多項式の約数と倍数

多項式の約数と倍数について

多項式の約数と倍数について

多項式$f(x)$が多項式$g(x)$で割り切れるとき,すなわち

\begin{align} f(x)=g(x)Q(x) \end{align}

となる多項式$Q(x)$が存在するとき

$f(x)$は$g(x)$の倍数(multiple),$g(x)$は$f(x)$の約数(divisor)

という

たとえば,$x^2 − 4x + 3 = (x − 1)(x − 3)$であるから,$x^2 − 4x + 3$は$x – 1$の倍数であり,$x – 1$は$x^2 − 4x + 3$の約数である

公約数・公倍数

いくつかの多項式に共通な約数を,それらの多項式の公約数(common divisor)といい, 公約数の中で次数の最も高いものを最大公約数(greatest common divisor)という.

また,いくつかの多項式に共通な倍数を,それらの多項式の公倍数(common multiple)といい, 公倍数の中で次数の最も低いものを最小公倍数(least common multiple)という.

最大公約数と最小公倍数

次の各組の多項式の最大公約数と最小公倍数を求めよ. ただし,答えの式は展開しなくてもよい.

  1. $x^2-1~,~~x+1$
  2. $x^2-4x+4~,~~x^2-4$
  3. $x^2+2x-3~,~~x^2+x-6 $
  4. $x^3-27~,~~x^2-2x-3$

  1. $x^2 − 1 = (x + 1)(x − 1)$なので,最大公約数は$\boldsymbol{x+1}$,

    最小公倍数は$\boldsymbol{(x+1)(x-1)}$である.

  2. $x^2 − 4x + 4 = (x − 2)^2$,$x^2 − 4 = (x − 2)(x + 2)$なので,最大公約数は$\boldsymbol{x+2}$, 最小公倍数は$\boldsymbol{(x+2)(x-2)^2}$である.

  3. $x^2 + 2x − 3 = (x − 1)(x + 3)$,$x^2 − x + 6 = (x + 3)(x − 2)$なので, 最大公約数は$\boldsymbol{x+3}$,最小公倍数は$\boldsymbol{(x-1)(x+3)(x-2)}$である.

  4. $x^3 − 27 = (x − 3)(x^2 + 3x + 9)$,$x^2 − 2x − 3 = (x − 3)(x + 1)$なので, 最大公約数は$\boldsymbol{x-3}$, 最小公倍数は$\boldsymbol{(x-1)(x+3)(x^2+3x+9)}$である.