円と直線の関係

円と直線の交点

円と直線の交点について,グラフの交点の座標と連立方程式の実数解は一致する.

円と直線の共有点の座標

座標平面上に円$C:x^2+y^2=5$があるとき,以下の問いに答えよ.

  1. 直線$l_1:x+y=3$と円$C$の共有点があれば,すべて求めよ.

  2. 直線$l_2:x+y=4$と円$C$の共有点があれば,すべて求めよ.

  1. 直線$l_1$と円$C$の共有点は,連立方程式

    \begin{cases} x+y=3\\ x^2+y^2=5 \end{cases}

    の解に一致する.上の式を$\tag{1}\label{entochokusennokyouyuutennozahyou1}$,下の式を$\tag{2}\label{entochokusennokyouyuutennozahyou2}$とするとき,$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou1}$より$y = 3 – x$であるので, これを$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou2}$に代入すれば

    \begin{align} &x^2+(3-x)^2=5\\ \Leftrightarrow~&2x^2 -6x+9=5\\ \Leftrightarrow~&x^2 -3x+2=0 \end{align}

    これを解いて$x=1,~2$. $\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou1}$より,求める共有点の座標は$\boldsymbol{(2,~1),~(1,~2)}$.

    ←$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou1}$に代入して$y$を解く.$x=1$のとき$y=2,x=2$のとき$y=1$となる.

  2. 直線$l_2$と円$C$の共有点は,連立方程式

    \begin{cases} x+y=4\\ x^2+y^2=5 \end{cases}

    の解に一致する.上の式を$\tag{3}\label{entochokusennokyouyuutennozahyou3}$,下の式を$\tag{4}\label{entochokusennokyouyuutennozahyou4}$とするとき, $\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou3}$より$y = 4 – x$であるので, これを$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou4}$に代入すれば

    \begin{align} &x^2+(4-x)^2=5~~\\ \Leftrightarrow~&2x^2 -8x+11=0 \end{align} $\tag{5}\label{entochokusennokyouyuutennozahyou5}$

    となる.2次方程式$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou5}$の判別式を$D$とすると

    \[\dfrac{D}{4}=4^2 -2\cdot 11=-6<0\]

    であるので,$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou5}$は実数解を持たない. つまり,

    $l_2$と$C$は共有点を持たない.

    ←$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou5}$は実数解を持たないことは,連立方程式$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou3}$,$\eqref{entochokusennokyouyuutennozahyou4}$は実数解を持たないことになるため.

座標平面上の円を図形的に考える

図形に置き換えて考えると, 円と直線の関係は「直線と円の中心の距離」で決まる. この視点から考えると,次のように考えることができる.

暗記円と直線の共有点の個数

座標平面上の円$C:x^2+y^2=5$と直線$l:x+y=k$が,共有点を持つような実数$k$の範囲を求めたい. 以下の$\fbox{?}$に入る式・言葉・値を答えよ.

  1. 直線$l$と円$C$の共有点は,連立方程式$\fbox{A}$ の実数解に一致する.つまり,この連立方程式が$\fbox{B}$ような$k$の範囲を求めればよい.

    連立方程式$\fbox{A}$から$y$を消去し,$x$の2次方程式$\fbox{C}$を得る.

    この2次方程式が実数解を持つことから,不等式$\fbox{D}$を得る.

    これを解いて,求める$k$の範囲は$\fbox{E}$と分かる.

  2. 条件「直線$l:x+y=k$が円$C$と共有点を持つ」は

    条件「直線$l:x+y=k$と円$C$の中心の距離が,$\fbox{F}$以下である」

    と必要十分条件である.

    直線$l$と円$C$の中心$(0,~0)$の距離は $\fbox{G}$であるので不等式$\fbox{H}$を得る. これを解いて,求める$k$の範囲は$\fbox{E}$と分かる.

