方

平面ベクトルの場合と同じように、空間ベクトルでも同様な形で、正射影ベク トルを内積で表すことができる。

同じ始点から伸びるベクトルaとベクトルbがあり、そのなす角はθである。ベクトルbの終点からベクトルaへ下ろした垂線の足と始点を結ぶ太い矢印が、正射影ベクトルとして描かれている。

の への正射影ベクトル は

と表すことができる。

内積の計算法則(空間)

平面ベクトルの場合と同じように、空間ベクトルの内積でも、次のような計算 法則が成り立つ。

§

定理1内積に関する計算法則

  1. 交換法則
  2. 結合法則
  3. 分配法則

【証明】は平面の時の内積に関する計算法則と同様。

成分表示された空間ベクトルの内積

成分表示された2 つの空間ベクトル、 の内積について考えてみよう。

まず、 について、それぞれのベクトルの大きさはであり、どの2 つのベクトルのなす角も であるから

が成り立つ。

ここで、 は

であるから、 を に分解すると

となる。

同様にして

となる。

よって、 より

となる。

問題1空間ベクトルの内積

次の2 つのベクトルの内積の値とそのなす角 を求めよ。

解答を見る
  1. であるので、

    より、

  2. であるので、

    より、

空間ベクトルの垂直条件

平面ベクトルの場合と同じように、空間ベクトルでもベクトルの垂直を定義する。

でない2 つのベクトル、 と のなす角が とき、 と は垂直であるといい、 と表す。また、 はすべてのベクトルに対し垂直と定める。

このとき、 と の内積は、 となる。逆に、 ならば といえる。つまり

である。

また、成分表示された2 つのベクトル、 と が垂直であるとき

が成り立つ。

問題2空間ベクトルの垂直条件

正四面体 で、 であることを証明せよ。

頂点をOとし、底面を三角形ABCとする正四面体O-ABCが描かれている。頂点Oが一番上にあり、底面の頂点Aが左下、頂点Bが手前下、頂点Cが右側に位置している。
解答を見る

正四面体であるので

より

以上から、 であることが示せた。

問題3空間ベクトルの内積と垂直条件

1 辺の長さ2 の正四面体 がある。の中点を の中点を とする。 とおくとき、以下の問いに答えよ。

  1. の値を求めよ。
  2. を で表せ。
  3. であることを証明せよ。
  4. を求めよ。
  5. と のなす角の余弦を求めよ。
四面体ABCDにおいて、ベクトルaはベクトルDA、ベクトルbはベクトルDB、ベクトルcはベクトルDCを表している。また、辺AB上に点M、辺CD上に点Nがある。
解答を見る
  1. であるので

    ここで、1. と が正四面体であることから、 であるので

    したがって、 である。

  2. したがって、 である。

  3. は正三角形であり、 が の中点であることから

    となり、また

    である。したがって、 と のなす角をとすると

最終更新: 2026-09-03

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