$y=ax^2+bx+c$ のグラフ
最後に、一般の2次関数 \[y=ax^2+bx+c\] のグラフについて考えてみよう。たとえば \[y=2x^2+4x-1\tag{1}\label{y=ax^2+bx+cnogurafu}\] のグラフを描くには、次のように式を変形(平方完成 (completing square) という)してから考える。 \begin{align} y=&2x^2+4x-1\\ =&2\left\{x^2+2x\right\}-1\\ &\quad\blacktriangleleft x^2の係数でくくる\\ =&2\left\{(x+1)^2-1\right\}-1\\ &\quad\blacktriangleleft 平方の形にする(平方完成)\\ =&2(x+1)^2-2-1\\ &\quad\blacktriangleleft \{~~\}をはずす\\ =&2(x+1)^2-3\\ &\quad\blacktriangleleft 定数項を整理する \end{align} こうすると、既に学んだ『$y=a(x−p)^2+q$ のグラフ』に帰着され、$\eqref{y=ax^2+bx+cnogurafu}$ のグラフは、$y=2x^2$ のグラフを $x$ 軸方向に $-1$、$y$ 軸方向に $-3$ だけ平行移動した放物線になるとわかる。
吹き出し無題
平方完成は慣れないうちは難しく感じるかもしれない。もう一度、ポイントとなるところに焦点をあててみる。 \begin{align} &x^2+\bigcirc{x}\\ =&\left(x+\dfrac{\bigcirc}{2}\right)^2-\left(\dfrac{\bigcirc}{2}\right)^2 \end{align} あとは、$x^2$ の係数に注意しながら、定数項を計算すればよい。
$y=ax^2+bx+c$ のグラフ
$y=ax^2+bx+c$のグラフ
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフは \begin{align} y=&ax^2+bx+c\\ =&a\left\{x^2+\dfrac{b}{a}x\right\}+c\\ &\quad\blacktriangleleft x^2の係数でくくる\\ =&a\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2}{4a^2}\right\}+c\\ &\quad\blacktriangleleft 平方完成\\ =&a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2}{4a}+c\\ &\quad\blacktriangleleft \{~~\}をはずす\\ =&a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}\\ &\quad\blacktriangleleft 定数項を整理する \end{align} と変形することにより、軸が $x=-\dfrac{b}{2a}$ で、頂点が $\left(-\dfrac{b}{2a},~-\dfrac{b^2-4ac}{4a}\right)$ の放物線となることがわかる。
グラフを描くときは、$y$ 軸との交点の $y$ 座標(右のグラフの場合は $c$)を書く習慣をつけよう。これは、$x=0$ のときの $y$ の値である
吹き出し無題
これは暗記するようなものではなく、毎回計算して導き出すものである。
ここまで見たように、2次関数 $y=f(x)=ax^2+bx+c$ のグラフは放物線になる。
そこで、「2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフ」のことを「放物線 $y=ax^2+bx+c$」ということがある。
このときの $y=ax^2+bx+c$ は、放物線の方程式 (equation of parabola) といわれる。
放物線を描く~その2~
次の放物線を、頂点の座標を求めてから描け。
- $y=x^2−2x+3$
- $y=−3x^2+6x$
- $y=2x^2+8x+5$
- $y=-2x^2-6x-\dfrac{5}{2}$
- 平方完成すると \begin{align} y=&x^2-2x+3\\ =&(x-1)^2-1+3\\ =&(x-1)^2+2 \end{align} となるから、頂点が $(1,~2)$ で、下に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
- 平方完成すると \begin{align} y=&-3x^2+6x\\ =&-3\left\{x^2-2x\right\}\\ =&-3\left\{(x-1)^2-1\right\}\\ =&-3(x-1)^2+3 \end{align} となるから、頂点が $(1,~3)$ で、上に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
- 平方完成すると \begin{align} y=&2x^2+8x+5\\ =&2\left\{x^2+4x\right\}+5\\ =&2\left\{(x+2)^2-4\right\}+5\\ =&2(x+2)^2-3 \end{align} となるから、頂点が $(-2,~-3)$ で、下に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。
- 平方完成すると \begin{align} y=&-2x^2-6x-\dfrac{5}{2}\\ =&-2\left\{x^2+3x\right\}-\dfrac{5}{2}\\ =&-2\left\{\left(x+\dfrac{3}{2}\right)^2-\dfrac{9}{4}\right\}-\dfrac{5}{2}\\ =&-2\left(x+\dfrac{3}{2}\right)^2+2 \end{align} となるから、頂点が $\left(-\dfrac{3}{2},~2\right)$ で、上に凸な放物線であるから、グラフは右図のようになる。