$\fbox{A}:$ \begin{cases} \boldsymbol{x+y=k}\\ \boldsymbol{x^2+y^2=5} \end{cases}

$\fbox{B}:$実数解を持つ

$\fbox{C}:~\boldsymbol{x^2+(k-x)^2=5}$
$\left(\Leftrightarrow~\boldsymbol{2x^2 -2kx+k^2-5=0}\right)$

←$\fbox{A}$より上の式を変形すると,$y = k – x$なので, それを下の式に代入すればよい

$\fbox{D}:\dfrac{D}{4}=\boldsymbol{k^2 -2(k^2-5)\geqq 0 }$
$\left(\Leftrightarrow~\boldsymbol{-k^2+10\geqq 0}\right)$

←実数解を持つ~$\Leftrightarrow$~(判別式)$\geqq 0 \ \ \ D=(2k)^2 -4\cdot 2\cdot (k^2-5)\geqq 0$でもよい

$\fbox{E}:\boldsymbol{-\sqrt{10}\leqq k \leqq \sqrt{10}}$

$\fbox{F}:~\boldsymbol{\sqrt{5}}$(または円$C$の半径)

$\fbox{G}:\boldsymbol{\dfrac{|-k|}{\sqrt{1^2+1^2}}}\left(=\boldsymbol{\dfrac{|k|}{\sqrt{2}}}\right)$

←直線$x + y − k = 0$と点$(0,~0)$の距離を 点と直線の距離で計算

$\fbox{H}:\boldsymbol{\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} \leqq \sqrt{5}} ~\left(\Leftrightarrow~ \boldsymbol{|k| \leqq\sqrt{10}}\right)$

「円と直線の共有点」について

円$(x-p)^2 + (y-q)^2=r^2$と直線$ax+by+c=0$を考えるとき

円$(x-p)^2 + (y-q)^2=r^2$と直線$ax+by+c=0$の共有点の個数

方程式$ax+by+c=0$と$(x-p)^2 + (y-q)^2=r^2$を連立して得られる2次方程式の判別式$D$

円の中心$(p,~q)$と直線$ax+by+c=0$の距離$d=\dfrac{|ap + bq +c|}{\sqrt{a^2 + b^2}}$

について,次のようにまとめることができる.

円と直線の共有点の個数2個
円と直線の位置関係「円と直線の共有点」についての図その1
連立方程式の判別式$D$ $D \gt 0$
$(p,q)$と直線の距離$d$ $d \gt r $

円と直線の共有点の個数1個
円と直線の位置関係「円と直線の共有点」についての図その2
連立方程式の判別式$D$ $D = 0$
$(p,q)$と直線の距離$d$ $d = r $

円と直線の共有点の個数0個
円と直線の位置関係「円と直線の共有点」についての図その3
連立方程式の判別式$D$ $D \lt 0$
$(p,q)$と直線の距離$d$ $ d \lt r$

吹き出し座標平面上の円を図形的に考える

これは暗記するようなものではない. 必ず簡単なグラフを描いて考えよう.

円が切り取る線分の長さ

無題

無題

円$C:x^2+y^2=6$と直線$l:x+2y=k$が2点$A,B$で交わり,$AB = 2$であるとき, $k$の値を求めたい. 以下の$\fbox{?}$に入る式・言葉・値を答えよ.

図のように,円の中心を$O$とし,$O$から直線$x+2y=k$へ下ろした垂線の足を$H$とおく. このとき,$\text{OA}=\fbox{A},~\text{AH}=\fbox{B}$であるので,三平方の定理より,$ \text{OH}=\fbox{C}$.

ところで,$OH$の長さは,点$O$と直線$\fbox{D}$の距離に一致するので, 点と直線の距離より

\[\text{OH}=\fbox{E}\]

よって,方程式$\fbox{E}=\fbox{C}(=\text{OH}) $を解けば,$ k=\fbox{F}$と求められる.

$\fbox{A}:\boldsymbol{\sqrt{6}}$

$\fbox{B}:\dfrac{1}{2}\text{AB}=\boldsymbol{1}$

$\fbox{C}:\sqrt{(\sqrt{6})^2 -1^2}=\boldsymbol{\sqrt{5}}$

$\fbox{D}:$(直線)$\boldsymbol{x+2y=k}$

$\fbox{E}:\boldsymbol{\dfrac{|0 +2\cdot 0 -k|}{\sqrt{1^2+2^2}}}=\boldsymbol{\dfrac{|k|}{\sqrt{5}}}$

←直線$x + 2y − k = 0$と点$(0,~0)$の距離を点と直線の距離で計算

$\fbox{F}:\dfrac{|k|}{\sqrt{5}}=\sqrt{5} ~~~\Leftrightarrow ~~|k|=5$, つまり,$\boldsymbol{k=\pm 5}$.

吹き出し座標平面上の円を図形的に考える

上の例題は,$A,B$の座標を求めて$AB$の長さを$k$で表し, それが$2$になることから解くこともできるが, 計算が大変である. この例題のように,交点が複雑な形になる場合は, 問題を図形的に考えると計算が簡単に済む.