2次関数の最大・最小の応用
2次関数の知識を利用して、現実にあるさまざまな問題を解くことができる。
2次関数の応用
- 長さ $20\text{cm}$ の針金を2つに切り、それぞれの針金で正方形を作るとき、それらの面積の和の最小値を求めよ。また、そのとき針金は何 $\text{cm}$ ずつに切り分けられているか求めよ。
- ある品物の売価が1個 $120$ 円のときには、1日の売上個数は $400$ 個であるという。売価を1個につき1円値上げするごとに、1日の売上個数は $2$ 個ずつ減るという。1日の売上金額を最大にするには、売価をいくらに設定すればよいか求めよ。
$20\text{cm}$ の針金を、$4x\text{cm}$ と $(20-4x)\text{cm}$ に切り分けたとする。ただし、$0\lt{x}\lt5$ とする。
それぞれの針金から作られる正方形の面積は \begin{align} &\dfrac{4x}{4}\times\dfrac{4x}{4}=x\times{x}\\ &\dfrac{20-4x}{4}\times\dfrac{20-4x}{4}=(5-x)\times(5-x) \end{align} となるから、これら2つの正方形の面積の和を $f(x)(\text{cm}^2)$ とすると \begin{align} f(x)=&x^2+(5-x)^2\\ =&x^2+25-10x+x^2\\ =&2x^2-10x+25 \end{align} となる。ここで、$f(x)$ は \begin{align} f(x)=&2\left\{\left(x-\dfrac{5}{2}\right)^2-\dfrac{25}{4}\right\}+25\\ =&2\left(x-\dfrac{5}{2}\right)^2+\dfrac{25}{2} \end{align}
と変形できるから、$y=f(x)$ のグラフは $0\lt{x}\lt5$ で右図のようになる。これより最小値は $f\left(\dfrac{5}{2}\right)$ であるから、面積の和の最小値は $\boldsymbol{\dfrac{25}{2}{\text{cm}}^2}$ であり、$x=10$ のとき最小値となるのだから、針金は $\boldsymbol{10\text{cm}}$ずつに切り分けられる。
売価を1個 $x$ 円($120\leqq{x}\leqq320$)とすると、$120$ 円より $(x-120)$ 円値上げしたことになる。その結果、1日の売上個数は、$2(x-120)$ 個減る。
よって、1日の売上金額 $f(x)$ は \begin{align} f(x)=&x\left\{400-2(x-120)\right\}\\ =&x(640-2x)\\ =&-2x^2+640x \end{align} となる。ここで、$f(x)$ は \begin{align} f(x)=&-2(x^2-320x)\\ =&-2\left\{(x-160)^2-25600\right\}\\ =&-2(x-160)^2+51200 \end{align}
と変形できるから、$y=f(x)$ のグラフは $120\leqq{x}\leqq{320}$ で右図のようになる。これより、最大値は $f(160)$ をとるには、$x=160$。つまり、売価を $\boldsymbol{160}$ 円にすればよい。
条件をもつ2次関数の最大・最小
$0{\leqq}x$、$0{\leqq}y$、$2x+y=10$ のとき、$x^2+y^2−3$ の最大値・最小値と、そのときの $x$、$y$ を求めよ。
1のグラフ
$2x+y=10$ を $y$ について解けば $y=10−2x$。これを $0{\leqq}y$ に代入すれば \begin{align} 0{\leqq}y\Leftrightarrow~&0{\leqq}10-2x\\ \Leftrightarrow~&x\leqq5 \end{align} であり、さらに、$x^2+y^2-3$ に代入すれば \begin{align} x^2+y^2-3&=x^2+(10-2x)^2-3\\ &=5x^2-40x+97 \end{align} である。つまり、$0{\leqq}x\leqq5$ のときに、2次関数 \[5x^2-40x+97\] の最大・最小を求めればよい。この2次関数を $f(x)$ とおいて平方完成すると \[f(x)=5(x-4)^2+17\] そこでグラフ $L=f(x)~(0{\leqq}x\leqq5)$ を描けば、右図のようになり、$f(x)$ の最大値は $f(0)=97$、最小値は $f(4)=17$ とわかる。
$x=0$ のとき $y=10$、$x=4$ のとき $y=2$ であるから、答えは次のようになる。
- $\boldsymbol{(x,~y)=(0,~10)}$ のとき最大値 $\boldsymbol{97}$
- $\boldsymbol{(x,~y)=(4,~2)}$ のとき最小値 $\boldsymbol{17}$
式の一部を文字でおく
関数 $y=(x^2-2x)^2+4x^2-8x+5$ について以下の問に答えよ。
- $t=x^2-2x$ とするとき、$t$ の値のとりうる範囲を求めよ。
- $y$ の値のとりうる範囲を求めよ。
- 平方完成によって \[t=(x-1)^2-1\] であるので、右図より $\boldsymbol{t\geqq-1}$。
- $y$ を $t$ で表し平方完成すれば \begin{align} y&=(x^2-2x)^2+4(x^2-2x)+5\\ &=t^2+4t+5\\ &=(t+2)^2+1 \end{align} となる。1より $-1\leqq{t}$ であるので、$t$ に対する $y$ のグラフは右図のようになる。つまり、$\boldsymbol{y\geqq2}$。