2次方程式の解の公式による解法
2次方程式 $(x+2)^2=7$ は以下のように解くことができる。 \begin{align} &(x+2)^2=7\\ \Leftrightarrow~&x+2=\pm\sqrt{7}\\ &x=-2\pm\sqrt{7} \end{align} 一般に、$(x+p)^2=q$ の形 $(q\geqq0)$ の2次方程式は、上のようにして解くことができる。つまり、一般の2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ も、$(x+p)^2=q$ の形に変形できれば解ける。
では、どのように変形すれば $(x+p)^2=q$ という形になるのだろうか。それには、すでに学習した方法である『平方完成』(『$y=ax^2+bx+c$ のグラフ』を参照)を使う。
暗記平方完成を利用した2次方程式の解法
『2次方程式の解法』の例題では、因数分解を利用して解いた2次方程式 $3x^2+2x-8=0$ を、今度は平方完成を使って解いてみよう。
まず、$x^2$ の係数 $3$ によって $x^2$ と $x$ の項をくくると \[3\left\{x^2+\dfrac{\fbox{A}}{\fbox{B}}x\right\}-8=0\] $\dfrac{\fbox{A}}{\fbox{B}}\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}$ を利用して、中かっこ $\{~~\}$ の中を平方完成すると \begin{align} &3\left\{\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2-\left(\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2\right\}-8=0\\ \Leftrightarrow~&3\left\{\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2-\dfrac{\fbox{E}}{\fbox{F}}\right\}-8=0\\ \Leftrightarrow~&3\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2-\dfrac{\fbox{G}}{\fbox{H}}-8=0\\ \Leftrightarrow~&\left(x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}\right)^2=\dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}} \end{align} 2乗して $\dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}}$ になるので、$x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}$ は $\dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}}$ の平方根であるから \begin{align} &x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}=\pm\sqrt{\dfrac{\fbox{I}}{\fbox{J}}}\\ \Leftrightarrow~&x+\dfrac{\fbox{C}}{\fbox{D}}=\pm\dfrac{\fbox{K}}{\fbox{L}}\\ \Leftrightarrow~&x=-\fbox{M}~,~~\dfrac{\fbox{N}}{\fbox{O}} \end{align} が解となる。
$\fbox{A}=\boldsymbol{2}$、$\fbox{B}=\boldsymbol{3}$、$\fbox{C}=\boldsymbol{1}$、$\fbox{D}=\boldsymbol{3}$、$\fbox{E}=\boldsymbol{1}$、$\fbox{F}=\boldsymbol{9}$、$\fbox{G}=\boldsymbol{1}$、$\fbox{H}=\boldsymbol{3}$、$\fbox{I}=\boldsymbol{25}$、$\fbox{J}=\boldsymbol{9}$、$\fbox{K}=\boldsymbol{5}$、$\fbox{L}=\boldsymbol{3}$、$\fbox{M}=\boldsymbol{2}$、$\fbox{N}=\boldsymbol{4}$、$\fbox{O}=\boldsymbol{3}$
以上のように、平方完成を利用すれば、一般の2次方程式を解くことができることがわかった。しかし、2次方程式を解くたびに平方完成を実行していたのでは大変なので、結果を公式化してみよう。
2次方程式の解の公式
$\bigcirc^2=3$ を満たす実数 $\bigcirc$ は、$\bigcirc=\pm\sqrt{3}$ であるが、$\bigcirc^2=-3$ を満たすような実数 $\bigcirc$ は存在しない。同様に、上の式変形での $\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2=\dfrac{b^2-4ac}{4a^2}$ において、右辺にある「$b^2-4ac$」の値が $0$ 以上ならば、この2次方程式は解をもつが、「$b^2-4ac$」の値が負ならば、この2次方程式は解をもたない。
この $b^2-4ac$ を2次方程式の判別式 (discriminant) といい、2次関数の場合と同じように $D$ で表す。
2次方程式の解の公式
$D=b^2-4ac\geqq0$ のとき、$ax^2+bx+c=0$ の解は \[x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\] である。
2次方程式を解く(解の公式の利用)
次の2次方程式を解け。
- $x^2+7x+2=0$
- $x^2+8x-3=0$
- $x^2-x-3=0$
- $x^2-4x+5=0$
- $4x^2+6x+1=0$
- $\dfrac{1}{6}x^2+\dfrac{1}{2}x-\dfrac{1}{3}=0$
- 解の公式より \begin{align} &x^2+7x+2=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{-7\pm\sqrt{7^2-4\cdot1\cdot2}}{2\cdot1}\\ &~=\boldsymbol{\dfrac{-7\pm\sqrt{41}}{2}} \end{align}
- 解の公式より \begin{align} &x^2+8x-3=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{-8\pm\sqrt{8^2-4\cdot1\cdot(-3)}}{2\cdot1}\\ &~=\dfrac{-8\pm2\sqrt{19}}{2}=\boldsymbol{-4\pm\sqrt{19}} \end{align}
- 解の公式より \begin{align} &x^2+x-3=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{1\pm\sqrt{(-1)^2-4\cdot1\cdot(-3)}}{2\cdot1}\\ &~=\boldsymbol{\dfrac{1\pm\sqrt{13}}{2}} \end{align}
- 解の公式より \begin{align} &x=\dfrac{4\pm\sqrt{(-4)^2-4\cdot1\cdot5}}{2\cdot1}\\ &~=\dfrac{4\pm\sqrt{-4}}{2} \end{align} $\sqrt{-4}$ が意味をもたないため、答えは解なし。
- 解の公式より \begin{align} &4x^2+6x+1=0\\ \Leftrightarrow~&x=\dfrac{-6\pm\sqrt{6^2-4\cdot4\cdot1}}{2\cdot4}\\ &~=\dfrac{-6\pm2\sqrt{5}}{8} =\boldsymbol{\dfrac{-3\pm\sqrt{5}}{4}} \end{align}
- 方程式の両辺に $6$ を掛けて整理すると \[x^2+3x-2=0\] 解の公式より \begin{align} &x=\dfrac{-3\pm\sqrt{3^2-4\cdot1\cdot(-2)}}{2\cdot1}\\ &~=\boldsymbol{\dfrac{-3\pm\sqrt{17}}{2}} \end{align}
吹き出し無題
解の公式は暗記して、正確に使いこなせるようにしよう。